子どもが生まれるときにもらえる手当はたくさんありますが、多すぎてよくわからないという人もいるのではないでしょうか?
児童手当は国から支給される手当ですが、「生まれたら自動的にもらえるものと思っていた」なんて人も。
きちんと手続きをしておかないともらえなくなってしまうので、今回は児童手当について詳しく解説していきます。
ぜひ妊娠中にしっかりと理解しておきましょう!
児童手当とは?対象者は?
児童手当とは、「子ども・子育て支援の適切な実施を図るため」「次代の社会を担う児童の健やかな成長に資する」ことを目的とした手当で、0歳から中学校卒業までの児童を養育している方に支給されます。
つまり、子どもを健全に育てるために、国が子どもを育てている人へ支援してくれるという制度のこと。
しかし、子どもを養育しているとひとくちにいっても、事情があって両親以外と暮らしている人もいますよね。
ここでいう養育者とは、児童を監護し、生計を維持している人を指し、離婚などの原因で別居の場合は同居している人が優先されます。
児童手当の所得制限は?
児童手当には所得制限があり、制限限度額以上の所得がある場合には「特例給付」となり、年齢に関係なく子ども一人につき5,000円と、通常の支給額より少ない金額が支給されます。
また、扶養親族の数によって限度額が異なりますので、こちらの表もチェックしておきましょう。
【児童手当 所得制限限度額表】
扶養親族等の数 | 所得額 | 収入額 |
0人 | 622万 | 833.3万 |
1人 | 660万 | 875.6万 |
2人 | 698万 | 917.8万 |
3人 | 736万 | 960万 |
4人 | 774万 | 1022.1万 |
5人 | 812万 | 1042.1万 |
たとえば、ママが専業主婦で子どもが1人の場合、扶養親族は2人。つまり、所得制限限度額は698万で、収入額は917.8万となります。これを超えている場合には子どもの年齢にかかわらず一人5,000円が支給となります。
ただし、ここでいう所得とは「年収」のことではありません。所得制限限度額は、年収から控除額を引き、さらに8万円を引かれたものを指します。
年収に含まれるのは、給与のほか不動産収入、配当金、雑所得など。反対に控除されるのは医療費控除や障がい者控除、小規模共済掛金控除などが当たります。詳しくはお住いの自治体で問い合わせるか、ホームページで確認してみてください。
児童手当でもらえる金額
所得制限未満の場合には、0~3歳未満では月額15,000円、3~小学生では月額10,000円(第一子、第二子)と、子どもの年齢や何人目かなどによって金額が異なります。
また、里親や児童福祉施設の設置者も養育者に含まれるため、児童手当を受け取ることができます。
ただし、その場合両親は児童手当を受け取ることはできません。そして、受給者が施設や里親の場合、所得制限は適用されません。
子どもの年齢 | 所得制限未満 |
0~3歳未満 | 月額15,000円 |
3歳~小学生 | 第一子・第二子は月額10,000円
第三子以降は月額15,000円 ※ただし、児童福祉施設に入所している児童や里親委託の場合、月額10,000円(施設設置者が受給者となる) |
中学生 | 月額10,000円 |
たとえば、1歳と小学生の子ども2人を養育している場合、所得制限未満の場合、15,000円と10,000円が毎月の支給額となります。
児童手当が支給されるタイミングは?
児童手当が支給されるのは毎年6・10・2月と決まっているので、「申請したのに振り込みがない!」と焦らないようにしましょう。
児童手当は申請した翌月分から支給の対象になるため、申請時期が遅れるとその分損をしてしまいます。
たとえば、6月に出産して6月中にきちんと手続きを行った場合、7月からが支給対象となります。そして、7月~9月までの支給額が10月にまとめて振り込まれます。
ただし、「現状届」を毎年提出しないと、手当が受けられなくなるため注意してください。
「現状届」とは、毎年6月に提出が必要な書類で、児童の監督や保護、生計をともにしているかといった受給資格者に当たるかどうかを確認するためのものです。
提出しないまま2年経過すると事項とみなされ、受給権自体がなくなってしまうので気をつけましょう。
現状届には一緒に提出が必要な書類もいくつかありますので、お住いの自治体で確認してくださいね。
また、離婚などで子どもの養育権を手放したときや、住所が変わったとき、受給者や児童の名前が変わったときなどには市区町村への届け出が必要です。
児童手当の申請方法は?
児童手当の申請は、お住いの地域の役所で行います。
出生届が受理されるまでは認定されないので、出生届を提出したあと、同日申請を行うとスムーズに終わらせられます。
申請が遅れた場合、さかのぼって申請することは不可能なので気をつけてください。
申請書類は妊娠中にもらえる自治体もあれば、請求されたら渡すというところもあるので、まだもらっていない方は電話などで問い合わせてみてください。
申請時に必要なものは、
- 認め印
- 振込先口座(通帳・キャッシュカードなど)
- 健康保険証のコピー、または年金加入証明書
- マイナンバー通知カード、またはマイナンバーカード
- 写真付の本人確認書類(マイナンバーカードがある場合は不要)
です。
また、世帯主が公務員の場合、勤務先から児童手当が支給されるため、手続きが異なります。提出期限や必要書類は事前に確認しておきましょう。
もし里帰り出産をする場合、出生届は里帰り先の役所から提出可能ですが、児童手当の手続きは現住所を置いている役所でしか行えないため、注意が必要です。
出生届の提出後、住民票のある自治体で受理されるまでに時間がかかることがあるので、戻ってから行うか、パパにお願いしておくなど、対策を立てておいた方がよいでしょう。
知らなきゃ損!15日特例とは?
15日特例とは、生まれた日から15日以内の申請であれば、月をまたいでも当月内の申請として処理されるという特例です。
たとえば、赤ちゃんが生まれたのが月末の場合、その月の間に申請を行うのが難しいこともあります。特に、里帰り中や上の子を育てているときなどは時間に余裕が欲しいものです。
ほかにも以下のような要件で15日特例を受けることができます。
- 初めての出産時
- 第二子以降の出産
- ほかの市区町村へ引っ越したとき
- 公務員になったとき、あるいは公務員でなくなったとき
児童手当のルールは?
児童手の養育者には、里親や児童福祉施設も含まれるということは説明しましたが、ほかにも児童手当にはさまざまなルールがあります。
たとえば両親が海外に出張中で、お子さんだけ祖父母に預けている場合、両親が日本国内で子どもを養育している人を指定すれば、児童手当を受給することができます(父母指定者)。
ほかにもこのようなルールがあるので、チェックしておいてください。
- 原則として子どもが日本国内に住んでいること。
ただし、留学のために海外におり、一定の条件を満たす場合には対象となる。 - 両親が離婚協議中などにより別居している場合、子どもと同居している方に優先権がある。
- 両親が海外に住んでいる場合、両親が日本国内で子どもを養育している人を指定すれば支給される(父母指定者)。
- 児童福祉施設や里親委託の場合、原則として施設の設置者や里親に支給される。
まとめ
児童手当は子どもを養育している人に支給されるありがたい制度なので、赤ちゃんが生まれたら忘れずに申請しましょう。
海外出張が多い人や離婚協議中でも受給できるので、もしものときにも焦らずに。ルールを把握して、なるべく早く受け取れるよう準備しておきましょう。