格安SIM用の端末を自分で用意する場合は「赤ロム」に要注意!
格安SIMの人気と共に、「白ロム」端末を購入する人が増加
スマートフォンを安い料金で利用したいと考えている人は、「格安SIM」への乗り換えをオススメします。
現在、格安SIMがユーザーに浸透していき、多くのユーザーが格安SIMへの乗り換えを行っています。料金が安くなるので、節約志向のユーザーには特にオススメの方法であると言えます。
さて、格安SIMに乗り換えるという一大イベントに際して、「乗り換えと同時に端末を買い換える」もしくは今までガラケーを使っていた人は端末をキャリアからではなく別個で購入するという選択肢があります。
さまざまな端末が販売されていますが、その際に注意したいポイントの一つとして「赤ロム」という要素があります。そこで、赤ロムや白ロムの違いについて解説していきます。
「白ロム」と「赤ロム」の違いは?
まず、「白ロム」や「赤ロム」というのは「中古のスマートフォン」の分類のことを言います。
つまり、この記事で解説している内容は「格安SIMに乗り換えるにあたって、スマートフォンを中古で購入する」という場合に注意しなければならないことになります。
新品でスマートフォンを用意する場合には、今回の内容は気にする必要はありません。
さて、中古となると「過去の所有者」が存在することになります。
ゲームソフトだとわかりやすいのですが、過去の所有者が作成したセーブデータが存在するような場合があります。
ガラケーの場合だと、端末の内部に記録されている情報が消去されているものを「白ロム」といい、消去されていない状態のことを「黒ロム」と言います。
スマートフォンの場合は、ゲームソフトよりも「ゲーム機本体」としての意味合いが強く、SIMカードを抜いている状態で販売しているので過去の利用者の情報が残っていることはありません。
SIMカードを抜いて販売している状態のスマートフォンを白ロムと分類しますが一つだけ厄介なものがあり、それが赤ロムに分類されるものになります。
スマートフォンは、特にiPhoneの場合だと端末の購入代金が高額になりやすく、「分割払い」をすることが多いです。
分割払いは基本的に何ヶ月で払いきるという契約になりますが、端末の分割払いを払いきる前に端末を売却してしまう場合だと「代金が完全に支払われていない端末」という状態で流通することになります。
端末の分割代金が未払いの状態になると、端末を購入したキャリア(つまり、分割払いの支払い先)が「通信制限」をかけるのですが、この状態のことを「赤ロム」というのです。
通常、端末の分割払いはキャリアから端末を購入した際のサービスの一環としての位置づけが強く、これによって端末購入の負担を軽減することができます。
しかし、代金の高額なスマートフォンの購入は端末の分割回数が多くなりやすく、払い終わる前に端末を売却するユーザーが多いのです。
さて、キャリアスマホの通信制限は「端末の分割払いが滞る」という状態にあってはじめてかけられる制限です。
なので、端末の分割払いが残っている端末でも、新品で購入したユーザー(基本的にその端末を売却した人)が分割分をきちんと払っている限りは通信制限がかけられることはありません。
ですが逆に、中古の赤ロムを購入したタイミングでは通信制限がかかっていなくても、何らかの事情で分割払いの支払義務者が支払いを滞らせてしまうと、急に通信制限がかけられてしまうことになる可能性もあるのです。
「白ロム」販売の中に「赤ロム」が紛れ込んでいる!?
「前のユーザーの不払いによる通信制限」という爆弾を抱える赤ロムを購入したいと考えるユーザーは、基本的にいません。
同様に、そのようなリスクを抱える赤ロムを売りたい(買い取りたい)と思うショップも存在しません。ですが、実際には赤ロムを掴まされてしまうユーザーも少なくありません。
かつては、「通信会社や電化製品店ではないが、中古のスマートフォンを取り扱っている」というタイプの店舗で赤ロムが横行していました。
「ゲオ」「ブックオフ」といった店舗がこれに該当するのですが、通信制限に関してきちんと調査せずに端末を買い取ってしまっていたことが原因です。
今では、きちんと調べているので赤ロムを掴まされることはありません。
現在、赤ロムを掴まされる可能性があるとすれば「ネットオークション」くらいでしょう。
特に新しく出来たばかりのネットオークションサイトだと、赤ロムや、赤ロムになる可能性の高い端末が出回っている可能性が高くなります。
ネットワーク利用制限の判定が「○」と表記されていても油断は禁物
さて、中古のスマートフォンを販売するにあたっては、その値札に「ネットワークの利用制限」が記載されています。
これは「◯」「△」「☓」で表記されるのですが、「◯」は「完全な白ロム」であり、「△」は「赤ロムではないが白ロムになる可能性がある」端末で、「☓」は「赤ロム」です。
つまり、「◯」と表記されているスマートフォンを購入することができれば、赤ロムのリスクは回避できるのではないかと思われます。
実際、「◯」と表記されている場合、その時点では赤ロムではない上に、端末分割代金の不払いのリスクがないので(あれば「△」と表記される)、安心安全な白ロムであると判断することができると思われていました。
ですが、その安全神話もすでに崩れてしまっているのです。
キャリアが通信制限を施す理由は、先ほどの「端末の分割払いの不払い」が代表的なものです。
しかし、その他にも「紛失補償オプションの悪用」や「通信機能の利用ではなく、端末の転売目的での購入」であることがキャリア側に判断されてしまった場合、同様に通信制限をかけられてしまうのです。
なので、いくらネットワークの利用制限が「◯」と表記されていても、新品と同様に完全な安全が保証されているわけではないのです。
ならば、どのようにして赤ロムを回避すれば良いのでしょうか。その方法は「中古のスマートフォンを購入する限り、100%の確率で回避する方法はない」と言えます。
よって「赤ロムを購入してしまったとしても、どうにかする方法」を求める必要があるのです。その具体的な方法としては、中古品販売店の「赤ロム永久保証」です。
これは、購入したスマートフォンが赤ロムであった、もしくは赤ロムになってしまった場合に、ショップ側に返品・返金や交換を受け付けてもらえるというサービスです。
これが保証されている限り、仮に赤ロムを掴まされても大損をするということはありません。
なので、中古のスマートフォンを購入する場合は、ネットワークの利用制限の表記を確認するとともに、赤ロムの永久保証があるのかどうかを確認してから購入に踏み切るようにしましょう。
「赤ロム」端末でも「Wi-Fi接続」なら使用可能
そんなデメリットや迷惑ばかりのイメージを持つ赤ロムなのですが、実は利用価値が無いわけではないのです。
その具体的な方法としては「Wi-Fi接続を前提とした運用」なのです。
実は、赤ロムとしての通信制限は「SIMカードを利用した通信」への制限なのです。
つまり、SIMカードを使わない通信であれば、キャリアからの通信制限がかかっている赤ロムでも実行可能であるということです。
ですが、SIMカードが使えないのにどうやって通信を行うのか、という問いの答えが「Wi-Fi接続」なのです。
Wi-Fi接続は、SIMカードに依存しない通信方法です。そのため、Wi-Fi接続を前提とするのであれば、赤ロムの状態でも通信自体は利用できるのです。
デメリットとしては「キャリアのサービス」や「キャリアのアップデート」が利用できなくなるということです。
また、「SMS認証の必要なアプリの使用」も不可能です。それ以外の通信機能に関しては、Wi-Fi接続を行っている限りは利用することができます。
「Wi-Fi」専用端末として、あえて「赤ロム」を販売している店もある
さて、赤ロムでも一応は通信機能を利用することができるということは理解できたかと思いますが、実はそこを利用した商売も成り立っているのです。要するに、「あえて赤ロムを販売する」ということです。
ですが、赤ロムにはデメリットも多いのは事実です。
SIMカードの通信はできない、キャリアのサポートは得られない、SMSも認証の必要なアプリは利用できないなどの制限がかかるのですが、それでも赤ロムを購入するというユーザーも少なくありません。
その理由は「赤ロムが安い」からです。
赤ロムは、新品のスマートフォンや白ロムに比べて、さまざまなデメリットを抱えています。その分だけ買取金額が安く、販売金額も安く設定することができるのです。
前述のとおり、スマートフォンはそれなりに高額な商品で、中古でも白ロムだとそれなりの値段になります。
しかし、赤ロムの場合だとこれが1万円未満で販売されていることもあり、格安SIMの恩恵を合わせると相当な節約効果を生むことになります。
もちろん、通常のスマートフォンの運用方法は利用することができません。利用したい場合は常にWi-Fi接続を確保しなければなりませんし、アップデート等は行えません。
そうした制限があっても問題無いという場合であれば、安い金額で中古のスマートフォンを調達することができるので、Wi-Fi接続を前提としたサブ機としての運用などに適しています。
2台目以降のスマートフォンを格安の料金で運用することができるので、金銭的な負担を最小限に抑えつつ利用可能なスマートフォンの台数を増やすことができるのです。
まとめ
このように、赤ロムはSIMカードを利用した通常のスマートフォンの運用を妨げるものであると同時に、それを踏まえたうえでの運用方法もあるという変わった存在です。
格安SIMと同様にスマートフォンを安く利用するための方法として中古のスマートフォンを購入する場合に、最も注意しなければならないポイントであると言えます。
赤ロムのリスクを完全になくすためには、「赤ロムであっても問題無いショップでの購入」か、「赤ロムとして運用する」という2種類の方法があります。
それぞれに性格は異なりますが、最悪なのは「白ロムとして購入したのに赤ロムになって、保証もない」というケースです。そうならないように注意して、購入に踏み切るようにしましょう。