「光コラボレーション」が普及した結果、これまではインターネット接続サービスとは縁のなかった企業が次々と参入してくるようになりました。
レンタルビデオ大手のTSUTAYAも新規参入組ですが、そのサービスの内容はどのようなものでしょうか。
「光コラボレーション」が普及した結果、これまではインターネット接続サービスとは縁のなかった企業が次々と参入してくるようになりました。
レンタルビデオ大手のTSUTAYAも新規参入組ですが、そのサービスの内容はどのようなものでしょうか。
TSUTAYA光は、レンタルビデオで有名なTSUTAYAが提供するインターネット接続サービスです。
TSUTAYAそのものがインターネット接続用の回線を持っているわけではなく、NTT東西のフレッツ光の光ファイバー網を利用した「光コラボレーション」と呼ばれるサービスの一種です。
NTT東西の「フレッツ光」は、回線業者(NTT)とプロバイダとの契約が別々になっていました。
インターネット利用の草創期は、一般電話回線を一時的に借用し、接続に利用していました。
すべての電話回線利用者がインターネットを利用していたわけでもないため、利用者は特別にプロバイダと契約し、電話代とプロバイダ料金を支払っていたのです。
しかし、携帯電話やWiMAXなど、料金が一本化されたインターネット接続手段が普及し、回線料金とプロバイダ料金を別々に支払う方式に、違和感を覚えるユーザーが増えてきました。
契約先が二箇所になると、支払いだけでなくサポート窓口についても混乱が生じやすくなるため、ユーザーの間から「統一して欲しい」という声が徐々に上がるようになりました。
「光コラボレーション」はこうした要望に応える形で誕生したサービスです。
「光コラボレーション」では、フレッツ光の回線をそのまま使います。
ただし、料金徴収とサポートの窓口は、プロバイダに一本化されます。
ユーザーに対して営業を行うのも、プロバイダ主体になります。
NTTは、プロバイダに対してフレッツ光の回線を卸し、利用料金をプロバイダから受け取るだけの存在となり、ユーザーとは直接応対しなくなります。
しかし、フレッツ光の回線網の保守や増強はNTT側が行っており、ユーザーは安心して利用することができるのです。
「フレッツ光」の回線には、いくつかの種類があります。
同じ光ファイバーを使っている回線であっても、タイプによって通信の最大速度が異なります。
これはフレッツ光の最高速度が、技術の進歩にともなって段階的にアップされたからです。
現在主流になっている一戸建て向け回線だと、最高速度は1Gbpsですが、かつては200Mbpsや100Mbpsのサービスがありました。
マンション向けの回線はさらに複雑です。
マンションの場合、まず建物全体に光ファイバーを導入し、それを各戸に分配する方式を取っています。
この分配に用いる回線には、光ファイバー・イーサネット・一般電話回線の三種類があります。
分配用の回線が何になるかは、マンションの状態によって決まっています。
光ファイバーは曲げにくく、マンション内部にある電話線用の配管を通すことが難しいので、ほとんどの場合は一般電話回線を使用しての配線となります。
一般電話回線を使った場合、VDSLという技術を用いて、100Mbps程度の最高速度を出せます。
マンションタイプの場合、さらに同じ建物の中で、フレッツ光を利用しているユーザーが何人いるかで料金タイプが変わってきます。
NTTでは、加入者数4人以上を「ミニ」、8人以上を「タイプ1」、16人以上を「タイプ2」としています。
TSUTAYA光の料金は、こうしたNTTによる回線の区分と料金体系をベースにしたものとなっているのです。
なお、TSUTAYA光では、毎月1,080円分のポイントを契約者に発行しており、契約者はそれを使ってTSUTAYAが配信している映画などのコンテンツを視聴することができます。
TSUTAYA光の一戸建て向けの料金は、「ギガ」「ハイスピード」「ノーマル」の三種類に分かれています。
これはもともとのフレッツ光の回線種別による違いとなっています。
です。
実はどのタイプでも使っている光ファイバーは同じなのですが、宅内に引き込んだファイバーの末端につける終端装置(ONU)に微妙な違いがあります。
終端装置を交換すれば回線タイプを変更することが可能です。
このため、TSUTAYA光では、工事メニューに回線タイプを変更する場合の費用を加え、公式ページで紹介しています。
TSUTAYA光の場合、価格表では「ギガ」「ハイスピード」「ノーマル」を分けていますが、標準価格の方はどれも5,200円です。
回線タイプ | 標準価格 |
ギガ | 5200円 |
ハイスピード | |
ノーマル |
マンションの価格表は、「ギガ」「ハイスピード」「ノーマル」の三種類に分かれ、さらにそれぞれが「ミニ」「プラン1」「プラン2」に分かれています。
とはいうものの、「ギガ」「ハイスピード」は、マンション内各戸まで光配線ができた場合しか選択できません。
光配線が可能なマンションは数が少ないため、ほとんどの場合はVDSL接続の「ノーマル」タイプとなります。
また、共有数はユーザーが加入を申し込んだ際に決まってしまっているので、ユーザーが自分の希望で変更することはできません。
回線タイプ | 標準価格 | 共有数 | 配線種別 | |
ギガ | ミニ | 4.050円 | 4以上 | 光ファイバー |
プラン1 | 3,450円 | 8以上 | ||
プラン2 | 3,300円 | 16以上 | ||
ハイスピード | ミニ | 4.050円 | 4以上 | 光ファイバー |
プラン1 | 3,450円 | 8以上 | ||
プラン2 | 3,300円 | 16以上 | ||
ノーマル | ミニ | 4.050円 | 4以上 | VDSL |
プラン1 | 3,450円 | 8以上 | ||
プラン2 | 3,300円 | 16以上 |
契約手数料は、フレッツ光からの転用の場合無料で、新規導入の場合2,000円となっています。
他の多くの光コラボレーション業者の場合、転用の手数料の方が高く設定されている(※3,000円が多い)ことが多く、TSUTAYA光はその点ちょっと変わっていると言えます。
現在利用している光回線をそのままTSUTAYA光に転用する場合には、工事費用はかかりません。
ただし、転用に際して回線の種別を変更する場合には、工事費用が発生します。
この場合の工事内容は、光ファイバーの末端にある終端装置を、高速度対応のものに変更するだけで、変更後の導通試験も含めて30分以内に終了します。
終端装置の変更が必要がない場合は、TSUTAYA光内部での作業のみで工事が完了します。
それ以外にも、TSUTAYA光では一戸建てからマンション、マンションから一戸建てへの変更、VDSLから光配線への変更の工事価格を設定していますが、これらはユーザーが希望すればすぐ対応できるというようなものではなく、かなりのレアケースとなります。
回線種別変更(宅内工事あり) | 7,600円 |
回線種別変更(宅内工事なし) | 2,000円 |
「一戸建て→マンション」 | 15,000円 |
「マンション→一戸建て」 | 18,000円 |
「VDSL→光」 | 15,000円 |
新規申し込みの工事は、一戸建ての場合は最寄りの電柱から光ファイバーを宅内に引き込み、終端装置を設置する、という流れになります。
この場合の標準工事費は18,000円です。
すでに誰かがかつて使った光ファイバーが偶然あった住宅の場合、7,600円(工事担当者が来る場合)または2,000円(工事担当者が来ない場合)となりますが、これらはレアケースで、通常は18,000円取られると考えた方がいいでしょう。
集合住宅の場合、マンションへの引き込みは完了しており、一般電話回線用のモジュラージャックにVDSLモデムを接続すれば利用開始、というパターンが一般的です。
この場合、工事担当者が来ないタイプの工事になりますので、ほとんどの場合費用は2,000円になります。
一応集合住宅の場合でも、工事担当者が来る場合の価格設定がなされていますが、上で説明したようにこうしたケースは極めて稀です。
工事内容 | 標準工事費 | 備考 |
担当者来訪宅内配線工事あり | 18,000円 | ほとんどの場合はこれ |
担当者来訪宅内配線工事なし | 7,600円 | |
担当者来訪なし | 2,000円 |
工事内容 | 標準工事費 | 備考 |
担当者来訪宅内配線工事あり | 15,000円 | |
担当者来訪宅内配線工事なし | 7,600円 | |
担当者来訪なし | 2,000円 | ほとんどの場合はこれ |
フレッツ光で提供されている「ひかり電話」とほとんど同じサービスで、月額の基本料金は500円、固定電話に対する通話料は全国どこに対しても3分8円となる電話サービスです。
固定電話で使っていた番号を引き継ぐことが可能です。
光回線を使用した一種のケーブルテレビサービスです。
こちらも提供しているのはフレッツ光で、月額基本料金660円で地デジや無料BS放送などを受信できるようになります。
「アンテナを設置する必要がない」というのが売りですが、郊外の一戸建て家屋の場合不通にアンテナを設置できますし、都市部の集合住宅の場合、共用アンテナやケーブルテレビ局を通じての受信が可能です。
これらの場合、アンテナさえ立ててしまえば地デジ・無料BSの視聴に月額料金はかかりませんから、あえて導入する必要性は薄いものと思われます。
TSUTAYA光は、光インターネット接続がメインとなっているサービスではありません。
TSUTAYAはDVDレンタルを始めとした、コンテンツの配信やレンタルをメインの業務としている企業で、それらの業務をより快適に利用できる手段として、光インターネット接続も提供しているのです。
このため、TSUTAYA光に加入する場合、TSUTAYAの会員サービスである「TSUTAYA DISCAS」への会員登録が必要となります。
TSUTAYAの提供するDVD・コミックレンタル、音楽配信、TV配信等を利用できる会員制サービスです。
月額利用料金は1,865~5,423円です。
光コラボレーションの回線速度は、フレッツ光と原理的に同じです。
プロバイダが違ったからと言って、顕著な違いが出ることはありません。
光回線で体感速度に大きな違いが出る原因は、一戸建ての場合は回線そのものが対応している最高速度の違いによるものです。
集合住宅の場合はその建物で同時に何人がアクセスしているかによって大きな影響を受けます。
「さんねん割」は、他プロバイダや携帯キャリアなどでも行われている、定期契約(TSUTAYA光の場合は3年)をする代わりに月額料金を安くするという割引制度です。
割引価格は、一戸建て700円、マンションタイプで300円です。
更新月以外に解約すると、14,000円の違約金を請求されます。
住宅タイプ | 一戸建て | マンション |
割引額 | 700円 | 300円 |
違約金 | 14,000円 |
①転用承諾番号取得
NTT東西の公式ページから、転用承諾番号を取得します。
②申し込み
TSUTAYA光の公式ページから申し込みを行います。
③確認とスケジュール設定
TSUTAYA光側から折り返し連絡があり、工事日等の日程調整を行います。
④工事
転用の場合、回線の種別を変えなければ工事はTSUTAYA光側だけで完了します。
⑤開通
ルーター等の設定を変更すると、インターネットに接続できます。
①申し込み
TSUTAYA光の公式ページから申し込みを行います。
②確認とスケジュール設定
TSUTAYA光側から折り返し連絡があり、工事日等の日程調整を行います。
③工事
一戸建ての場合、通常担当者が来訪しての工事になります。集合住宅の場合は、担当者の来訪がないのが不通です。
④開通
ルーター等の設定を変更すると、インターネットに接続できます。
本来がコンテンツの受信を便利にするために作られたサービスなので、各種配信コンテンツの質・量はやはり頭一つ抜けています。
ネット利用の目的が映画やアニメなどの視聴だという人にはおすすめです。
インターネット対応型のレコーダーなどがあれば、家庭内のテレビでもTSUTAYA光の配信コンテンツを楽しめるようになります。
一ヶ月映画20本見放題という特典があることが、多くのユーザーがTSUTAYA光を選ぶ理由となっているようです。
TSUTAYA光は、動画などのコンテンツを視聴できるポイントを発行している、という他にはないユニークな特徴を持った光コラボレーションサービスです。
利用を決定するかどうかは、単に回線料金が安いかどうかではなく、これらのコンテンツが自分にとって魅力的なものかどうかで決まってくることでしょう。