電力会社を変更したときのメリット・デメリットは?落とし穴に注意!
2016年から「電力自由化」によって、電力会社を選べるようになりました。ですが、変更にはそれなりの手続きも必要なはずです。その手間をかけてでも、新電力を選ぶ理由とは何なのでしょうか?
いくつか理由がありますが、やはり一番わかり易いのは「電気代を節約できる」というポイントです。ですが、場合によっては新電力への乗り換えによって電気代が余計にかかったり、よりお得な電力会社を見逃してしまう事も考えられます。
場合によっては5%~10%ほどお得になりますが、その真逆の場合も考えられます。そこで、「どれくらい安くなるケースがあるのか」「変更することにより損するケースもある」ということについて解説していきます。
目次
具体的にどれくらい安くなるの?
冒頭でも述べましたが、新電力を選ぶことの第一のメリットとして「電気代が安くなる」ということが挙げられます。
では、実際に「東京電力」のエリアにお住まいの3人家族を想定して、「ソフトバンクでんき」「auでんき」「東京ガス」に変更した場合の節約効果について調べてみました。
既存の大手電力会社と比較した結果
東京電力 年間電気使用量5,094kWh/年 年間電気代133,487円
→ソフトバンクでんき(自然でんき・東京電力エリア) 初年度実質10,663円節約
→auでんき(でんきMプラン) 初年度実質12,509円節約
→東京ガス(ずっとも電気1 ガス・電気セット割適用) 初年度実質13,002円節約
上記のような結果になりました。もちろん、電気を利用する条件等によって節約できる金額は変動しますが、多い場合は10%にも上る年間節約効果を叩き出せる新電力も存在します。
また、電気料金が安くなること以外にも、新電力会社独自の自社サービスとして「ポイント」や「サービス」などで、さらにお得になることも無視することが出来ません。
前述の通信会社やガス会社が運営する電力会社の場合、自社サービスとの「セット割」を利用することで、他社よりもさらにお得に電気を利用することができます。
なんで新電力の電気代は安いの?仕組みを徹底解説!
さて、ここまで「新電力は安い!」ということを何度もアピールしていますが、そもそも「なぜ新電力は電気代が安いのか?」ということが気になってしまいます。
自社サービスとのセット割であればまだ利益をあげる仕組みも構築しやすいでしょうが、そうでなくても新電力は一般的に電気代が安く設定されています。
基本的に価格で勝負するしか無い
まず、そもそもの問題として「電力会社の違い」はどこに生じるのでしょうか?例えば「通信サービス」の場合、通信品質などサービス内容の質の高さで勝負することもできます。では、電力会社の違いで生じる「質の違い」はどこにあるのでしょうか?
簡潔に言えば、それは「無い」のです。なぜなら、旧来の電力会社であろうとも新電力会社であろうとも、提供している電気の品質は変わりません。つまり、「電気の質」という部分では勝負することができません。
従来は、一つのエリアに一つの電力会社が存在していました。旧来の電力会社は「競争相手」がいないので、企業間競争による原理が生じません。ですが、今では数多くの新しい電力会社が名乗りを挙げており、既にサービスの提供開始から1年近くが経過しています。
競争相手が存在する以上、いかにして自社の顧客を獲得することができるかということが重要になります。顧客を獲得するためには「他社との差別化」が重要であり、しかしながら「電気の質」では勝負することができません。
そうなると、これからの電力会社は「価格」や「サービス」といった部分で他社との差別化を図る必要があるのです。そして、新電力は「電気代が安い」ということを武器に、旧来の電力会社の顧客を引き込む必要があります。
「手続きが面倒だ」と思う以上に「新電力に乗り換えるとお得だ!」と思わせるためには、やはり「電気代が安い」というわかりやすい指標がやりやすいのです。
少ないコストで電力会社を運営することができる
ですが、いかに価格の低さが新電力の強みになるとしても、高い原価で安くサービスを提供していては大赤字です。これでは、新電力の維持が難しくなります。
ですが、新電力はさほど苦労すること無くコストダウンを実現しています。その理由としては「設備投資のコスト」と「人件費が安い」ということが挙げられます。設備投資に関しては、旧来は電力会社がその全てを電気代に反映する必要がありましたが、新電力は他の事業でそのコストを賄うことができるので、全てを電気代に反映させる必要が無いのです。
そして最も重要なポイントは「人件費の削減ができる」という部分です。ネットショップをご覧になるとわかりやすいのですが、店舗に多数の人員を配置する店舗よりも、ネットショップで少数の運営ができるほうが人件費が安いのです。人件費がかからないということは、その分だけ料金を安く設定しても利益を出すことができるのです。
では、なぜ新電力は人件費を安くできるのでしょうか。その理由は「スマートメーター」にあります。新電力サービスの要となるスマートメーターは、電気使用量のデータが送信されることで、「検針」の必要がありません。つまり、検針に必要な人件費がかからない分、電気料金を下げても十分な利益を出すことができるのです。
電力会社を変更して、高くなるケースもあるの?
新電力を利用することが無条件に電気代を安くすることができるとも限らないという点には注意が必要です。今までのポイントを見れば確実に安くなりそうなものですが、なぜ新電力で損をする可能性があるのでしょうか?
消費量が少ない世帯ケース
まずは「消費電力の少ない世帯」の場合です。新電力は、電気使用量の多い家庭のほうが電気代が安くなるような価格設定をしています。逆に、電気使用量が少ない家庭の場合、最悪の場合は旧来の電力会社よりも電気代が高くなる可能性があるのです。
そもそも、日本の電気料金については「120kWhまで」「300kWhまで」「300kWh以上」という3段階の料金設定がなされています。そして、旧来の電力会社は「使うほど電気単価が高くなる」という仕組みが採用されています。
新電力も同じように、電気使用量が多くなるほどに単価が高くなるのですが、その上昇幅が旧来の電力会社よりもゆるく設定されており、特に一番上の段階の料金設定は大きく下げられています。
ですが、電気使用量が少ない場合だと、この恩恵が受けられないのです。そのため、「単身世帯」「電気使用量が極端に少ない世帯」に関しては、新電力を利用しても電気代が安くならないどころか、利用する電力会社および電力プランによっては今までよりも電気代がかかってしまうことになる可能性があるのです。
オール電化プランケース
さらに、もし「オール電化プラン」など、オール電化向けのプランを契約中の場合、新電力では電気代が増加する可能性があります。というよりも、新電力の多くはオール電化向けのプランを提供していないのです。
そもそも、オール電化プランとはなにかといえば、「エコキュート」の利用を前提とした「夜間の電気使用量が安いプラン」なのですが、これに該当するプランは新電力ではあまり見られないのです。これは、発電に関する背景が大きく変化したことにより、採算が取りにくくなっていることが原因です。
そのため、既存の電力会社が提供しているオール電化プランについても、既に新規契約を打ち切っているところがほとんどです。
これは、既に採算の取りにくいプランへの新規契約を打ち切りつつ、既存の顧客に対してはサービスを提供し続けないと問題になるからであり、そのため仮に新電力へ乗り換えた後に既存の電力会社のオール電化プランに戻そうと思っても、新規契約を打ち切っているので戻すことが出来ないのです。
ただし、今後はオール電化向けのプランを新しく打ち出してくる電力会社も出てくるかもしれません。重要なことは、今までの電気代と、乗り換え後の電気代を比較して、本当に新電力が安くなるのかを確認することです。
電力会社の変更で損しないための注意点
さらに、新電力に乗り換えるにあたっては「解約金」「違約金」等についても注意しなければなりません。契約中の電力プランに契約期間や最低利用期間が設定されており、特定のタイミングで解約しない場合には解約金の支払い義務が発生するプランの場合だと少なくないコストを支払うことになる可能性が高いです。
例えば、先ほど10,000円~13,000円ほど年間電気料金が安くなるというシミュレーションを行っています。仮に、それ以上の解約金が発生するとしたら、初年度は電気代が総合的にプラスになります。2年目以降にマイナスに転じるとしても、初年度にお得さを享受することが出来ないと、本当にその新電力を利用し続けて良いものか判断に迷ってしまいます。
なので、先ほども説明した「新電力が本当に安いのかどうか」だけでなく、乗り換えに際して発生するコストが存在しないかどうかについても確認しておく必要があります。電力会社の契約書類に記載されているかと思いますが、不安な場合は電力会社の窓口に問い合わせを行いましょう。
まとめ
このように、新電力は「安くできる仕組み」があるものの、それを突き詰めると実は「乗り換えることで損をする可能性がある家庭」もあるということが見えてきます。「新電力=安いからお得」というのは、どの世帯でも無条件に適用されるということでもないのです。
本当に新電力が自分の世帯にとってお得なのかどうかは、きちんと料金シミュレーションを行うことが重要なのです。特に、新電力と相性の良くない「電気使用量の少ない世帯」「オール電化の世帯」の場合は、新電力で利用できるポイントサービスや乗り換え元の解約金なども総合的に判断する必要があります。
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新電力に乗り換えることで安くなるか、高くなるかは試算してみないとわかりません。
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