近年、20~30代の女性に増えている「子宮頸がん」は、発見が遅れると子宮摘出することもある恐ろしい病気です。
妊活中の人やこれから妊娠を考えている人にとって、子宮摘出は絶対に避けたいもの。
初期症状がほとんどなく気づきにくい病気ですが、定期的に健診を受けることで早期発見が可能で、がんになる前に治療することができます。
今回は妊娠を望む人もそうでない人も、女性なら必ず受けておきたい「子宮頸がん検診」についてみていきましょう。
近年、20~30代の女性に増えている「子宮頸がん」は、発見が遅れると子宮摘出することもある恐ろしい病気です。
妊活中の人やこれから妊娠を考えている人にとって、子宮摘出は絶対に避けたいもの。
初期症状がほとんどなく気づきにくい病気ですが、定期的に健診を受けることで早期発見が可能で、がんになる前に治療することができます。
今回は妊娠を望む人もそうでない人も、女性なら必ず受けておきたい「子宮頸がん検診」についてみていきましょう。
子宮頸がんとは、子宮頚部といわれる子宮の入り口にがんができる、女性特有の病気です。
子宮がんの約7割を占める病気で、20~30代の女性が発症するがんの第1位となっています。
一生のうちに74人に1人は子宮頸がんになるともいわれているくらいです。
日本では年間約12,000人もの女性が子宮頸がんを発症し、約3000人もの方が亡くなっています。
死亡に至らなかった場合でも、治療により早産・流産のリスクが高くなったり、子宮摘出で妊娠・出産ができなくなったりといったケースもあります。
しかし、ほかのがんと違って原因が特定されているため、定期検診によって防ぐことができるのです。
子宮頸がんの原因は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」と呼ばれるウイルスで、性交渉によって感染します。
このヒトパピローマウイルスはごくありふれたウイルスで、感染率は高いものの、ほとんどの場合は自然消滅します。
このウイルスが消滅せず、長期間、感染した状態になると、一部の人はがん細胞へ変化をしてしまいます。
しかし、もし進行しても、子宮頸がんになるまでは、数年~数十年かかるため、早期発見・早期治療で十分に防げる病気です。
子宮頸がんの予防としては、現在ワクチン接種が一般的となっており、10歳以降の女性が受けられます。
まず、理解していただきたいのは、子宮頸がんワクチンは子宮頸がんの原因となりやすいウイルスの抗体を作らせるためのものであり、すでに感染した細胞を治療するものではないということ。
まだ持っていないウイルスに対しては効果が期待できますが、すでに性交渉によって感染しているウイルスに対しては効果が薄いというわけです。
そのため、“推奨年齢”は性交渉前と考えられる小学6年生~高校1年生の女子となっています。
子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスは、現在100種類以上発見されていますが、これはがんの発症率が高い「高リスク型」と、尖圭コンジローマの原因となる「低リスク型」に分けられます。
子宮頸がんワクチンでは、この「高リスク型」のうち2種類のウイルスから子宮頸部を守るために作られています。
もちろん、「高リスク型」のヒトパピローマウイルスはごくわずかで、感染してもすべての人が発症するというわけではありません。
ですが、「ワクチンを受けるだけで完璧に子宮頸がんを防げる」ということではないため、定期検診を合わせて行うことで予防します。
ただし、まれに失神や歩行障害といった副作用がでることが問題となっており、不安要素も大きいワクチンですので、接種を希望する場合には医療機関で担当医とよく相談しておいた方がいいでしょう。
子宮頸がんは、ある程度進行するまで症状が出ません。つまり、初期症状はほとんどなく、これが発見を遅らせる原因となっています。
もし症状が出るとしても、不正出血や性行為時の出血、おりものの増加などで、多くの女性が見落としがちな症状です。
しかし、子宮頸がんは早期に発見することで比較的治療しやすいがんでもあります。
いち早くがんを発見するためにも、普段の生理やおりものと違う場合や不正出血がある場合は、病院を受診するようにしましょう。
これらの項目に当てはまる人は、医療機関で相談・検診を行うことをお勧めします。
もし、おりものの量や色など適正な状態がわからない場合には、携帯で写真を撮って医師に説明するのもいいでしょう。
子宮頸がんの予防法として先ほどワクチンを挙げましたが、ワクチンは性交渉前に受けなければ効果が薄いことや、副作用があることから、受けるのは不安という人もいるでしょう。しかし、子宮頸がんの予防にはワクチンのほかにもう一つ、「検診」があります。
子宮頸がんは、がんの“芽”のような状態(異形成)から、がんになるまで数年~数十年かかります。この“芽”を早期に発見して摘むことができれば、治療も容易です。
異形成は、軽度・中程度・高度の順で進行し、高度異形成になるとがんの進行率が高くなります。この異形成を見つけるための検査が、子宮頸がん検診で行われる「細胞診」です。
問診票に記入し、医師から流産・中絶の有無などの質問をされます。その後、内診台(椅子)に乗り、視診・内診を受けます。視診は子宮頚部の状態を目で確認するもので、内診は子宮や卵巣・卵管などの触診を行います。
細胞診は、ヘラやブラシのようなものを膣内に挿入し、子宮頚部の表面から細胞を採って調べる検査です。検査結果は2~3週間ほどで出ます。
細胞診の結果はクラスⅠ~Ⅳに分かれ、がんが疑われた場合は精密検査(コルボスコープ)を受けます。その後、定期検診で様子を見るのか、頸部の切除や子宮摘出が必要かといった診断が行われます。
厚生労働省では、女性特有のがん検診推進事業の一環で、対象年齢の女性に対し子宮頸がんや乳がんの無料クーポンを配布しています。
これは、細胞診を行って後日その結果が自宅へ届くというもので、検診車(バス)の中で行います。
一度に大勢の人を診るため流れ作業で行うので、病院で内診を受けるのに抵抗がある人は、まずはこちらを試してみるといいでしょう。
カーテンで遮られていて、検査を行う人と顔を合わせずに終わることも多いので、恥ずかしい人にもおすすめです。
また、自治体によって、子宮頸がん予防のため住民票を持つ女性に対して定期検診の通知を配布するところがあります。
年齢や実施時期、実施機関などは各自治体によって異なりますが、検診にかかる費用の補助を受けられるところもあります。
こちらは、検診車(バス)で行うケースと、自治体の指定医療機関で行うケースに分かれるため、事前に確認が必要です。
働いている場合、職場の健康診断を利用すると、費用補助を受けられることも。子宮頸がん検診を受けるときには、一度お住いの自治体や、勤務先で確認してみるとよいでしょう。
子宮頸がんの治療は大きく分けて3つあり、がんの進行具合に合わせて、「円錐切除術」「子宮全摘術」「放射線治療」のいずれかが行われます。
まず、細胞診の結果で初期のがんだと診断された場合には、円錐切除術によって治療します。
円錐切除術とは、子宮頸部をレーザーで円錐状に切除するもので、メスを使用する手術よりも出血が少なく、入院期間も短く済みます。
比較的軽度の場合は1泊~2泊で済むこともあり、子宮を残すことができるため、将来的に妊娠を希望する人の治療法として選択されます。
クラスⅠでも「円錐切除術で病変を取り除けない」と判断された場合や、クラスⅡに達している場合には、子宮全摘術を行います。
子宮を摘出してしまうと、妊娠をすることはできなくなりますので、担当の先生からしっかりと説明を受けることが必要です。
上記2つよりも、進行しているときには「放射線治療」が行われます。放射線治療は、体にメスを入れることなくがんを治療する方法で、再発や転移した病巣にも効果があります。がんの完治を目指す人はもちろん、出血・痛みなどの症状緩和のために行われることも。
また、進行具合によっては手術・放射線治療以外にも、抗がん剤を使用するときがあります。ただし、抗がん剤は放射線治療よりも副作用が高いといわれているため、医師から勧められたときにはきちんと説明を受けるようにしましょう。
子宮頸がんは初期症状がなく気づきにくい病気ですので、これといった不調がない場合でも検診を受けるに越したことはありません。
子宮頸がんはゆっくりと進行していきますが、早期発見のために2年に1度は検診を受けるようにしましょう。
ま発見が遅れてしまうと子宮摘出にもなりかねない病気です。これから妊娠を考えている人にとっては、子宮摘出は避けたいものですよね。
早期発見することで十分に予防できる病気ですので、これを機会に検診を受けてみませんか?
参考文献:厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A
参考文献:国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん