香典返しののしのつけかたは?宗教や地域によって違います
一般的には喪が明けると、香典をいただいた人に対して「香典返し」を行います。これは、無事に法要が済んだ報告といただいた心遣いへの感謝の気持ちを伝えるものです。
喪が明ける時期は宗教によって違いがあり、仏教では四十九日、キリスト教では三十日、神道では五十日となっていますが、親戚同士が遠方に住んでいて、なかなか法要のために一堂に会するのが難しいという事情から、葬儀の日にすませてしまう場合も増えてきています。
法要を行う時期は様々ですが、どのような場合でも、香典返しを行うのは礼儀とされています。たとえ、香典返しを辞退します、と不祝儀袋に一言添えてあった場合でも、半返しではなく3分の1~4分の1程度の額の品をお返しするのが礼儀です。(例外として、組織上の問題で香典返しを受け取ることを禁止されている人には、逆に迷惑をかけてしまうこともあるので、丁重にお礼の挨拶状を送ります)
目次
のしの水引の色は?
香典返しを贈る場合、のしをつけますが、その際、どのような水引の色にすればよいのでしょうか。
白×黒が一般的ではありますが、白×黒の他に、「銀×紫」「白×黄」などの組み合わせの水引があります。
「銀×紫」は「白×黒」と同じ意味とされています。
それぞれの地域によって慣習が違うため、香典返しに使う水引の色も違います。それらに注意して水引の色を選びましょう。
ここでは地域によって違う水引の色を紹介しますが、あくまでも参考程度とし、年長者や周りの親類などに聞くのが一番確実で良い方法です。
白×黄
主に関西地方(特に京都)、北陸地方で使われます。昔、公家などの位の高い人たちがお祝い事の際に用い
たのが「白×紅」の水引でした。紅といっても明るい赤色ではなく、どちらかというと黒に近い暗い色だったため「白×黒」の水引と似ていたそうです。
ここで、身分の低い庶民が身内の不幸の際に「黒×白」の水引を使ってしまうと、公家などが使う「紅×白」と見た目が近くなってしまいます。
それを避けるようにということで、京都や京都に近い北陸などでは、「白×黄」の水引を使うようになったそうです。
銀×紫
こちらは黒×白の水引と同じように、一般的に不祝儀で使うことができる水引です。主に印刷されている水引に使われます。
不祝儀袋には「白×黒」の水引が一般的ですが、のし紙に水引を印刷する場合は、その黒×白とおなじように使える色として、「銀×紫」としているところが多いようです。
香典返しの品物を包むのし紙には印刷された水引が一般的ですから、「銀×紫」が一番多く使われているともいえるでしょう。
のしの戒名は?
香典返しののしには戒名は書かず、香典返しののし紙には喪主の苗字、もしくは○○家、と記入します。
香典返しは(仏式では)四十九日を過ぎてから行うものです。四十九日を迎えると、故人はすでに仏になったと考えられています。近親者は忌明けを迎え、また納骨が執り行われることも多く、仏式では大切な法要となっています。
また、香典返しをするときに故人の戒名を添えたい場合は、のしに書くのではなく、添える挨拶状に書くことになっています。
戒名を書くときは、「お陰様で ○○○○の満中陰の法要を相営みました」などと書きます。
戒名なしの場合は、文章の最初の段階で、さて 過日 父 山田太郎 儀 永眠に際しまして・・・などと書くのみで、
満中陰の法要を無事終えたお礼の前に戒名などは書かず、「おかげをもちまして、このほど満中陰の法要を相営みました」、などとしましょう。
粗供養の場合
満中陰志は、四十九日の中陰が過ぎた、ということですので、四十九日後に贈られるお返しの品です。
反対に、粗供養はといいますと、四十九日前に贈られるもののことを指します。
粗供養は「通夜や葬儀、四十九日までの法事等の参加の御礼に、お粗末ですが、供養品をお渡しします。」という意味です。
通夜や葬儀などの際に会葬礼状とともに贈られることが多く、ハンカチやタオル、お茶などが一般的です。
香典返しののしのつけかた~仏教、キリスト教、神道~
香典返しののしのつけかたには、「水引の色」と「表書き」に注意する必要があります。仏教、キリスト教、神道など、宗教よって違いがありますので、間違えないようにしたいものです。
仏教以外の「神道」や「キリスト教」の通夜・葬儀告別式・香典返し、法要時の際には、黒×白(銀×紫)の水引も使えるのですが、それらの色は「仏」のイメージが強いことから、「黒×白」「銀×紫」は避けて、「白×黄色の水引」を用いる人が多いようです。
また、表書きの名前は「姓」のみを書きましょう。
仏式(関西・北陸)
白と黄色の水引、「満中陰志」
仏式(そのほかの地方)
黒×白(銀と紫)の水引、「忌明け」
神式
白×黄色、「志」「偲草」
キリスト教
白×黄色、「志」「偲草」
のし紙に蓮の花が印刷されているものは、仏教でしか使うことができませんので注意しましょう。
香典返しののしのつけかた〜無宗教の場合〜
故人が無宗教だった場合は、香典返しの水引は「白×黄色」(関西地方)や「白×黒」「銀×紫」とし、表書きは「志」とします。
香典返しののし(掛け紙)の墨の色は?
香典返しの墨の色は、濃い墨でも薄墨でも問題ありません。
お香典などの不祝儀を薄墨で書く習慣が始まったのは、「突然の訃報で悲しみのあまり墨をする時間も惜しんで駆けつけた」という説や、「悲しみの涙が墨に入ってしまい薄くなってしまった」など、参列者の悲しみを表すため、とされています。
香典返しは四十九日(神道では五十日、キリスト教では三十日)のに送られるものですから、亡くなってから大分たっており、濃い墨でも問題ありません。
ただ、「まだ悲しみは癒えていません」という意味から、薄墨で書く場合もあります。
掛け紙を印刷する業者によっても、墨の濃さはまちまちですので、どちらでもよいといえるでしょう。
香典返しでのしなしの場合
香典返しにのしなしで送る場合なんてあるの?と驚かれた人もいるのではないでしょうか。
香典返しにはのしをかけ、挨拶状を添えて送るのが礼儀ですので、のしをかけずに送る、ということはありません。
のしをかけるということは、「あらたまった気持ちでお贈りします」という気持ちのあらわれなのです。
さて、ここで「のし紙」の「のし」、とは一体どういう意味があるのか、考えてみましょう。祝儀ののし紙の水引の右上の方に、羽子板のかたちのような模様が印刷されているのをご存知でしょうか。このマークのことを「のし」といいます。
生もの以外の贈り物を包むとき、この「のし」が印刷されたのし紙を使うとされています。
しかし、弔事に使われるのし紙には「のし」は印刷されていないことがほとんどです。
よって、弔事に使われるものはのし紙と言わず、正式には「掛け紙」というのです。
香典返しはのし紙ではなく、掛け紙をかける、というのが正しい言い方です。ただし、弔事でも「のし紙」といって差し支えない場合がほとんどですので、知識として覚えておくとよいかもしれませんね。
香典返しののしや挨拶状、会葬礼状などの処分の仕方は?
香典返しののしや挨拶状、通夜や葬儀でいただいた会葬礼状や清め塩など、「普通に処分してしまって大丈夫なんだろうか」と心配になってしまう人もいるようです。
新年に神社などでいただく「お札」などと違い、そこには何も宿っていませんし、香典返しや会葬礼状なども、送り主は「喪主」なのですから、縁起が悪いといったようなことは考えなくてもよいと思われます。
ただ、「清め塩」は、本来通夜や葬儀に出席したあと、家に入るときに足元にふりかけるものなので、料理に使うことは避けたほうが良さそうです。
普通にゴミ箱に捨てると申し訳ないような気がして・・・と感じる人も多いようですが、結論からいうと、普通に処分して
大丈夫です。気になるようでしたら、一度合掌してから捨てるとよいかもしれませんね。
香典返しは、通夜や葬儀に参列してくれた人や、訃報を後から知り、香典を送ってくれた人など、心遣いをいただいた人に対して「故人にかわってお礼をする」といった意味合いがあります。
また、香典返しを受け取った人にとっては、もう一度故人のことに思いを馳せる機会ともなります。
住んでいる地方や地域によって、しきたりなどには差がありますが、香典返しのマナーをしっかりと知り、また年長者や周りの人に話を聞くなどして、失礼のないように行いたいものですね。