仏教では四十九日、神式では五十日、キリスト教では三十日を過ぎると、香典や供物をいただいた人たちに対し、香典返しを行います。
そこには香典返しのお礼状も添えることとなっています。どのような文にしたらよいのか文例を紹介します。
ここでは香典返しに添えるはがきや手紙などのお礼状の例文や、その書き方などを詳しく説明していきますので、しっかりと理解し、お心遣いをいただいた人達に対してきちんと感謝を伝え、失礼がないようにしましょう。
謹啓 亡父○○儀 昇天の際は ご丁寧な御心遣いを賜り誠にありがとうございました。
おかげをもちまして 昇天記念会も滞り無く相済みました
故人生前中の ひとかたならぬ御厚誼に心よりお礼申し上げます
つきましては偲草のしるしに心ばかりの品をお送りいたしましたので 何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
本来ならば拝眉のうえご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中にて謹んでご挨拶申し上げます
謹白
キリスト教式(プロテスタント)の場合には、1ヶ月目に召天記念日があり、遺族や親族、知人、友人などが参列し、牧師による祈りと聖歌を斉唱したのち、茶話会などが行われることとなっています。
謹啓 亡父○○儀 昇天の際は ご丁寧な御心遣いを賜り誠にありがとうございました。
おかげをもちまして 追悼ミサも滞り無く相済みました
故人生前中のひとかたならぬ御厚誼に心よりお礼申し上げます
つきましては偲草のしるしに心ばかりの品をお送りいたしましたので 何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
本来ならば拝眉のうえご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中にて謹んでご挨拶申し上げます
謹白
キリスト教(カトリック)では、30日目に追悼ミサがあります。
プロテスタントの昇天記念日と同じように、遺族や親族、知人、友人などが参列し、牧師による祈りと聖歌を斉唱したのち、茶話会などが行われることとなっています。
香典返しのお礼状に書く内容は人それぞれですが、簡単な文章にするときにでも、やはり「忙しい中通夜や葬儀に参列してくれたお礼や、香典をいただいた感謝」と、「四十九日が過ぎて無事に法要を終えた報告」、「香典返しを送らせてもらうこと」、「本来ならば伺ってあいさつをしなければならないが、書中になってしまうことへのお詫び」の4点は必ず盛り込まなくてはいけません。
よって、文例は上記に示したような例文で良いでしょう。
逆に、丁寧なお礼状の文例はどうなるのかといいますと、上の要素の中に「故人のエピソード」や「今の自分の気持ち」「家族の近況報告」などを盛り込みます。
そうすると書き手の人柄も伝わりますし、受け取る側も「考えて書いてくれたんだな」とよく分かり、感謝の気持ちが伝わることでしょう。
香典返しをいただいた側からすると「お礼を伝えるべきか、伝えないべきか」で迷うこともあると思います。
基本的には昔から、香典返しのお礼は不要とされています。
これは不幸が二度と起きないように、という意味からきています。
しかし、先方に「香典返しの品を受け取ったことを知らせたい」という場合もあります。
このような場合ははがきや手紙、メールを送りましょう。親しい仲であれば、このご時世ですから、メールでも問題ありません。
香典が届いたことを伝える場合は、直接お礼を述べるのではなく、「ご芳志の品、拝受いたしました」や「ご丁重なお心遣いを賜りまして、恐縮に存じます」、 「先日はご丁寧なご挨拶をいただき恐縮しております」などといった書き方をしましょう。
直接お礼の言葉を伝えることは避けます。
拝啓 このたびは ご丁重なお心遣いを賜りまして、恐縮に存じます。
あまりにも突然のことで、深いお悲しみが瘉えるまでには時間がかかるかと存じますが、
どうぞお心を強くもたれ、一日でも早く明るい笑顔を取り戻されることをお祈り申し上げます。
○○様には生前、大変お世話になり、そのご温情は決して忘れることはございません。
微力ながら、私で役に立つことがございましたら、遠慮なくお申し付けください。
ご家族の皆様には、どうぞご自愛のほど お祈り申し上げます。
敬具
先ほども説明したように、「香典返しをいただいたときはお礼を言わない」という昔からのしきたりがあります。
しかし、親しい中であれば、悲しみはすこしは癒えたか、今はどのように過ごしているのかなどと近況を聞く電話をして、その際に一言さりげなく、香典返しが届いたことに触れましょう。
「ありがとう」などと、直接的なお礼の言葉は言わないようにします。
香典返しに使うお礼の品物はどのようなものがよいのでしょうか。
通夜や葬儀に参列していただいた感謝やお礼の気持ちを込めているものですし、先方が喜ぶ品物を送りたい、と考える喪主も多いことでしょう。
基本的には食料品や消耗品などの「消えもの」を贈ることが良いとされていますが、肉や魚、酒や昆布などは、四足生臭物であったり、慶事を連想されることから避けたほうがよいとされています。
近年は香典返しにカタログギフトを贈るところも増えており、先方に好きなものを選んでもらえるということから喜ばれていますが、年配の方に贈った場合、カタログを見て選んで注文して・・・といったような一連の手続きがスムーズにできなかったり、負担をかけてしまうことが多いようです。
そのようなことから、年配の方へのお礼の品には、やはり定番のお茶やタオル、シーツなどが喜ばれるでしょう。
香典返しのお礼状の書き方は様々ありますが、書いてはいけないこと、書かなければならないことをしっかりと押さえて
書くことが重要です。しかし、通り一遍の、型にはまった文章では気持ちが伝わりにくいのも事実です。
香典返しがただの品物のやり取りとならないようにするためにも、できればお礼状は自分の言葉を交え、感謝の気持ちを伝えるようにしたいものですね。