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大手キャリアの「最低利用期間・解約金なし」の新料金プランとは?

 
 

目次

大手キャリア(docomo/au/SoftBank)の最低利用期間について

スマートフォンを利用するにあたっては、端末の入手だけでなく通信契約の締結も必要になります。

SIMカードを入手してこれを端末に挿入して使うことになるのですが、この「契約における最低利用期間」というものに注意する必要があるのです。

特に、これは「大手キャリア」のユーザーであればことさら注意しなければならないのです。

「最低利用期間」とは、契約からその期間が経過するまでに解約した場合に解約金が必要になるという契約期間のことを言います。

大手キャリアの場合であれば2年間(24ヶ月)という期間が設定されているのですが、契約してから2年以内の解約だとお金がかかるということになります。

そしてもう一つ、大手キャリアとMVNOの違いとして「最低利用期間経過後の取り扱い」についてです。

MVNOの場合であれば、最低利用期間が経過した後は任意のタイミングで解約ができ、解約金は発生しません。

ですが大手キャリアの場合だと最低利用期間が経過した後、「更新期間」の間に解約しないと契約が自動更新され、再び最低利用期間が経過しないと解約金が発生するという仕組みになっているのです。

大手キャリアの更新期間は2ヶ月で設定されているのである程度の余裕があるのですが、これを過ぎると再び2年間という制限が課せられることになります。

大手キャリアの「2年縛り」がなしの新料金プランとは?

そんな「大手キャリアの2年縛りの契約」なのですが、実は昨今ではこれを払拭すべく新しいプランを大手キャリア3社が次々と発表するに至りました。

これには、国からの要請があったことと、MVNOへのユーザーの流出を防ぐという2つの理由がありました。

2015年後半からの総務省からの要請により、2年縛りや「実質0円」などの従来の大手キャリアの手法を改善するようにとの要請が行われていました。

その2年縛りの対処として、「3年目以降の解約金がかからない」というプランを、大手キャリアは打ち出したのです。

また、その側面として個々数年で急速にシェアを広げている「格安SIM」へのユーザーの流出を防ぐという側面もあります。

未だに大手キャリアのユーザー数のほうが多いものの、現状では日々格安SIMのユーザー数が増えつつあります。

前述の通りMVNOでは最低利用期間経過後の取り扱いが非常にゆるく、かつ最低利用期間自体も大手キャリアよりも短く設定されているため、2年縛りを少しでも緩和することでユーザー数の減少を止めようとする意図が見られます。

auの「新2年契約」の料金プラン

それでは、総務省の要請を受けて誕生したであろう、大手キャリアの新プランに関してキャリアごとに解説していきます。まずは「au」です。

auでは「新2年契約」というプランを打ち出し、「スーパーカケホ」「カケホ」「カケホ(VK)」「カケホ(ケータイ)」の4つそれぞれで、契約から3年後(最低利用期間経過後)以降において解約時期に関わらず契約解除料(9,500円)が発生しないという特徴があります。

SoftBankの3年目以降、契約解除料のかからない新料金プラン

次は「SoftBank」です。SoftBankでは「スマ放題」と「スマ放題ライト」で新しい2年契約プランを提供しています。

加入から3年目以降、いつ解約しても契約解除料(9,500円)が必要にならないプランです。

docomoの新料金プラン

次は「docomo」の新料金プランです。

docomoの場合、契約から2年経過後に「フリーコース」という契約プランを選択することができます。

このコースは「ずっとドコモ割」などが適用されない代わりに、以降の契約においてはいつ解約しても解約金がかからないというプランです。

大手キャリアの新料金プランは、そこまで良いプランではない!

さて、ここまでを見てみると「新しいプランは2年後からは解約金がかからないプランが用意されていて便利!」と思う人が多いのではないかと思います。

ですが、実のところ上記の新しいプランはそこまでお得ではないという評価を下さざるを得ないのです。その理由は「金額」です。

例えば、auの新プランの場合、従来のプラン(2年後以降も2年縛りがある)と比べるとどのプランでもプラス300円で提供されているのです。

ということは、プラスされる300円が解約金の9,500円を超えるまでに解約しないと、お得ではないということになるのです。

なぜなら、仮に9,500円の解約金を支払うことになったとしても、プラスされる300円が積み上がってしまう前に解約してしまえば問題ないのです。

auの場合であれば、プラスされる金額は300円なので、32ヶ月で9,600円になって上回ってしまいます。

同時に、2年経過後でないと解約することができず、2年経過後から2ヶ月間は更新期間ということで解約金無しで解約することができます。

要するに、auの新プランで契約する場合、本来のプランよりも少ない負担で解約できるのは契約から27ヶ月後~31ヶ月後の間ということになります。

それ以前だとこのプランでも解約金はかかりますし、それ以降は積み上がったプラスの料金分が本来の解約金の金額を上回ります。

24ヶ月 25ヶ月 26ヶ月 27ヶ月 28ヶ月 29ヶ月 30ヶ月 31ヶ月 32ヶ月
従来のプランでの解約金 9,500円 0円 0円 9,500円 9,500円 9,500円 9,500円 9,500円 9,500円
新プランで積み上がる料金 7,200円 7,500円 7,800円 8,100円 8,400円 8,700円 9,000円 9,300円 9,600円
状況 更新期間 更新期間

どのキャリアでも、基本的に2年経過後の2年縛りの無いプランは、通常のプランに比べて料金が高く設定されています。

そして、実質的に安く解約できる期間は2年間+更新期間の2ヶ月の経過した27ヶ月後以降となり、加えて基本料金がプラスされた分が積み上がった金額が本来の解約金の金額を上回るまでの短い間だけしかその効果を発揮しないのです。

docomoの「フリーコース」だけは2年経過後に選べるのですが、そもそも2年間も同じキャリアを使い続けて、今更他のキャリアに乗り換えるような事があれば更新期間内に解約することで手軽に乗り換えが可能です。

2年経過後にコースを選ぶということは「これからもそのキャリアを利用し続ける」という意思表示ですから、それならドコモ割などの割引サービスを受けられる方がお得です。

つまり、大手キャリアが打ち出した新しいプランは、有り体に言えば「見かけで騙している」プランであるということになります。

冷静になって考えれば、どの部分においてもユーザーの受けられる利益は限定的であり、従来のプランでも解約金を支払ったほうが最終的にユーザーの利益につながる可能性が高いのです。

ならば、大手キャリアはどうしてこのような「ちょっと考えればそのカラクリに気がつく」ようなプランを打ち出したのでしょうか。

その理由としては「とりあえず」と言うと正しいでしょうか?

先ほども「総務省からの要請」という言葉を出しましたが、大手キャリアとしては総務省の要請に対してあまり乗り気ではないという姿勢が見られます。

つまり、大手キャリアは「総務省から要請があったから、仕方なく新しいプランを打ち出した」というスタンスで上記のプランを打ち出したのではないかと分析することができます。

タイムリーな話なのですが、この記事の執筆の1週間ほど前に、総務省から大手キャリアに対して「実質0円での販売をやめるように求めたガイドラインの趣旨に反した」という理由で行政指導が行われているのです。

これはそのまま、大手キャリアが総務省の要請に対してどういった態度を示しているかの指標となるのです。

今後、現状の新プランのあり方に対して総務省が目を向ければ、今回の行政指導のように大手キャリアに対して何らかの行政指導が行われるか、新しいタスクフォースがクマれることになるのではないかと推測することができます。

ユーザーとしては、大手キャリアの打ち出した新プランのカラクリに騙されること無く、冷静に判断して自分にとって最適なプランを見つけることが求められます。

これは大手キャリアに限らず、競争が続くMVNOでも同じことが言えます。