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退職が決まったら有給消化中でもボーナスはきちんともらえるの?

 

6月と12月は退職する人が多いと言われています。

その理由はボーナス支給日だからですね。

しかし、ボーナス付近の退職はトラブルになりやすく、想像していた金額をもらえないようなトラブルも多いです。

また、同じように退職直前の有休消化もトラブルを引き起こしやすいですね。

有休消化中のボーナスとなると、さらにトラブルが起こりやすいです。

「退職するなら、この会社に気をつかう必要もない!」と強気に会社に金銭面の要求や打診を図る方が多いですが、なかなかまとまらない現実があります。

この記事では、退職とボーナスのルールを整理し、それらの関係性をまとめ、できるだけ損をせずに退職する方法と、トラブルを避けるための対処法などをご説明します。

目次

ボーナス(賞与)とは

そもそもボーナスとはいったい何なのでしょうか。

基本給が同じでも、ボーナス金額が違うことがありますし、年度によっても変わります。ボーナスの金額はいったいどのように決まっているのでしょうか。

また基本給や手当と、どういった違いがあるのでしょうか。

給料とは別に支払われる給与のこと

毎月支給される月給には基本給、残業代、各種手当などで構成されていますが、ボーナスとは、それとは別に支給される賃金のことを指します。

一般的には夏(6月)と冬(12月)の年2回のボーナスがあり、クレジットカードにボーナス一括払いという支払方法があるように、一般的なものです。

また、ボーナスにも所得税などの各種税金は適応されます。

基本給とボーナスを分ける意味はあるの?

労働者からすれば、どうせボーナスがもらえるなら、毎月の給料に割り振ってほしいと思ったことはありませんでしょうか。

実はこれには企業側に狙いがあるのです。

一つ目は社員のモチベーションの管理です。

月収25万円でボーナスが30万×2の場合と月収が30万でボーナスが無しの場合は年収で言えば同じ360万ですが、前者のほうが高いモチベーションで働けることが分かっています。

まとまって大きなお金が入るほうが幸福感を得やすいのが大きな要因です。

また、後者のほうが年収に不満を持つことが多いのです。

同じ年収なのに満足度が違うのは不思議なことですよね。

次にボーナス額を変更しやすいという点です。

例えば企業経営が傾き想定よりも利益が得られず、人件費を削減するしかない状況だと、固定給減額よりもボーナス減額の方が仕組み的にやりやすいのです。

また、従業員の立場で考えても固定給ダウンのほうが落胆の気持ちが大きくなりやすいのです。

最後のメリットは税金対策がしやすいことです。

思ったよりも業績がよく利益が残るケースです。

例えば、会社に利益が5000万円残ったとします。

法人税を50%と仮定して、そのまま決算すると、会社に残る金額は2500万円になります。

しかし、ボーナスとしてその5000万円のうち2000万円を社員に還元すると、会社に残るお金は3000万×0.5の1500万となります。

会社に残るお金に1000万の差が出ますが、2000万の給料として社員に還元されるのです。

社員はもちろん所得税含め、色々差し引きされますが、法人税よりは税率が低いので、社員の給料も含めて会社の資産と考えるのであれば、かなり得することになります。

ボーナスの算出方法は2通りある

求人情報の賞与の欄でよく見られる表現に「給与〇ヶ月分」といったものがあります。これは基本給をベースにボーナス額を算出しているので、金額は安定しますが、会社への貢献がリアルに反映されにくい特徴を持っています。再度繰り返しますが、基本給がベースになっているという点にご注意ください。

例えば、

社員A…基本給21万、その他手当2万

社員B…基本給12万、その他手当12万

(ボーナスは夏・冬に各1,5ヶ月分)

このような2名の社員の年収を計算してみましょう。

社員A…(21万+2万)×12ヶ月+2回×(21万×1,5ヶ月)=276+63=339万円

社員B…(12万+12万)×12ヶ月+2回×(12万×1,5ヶ月)=288+36=324万円

このように、毎月得られる金額は社員Aが23万、社員Bが24万と社員Bの方が高いが、ボーナスも含めると社員Aの方が上回るのです。

これは一例ですが、企業によっては、手当が基本給の2倍、3倍以上といったケースもあります。

ボーナス額を意図的に減らすために基本給をわざと少なくしている会社も少なくありません。

また、退職金なども基本給をベースに組み立てることが一般的です。基本給はそれだけ重要な項目なのです。

もう一つ算出方法があり、成績によってボーナス額を査定する方法です。

この方法だと基本給の金額は全く関係ありません。

好成績を残せば額は大きくなる半面、結果を出せない場合は少なくなってしまいます。

所謂、成果主義というものです。査定の期間については年間、半年、3ヵ月間と企業によります。

会社によって、どのような算出方法にしているかは様々ですし、併用している企業も多く見受けられます。

一般的には営業職は業績によるボーナス査定を行っていることが多く、結果を出せば高い給料が見込めるでしょう。

ボーナスに関する法的な決まりはなく、会社の裁量で決まる

ボーナスの金額や頻度は会社の裁量にすべて任されており、法的なルールや制限は一切ありません。

基本給と違い、労働をすれば必ず発生するものではないのです。

つまり、企業はあなたにボーナスを支給する義務はないのです。中小・零細企業ではボーナスの無い企業も少なくありません。

ただし、労働契約、就業規則などでボーナスの支払い規定が定められているのであれば、企業は支払いの義務をもちます。

ボーナス支給日前後の退職でももらえるのか

ボーナス支給日の前に退職をしてしまったら?

会社の就業規則によります。

一般的には、ボーナス支給日に在籍さえしていれば、ボーナスを受け取る権利はあるとされています。

言い換えれば、ボーナスの額を決めるための評価期間にどれだけ働いていても、支給日に在籍が無い場合はボーナスを支給しなくても良いとされています。

ボーナス支給日が退職直前の有給消化中の場合は?

よくある質問の一つですね。

6月10日が最終出勤日で有給10日間を消化し、6月20日が退職日のAさんを例に挙げましょう。

Aさんの会社ではボーナスの支給日が6月15日と決まっており、その日は会社に在籍もしています。

したがって、ボーナスを受け取る権利があると考えられます。

しかし、企業側視点では、退職が決まっている人に対してボーナスは支払いたくないと思うのは当然です。

それなら、他の社員のボーナス額を上げたほうがマシと考えるでしょう。

こういった例の場合、Aさんは想定額のボーナスを取得できるのでしょうか。

その答えも就業規則にあります。

就業規則に指定された日にちに指定の割合でボーナスを支給するといった内容の記載があれば、ボーナスは賃金扱いになるので、正当に請求できるでしょう。

ボーナス支払いについての記載がない場合は、ボーナスはプレゼント的な扱いとなり支給されない可能性が高いです。

退職前後のボーナスでトラブルにならないために気をつけたいこと

ボーナス支給直後の退職願の提出は「もらい逃げ」と言われることも

退職を伝えるとボーナスを得られない可能性があると知り、ボーナス支給直後に退職願を提出するケースは少なくありません。

金銭面だけを考えるなら、当然の行動ですし、法律違反でもありません。

しかし、会社内からは「もらい逃げ」と言われ、悪い印象を与えてしまう恐れがあります。

転職後もその会社とのコネクションを活かせる場合、非常に狭い業界内で同業種の転職を考えている場合は、一ヶ月ほどの時間をおいてから退職届を出すことを推奨します。

特に、冬のボーナスの支給日は12月月の中頃です。2週間ほど勤務すれば、冬期休暇がありますし、その期間を経てから退職届を提出するのはいかがでしょうか。

「実家に帰った際に、仕事の悩みについて話をしたことで退職を決意するに至りました」といった、冬期休暇を理由の1つにするとより自然になります。

前企業とのコネクションは退職後も意外と必要なことがありますので、できるだけ円満退職を目指しましょう。

支給日前に退職願を出した場合、減額の可能性も出てくる

会社は利益を追求する組織であり、利益にならないあきらかに無駄な行為は基本的にしません。

よって、あなたがすぐに退職すると会社が分かった時点で、ボーナスに対して何等かの変更や処置を行うのが普通です。

ボーナスはゼロにはならなかったとしても、減額されるケースもあります。

特に、就業規則にボーナス割合の記載は無く、支払うといった記載だけの場合に多いです。

支給日後の退職日で申告をしても、その前に退職するよう促されるケースも

ボーナスの取得を阻止するために会社から、退職日の変更を促される場合があります。

しかし、退職日の決定権は雇用側ではなく労働者本人です。

会社側が強制的に日にちを決めたとしても、従う必要は全くありません。

企業もその事実を分かっているはずなので、拒否しにくい形で伝えられる可能性があるので気を付けてください。

例えば「〇日の退職は認められませんでしたので、〇日に退職することに決定しました。」といったあたかも当たり前の権利のように促されます。

今の会社のボーナスにこだわらず次の会社の算定に力を入れる方がいいことも

ボーナス取得後にすぐに転職し、次の会社でもボーナスを取得することが、理想的な流れと言えますが、このような詰め詰めのスケジュールだと、転職先での最初のボーナスはあまり期待できないかもしれません。

というのも、ボーナスとは一般的に半年間の評価期間、賞与の算定期間での実績によって額が決定します。

よって、ボーナスを取得してすぐに転職が実現できたとしても、転職先にて試用期間が設けられている場合は、その期間評価はされません。

結果的に、賞与算定期間が短くなってしまい、ボーナスの金額が減る可能性があります。

そもそも、ボーナス取得直後に退職することは難しいですし、再就職手当を受けるのであれば、待機期間や、1ヶ月の求職活動期間を必要とするので、さらに評価期間は短くなってしまいます。

現職のボーナスを諦めて、転職先のボーナスを優先することで、多くのボーナスを得ることもあるのです。

まとめ

退職においてボーナスや有休消化については、かなり高い確率で悩む課題です。

「会社に嫌われたくない」「もう会社に関わりたくない」といった気持ちから、相手の有利な条件で退職が決まってしまうこともよくあることです。

しかし、これらは迷惑をかけているのではなく、正当な権利です。転職にあたってお金も必要になることも多いので、しっかりもらっておきましょう。

また、ボーナスを得てから転職することにこだわりすぎると、転職先の期待している入社時期に間に合わず不採用になってしまうという最悪のケースも考えられますので、転職の目的を見失わないように気を付けましょう。

ボーナスのために転職するのではなく、お得な転職を実現するために、ボーナスを利用するだけです、ボーナスはあくまでおまけぐらいに考えておいたほうが良いでしょう。