腎臓病食を作る手間を省きたい!腎臓病の方に便利な宅配食事3選
腎臓の機能が低下すると、それまで問題なく排出されていた老廃物が思うように排出されなくなってしまい、体の健康に悪影響を与えます。
そうなると魚や肉など食べられる種類も少なくなり、食事制限をする必要が出てきます。
ご家族の中に腎臓機能の低下した方がおられると、調理時間も料理の種類も今までの倍の時間がかかり、食事を作るだけでも大変な労力が必要になります。
そこで便利なのが、レンジで温めるだけの簡単作業で食事制限できる「宅配食サービス」です。
この記事では食事の手間をなるべく軽くし病気の治療に専念できるよう、腎臓病に方に向いている宅配食事サービスをいくつかご紹介していきます。
目次
腎臓機能の低下を抑える食事療法
腎臓への負担を和らげるには、食事内容の見直し、禁煙、飲酒量を控える、適度な運動、十分な睡眠など生活習慣全体を見直す必要があります。
その中でも毎日の食事内容の見直す「食事療法」は、腎臓病の進行を遅らせることと、身体の健康を保つこと両方の側面で重要とされています。
また、透析導入後も、身体の健康を保ち安定させて透析を続けていくためにも、食事療法は重要なポイントとされているのです。
人によっても食事療法の内容は大きく異なり制限内容も違いますが、はじめに一般的な腎臓機能の低下を抑える食事療法について確認しておきましょう。
たんぱく質を摂り過ぎない
肉や魚などに含まれるたんぱく質ですが、腎臓機能が低下している場合、たんぱく質を取りすぎることで尿素窒素(老廃物)が増えて正しく排出されず、体内の血液中に残って悪影響を及ぼします。
一方でたんぱく質は、筋肉や肌、髪の毛など人間の身体の構成には要不可欠な栄養素。
そのため、適切な量である程度、摂取する必要があるのです。
そのある程度がどれくらいなのか?主治医や管理栄養士に指示された量を守ることが大切になってきます。
エネルギーはしっかり確保する
たんぱく質とは逆に、糖質や脂質などエネルギー(カロリー)になるものはしっかり摂取しましょう。
エネルギー不足となることで、代わりにたんぱく質が分解されてしまっては本末転倒になります。
上の項目で説明したように、たんぱく質が分解されると老廃物が正しく排出されず、体内に老廃物が溜まった状態になってしまいます。
つまり、エネルギー不足となることで、結果的にたんぱく質を過剰摂取した場合と同じ状態になってしまうというわけです。
これでは、せっかくたんぱく質を制限しているのに無意味となってしまいます。
塩分を控える
腎臓機能が低下している場合はナトリウム(塩分)の排出機能も低下しており、塩分を摂り過ぎると正常な排出が行われず、体内に蓄積していきます。
塩分が体内に蓄積すると血圧が上がり、手や顔など身体のむくみ、腎臓にも大きな負担となってしまいます。
塩分の摂取量目安は1日6g以下を目標としますが、担当の主治医の方や栄養管理士の指示に従い、1日にどれくらいの塩分を摂取していいのか確認するようにしましょう。
カリウムの制限
昆布・わかめ・果物類に含まれるカリウム。
人体にも必要とされる栄養素(ミネラル)の一種であり、腎臓が正常に働いているときでは多めに摂ったとしても、尿と一緒に排出されます。
しかし腎臓機能が低下すると、カリウムを正常に排出できなくなり、高カリウム症状を引き起こす原因になります。
高カリウム症状は、体のだるさや吐き気を引き起こすだけでなく、カリウムの濃度が異常に高くなることで、心臓停止さえ引き起こすこともあるのです。
リンの制限
症状によってはリンも控える必要があります。
リンは人間の健康を維持するために大切な物質ですが、多過ぎると骨がもろくなったりするなど人体に悪影響を及ぼします。
正常な腎臓であれば、吸収されたリンと同じ分だけ尿として排出してくれますが、腎臓機能が低下していると体内に蓄積し、やがて高リン血症の原因ともなってしまいます。
腎臓病の方におすすめの宅配食事3選
腎臓病におすすめな宅配食を下の3つの条件のもと、厳選してみました。
- 塩分やたんぱく質、カロリーの計算が不要
- 冷凍保存でき、好きなタイミングでチンして食べられる
- 美味しさの評判が良く、続けやすい
【1位】ウェルネスダイニング
ウェルネスダイニングでは、栄養管理士が監修したバランスの良い食事を宅配してくれます。
バラエティ豊富でメニューの種類が多く、冷凍タイプのお弁当で長期保存も可能。受取りの日時指定もできるので、使い勝手としても利用しやすいと思います。
宅配食としてオススメしたいのは「たんぱく&塩分制限食」コース。
カロリーや塩分の調整がされているだけでなく、たんぱく質やカリウムの制限された美味しい食事構成となっています。
制限内容が塩分のみである場合には「塩分制限食」コースもオススメ。
低タンパクご飯も別で注文できるのも嬉しいポイントです。
ウェルネスダイニングのおすすめ宅配食
|
たんぱく&塩分制限食 |
塩分制限食 |
カロリー |
300kcal以上 |
300kcal以下 |
塩分 |
2.0g以下 |
2.0g以下 |
たんぱく質 |
10g以下 |
– |
糖質 |
– |
– |
カリウム |
500mg以下 |
– |
【2位】彩ダイニング
彩ダイニングでは、栄養士監修で彩豊かな、食欲のそそる冷凍弁当を宅配してくれます。
メニューの種類こそ他社より少なめですが、出汁をしっかり効かせた味付けで、「制限食なのに美味しい」と評判が高いです。
定期購入ではないその都度注文するスタイルなら、自分の好きなメニューも選べるのも嬉しいです。
献立で用意されているのは「たんぱく・塩分調整」コース、「カロリー・塩分調整」コースの2種類。
塩分やたんぱく質だけでなく、カリウム・リンの制限まである方なら「たんぱく・塩分調整」コースがおすすめ。
塩分のみの制限で糖尿病との合併症が気になる方には「カロリー・塩分調整」コースが向いています。
彩ダイニングのおすすめ宅配食
|
たんぱく・塩分調整コース |
カロリー・塩分調整コース |
エネルギー |
310kcal |
240kcal |
塩分 |
2g未満 |
2g未満 |
たんぱく質 |
10g |
16g |
脂質 |
17g |
13g |
炭水化物 |
29.3g |
14.8g |
カリウム |
500mg以下 |
– |
リン |
170mg以下 |
– |
【3位】食宅便
医療・介護福祉施設へのシェアNo.1を誇る「食宅便」。
医療業界で長年「食」に関わってきた実績に裏付けられた実力とノウハウにより、知名度の高い宅配食サービスです。
メニューでおすすめしたいのは「たんぱくケア」コース。
1食あたりたんぱく質や塩分、カリウム、リンの摂取量を調整(ごはん150gを含む)してくれているので、食事制限が必要な方にも安心です。
品数も1食で5品と多く、栄養バランスも良いので健康にも嬉しいです。
味に関しての口コミも、「薄くない味付で美味しい」「献立の種類が多くて続けられる」と評判が良いようです。
食宅便のおすすめ宅配食一例
|
たんぱくケア コース(牛肉と牛蒡のしぐれ煮の場合) |
エネルギー |
210kcal |
塩分 |
1.5g |
たんぱく質 |
7.4g |
脂質 |
12.7g |
炭水化物 |
16.5g |
カリウム |
219.5mg |
リン |
70.7mg |
※メニューの種類により、成分表示は異なります。
まとめ
腎臓病の食事療法では、塩分やたんぱく質を制限し、カロリー調整を行いながら、美味しい食事作りが大切です。
しかし、毎食のように食事作りするのが大変だという方には、上でご紹介したような宅配食事が役立ちます。
宅配食なら塩分やたんぱく質、カロリーの調整を行ってくれているだけでなく、冷凍弁当で温めるだけなので手間も掛かりません。
また、各社ではお得なお試しセットも用意されているので、各社の宅配食サービスを比べてみるのも良いと思います。
ただし、腎臓病の方の食事療法は人によって制限の厳しさや内容が異なります。
そのため、担当の主治医の方や栄養管理士の指示された内容や摂取量を守り、1日でどれくらいのたんぱく質や塩分を摂取していいのか確認した上で、自分に合った宅配食を選ぶようにしてください。
参考サイト:
NPO法人 腎臓サポート協会
国立循環器病研究センター
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター
メディカルネットブック