スマートフォンとセットで格安SIMを契約するメリット・デメリット
目次
MVNOで端末セットを購入するメリットは?
スマートフォンを運用するにあたっては、デバイスとしての「端末」と、通信のための「SIMカードの契約」が必要になります。
例えば、手元にスマートフォンがあって、格安SIMに乗り換えたいと思うのであれば、対応するSIMカードを契約することが必要になります。
しかし、「SIMカード」と「端末」を同時に調達するというパターンもあります。
例えば「今までガラケーのユーザーだった」「格安SIMに乗り換えるにあたって、型落ちしたスマホを最新のものに買い換える」というパターンです。
それぞれ別の企業から調達することも出来ますが、格安SIMを取り扱うMVNOの中には端末を販売しているところもあります。
では、MVNOにおいて端末とSIMカードを同時に購入(契約)することのメリットは何なのでしょうか?
面倒な初期設定(APN設定)をしなくて済む
まず「APN設定が不要」だということです。APN設定は「その端末でそのSIMカードを使った通信をできるようにする設定」のようなものです。
もし、端末が手元にあってSIMカードを入手した場合、最初に行う必要があるアクションになります。
しかし、端末とSIMカードを同じMVNOで購入する場合だと、面倒な設定を完了させた上で提供してくれます。
設定が必要なのは「MVNO側にSIMと端末が揃っていない」ことが理由であり、同じMVNOで購入する以上はAPN設定をした上でユーザーの手元に届けることができます。
端末補償などのオプションサービスが受けられる(有料)
次に「オプションサービスを受けられる」ということです。端末を購入する際には「メーカー補償」などは受けることができます。
しかし、SIMフリースマホを別途購入する場合とは異なり、MVNOでSIMとセットで購入する場合はそれとは別の補償も受けることができます。
例えば「故障時の修理・交換」だけではなく、MVNOでスマートフォンの設定をしてくれるといったサービスも提供されています。
特に、スマートフォンや格安SIMの初心者の場合だと、何かと不安もあるかと思いますが、オプションサービス・サポートサービスなどを受けられると考えれば不安も小さいのではないかと思います。
キャンペーン等で端末(スマホ)を安く購入できたりする
次は「キャンペーン等を利用して、端末を安く購入できる」という点です。
大手キャリアでのイメージが強いですが、MVNOでも端末のセット購入に関する割引を実施しているところもあります。
スマートフォンやタブレット端末は、新品で購入しようとするとどうしても数万円のコストがかかってしまいます。
ですが、期間限定のキャンペーン等を利用することで、少しでもコストを抑えることができます。
高額なSIMフリーのスマートフォンを分割で買える
最後に「分割購入できる」ということです。大手キャリアだとイメージしやすいかと思いますが、端末を購入するにあたって「一括購入」ではなく「分割購入」することで一時的な高負担を防ぐことができます。
例えば、「クレジットカード」などを使うことで分割にもできますが、その分だけ金利がかかります。
しかし、MVNOでセット購入する場合、条件があることもありますが24回払いにすることができるケースが多いです。
前述の通りスマホやタブレット端末は数万円の値段がついており、それを一括で支払うとなると相当な負担になります。
また、MVNOでの分割購入の場合だと、クレジットカードの金利とは別に「分割手数料」がかかりますが、24回の分割で数千円のコストに過ぎません。
また、特定の条件を満たすことで分割手数料が無料になることもあります。分割購入によって上乗せされるコストを最小限に抑える方法としても非常に有効なのです。
MVNOで端末セットを購入するデメリットは?
しかしながら、デメリットが全く存在しないというわけでもありません。格安SIMと端末をセット購入する場合、どのようなデメリットが発生するのでしょうか?
大手キャリアでやっていたような端末0円というのはない
まず「大手キャリアのような大々的な割引はない」ということです。いわゆる「実質0円」というような割引が用意されているわけではないということです。
大手キャリアの場合、端末とSIMをセットで購入し、必要に応じて特定の条件を満たすことで端末の購入代金を大幅に節約することができます。
分割代金からそのほとんどを割り引くことで、最終的に端末購入代金として支払う金額がほとんど割り引かれ、実質的に端末をほとんど無料で入手できるようになります。
しかし、MVNOにはここまでの大々的な割引サービスは用意されていません。
なので、端末の代金をほとんどゼロにするということはできず、一括支払いなら最初に、分割の場合は分割代金の支払いが完了する2年後まではSIMの利用料だけでなく端末の代金の分だけ負担が増加するということになります。
しかし、SIMの毎月の利用料が大手キャリアに比べて安いので、実質的にはそこまでの損失とは言い切れません。
長期的に利用することを考えるのであれば、端末の購入代金を支払い終わった後はSIM利用料の分だけMVNOがお得であるということになります。
端末を分割購入した場合は2年間支払う必要がある
次に「分割購入の場合は2年間の負担増になる」ということです。分割の回数は24回、つまり24ヶ月で2年ということになり、2年間はSIMの利用料だけでなく端末の分割代金も上乗せして支払うことになります。
仮に、端末の分割代金が毎月1,500円だとします。SIMの利用料が2,000円だとすると、24回の支払いが完了するまでは毎月3,500円の支払いになります。
これが2年間は続くので、十分に先を見据えた支払い計画を練っておく必要があります。
また、分割代金は「そのMVNOを利用している」ということが条件であるため、支払いが完了していない状態で、他のキャリアに乗り換える場合は一括支払いを求められる可能性があります。
キャリアを解約しても、当然ながら残った代金の支払い義務は残っています。残債の取り扱いについてはキャリアごとに異なりますので、2年以内に解約・乗り換えを検討している場合はその点にも十分注意しておきましょう。
クレジットカードを持っていない場合は選択肢がほぼない
次に、「クレジットカードを持っていない場合、選択肢が限られてしまう」ということです。
最近では少しずつ改善されているものではありますが、やはりクレジットカードが使えるのとそうでないのとでは選択肢の幅に違いが生じてしまいます。
2016年9月の段階で調べたところ、クレジットカードではなく「口座振替」で契約できるMVNOは数社あります。
しかし、「新規契約の場合は利用できない」ケースや、「データ通信SIMだけ可能」なケースだったり、各MVNOごとで条件が設定されていることがあります。
今のところ、無条件で端末代金を口座振替できそうなMVNOは「OCN モバイル ONE」1社のみのようです。
つまり、クレジットカードを持っていない人の場合、「口座振替で支払うことができる格安SIM」を前提として探さなければならないということになります。
もちろん、他にも比較するための条件はユーザーによって異なりますので、それも含めて比較すると数社、数プランしか残らないケースが多いです。
数多くのMVNOやプランが有りながらも、クレジットカードが使えないと言うだけ選択肢が限られてしまうということを理解しておく必要があります。
欲しい端末が利用したいMVNOで取り扱っていなかったりする
次に「自分が欲しい端末が、自分が契約したいMVNOで取り扱っていない場合がある」ということです。
自分に合ったSIMのプランがあっても、そこのMVNOに欲しいスマートフォンが無かった場合に、「SIMを優先して他の端末を買う」か「端末を優先して他のMVNOにする」かというケースが出てきます。
格安スマホを利用することになる以上、使用する「端末」と「SIM(プラン)」を組み合わせることになります。
それぞれに特性が異なるので、自分に合った最適の組み合わせを利用したいと思うはずです。
例えば、「端末は解像度の高いもの」で「プランは大容量をシェアできるプラン」といった組み合わせや、「端末は内蔵メモリ容量の多いもの」で「プランは通信速度がとにかく速いプラン」といったように、スマートフォンをどういった用途で用いるのかによって、それぞれ選ぶ必要があります。
しかし、各MVNOは現在販売中のスマートフォンを全て取り扱っているというわけではありません。
ラインナップはMVNOごとに異なりますが、利用したいプランが有るMVNOに、目当ての端末がないということが頻繁に発生します。
使用したい端末を購入できるMVNOを見つけても、利用したい特性を持つプランがなかったりすることもあります。両方を備えているケースが見つかるかどうかは、運次第というべきでしょうか?
その際に、何を最重要視するかということを取捨選択しなければなりません。例えば「プランを優先する」場合であれば、端末の何を切り捨てるのかということになります。
どの機能なら無くても妥協できるのか、どの昨日の組み合わせが必須なのか、その点も考えなければなりません。
逆もまた然りで、端末を優先する場合はSIMの何を捨てても良いのか、ピッタリな組み合わせが見つからない場合はこの点で苦悩することになります。
MVNOで販売されているおすすめのスマートフォンを紹介
それでは、MVNOで販売されているスマートフォンの中で、当方がおすすめするものを予算面で分類していくつかピックアップしていきます。
それと、MVNOで販売されているスマートフォンは基本的に「SIMロックフリー」の端末であることを前提として話を進めていきます。
予算10,000円~で選ぶなら
まず、予算を10,000円~20,000円未満で選ぶのだとすれば、「Acer Liquid Z330」や「Ascend G620S」「FREETEL priori3 LTE」等が挙げられます。
新品のスマートフォンを購入するのであれば、最も安い価格帯となりますが、価格の安さに見合わない性能を持った端末も少なくありません。
「LTE回線」に対応しているというのも注目したいポイントです。通信の質について妥協したくないというのであれば、やはりLTE対応であることは必要な条件です。
昨今は20,000円未満の価格帯でもLTE対応のスマートフォンがいくつか登場していますので、注目したいポイントです。
ですが、全体的にスペックが低い端末が多いのも事実です。
有り体に言えば「お値段相応」ですので、最も重視したいポイントに抑えてその他はある程度無視してしまうといった思い切りも必要になるかと思います。
予算20,000~40,000円
次は20,000円~40,000万円未満の価格帯です。この価格帯になると、ある程度は選択肢の幅も広がります。
具体的な機種名で言えば、富士通の「arrows Mo2」や、「Zenfone2 laser」などが挙げられます。
機能面において、さまざまなこだわりを見せてスマートフォンを選ぶことができるようになります。
例えば、「おサイフケータイ対応」とか「防水機能搭載」等が挙げられます。単純なスペック面だけでなく、こうした特殊機能についてもこだわることができるので、スマートフォン選びが楽しくなるのではないかと思います。
しかし、ここまでの価格帯になると、ある程度はコスト面での心配もしておきたいものです。
分割する場合でも価格によっては毎月1,500円ほど料金がプラスになることを考えると、「コストパフォーマンス」を考慮しながらもMVNOで利用できるキャンペーンなどを踏まえて端末を選びたいものです。
「arrows M02」はコストパフォーマンスが良い端末なので特におすすめです。
予算40,000円以上
最後に、40,000円以上の予算でスマートフォンを選ぶ場合です。
「AQUOS SERIE」「Xperia J1 Compact」「Huawei Mate S」などのハイスペックなスマートフォンを購入することができます。
価格面では気になるところもあるかもしれませんが、スペックの高さを重視したい場合は満足できる結果になるのではないかと思います。
この価格帯になると、やはり一般的に「ハイスペックスマホ」を選ぶことができるという強みがあります。
一つ前の価格帯では難しかった「防水機構などが一通り揃う」ということも十分に選択肢としてありえます。
逆に、何らかの機能に特化している端末を選ぶということも考えられます。高性能なプロセッサに特化したり、カメラ機能に特化しているなど、さまざまなこだわりを見せることもできます。
やはりネックとなるのは価格の高さですね。分割する場合であれば、2年ほどスマホの料金を倍近い金額支払うことになることも多いのではないかと思います。
一括で支払うことで少しでも支払総額を少なくしたいのであれば、しっかりと貯金しておきましょう。
価格面を気にしないのであれば、当面はスペック面で不満を感じることがないスマホライフを満喫することができます。
端末セットでiPhoneを販売しているMVNOはある?
最後に解説するのは、スマートフォンの中でも特に高額になる「iPhone」についてです。
現状、iPhoneを購入することができるMVNOは極めて限られています。「UQ mobile」など一部のMVNOで購入できるくらいで、機種を指定したいのであれば、MVNO以外から購入するという方法になるかと思います。
ですが、iPhoneは値段が高いという点がネックになります。なので、分割購入ができるようにキャリアで購入したいと思うでしょう。
ですが、大手キャリアから購入する場合には「SIMロック」がネックとなります。格安SIMの種類が限定されることと、「テザリングを使用できない」という部分もデメリットとして挙げられます。
現行でそれなりの性能である「iPhone SE」ですが、これを販売しているMVNOとして「もしもシークス」というMVNOがあります。
iPhone SEは、現行最新モデルの「iPhone 7」の一つ前の機種である「iPhone 6s」のスペック(一部オミットされている機能もありますが)を、少し小さいサイズで利用することができるという珍しいタイプのiPhoneです。
iPhoneの中でもコストパフォーマンスが極めて良好な機種です。もしもシークスでは、これを独自のルートで入手(アウトレット品)し、販売しています。
注意したいポイントとしては
「故障等した場合はもしもシークスでの受付になる(ドコモショップでは受付不可)」「AppleCareへの加入ができない」
「保証はもしもシークスの『もしも保証』となる」
という点があります。
値段が高いiPhoneの中でも比較的安い値段で使用できる機種でありながらも、スペックは最新機種の一つ手前のスペックです。
iPhone 7が発売されたとは言え、現状の環境においてiPhone SEのスペックは十分量であると言えます。
Android端末に比べるとさすがに高額になりますが、MVNOでiPhoneを購入したいという場合には十分な選択肢であると評価することができます。
しかし、一つ注意しなければならないポイントがあります。もしもシークスのiPhoneは「SIMフリーではない」という特徴があります。
もしもシークスはdocomo系の回線なので、docomo系の格安SIMであれば使用できますが、au系の「UQ mobile」や「mineo(auプラン)」は利用することができません。
その他の特徴としては、もしもシークスはMVNO事業者ですが「料金体系が他と比べて特殊(データ通信が1日ごとに制限)」であることです。
この特徴は他のMVNOだと「OCNモバイルONE」に見られるものですが、通信速度の制限が翌日には解除されるため、人によって使い勝手が異なります。