今回の記事では、東京都渋谷区に本社を置くガス会社である「角栄ガス株式会社」の電気料金プランについてご紹介します。角栄ガス株式会社は1964年に創立され、ガス事業を中心に手がけてきたエネルギー会社です。2016年4月に電力の小売り自由化が開始されると、「角栄でんき」のブランド名で電力の小売り事業にも乗り出し、ガスの同時申込によるセット割を最大の売りとした電気料金プランを用意しています。
今回は、角栄でんきの電気料金プランのメリットや、既存プランと比較した場合の料金の違いをご説明します。
今回の記事では、東京都渋谷区に本社を置くガス会社である「角栄ガス株式会社」の電気料金プランについてご紹介します。角栄ガス株式会社は1964年に創立され、ガス事業を中心に手がけてきたエネルギー会社です。2016年4月に電力の小売り自由化が開始されると、「角栄でんき」のブランド名で電力の小売り事業にも乗り出し、ガスの同時申込によるセット割を最大の売りとした電気料金プランを用意しています。
今回は、角栄でんきの電気料金プランのメリットや、既存プランと比較した場合の料金の違いをご説明します。
角栄でんきの電気料金プランの特徴は、2つあります。
角栄でんきの最大の特徴は、ガス・インターネットとのセット契約でインターネット料金が割引される点です。角栄ガスがもともとガス事業を手がけており、2016年4月の電力事業開始と同時にインターネット契約の提供も開始したことで、ガス・電気・インターネットの契約をすべて角栄ガスに一本化することが可能となっています。
電気料金自体は割引になりませんが、電気・ガス・インターネットをセットで申し込むと、インターネット料金が月200円割引となります。また、会員サービスである「角栄ファミリー倶楽部」も追加で申し込むと月300円の割引となります。なお、電気料金とインターネットだけでも、インターネット料金は月100円割引です。
電気料金自体の割引オプションも存在します。基本的に角栄でんきは1年契約なのですが、2年契約にすることで、「複数年契約割引」として毎月電気料金が100円割引になります。
ただし、2年契約を途中で解約しようとすると2300円(税込)の違約金がかかるのでご注意ください。
東京電力エリアが角栄でんきの電気販売エリアです。離島を除く東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・静岡県の一部(富士川以東)が対象となっています。
角栄でんきの料金プランは、東京電力の従量電灯Bに当たる「KAKUEIホームプラン」と、従量電灯Cに当たる「KAKUEIビジネスプラン」の2つです。また、角栄ガスの利用者だけが申し込めるプレミアムプランがホームプランとビジネスプランの双方に存在します。一般の家庭や商店が申し込む機会のほとんどない低圧電力プランは除いて、3種類のプランをご紹介します。
東京電力の従量電灯Bに当たるプランです。後ほど両者を詳しく比較しますが、基本料金は東京電力と同じで、従量料金は電力を多く使えば使うほど東京電力より得になるように設定されています。
毎月の電気使用量が326kWh以下であれば、従量電灯Bの方が安いので切り替える必要はありませんが、それ以降になるとKAKUEIホームプランの方が安くなっていきます(料金については、基本料金と従量料金のみで計算しています)。
東京電力の従量電灯Cに当たるプランです。KAKUEIホームプランと同様に、基本料金は東京電力と同じで、従量料金は電力使用量が多くなるほど安くなるように設定されています。具体的には、毎月の電気使用量が418kWh以下であれば、従量電灯Cの方が安いです。それ以降になると、KAKUEIビジネスプランの方が安くなっていきます。
KAKUEIホームプランおよびKAKUEIビジネスプランには、角栄ガスの利用者のみ申し込めるプレミアムプランが存在します。基本料金は変わりませんが、従量料金の料金単価が1円あまり安くなります。
これによって、KAKUEIホームプランが従量電灯Bより安くなるのは毎月の電気使用量が243kWh以降、KAKUEIビジネスプランが従量電灯Cより安くなるのは324kWh以降となります。
角栄でんきの中で最もお得なプランではありますが、角栄ガスに申し込めるのは埼玉県川越市や千葉県佐倉市などごく一部なので、ほとんどの人は申し込むのが難しいプランとなっています。
既存の東京電力、関西電力、中部電力、九州電力の代表的なプラン(九電以外は東京電力エリアで販売されているプラン)と、角栄でんきのKAKUEIホームプランを比較してみます。また、東京電力のみ従量電灯CとKAKUEIビジネスプランとの比較も行います。前述の通り、東京電力エリアに住むほとんどの人にとって角栄ガスを利用することができないため、プレミアムプランとの比較は行いません。
東京電力の従量電灯Bと角栄でんきのKAKUEIホームプランを比較したとき、料金の違いは以下の通りです。
基本料金 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | 従量電灯B(東京電力) | |
10A | – | 280.80円 |
15A | – | 421.20円 |
20A | – | 561.60円 |
30A | 842.40円 | 842.40円 |
40A | 1123.20円 | 1123.20円 |
50A | 1404.00円 | 1404.00円 |
60A | 1684.80円 | 1684.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | 従量電灯B(東京電力) | |
最初の120kWhまで | 23.94円 | 19.52円 |
120kWh超~300kWh | 26.00円 | |
300kWh超~350kWh | 30.02円 | |
350kWh超 | 26.20円 |
前述の通り、基本料金は30A以降全く同一です。従量料金の料金単価は、120kWh以降KAKUEIホームプランの方が低くなります。その結果、326kWhを超えると角栄でんきの方が安くなっていきます。
例えば、契約アンペアが一般的な家庭の30A、使用電力量が毎月120kWhだとすると東京電力の方が500円あまり、使用電力量が毎月300kWhだとすると160円ほど安くなります。しかし、450kWhだとすると520円ほど角栄でんきの方が安くなります。
次に従量電灯Cの比較は以下の通りです。
基本料金 | ||
KAKUEIビジネスプラン(角栄でんき) | 従量電灯C(東京電力) | |
6kVA | 1684.80円 | 1684.80円 |
1kVAあたり | 280.80円 | 280.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
KAKUEIビジネスプラン(角栄でんき) | 従量電灯C(東京電力) | |
最初の120kWhまで | 25.00円 | 19.52円 |
120kWh超~300kWh | 26.00円 | |
300kWh超~350kWh | 30.02円 | |
350kWh超 | 26.70円 |
基本料金は同一で、従量料金の料金単価は120kWh以降KAKUEIビジネスプランの方が安くなっていきます。その結果、418kWh以降になると角栄でんきに軍配が上がります。
関西電力が東京電力エリアで提供しているプラン「はぴeプラス」と、角栄でんきのKAKUEIホームプランを比較すると以下の通りです。
基本料金 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | はぴeプラス(関西電力) | |
10A | – | – |
15A | – | – |
20A | – | – |
30A | 842.40円 | – |
40A | 1123.20円 | – |
50A | 1404.00円 | – |
60A | 1684.80円 | – |
6kWまで | – | 1188.00円 |
6kWをこえる1kW | – | 388.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | はぴeプラス(関西電力) | |
最初の120kWhまで | 23.94円 | 21.78円 |
120kWh超~300kWh | ||
300kWh超~350kWh | 30.24円 | |
350kWh超 | 26.20円 |
基本料金の仕様が異なるので一概に比較できないのですが、はぴeプラスでは最低料金が1188.00円と高めです。従量料金は、300kWhを超えると角栄でんきの方が安くなります。その結果、348kWhまでは関西電力の方が安く、それ以降は角栄でんきが安くなります。
例えば、30A(はぴeプラスで6kwとする)で毎月450kWhとすると、角栄でんきの方が420円ほど安いです。
中部電力が東京電力エリアで提供している「カテエネプラン」と角栄でんきのKAKUEIホームプランを比較すると、以下の通りです。
基本料金 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | カテエネプラン(中部電力) | |
10A | – | – |
15A | – | – |
20A | – | – |
30A | 842.40円 | 788.40円 |
40A | 1123.20円 | 1051.20円 |
50A | 1404.00円 | 1314.00円 |
60A | 1684.80円 | 1576.80円 |
従量料金の料金単価 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | カテエネプラン(中部電力) | |
最初の120kWhまで | 23.94円 | 19.42円 |
120kWh超~300kWh | 25.00円 | |
300kWh超~350kWh | 26.00円 | |
350kWh超 | 26.20円 |
基本料金は中部電力の方が安く、従量料金の料金単価は120kWhまでは中部電力、120~350kWhまで角栄でんき、それ以降は中部電力が安いです。その結果、どの価格帯でも中部電力の方が安くなります。
例えば、契約アンペアが30Aで電気使用量が毎月120kWhだと600円ほど、300kWhだと400円ほど、450kWhだと320円ほど中部電力の方が安くなります。
九州電力は東京電力エリアで電気の販売を行っていませんが、試しに九州電力の従量電灯Bと角栄でんきのKAKUEIホームプランを比較してみます。
基本料金 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | 従量電灯B(九州電力) | |
10A | – | 291.60円 |
15A | – | 437.40円 |
20A | – | 583.20円 |
30A | 842.40円 | 874.80円 |
40A | 1123.20円 | 1166.40円 |
50A | 1404.00円 | 1458.00円 |
60A | 1684.80円 | 1749.60円 |
従量料金の料金単価 | ||
KAKUEIホームプラン(角栄でんき) | 従量電灯B(九州電力) | |
最初の120kWhまで | 23.94円 | 17.19円 |
120kWh超~300kWh | 22.69円 | |
300kWh超~350kWh | 25.63円 | |
350kWh超 | 26.20円 |
このように、基本料金は角栄でんきの方が、従量料金については最初の300kWhまでは九州電力、それ以降350kWhまでは角栄でんき、それ以降は九州電力の方が安いです。ただエリアが違う(競合しない)以上、単純に比較できるものではないのでご注意ください。
申し込むためには、主に「検針票を用意する」「電話で申込を行う」「スマートメーターを設置する」が必要です。ただしスマートメーターの設置は業者が担当します。なお、角栄でんきのプランにはオール電化プランはないので、切り替える場合は注意が必要です。
申込のときに現在の契約内容、数字22桁の供給地点特定番号、契約番号(お客さま番号)などを入力する必要がありますので、事前に電気料金の検針票を用意してください。ちなみに入会金は必要ありません。
2017年3月末現在、ホームページの申込フォームが「メンテナンス中」とされています。2016年11月以降使えない状態になっているので、電話で申し込むのが無難と思われます。電話番号はサービスセンターによって異なるので、詳細はこちらのページを参照してください。
スマートメーターが設置されていない場合、業者(東京パワーグリッド株式会社)が取り替えに来ます。料金はかかりません。
スマートメーターの取り替えも含め、申込から切り替えまで2~4週間ほどかかります。
角栄でんき内部での契約容量やプランの変更、別会社への切り替え、引っ越し時の解約方法についてご説明します。
契約内容を変更する場合は、こちらのページにある番号へ電話で連絡し、プランの変更を依頼します。
角栄でんきから別会社へ切り替える場合は、新たな電力会社に電話すれば解約手続きを代行してくれることが多いです。詳細は各電力会社の申込方法の詳細を確認してください。
ホームページに記載している番号へ電話で連絡します。
ホームページに記載している番号へ電話で連絡します。新規契約や変更契約から1年未満で解約する場合、料金や工事費の精算が必要です。また、2年契約プランを申し込んでいる場合に中途解約すると、2300円(税込)を請求されます。
角栄でんきは、角栄ガスとのセットによるプレミアムプランを適用しない限り、中部電力のカテエネプランより安くなることがありません。既存の東京電力の従量電灯Bと比較しても、326kWh以上の電気使用量でないと安くなりません。中部電力のカテエネプランも含め、新電力会社の中には角栄でんきより安いプランは数多く存在します。さらに、角栄ガスの供給エリアがごく狭い範囲に限られているため、プレミアムプランはほとんどの人にとって無関係です。
したがって、角栄でんきは、これまで角栄ガスと契約してきた顧客向けであり、今のところ新規に契約するメリットはあまりないと言えるでしょう。