格安SIMユーザーは災害時にどうすべき?IIJmioの利用案内を紹介
「地震」「台風」などの自然災害に見舞われる機会の少なくない日本に住む上では、それらを事前に通知してくれる「緊急地震速報」などの通知サービスが命を左右することもあります。
スマートフォンには、これを受信するための仕組みが備わっていますが、災害発生時には通常と同じようなスマートフォンの使い方をしても良いものなのでしょうか?
わたしたちユーザー一人一人が注意しなければならないことがあるのであれば、前もってそれを理解し、いざという時にはその通りに行動・実践する必要があるはずです。
そこで、「IIJ」が案内している内容を参考にしながら、災害発生時にスマートフォンのユーザーが注意すべきポイントについてまとめてみました。
目次
災害発生直後におけるIIJmio(高速モバイル/Dサービス)の利用案内
MVNOである「IIJmio」では、災害時にIIJmioのユーザーが通信サービス等をどのように利用できるのかということを、ホームページの「お知らせ」のページに記載しています。
ここでは、「災害時に利用できるサービス内容」や、「災害時のユーザーへのお願い」などがまとめてあります。
通信サービスに関しては、「データ通信」と「音声通話」で内容の異なるものはそれぞれ分けて解説しているのでわかりやすいです。
災害時に必要な一通りの情報が記載されているので、ユーザーにとっては理解しやすく、覚えやすい内容になっているかと思います。
記載されている内容の詳細は、以下にそれぞれ分けて解説していきます。
「緊急通報」は音声通話付きSIMカードのみ!
まず、「緊急通報」に関しては音声通話付きSIMカードでのみ利用することができます。
要するに「110番」「118番」「119番」といった通報が可能なのは、音声通話のみであり、データ通信SIMではこれを利用することができません。
例えば、音声通話SIMでなくても「音声通話機能を持ったアプリ」を利用することで、安い料金で音声通話を利用することができます。
しかし、データ通信の回線を利用した通話機能の場合、「緊急通報はできない」というデメリットがあります。
災害時には、少なからず通報を行う必要性が発生する可能性があります。その際に、即座に通報を完了させるためには、手持ちのスマートフォンでの音声通話が必要になります。
いざという時のためにも、音声通話SIMを利用しているスマートフォンを持ち歩いておきたいものです。
「緊急地震速報」は格安SIMでも利用できるが・・・
次に「緊急地震速報」に関してです。
地震が頻繁に発生する日本では重宝するサービスですが、これを格安SIMで利用できるのかと言えば、一応はYESです。
ですが、格安SIMを利用している場合だと少し問題があります。
SIMロックフリー端末によっては利用できない場合あり
格安SIM自体は、そこまで問題にはなりません。問題となるのは「使用している端末」の方なのです。
格安SIMを利用するために購入した端末が「SIMロックフリー」の場合だと、緊急地震速報を受信できない可能性があるのです。
SIMロックは、大手キャリアが設定しているもので、格安SIMを利用する上でじゃまになる存在です。
SIMロックフリースマホの場合はこれが最初から設定されていないのですが、海外市場向けの端末であるため日本向けのサービスである緊急地震速報には対応していないものも多いのです(詳しくは別記事で解説します)。
IIJでは気象庁の緊急地震速報を、以下のTwitterアカウントにて配信
IIJでは、気象庁が発信する緊急地震速報を
のTwitterアカウントにて配信しています。
これはSIMロックフリースマホであっても関係なく利用することができますので、利用している端末が緊急地震速報を利用できないものである場合はこちらを利用することをオススメします。
その他には、災害情報を配信するアプリを利用するなどの方法もあります。とにかく、緊急地震速報以外の方法で地震の情報を入手するようにする必要があるということです。
ただし、利用するアプリ等の内容によっては格安SIMやSIMロックフリースマホと相性が悪い可能性もあります。
自分が利用する通信環境に合致した方法を採用するようにしましょう。
被災地あての電話はなるべく控えよう
次に、何らかの災害が発生した場合、被災地にいる人への電話連絡は可能な限り控える必要があります。
技術的に不可能であったり何らかの制限を最初から強いられるということではないのですが、通信が混雑することによってある程度の規制が行われる可能性があります。
特に問題となるのが「被災地への電話連絡」です。通話が短期間で集中することによって、一部で通話が寄生されてしまう場合があります。
この場合の通信規制は、IIJmioが利用するdocomo回線を利用するMVNOと同様に、docomoの規制と同レベルの規制が行われます。
さらに、通常の音声通話と同じように、着信側が音声回線を使用することになる「LINE Out」なども使用を控える必要があります。
そのため、災害時の被災地への通信手段は、データ通信のみで利用可能な電子メール、およびSNSのテキスト通信機能のみを利用するという方法が望ましいです。
被災地にいる知人の安否を、生の声で聞きたいという気持ちはわかりますが、本当に通話を必要とする人の妨げになりますので、可能な限り通信は控え、データ通信で安否の確認を行うようにしましょう。
格安SIMユーザーの災害時安否情報の登録・確認の方法
テキストデータで災害時の安否を確認する方法としては「災害用伝言板」という方法がありますが、これは大手キャリアが提供しているものであり、MVNOのユーザーはこれを利用することができません。
そのため、格安SIMのユーザーが災害時の安否情報の登録や確認を行う方法として、他の方法を利用する必要があります。
MVNOユーザーは、大手キャリアが提供する災害用伝言板を利用できない
大手キャリアのユーザーの場合、災害時には「災害用伝言掲示板」を利用することができます。
これによって、被災した人は自身の安否を登録し、被災地に家族・知人がいる人は掲示板の情報を確認することでその人の安否を知ることができます。
しかし、格安SIMの利用者、つまりMVNOのユーザーの場合は、大手キャリアが提供している災害用伝言掲示板を利用することができないのです。
前述の通り音声通話は混雑の可能性があり、可能な限り通信を控えなければならない状況下にあります。
そのような状況下で、大手キャリアが提供する体制のしっかりとしているサービスを利用できないことは大きなデメリットとなります。
そのため、格安SIMのユーザーは「大手キャリア提供のサービス以外」のサービスを利用することで、災害時の安否の確認を行う必要があるのです。
ここで紹介する方法は
- 「web171」
- 「Googleパーソンファインダー」
- 「J-anpi」
の3種類のサービスです。
NTT東西が提供している「災害用伝言板(web171)」
まずは、NTT東西が提供しているサービス「災害用伝言板(web171)」です。
登録にあたって電話番号の制限はなく、これに登録したデータは大手キャリアの災害用伝言板からも横断して検索をかけることができるという特徴があります。
「電話番号が必要である」という制限はありますが、使い勝手の良いサービスであると言えます。
大手キャリアの伝言板サービスと連動することにより、大手キャリア利用者と同等のサービスを利用できるということになります。
Googleが提供する「Googleパーソンファインダー」
次は、Googleが提供している「Googleパーソナルファインダー」です。
こちらの場合は先程とは違って「氏名」を登録するので、電話番号よりも氏名で登録するほうが馴染みがある人にとってメリットがあります。
普段、あまり電話番号を意識すること無く、電話番号での登録にデメリットを感じる場合だと、こちらのサービスのほうが効果的に安否の確認を行うことができます。
大手企業がサービスを提供しているというポイントも、安心感を生み出すことになります。
NTTレゾナントが提供している「J-anpi」
最後は、NTTレゾナントが提供している「I-anpi」です。
これは、前述までの「安否確認用の掲示板・伝言サービス」ではなく、「安否情報の検索専用のサービス」なのです。
上記のサービスとあわせて利用できるようになれば非常に便利です。
このサービスは、災害時の安否に関する情報ではなく、安否情報を登録している媒体に記録されている情報を検索するためのツールです。
つまり、被災地に知人がいるユーザーが、災害時にその安否を確認するために「どこにユーザーの安否情報が記載されているのか」をすぐに調べるためのツールとなります。
また、このツールは企業や自治体の提供する情報も検索対象となるため、幅広い情報源を一手で検索することができるのです。
被災地以外のMVNOユーザーも不要な通信は控えよう
最後に、何らかの災害が発生した祭の「MVNOのユーザーが取るべき行動」について解説します。
厳密に言えば、災害時に「MVNOユーザーがすべきでないこと」についての解説となります。
IIJは、容量の大きな通信をなるべく控えるよう呼びかけている
IIJでは、災害時に「容量の大きな通信」を控えるように呼びかけています。混雑によってデータ通信に速度遅延の障害が発生する可能性があることを危惧しています。
例えば、災害関連の動画の視聴は、それだけで相当なデータ通信を発生させてしまいます。
もし、災害関連動画を視聴したい場合、スマートフォンのデータ通信とは関わらない「ワンセグ」や、あるいは「ラジオ」など別の媒体を利用することをオススメします。
もう一つ問題となるのは「スピードテスト」です。
スピードテストは、現状の通信環境でどれだけの通信速度が出せるかを試験するアプリであり、これが災害時には問題となる可能性があります。
スピードテストは1回のテストで約10MBを消費するのですが、この数字は一般的なメールの送信やwebページの閲覧に比べて大きなデータ量となります。
もちろん、普段であればこれを利用することは何も問題はありません。
ですが、災害時という「データ通信が集中しやすいタイミング」だと、これが致命的になる可能性があります。
スピードテストだけではなく、短時間で膨大な量のデータ通信を行うようなアクションは控えなければなりません。
MVNOで、被災地以外の場所での通信が他の地域でも影響する理由
さて、ここで気になるのは「被災地関連の通信ではない場合でも通信を控えなければならないのか?」ということです。
実は、MVNOでは被災地に関係しない場所での通信も他の地域に波及するおそれがあるのです。
MVNOが回線を借りている大手キャリアとの、設備をつなぐポイントは、全国で2箇所程度しか存在していないのです。
要するに「ボトルネック」というものであり、格安SIMのデータ通信が混雑することで、大手キャリアに比べてデータの混雑が発生しやすいのです。
IIJの場合であれば、関東と関西にそれぞれ1箇所ずつ、日本で2箇所のポイントを設置しています。
なお、設置しているポイントと通信を行うユーザーには直接の因果関係はなく、例えば東京のユーザーが関西のポイントを経由して通信を行うこともあります。
今まで、IIJにおいて被災地以外の地域での通信が原因で被災地の通信が混雑したことは無いようですが、リスクとして把握しておく必要はあります。
もちろん、必要な通信であれば仕方がありません。
ですが、災害が発生したことを知った場合に、スマートフォンで動画を閲覧したり、膨大な量のデータ通信を行うことは可能なかぎり避けなければなりません。
必要な通信がきちんと行き届くように、我慢できるところは我慢するようにしましょう。