「緊急地震速報」は格安SIMユーザーにもきちんと通知されるの!?
「格安SIM」を利用するために「SIMロックフリースマホ」を用意して運用することが流行っています。格安SIMが登場してから数年、そのシェアは拡大し、多くのユーザーが格安SIMの恩恵を受けています。
しかし、格安SIMを利用するにあたっては数多くのデメリットが発生することも知られています。
「安かろう悪かろう」のイメージを感じさせるものでもあるのですが、そんな格安SIMやSIMロックフリースマホにおいて「緊急地震速報」を問題なく受信できるかどうかという疑問・不安を抱えているユーザーも少なくありません。
地震が多い日本で緊急地震速報が受信できない、もしくは受信することに何らかのトラブルを抱えるのであれば大問題です。
そこで、格安SIMやSIMロックフリースマホを利用するにあたって緊急地震速報の受信はどのようになっているのかということについて解説していきます。
目次
スマートフォンや携帯電話から鳴り響く「緊急地震速報」
「緊急地震速報」は、地震が来る直前に行われる「地震が発生する」という通知です。
震源の付近で地震の「初期微動」を感知し、それを基にして地震の規模や位置、想定される揺れの大きさを計算して地震が発生する(主要動が発生する)数秒前~数十秒前にその情報をまとめて知らせてくれるサービスです。
一昔前だと、こうした通知はテレビや防災無線と言った媒体で行われるというイメージでした。
ですが、昨今の緊急地震速報はそれだけではなく、携帯電話やスマートフォンを媒体として通知が行われるようになりました。
外出先に持ち歩き、室内でも聞くことができるスマートフォンの緊急地震速報は、その存在をより具体的に市民一人一人に通知することに役立っています。
先ほど「スマートフォン」を引き合いに出しましたが、冒頭でも述べた「格安SIMやSIMロックフリースマホといった、従来の大手キャリアが提供するスマートフォンサービスとは異なるサービスでも問題なく利用できるのか?」という点が疑問となります。
これを解説するためには、「緊急地震速報の仕組み」というものをきちんと理解する必要があるのです。
「緊急地震速報」の仕組みと格安SIM
格安SIMと緊急地震速報の関係は、緊急地震速報の仕組みを知ることでその内容を理解することができます。
緊急地震速報は、気象庁が日本各地に設置している「地震計」が計測した情報を基にして情報を発信しています。
これには地震だけではなく、「火山噴火」「テロの発生」「ミサイルの発射」といった緊急事態の情報や、各自治体の情報の発信も含まれています。
こうした情報を受け取ったキャリアは携帯電話網の中に含まれる特殊な設備を用いて、各スマートフォンへと情報を発信しています。ここに、通常の通話やデータ通信との違いが生じます。
通常の通話やデータ通信の場合、スマートフォンの通信に必要な「基地局」は個別のスマートフォンを識別して、必要な通信サービスを提供しています。
しかし、緊急地震速報のような公益性と緊急性を要する通信の場合、限られた時間内に数多くの対象に対して情報を届ける必要性があります。
そうなると、個別の端末を識別してから通信、という悠長なことをしている暇はありません。
そこで、緊急地震速報の場合は通信の送信先を指定すること無く、基地局から電波が届く範囲内の全ての端末に一斉に情報を送信するという仕組みを採用しています。
その際、その端末のユーザーが大手キャリアのユーザーであれ格安SIMのユーザーであれ、区別なく情報を発信します。
この前提で言えば、格安SIMを利用しているとしても問題なく緊急地震速報を受診することができます。
発信する側としても、緊急性を必要とする場面で面倒な個別識別を行う暇がなく、格安SIMであることを識別して緊急情報の発信を区別することなんてできないのです。
SIMフリーのスマートフォンは利用できない場合がある!?
緊急地震速報の受信において問題となるのは、格安SIMではなく端末の方、具体的には「SIMロックフリースマホ」の場合だと受信に問題が生じます。
前述の「緊急地震速報の仕組み」は、情報の発信方法を規定するものではありますが、「受信方法」に関してはその限りではありません。
つまり、受信した緊急地震速報等の情報を「端末でどのように表示するのか?」というポイントは、その端末のメーカーによって異なるのです。
冒頭で「地震の多い日本では」ということを述べていますが、日本ほど地震が頻繁に起こる国は珍しく、世界的に見ても珍しい部類であると言えます。
そして、海外市場がメインとなるSIMロックフリースマホは、日本の事情には合わせていない物がほとんどです。
つまり、日本向けのサービスである緊急地震速報は海外での需要が低く、その海外市場向けの端末であるSIMロックフリースマホには緊急地震速報を表示する機能が搭載されていないことが多いのです。
実際に、SIMロックフリースマホのカタログには、緊急地震速報などの「ETWS」に対応している旨を明記していることは珍しいです。
とは言え、明記していない機種でも実際には緊急地震速報を受信できるということはあります。
要するに、新登場のSIMロックフリースマホの場合だとネット上の口コミもありませんので、実際に購入してみないと緊急地震速報を受信できるかどうかがわからないのです。
「iPhone」の場合だと、緊急地震速報の受信が可能な端末は「iPhone 4s」以降の世代が該当します。
ここ最近の世代であれば問題なく利用することができるのですが、docomo系の格安SIMを利用している場合、緊急地震速報を受信できるのは「iPhone 5c/5s」以降の世代になります。
場合によっては端末とSIMカードの相性も問題になるということは覚えておいたほうが良いでしょう。
まとめ
格安SIMにおける緊急地震速報受信の是非は、端末の種類に依存するということになります。
SIMロックフリースマホの場合であれば、大手キャリアでの購入と比べて何らかの問題が生じる可能性があります。
また、新しい端末が発売される場合はネットでの口コミも無いので、緊急地震速報が受信できるのかどうか、受信できる場合はどこまでの機能であれば利用することができるかが未知数となります。
一つ気になるポイントとして「自分のスマートフォンは問題なく緊急地震速報を受信することができるのか?」ということです。
スペック的には何の問題もない場合でも、実際に緊急地震速報を受信できるかどうかは技術的な問題なので、何らかのトラブルを抱えている場合であれば受信できなかったり、機能が正しく発揮されないことも考えられます。
そこで活用したいのは「防災週間」です。自治体によっては、防災週間の期間中に「緊急地震速報のテスト配信」が実施されます。
もちろん、実際に地震や災害が起きるわけではなく、緊急地震速報の配信だけを試験的に行うのです。
普段は実際に地震等の災害が発生しない限り受信できない緊急地震速報を受信するチャンスであり、それによって自分のスマートフォンが緊急地震速報を問題なく受信できるかどうか確認することができます。
防災週間と緊急地震速報のテスト配信のスケジュールは、各自治体のホームページから確認することができます。
緊急地震速報は無条件で受信できるのではなく、受信する端末ごとに設定が必要な場合があります。
防災機関のスケジュールを確認したら、緊急地震速報の設定を有効にした上で、受信が可能であるかどうかを確認すると良いでしょう。
滅多にないチャンスなので、機能を試してみたいという人は是非とも利用してみてください。