今回の記事では、関西電力エリアに電力供給を行っている「ならでん(奈良電力株式会社)」の電気料金プランをご紹介します。
奈良電力株式会社は2015年に設立された新しい電力会社で、資材や廃棄物の運搬、砕石事業やリサイクル事業などを手がける山本商事グループの一つです。
グループの新エネルギー事業の一角として電力小売事業にも参入し、「業界最安値」を謳う割引料金を設定しています。今回の記事では、「業界最安値」の内実を検証するために、既存の関西電力プランなどと比較してみます。
今回の記事では、関西電力エリアに電力供給を行っている「ならでん(奈良電力株式会社)」の電気料金プランをご紹介します。
奈良電力株式会社は2015年に設立された新しい電力会社で、資材や廃棄物の運搬、砕石事業やリサイクル事業などを手がける山本商事グループの一つです。
グループの新エネルギー事業の一角として電力小売事業にも参入し、「業界最安値」を謳う割引料金を設定しています。今回の記事では、「業界最安値」の内実を検証するために、既存の関西電力プランなどと比較してみます。
ならでんの電気料金プランの特徴は2点あります。
電力使用量によって割引額は異なるのですが、おおむね使用量が増えるほど額も大きくなる傾向にあります。ファミリー向けの「ならでん電灯A」では月に200kWh以上の利用で安くなります。店舗・事業者向けの「ならでん電灯B」では、電力使用量にかかわらず一律で10%割安設定となっています。
一般的な「ならでん電灯A」「ならでん電灯B」に加えて、それぞれ長期割引プランが用意されています。これは2年契約を締結することで、毎月の電気料金が1%割引になる仕組みです。ただし、中途解約する場合長期割引プランのみ1080円(税込)の解約手数料が発生するので注意してください。
関西電力エリアが電気販売エリアに設定されています。「奈良電力株式会社」ではありますが、奈良県以外でも申込が可能です。
ならでんには、関西電力の従量料金Aに当たるならでん電灯Aと、従量料金Bに当たるならでん電灯Bがあります。
一般家庭向けのプランです。200kWh以上1ヵ月で電力を使用する世帯であれば、関西電力より電気料金がお得になります。具体的な数値比較は後ほど行いますが、最低料金や200kWhまでの従量料金は関西電力と全く同じで、それ以降の従量料金は関西電力より20%割安に設定されています。
事業者や大家族など、電気使用量が比較的多い世帯向けのプランです。電力使用量にかかわらず、関西電力よりお得になります。こちらも具体的な数値は後ほど出しますが、基本料金・従量料金とも関西電力より10%割安に設定されています。
ならでんの料金プランを、既存の東京電力・関西電力・中部電力・九州電力の料金プランと比較します。関西電力エリアでは従量料金AやBと比較します。
東京電力は、関西電力エリアで従量電灯Aに当たる「スタンダードA」というプランを提供しています。こちらのプランと、ならでんのならでん電灯Aを比較したとき、料金の違いは以下の通りです。
従量料金の料金単価 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | スタンダードA(東京電力) | |
最初の15kWhまで | 373.73円 | 373.73円 |
15kWh超~120kWh | 22.83円 | 22.83円 |
120kWh超~200kWh | 29.26円 | 26.58円 |
200kWh超~300kWh | 23.41円 | |
300kWh超 | 26.66円 | 31.32円 |
120kWhまでは同一料金で、その後200kWhまでは東京電力の方が安くなり、200kWh以降は一貫してならでんの方が安くなります。
その結果、合計料金は120kWhから267kWhまで東京電力の方が安く、それ以降はならでんの方が安くなります。例えば300kWh段階では100円ほどの差しかありませんが、450kWhとなるとその差は800円を超えます。
関西電力の従量電灯Aと、ならでんのならでん電灯Aを比較します。
従量料金の料金単価 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | 従量電灯A(関西電力) | |
最初の15kWhまで | 373.73円 | 373.73円 |
15kWh超~120kWh | 22.83円 | 22.83円 |
120kWh超~200kWh | 29.26円 | 29.26円 |
200kWh超~300kWh | 23.41円 | |
300kWh超 | 26.66円 | 33.32円 |
200kWhまでは全く同一の料金ですが、それ以降は20%ほどならでんの方が安くなります。したがって、電力使用量が増えれば増えるほど料金の差は開いていきます。例えば、300kWhだと590円ほどの差ですが、450kWhとなると1580円もの差になります。
次に、ならでんのならでん電灯Bと関西電力の従量電灯Bを比較します。
基本料金 | ||
ならでん電灯B(ならでん) | 従量電灯B(関西電力) | |
1kVAあたり | 349.92円 | 388.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
ならでん電灯B(ならでん) | 従量電灯B(関西電力) | |
最初の120kWhまで | 18.42円 | 20.47円 |
120kWh超~300kWh | 22.28円 | 24.75円 |
300kWh超 | 25.50円 | 28.33円 |
基本料金も従量料金も一貫して10%ならでんの方が安く設定されています。したがって、電力使用量にかかわらず10%電気料金が下がる計算となります。例えば、ひと月あたりの電気使用量が120kWhだと480円ほど、300kWhだと920円ほど、450kWhとなるとだと1350円ほどの差がつきます。
中部電力は関西電力エリアで電力供給を行っていませんので、中部電力エリアにおける従量電灯Bとならでんのならでん電灯Aを比較してみます。
基本料金 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | 従量電灯B(中部電力) | |
10A | – | 280.80円 |
15A | – | 421.20円 |
20A | – | 561.60円 |
30A | – | 842.40円 |
40A | – | 1123.20円 |
50A | – | 1404.00円 |
60A | – | 1684.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | 従量電灯B(中部電力) | |
最初の15kWhまで | 373.73円 | 20.68円 |
15kWh超~120kWh | 22.83円 | |
120kWh超~200kWh | 29.26円 | 25.08円 |
200kWh超~300kWh | 23.41円 | |
300kWh超 | 26.66円 | 27.97円 |
エリアが違うので単純比較はできないのですが、200kWh以降はならでんの方が安い単価設定となっています。
九州電力も、関西電力エリアで電力供給を行っていません。九州電力の従量電灯Bと、ならでんのならでん電灯Aを比較すると、以下の通りです。
基本料金 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | 従量電灯B(九州電力) | |
10A | – | 291.60円 |
15A | – | 437.40円 |
20A | – | 583.20円 |
30A | – | 874.80円 |
40A | – | 1166.40円 |
50A | – | 1458.00円 |
60A | – | 1749.60円 |
従量料金の料金単価 | ||
ならでん電灯A(ならでん) | 従量電灯B(九州電力) | |
最初の15kWhまで | 373.73円 | 17.19円 |
15kWh超~120kWh | 22.83円 | |
120kWh超~200kWh | 29.26円 | 22.69円 |
200kWh超~300kWh | 23.41円 | |
300kWh超 | 26.66円 | 25.63円 |
全体的に九州電力の方が安く設定されています。これは、九州と関西という地域的な差が影響していると推測されます。
申し込むためには、主に「電気の検針票を用意する」「Web・メール・電話で申込用紙を請求」「申込用紙記入・送付」「スマートメーターを設置する」が必要です。
ただし、スマートメーターの設置は既存の電力会社がやってくれます。また、申込に当たって契約料などの費用はかかりません。
申し込む時に、電気の「供給地点特定番号(22桁)」が必要です。検針票に記載されていますので、あらかじめ手元に用意しておきましょう。
Web・メール・電話で申込書を請求します。
所定の用紙が郵送されてきますので、「電気供給サービス提供条件書」をよく読んだうえで、「電気需給契約申込書」「電気ご使用量のお知らせ(検針票)のコピー」「口座振替用紙」を郵送します。
スマートメーターが設置されていない場合は、交換手続きを既存の電力会社が実施します。
ならでん内部での契約容量やプランの変更、別会社への切り替え、引っ越し時の解約方法についてご説明します。
問い合わせフォームか電話から連絡してください。
ならでんから別会社へ切り替える場合は、新たな電力会社に電話すれば解約手続きを代行してくれることが多いです。詳細は各電力会社の申込方法の詳細を確認してください。
なお、長期割引プランを中途解約する場合、1080円(税込)の解約手数料がかかります。
問い合わせフォームか電話から連絡してください。
問い合わせフォームか電話から連絡してください。長期割引プランを契約していた場合のみ、1080円(税込)の解約手数料がかかります。
関西電力エリアではかなり値段設定の安い電力会社であり、おすすめです。
ただし、ならでん電灯Aを利用する場合、ひと月あたりの電気使用量が200kWh以降未満であれば既存の関西電力と全く同一料金ですので、一般家庭がならでんに切り替えるかどうかを判断するには、「1ヵ月で電気を200kWh以上利用しているかどうか」を目安にするとよいでしょう。
なお、長期割引プランは適用しても1%割引にすぎませんから、加入してもしなくてもかまいません。間違いなく2年以上関西電力エリアに住むと断言できる場合は加入してもよいでしょう。