産休中にもらえる出産手当金は、出産育児一時金と混同されがちですが、“出産したら誰でももらえる手当”というわけではありません。
では、出産手当金はどういった人がもらえるのでしょうか?いつから支給されるか、申請方法は?といった疑問にお答えします。
産休中にもらえる出産手当金は、出産育児一時金と混同されがちですが、“出産したら誰でももらえる手当”というわけではありません。
では、出産手当金はどういった人がもらえるのでしょうか?いつから支給されるか、申請方法は?といった疑問にお答えします。
出産手当金とは、健康保険の加入者が出産のために会社を休み、その期間中、給与の代わりに支給される手当です。
そのため、産休中に給料が出る場合には、給料が出産手当金を上回ると支給されません。産休中にもらえる手当のため、別名「産休手当」とも呼ばれており、一定の条件を満たす必要があります。
ちなみに、名前が似ていてよく混同される出産育児一時金は、同じく健康保険からもらえる手当。出産は病気ではなく、定期検診や出産費用に健康保険は使えないため、こうした制度が作られています。
出産費用や入院代に充てられてとても助かる制度ですので、こちらも覚えておくとよいでしょう。
ほかにも、医療費助成や児童手当(旧:子ども手当)、育児休業給付金など、妊娠・出産でもらえる手当や助成がたくさんあるので、自分がどれを受けられるのか確認してくださいね。それぞれ対象者が異なりますので、申請方法もチェックしておきましょう。
出産手当金がもらえる条件には、
などが挙げられます。
これは正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなども含まれるので、条件を満たしていれば雇用形態に関係なく申請が可能です。
しかし、パートやアルバイトをしていて、パートナーの扶養に入っている場合は、残念ながら出産手当金を受け取ることができません。
正社員ではなくパートをしているという人は、扶養に含まれる範囲で働いていることもあるかと思いますので、注意してくださいね。
また、妊娠が4か月以上継続していれば、流産や早産など正常な分娩ができなかった場合でも支払われるので覚えておきましょう。
また、なかには出産を機に退職する人もいるでしょう。その場合も、以下の条件を満たせば出産手当金を受け取ることができます。辞めたからといって手当がもらえなくなるわけではないので、退職前に確認しておきましょう。
条件としては、
が挙げられます。
ただし、産休中に給与が発生した場合は、その分が手当から引かれることに注意してください。
また、傷病手当を申請するときは、出産手当を優先することとなっていましたが、平成28年4月からは傷病手当金の額が出産手当金の額を上回っている場合、差額が支給されることとなりました。
傷病手当金は、病気やケガのため働けない人に支給される手当ですので、受給者は差額がないか一度確認してみましょう。
出産手当金をもらえるのは、産前産後休暇の範囲で、会社を休んだ期間が対象となります。
産前は出産日を含む42日間、産後は出産日翌日から56日間となっていますが、気になるのは予定日が遅れてしまった場合、支給額が増えるのかということ。これについては、遅れた期間に関しても支給されるので、1週間ほど伸びてしまっても気にしないでくださいね。
【予定日通りの場合】
産前42日間(出産予定日を含む)+産後56日間(出産予定日の翌日から)
【予定日から遅れた場合】
産前42日間+予定日から遅れた出産日までの日数+産後56日間
出産手当金の支給額は、簡単に計算すると平均月額の2/3。
1日当たりで計算すると、
(支給開始以前の12か月の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3
となります。
この際、厚生年金や健康保険などの社会保険料は免除となりますので、産休中には支払う必要がありません。
また、報酬とは、基本給や残業手当、通勤手当など労働の対象として受け取るすべてのものが当てはまります。
たとえば、月額平均20万円給料をもらっている人の支給額は約13万3千円。
ただし、【休んだ日数分】の支給であることに注意してください。出産予定日によって前後する可能性もありますので、自分の支給額をきちんと把握しておきましょう。
月額平均20万÷30日×2/3=4,447円
出産予定日通りに生まれ、休んだ日数が98日だった場合、一括申請すると
4,447円×98日間=43万5,806円
がまとめて振り込まれます。
単純計算してしまうとミスも増えるので、ネット上の早見表や計算ツールを利用したり、社労士さんに確認したりして、おおよその金額を知っておくとよいでしょう。
もし、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合には、
を比較して、少ない方の額を使用して計算します。
たとえば、標準報酬月額の平均額が30万であった場合、28万で計算して支給額を決定します。
また、途中で勤務先が変わり、被保険者証の番号も変更となった場合、または退職者で任意で被保険者を継続している場合には、所定の書類を提出する必要があります(全国健康保険協会加入者のみ)。
出産手当金の申請は、出産予定日の確定後、勤務先の担当者に相談します。ただし、出産手当金は申請期限が長いため、企業によってはなかなか用紙をもらえず、申請が出産直前になることもあります。
早く済ませたい場合は、会社が管理を委託している社労士さんに相談するのもおすすめです。
書類をもらったあとは、出産後に医師や助産師さんに記入してもらい、提出するだけ。提出先は加入している健康保険によって異なるので、会社の担当者か社労士さんに尋ねておきましょう。
また、申請は一括して行うものと思われがちですが、産前・産後といった風に複数回に分けて申請することも可能です。
ただし、事業主の証明欄については毎回証明が必要なので、産後バタバタするのを避けたいという気持ちで一括して申請する人もいるようです。
なお、医師や助産師さんからもらう出生を証明する書類に関しては、初回の申請が出産後で、出産日等が確認できる場合には2回目以降省略できるので、分けて申請する際には覚えておくとよいでしょう。
必要書類としては、
などが挙げられます。
出産手当金がもらえるのは、申請後から2~3か月経ってから。手続きが遅れてしまった場合、もらえる時期もずれてしまうので気をつけましょう。
ですが、申請期限は産休翌日から2年以内とかなり長く設けられているので、余裕のある人は焦らなくても大丈夫ですよ。
産休中、子どものことに専念できるのはうれしいことですが、その間給料が出ないのは正直つらいですよね。
でも、こういった手当をうまく利用すれば、無給期間も乗り切ることができるので、しっかり勉強しておきましょう!育休中には「育児休業給付金」がもらえるので、合わせて確認してくださいね。