「急に帝王切開になってしまった」「切迫早産になった」など、出産時に思いがけないトラブルが起きることも。
その場合、通常の出産よりも高額の医療費がかかるケースがあります。こういった場合、「高額療養費制度」が受けられますが、どうやって申請するのか、何が対象となるのかわからない人も多いのでは?
急なトラブルに見舞われたときも焦らないよう、高額療養費制度について詳しく見ていきましょう!
「急に帝王切開になってしまった」「切迫早産になった」など、出産時に思いがけないトラブルが起きることも。
その場合、通常の出産よりも高額の医療費がかかるケースがあります。こういった場合、「高額療養費制度」が受けられますが、どうやって申請するのか、何が対象となるのかわからない人も多いのでは?
急なトラブルに見舞われたときも焦らないよう、高額療養費制度について詳しく見ていきましょう!
高額療養費制度とは、高額な医療費を支払った場合に適用される制度のこと。
出産は保険が適用されないため、出産費用を補助するために「出産育児一時金」と呼ばれる手当が受けられますが、急きょ帝王切開になってしまったような場合、予想外の出費が出てしまいます。
妊娠・出産は病気ではないため基本的に自費診療となりますが、手術や特別な治療が必要な場合、費用負担が大きくなり、家計に影響を与えることも。
このような場合、高額療養費制度によって自己負担限度額を超えた分について払い戻しが受けられます。
高額療養費制度が妊娠・出産で適応される主なケースは、帝王切開や切迫早産など。ほかにも、以下のようなものがありますのでチェックしておきましょう。
つわりや止血のための点滴などでも高額療養費として払い戻しが受けられるなんて、知らなかった人も多いのではないでしょうか?
妊娠高血圧症候群や子宮頚管無力症などは、状況によっては入院が必要となるケースもあるので、少しでも払い戻しされるとありがたいですよね。
ママだけでなく、出産後、新生児に治療が必要となったときにも受けられるため、覚えておくとよいでしょう。
高額療養費制度を受けるためには、以下のようなルールがあることに気をつけてください。
また、通院が必要となった場合には、公共交通機関やタクシーなどの交通費も申告できる場合があります。※自家用車を利用する場合、ガソリン代や駐車場代は対象外です。
緊急時に利用できるのはありがたいですが、症状によっては体の自由が利かないようなときもあるでしょう。そのため、あらかじめ手続き方法を確認し、万が一に備えておきましょう。
申請方法は、医療費の支払い前に申請する場合と、支払い後に申請する場合の2パターンがあります。
加入している健康保険によって、申請場所や必要物が異なりますので、その点にも注意が必要です。
会社に勤めている方は、勤務先の健康保険担当者に、パートナーの扶養に入っている場合は配偶者の勤務先の担当者、国民健康保険の加入者は自治体にそれぞれ申請を行います。
必要書類は、
などが要ることが多いようです。申請時は、必要書類の確認も行いましょう。
事前申請を行う場合、加入している健康保険の窓口で申請書をもらい、「限度額適用認定書」を交付してもらいます。
これを病院で支払い時に提示すると、窓口での支払いが自己負担額のみで済みます。
たとえば、予定帝王切開や切迫早産などで長期にわたって入院が必要であることが明白である場合であれば、事前に手続きを行っておくと支払い時に焦る心配がありません。
ただし、認定証の有効期限は最長1年ですので、延長の場合は再申請が必要です。
事後申請は、急な入院などで「限度額適用認定証」を持っていないときに利用できる方法です。
事後申請の場合必要になるのは、医療機関で受け取った領収書です。窓口で全額を支払ったあと、加入している健康保険窓口で申請書をもらい提出すると、その後対象額を振り込んでもらえます。
申請後、払い戻しが受けられるのは治療後3か月以上かかることがあります。
その場合、事後申請だと「医療費が高額で建て替えるのは難しい」という人もいるでしょう。
こういったケースでは、「高額医療費貸付制度」を利用すると払い戻し額の8割程度を無利子で借り入れることが可能です。
高額療養費制度の自己負担限度額とは、1人の人が同じ医療機関に支払った1か月分の医療費の限度額のことを指します。
これを越した場合、高額療養費として払い戻しを受けることが可能です。
ただし、自己負担額は月収に応じて異なりますので、以下の表を参考にしてください。
たとえば、標準報酬月額が25万円の方が8万円の治療を受けた場合、自己負担限度額は57,600円なので、これを越した22,400円を高額療養費として払い戻しを受けられます。
また、高額療養費の払い戻しを受けた期間が3か月以上になる場合、4か月目からは自己負担限度額が変更となります。切迫早産や切迫流産などで長期療養が必要な場合、この点に注意しておいてください。
【平成27年1月診療分からの自己負担限度額】
所得区分 | 自己負担限度額 | 4か月目~※ |
・標準報酬月額83万円以上
・報酬月額81万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
・標準報酬月額53万円~79万円
・報酬月額51万5千円以上81万円未満 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
・標準報酬月額28~50万円
・報酬月額27万円以上51万5千円未満 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
・標準報酬月額26万円以下
・報酬月額27万円未満 |
57,600円 | 44,400円 |
・低所得者(被保険者が市区町村税の非課税者など) | 35,400円 | 24,600円 |
※標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受ける毎月の給与などの報酬の月額を、区切りのよい幅で区分したものを指します。
※報酬は賃金・給料・賞与・手当など、被保険者が労務の対象として受け取るものすべてを含みます。ただし、見舞金のような臨時に受け取るもの、年3回以下の賞与などは含まれません。
気になるのは、申請が遅くなった場合、いつまでなら有効かということ。頼れる人がおらず、育児に時間をかけている間になかなか申請できないこともありますよね。
まず、高額療養費の申請期限は、治療を受けた翌月1日から2年以内となります。
たとえば、4月8日に治療を受けた場合、5月1日から2年間が申請期限です。この期間を過ぎると、医療費の申請ができなくなるので注意してください。
妊娠・出産時には、予定外のハプニングが起こることも。こういった知識があれば、万が一の場合も負担を減らすことができるので安心ですね。
つわりや切迫早産など、「補助は得られないと思っていたのに、医療費の払い戻しが受けられた!」といったケースもありますので、該当するかどうか確かめてみてはいかがでしょうか?
対象となる治療が幅広いので、あらかじめ勤務先の健康保険担当者に尋ね、どういった治療内容に適用できるのかコピーをもらっておくのもおすすめです。
自己負担限度額は、収入に応じて変わってくるので、こちらも併せて確認しておきましょう。