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精子の運動率が悪いと不妊になる!?症状と原因、治療法とは?

 

男性不妊の原因はさまざまです。精子無力症は男性不妊の原因のひとつになります。精子無力症は名前の通り精子に元気がない状態のことです。

今回は、そんな精子無力症の原因や治療法についてみていきましょう。

目次

精子無力症とは?

精子無力症を簡単に説明すると精子に元気がない状態を指します。精子の質・量に問題がなくても、精子無力症で精子に元気がないと妊娠が難しいのです。

精子無力症は精子の運動量が低いです。受精するとき精子は鞭毛を動かして卵子を目指して泳いでいきます。精子の運動量が低いと卵子へ到達する可能性が減ってしまい妊娠しづらくなるのです。

精子無力症の判断基準

WHOの精液検査の基準値では、精子の運動率が総運動率40%以上、前進運動精子32%以上となっています。

また、精子の正常な運動量は総運動率70%~80%といわれており、自然妊娠をするには、精子の運動量は総運動率50%以上が望ましいとされています。

そのことから、総運動率が50%以下になると精子無力症と判断されることが多いです。

もちろん、一度の計測で精子無力症と判断されることはありません。精子の運動能力は体調や環境によって変動するからです。

精子無力症の原因

精子無力症は男性不妊の原因として約8割を占めるといわれています。そんな精子無力症の原因には先天性と後天性のものがあります。

精子無力症の大半の原因が先天性であり、後天的なものは少数のようです。少数ながらも後天的でも精子無力症になる可能性があるので原因を知って予防しましょう。

後天的な精子無力症の原因

1.前立腺炎

2.おたふく風邪・高熱

3.食生活やストレスなどの生活習慣

後天的にも上記の理由などによって精子無力症となってしまうことがあります。できる限り対策を取るようにしましょう。食生活やストレスなどの生活習慣に関しては、精子無力症だけでなくさまざまな病気の原因となるので、生活習慣を正常に保つことは健康に生活するためにも大切です。

禁欲もダメ!

長時間の禁欲は精子の運動率を低下させます。10日以上の禁欲生活では運動率が下がるだけでなく、死滅精子や奇形精子が増えるのです。

禁欲し精子をためることにより妊娠しやすいと考えている人は要注意です。逆効果になっている可能性があります。長期間の禁欲生活はしないようにしましょう。

精子無力症の治療法

精子無力症の治療法は今のところ確立していないのが現状です。健康な男性の状態と同じようにする方法は今でも見つかっていないのです。

しかし、効果があるとされている治療法はあります。健康な男性と同じ状態まで完全に回復しなくても多少なりとも効果が見込めます。

また、体外受精や人工授精を利用することで子供を授かることは可能です。精子無気力症だからといって子供を諦めるのはまだ早いです。

ビタミン剤で治療

ビタミン剤を使用した治療法があります。軽度の精子無力症の人の治療法として選ばれることが多いです。

ビタミンは精子と関係が深いです。ビタミンEは精子の数を増やし、運動量を向上させてくれる効能があります。また、ビタミンB12は精子を作る際に必要なビタミンです。一般的には葉酸とも呼ばれています。

ビタミンは食事でも摂れますが、サプリメントで摂取することがおすすめです。とくに妊活サプリとされている専用のサプリメントが精子無力症の改善には効果的でしょう。

漢方薬による治療

精子無力症の治療として漢方薬を使用することもあります。漢方薬は「八味地黄丸」や「補中益気湯」などが主に使われます。

どちらも体全体の不調を治し、精子の質の改善にも効果があるとされています。すぐに効果が期待できるわけではないが、男性不妊に効果があり精子無力症の改善も期待できます。

ホルモン治療

男性ホルモンの分泌をアップ、または抑制する薬を服用する治療法です。男性ホルモンと精子には深い関係があるため、ホルモン療法を選択することがあります。

ホルモン療法では投薬をしながら定期的に精液検査を行います。しかし、3ヶ月以上もの投薬治療を続ける必要があります。

ホルモン療法で投薬したホルモン剤の影響を受けた元気な精子をつくるのと、その精子が運動できるようになるまでの期間が必要であり、最低でも3ヶ月以上のホルモン治療をしなければ効果がわからないのです。

効果を確かめるために長期間のホルモン治療が必要になるので、治療方法として初めから選択肢から外している人もいます。ホルモン治療に長期間かけても効果がなかったということも十分考えられるので注意してください。

手術

手術により精子無力症が改善されることがあります。精索静脈瘤が原因の場合は手術により妊娠の可能性が上がります。

精索製静脈瘤とは男性の10%~20%にみられるとされており、男性不妊の約40%が精索静脈瘤と指摘されています。精索静脈瘤の手術をすることにより自然妊娠の確率は約3倍にもなるとみられています。

自然妊娠は出来るの?

精子無力症の程度によって自然妊娠ができるのかは変わってきます。まだ精子無力症が軽度なら治療をすることによって自然妊娠は可能ですが、中度・重度の精子無力症では厳しくなります。

しかし、妊娠を諦めてはいけません。精子無力症で中度・重度の人でも人工授精や体外受精などの不妊治療によって妊娠の可能性があります。

人工授精や体外受精には女性側にも不妊治療を行う必要があります。ですから、夫婦でよく話し合い治療方法を選んだ方がいいでしょう。

人工授精

人工授精とは精子を排卵日に直接子宮内に注入して、卵子と精子の出会う可能性を高める治療法です。子宮内は弱酸性であり、精子無力症で元気のない精子は卵管に届く前に死滅してしまいます。

しかし、人工授精ならば子宮の奥に精子を直接注入することによって元気のない精子でもたどり着き受精する確率が高まるのです。

体外受精

体外受精により不妊治療も方法の1つです。精子無力症でも妊娠を望む場合の方法として有効です。

体外受精は卵巣内にある卵胞から卵子をとり精子と受精させます。体外受精の場合は精子と卵子をシャーレの中で混ぜ合わせるので、精子無力症で動きが悪い精子でも受精する可能性があるのです。

精子無力症の根本的な治療にはなりませんが、精子無力症でも妊娠を望むときの方法として選択肢のひとつになります。

まとめ

精子無力症は男性不妊の原因のひとつです。先天性のものがほとんどで、少数が後天的なものです。後天的なものに関しては生活習慣が影響しているので、健康に生活するためにも生活習慣を正常に保つように心掛けましょう。

また、重度の精子無力症でも妊娠を諦めてはいけません。自然妊娠が無理でも体外受精や人工授精を利用することにより妊娠できる可能性があります。しかし、女性にも不妊治療が必要になるため夫婦間で話し合うことが必要です。

精子無力症だと診断されても決して妊娠を諦めないでください。精子無力症でも正常な精子は存在し不妊治療によって妊娠する可能性はあるのです。

参考文献:日本産科婦人科学会 E.婦人科疾患の診断・治療・管理 4.不妊症

参考文献:石川病院 男性不妊の原因と治療