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男性の100人に1人は精子がない!?不妊になる原因と治療とは?

 

不妊と聞くと、女性の問題として思われがちですが、実は男性側に問題がある場合もあります。

その一つの症状として、男性の精液の中に精子がない「無精子症」が挙げられます。

今回は男性の不妊原因の「無精子症」の種類や、原因などを詳しく解説します。

目次

無精子症とは?

無精子症は精液中に精子が全く存在しない状態のことで、男性の不妊原因のひとつです。

近年、無精子症の男性が増加していて、実に男性100人のうち1人が無精子症だといわれています。

無精子症には2つの種類があります。ひとつは、閉塞性無精子症(OA)で、もうひとつが非閉塞性無精子症(NOA)です。

閉塞性無精子症は、精巣内で精子が作られている状態なのに、精子の通り道である精巣輸出管、精巣上体管、精管、射精管などの管が何らかの理由で塞がれてしまって流れ出てこないことが原因です。

一方の非閉塞性無精子症は、精巣内で精子自体が全く作られていない状態、もしくはわずかしか作られていないことが原因で起こります。

精子が作られていても、成長が途中で止まってしまっている場合もあります。また、無精子症の約8割が非閉塞性無精子症です。

無精子症の症状は?

無精子症は精液に精子がないので、「精液が薄いなど見た目で判断できるのでは?」と思われがちですが、見た目では判断がつきにくく自覚症状がほとんどありません。

精子はごく小さいものなので、顕微鏡を使わないと見ることができません。

精液に色や臭い、粘り気などの症状は、精子の有無ではなく精液側の問題で発生します。

自覚症状が無い無精子症は、なかなか妊娠しないために検査して発覚するケースが多いです。

精液が見た目上で異常がなくても、妊娠しにくいと感じる場合は早めに検査をおすすめします。

無精子症の原因

無精子症の原因は、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症でそれぞれ異なった原因があります。

閉塞性無精子症の原因

閉塞性無精子症は、精子が流れ出る管がふさがってしまうことで起こりますが、ふさがってしまう理由はいくつかあります。

避妊目的でパイプカット手術をしたものの、再婚など環境の変化で子供を望むようになった場合も閉塞性無精子症です。また、パイプカットの既往歴がある場合、治した場合もふさがってしまうことがあります。

鼠蹊(そけい)ヘルニアの手術が原因で起こる場合もあります。この場合、幼少期に手術を行う場合もあり、本人が手術の記憶が無い場合もあるようです。

性感染症、尿路感染、精巣上体炎なども閉塞性無精子症の原因になります。また、生まれつき、精管が無い人もいます。

閉塞性無精子症の場合、精子は作られているので、ふさがれている精路を開通させるか、体外受精をすることで妊娠が可能です。

非閉塞性無精子症

非閉塞性無精子症の原因は、ホルモン異常か、精巣の造精機能に何らかの問題が発生して精子が製造出来なくなることが原因と考えられています。

非閉塞性無精子症の具体的な原因は特定しにくい場合が多いといわれています。

大人になってから、「おたふく風邪」にかかり精巣炎になった場合は、非閉塞性無精子症の原因になることがあります。生まれつき精巣がおなかの中にある停留精巣という症状が原因の場合もあります。

無精子症の検査とは?

無精子症を含む男性不妊の検査は、いくつかの段階に分けて行われます。

初期にまず行う検査方法のひとつがフーナーテストです。フーナーテストは、直接精液を摂取するのではなく、性交後に子宮頚管から粘液を採取します。採取した粘液の中にある精子の量、濃度や運動量、奇形率などを検査します。

採取は病院で行います。排卵日頃に性交を行い、その当日か翌日に病院で粘液を採取します。

直接精液を採取する検査方法もあります。

直接採取による検査やフーナーテストで、精子が見つからない場合や数が極端に少ない場合には詳細な検査を行う必要があります。

詳細な検査は、問診、触診や、ホルモン値検査などです。

ホルモン値検査では、男性ホルモン、性腺刺激ホルモンなどを調べます。この他にも、染色体検査や遺伝子検査を行う場合もあります。

精子をつくるためのホルモンであるFSHの値や、睾丸の大きさが正常であれば閉塞性無精子症の可能性が疑われます。

また、FSHの値が高い場合や、睾丸が小さい場合、触診で痛みがある場合などには非閉塞性無精子症の可能性があります。

最初の精液検査で精子が見つからない場合も、完全な無精子症ではない場合もあります。

その先の検査で、少量でも正常な精子が見つかることもあります。そのために、詳細の検査は複数回行い、総合的に判断することが一般的です。

直接採取の採取方法は?

直接採取の精液検査は、精子の採取が必要です。

精子の採取は基本的には不妊治療を行っている産婦人科やクリニックなどで行います。これらの病院は女性が多いので、病院で採取することに抵抗感を感じるかもしれません。その場合、精子は自宅で採取して検査することも可能です。

ただ、病院で採取したほうがより鮮度がよい精子を検査することができ、精度が高い結果が得られるとされています。特に、不妊治療を積極的に行っている病院では、精液採取のための採精室という個室があることが多いです。

採精室の設備は病院によって違いますが、リクライニングシートや洗面などがあり、周りの目を気にせずリラックスして精液を採取することができます。

検査費用は病院によって違いますが、一般的には5万円前後で検査することができるようです。事前に病院に費用を問い合わせることもできます。

検査は総合的な判断が必要で、信頼できるクリニックを探して検査を行うことが大切です。

無精子症の治療

無精子症の場合は精液に精子が含まれていないので、そのままの状態で自然妊娠は難しいといえます。

ただし、無精子症と診断された場合は妊娠が完全に不可能ということではありません。

原因によっては、治療をして精液に精子が含まれるようになる場合もあります。また、検査で元気な精子が少量でも見つかれば、体外受精などで妊娠・出産ができる可能性もあります。

無精子症の治療法は、無精子症の種類によって違ってきます。

閉塞性無精子症の場合

自然妊娠を望むカップルで女性の年齢が35歳未満で、女性側に不妊の原因が見受けられない場合は「精路再建手術」が一般的です。手術で性路を作り精液に精子が流れるようにします。

女性の年齢が高い場合や、女性側にも不妊の原因がある場合、精巣上体内などから直接精子を採取して、顕微授精を行う方法もあります。

年齢などは目安で、実際の治療法の選択は経験豊富な医師と相談することが一番で、男性の不妊治療も行っているクリニックの受診をおすすめします。

非閉塞性無精子症の場合

非閉鎖性無精子症の場合、原因によって治療法が変わります。

ホルモン異常が原因の場合、ホルモン剤注射で精子が出てくる可能性があります。精子や精子になる前の「後期精子細胞」とよばれる細胞を探して採取する、MD-TESEと呼ばれる方法もあります。

精子がひとつでも発見できれば、排卵誘発によって卵子を採卵し顕微授精して妊娠できる可能性があります。この場合、高い技術が必要な治療法なので、事前のクリニック選びは慎重に行いましょう。

無精子症の予防法

無精子症は病気などが原因で回避出来ない場合もありますが、ストレスなどの心理的な要因や、生活習慣が原因になっている場合も多いといわれています。

無精子症の予防のためには、適度な睡眠時間をとって規則正しい生活をすることと、ストレスを溜めすぎないことが大切です。ストレスを受けないことは難しいので、あまり考えすぎないことや、運動や趣味で発散するように心がけてみてください。

たばこやアルコールの過剰摂取も要注意です。特にたばこは精子の遺伝子情報に異常をきたす原因になるといわれています。コンビニ食などで添加物を多く摂取する人も、奇形精子が多いといわれています。

これらを完全にやめることは難しいかもしれませんが、量を控えめにしたり、比較的添加物が少ないものを選んだりするなどちょっとした工夫が大切です。

また、冷えも腎機能の低下の原因となり、精子や生殖器の異常が起きやすいので、冷え防止も無精子症の予防としてはとても大切です。最近は冷暖房が効いている職場も多く、体温調節が正常にできない人が増えています。1日の終わりに、お風呂に入ったり、寒い日は多めに着こんだりするなど心がけましょう。

まとめ

無精子症は、自覚症状が無く検査をしないと発覚しにくいので、不妊で悩んでいて女性に原因が無い場合は早めに検査することをおすすめします。

無精子症と診断されても、原因によっては治療が可能ですし、妊娠の可能性が全くないというわけではありません。

男性の不妊治療を専門的に行っている医師は多くはありませんが、産婦人科のクリニックで男性の治療も行っているところもあります。

不妊治療は顕微授精など高度な技術や、高額な費用が必要になるので、病院選びは慎重に行いましょう。

参考文献:京野アートクリニック 無精子症(精子がいない)と診断されたら

参考文献:筑波学園病院 男性不妊 無精子症に対する手術:TESEについて