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1年目、2年目で看護師を辞めたいと考えている方へ転職のアドバイス

 

看護師の離職率は高く推移していますがそれだけ看護師の転職には需要があるということです。

しかし、新人における転職は今後の看護師人生に大きく影響されます。今回は離職を考えている新人看護師に対しアドバイスを含め、入職や転職先に対するポイントを医療者側、自己の視点も踏まえ解説させていただきます。

 

目次

1年目、2年目で辞める看護師はどれくらいいるの?

2016年の厚労省の調査によりますと新人看護師(1年以内の離職)の離職率は7.8%と毎年横ばいで推移しています。常勤看護師の離職率が10.9%ですので7.8%という数値は比較的高い傾向であることがわかります。

看護師2年目の退職実績は公式なデータがないため掲載はできませんがある研究のデータによりますと平均7.1%といったデータも算出されています。2年目のデータは悪まで指標として捉えて頂きたいのですがやはり看護師の離職率推移は1年目の新人看護師同様、2年目においても高いことがわかります。

これは2016年のデータですが現在、看護師不足から一人一人における業務量も増しており更なる離職率の増加が懸念されています。

看護師が1年目、2年目で辞める主な理由は?

護師1年目の主な退職理由

①想像としていた現場と実際の現場のギャップを感じ離職するケース

学校卒業後、様々な気持ちを胸に就職しますが自分の思い描いていた現場とのギャップが強すぎて離職を余儀なくするケースが非常に多いです。

実習では患者一人を受け持ち多方面からその患者を捉えられますが現場ではそうはいきません。現在の一般病院では7対1の看護体制が基本ですし療養型などでは15対1、それ以上の受け持ちを持たされる施設も少なくありません。

新人のうちは業務が中心となりますし患者と関われる時間も限られてきますのでそのような現状や劣等感、葛藤を抱き離職される新人が非常に多いです。

②精神的疲労で離職するケース

1年目の看護師はサービス残業なんて当たり前です。サービス残業といった言い方では誤解が生じるかもしれませんが定時に帰る新人看護師はどこの病院にもいないのではないでしょうか。日常業務に加え、振り返りや処置・検査、疾患の自己学習、翌日予定の検査や処置の事前学習、患者の情報収集等、挙げればきりがないくらいすることは沢山あります。

これだけの内容をこなすと考えると業務内や時間内に終わるわけがないのです。

帰る時間が遅くなることでプライベートは充実しませんしストレスは溜まる一方です。そのような理由から心身共に疲労を感じ挫ける看護師も多い傾向にあります。

③人間関係が上手くいかない

入職後は上記以外にも人間関係を形成する時期でもあります。正直、これは業務よりもきつい作業といっても過言ではありません。プリセプターや上司からは厳しく指導される事も多くありますし時には怒られる事もあるでしょう。考えただけでも辞めたくなりますよね。

学生の際は周りに共感してくれる仲間も沢山いますし心強い教員もいます。就職すると愚痴を吐く機会も少ないですし時間をつくる事すらままならないのではないでしょうか。そのような人間関係に悩まされ一人で抱え込み、精神的に滅入ってしまう方や挫折してしまう方は非常に多いです。

 

しかし、成長や期待をしているからこそ指導してくれているのです。何も言われなくなることが一番怖いです。私も新人のうちは指導や注意で何度挫折しそうになったか数え切れません。

ただ、振り返り感じる事はあの時厳しい事を言われたからこそここまで成長できたと痛感します。怒られている時や注意を受けている時は『辛い』『きつい』『悔しい』といった気持が先行し気づきませんが月日が流れ自分が先輩になった時、先輩や指導を頂いた方々の言葉の意味やありがたみに気付き感謝するときがくるはずです。

この試練は皆が通ってきた道です。あなたが乗り越えられない事はないはずです。

看護師2年目の主な退職理由

①2年目は自立。そのプレッシャーが仇になり離職するケース

2年目ともなるとある程度の人間関係も構築され業務においても慣れてきます。少し自分に自信がついてくる時期ではないでしょうか。

2年目ということは必然的に後輩や新人が入ってくるということになりますよね。

後輩がはいったことで自分の経験の浅さや甘さといった事が浮彫になります。

また、新人では何でも聞けますが2年目で初歩的な事を聞くと今まで何をしてきたのかといった視点でみられます。2年目の看護師の離職理由で多いのが自立を促されそれをプレッシャーに感じ離職に至る事です。そう考えると1年目の下積みで今後の自分が大きく変わるということがわかりますよね。

②看護観の変化、自己展望が明確化し離職をおこなうケース

前述したように1年目はがむしゃらに努力をする時期で自分の事で精一杯です。

ですが2年目になりある程度、業務や人間関係に慣れてきたら病院全体を客観視できるようになります。

病院の方針や看護のあり方が少しづつわかるようになり自分のやりたい事や目標もみえてくる時期です。自分が今後、当機関でキャリアアップや成長が望めないと感じ離職される方も少なくないようです。

正直、二年目で病院全体を把握することは無理ですが自分の展望や目標に沿わないと自分の中で確証ができればその夢に向かい転職することがいいでしょう。

看護師1年目、2年目で辞めると不利なの?

看護師1・2年目で離職をするのは転職の際に不利になるというのは事実です。しかし、上記のように自分のやりたい事が明らかになった際や目指したい看護が明確化すればそれは不利に転じる事はありません。何をもって離職をしたのかが重要なのです。

面接の際は離職理由を聞かれますので離職した際の理由や今後のプランを明確にして早期の離職が意図するものであることを答えられるようにしておきましょう。

看護師1年目、2年目で辞めても転職できるの?

もちろん転職先は沢山あります。初めての転職であればいくらでも軌道修正が利きますし正当な理由や動機付けが整っていれば大学病院や大手企業の転職も可能でしょう。

しかし、これが就職後、3回4回と早いペースで転職するようになると年齢は若くても一気に就職の幅が狭まります。

もちろん短いスパンで転職を繰り返している方は転職理由においても正当性が欠けてきますし採用率も下がりますので注意しましょう。

経験3年以上の看護師の方が転職では有利

石の上にも3年と言われるように3年経過しないと企業や病院自体がみえないと言われています。そういった面では一年で離職するより三年持続したほうがいいにこしたことはありません。

しかし上記でも述べたように正当な理由があればそこは加味する問題ではないでしょう。

3年働いたほうがいいからといって我慢して働くよりも自分の展望が明確になった時点で動いた方が効率性や有効である場合もあります。年数よりも質が大事ということです。

それを立証するには正当な動機付けや将来展望の明確化といった点が重要な作業ですので念頭においておきましょう。

看護師1年目、2年目は第二新卒を積極的に採用している病院が狙い目

第二新卒の募集はかなり多くあります。医療機関によっては新卒よりも第二新卒を好んで採用する病院も少なくありません。

第二新卒はある程度のケアや処置ができるとみなされていますので新卒に比べ業務に適応しやすいですし経験年数も短く吸収性にも富んでいます。

そのような観点から第二新卒を募集している医療機関は多い傾向にあります。

看護師1年目、2年目におすすめできない転職先

老人系施設

老人系施設(介護施設)と病院の大きな違いは治療を行うか否かです。

介護施設は患者と密に関われますが業務の全般はオムツ介助や食事介助、バイタルサイン測定など患者の日常生活をサポートすることが看護師の大きな役割です。

点滴や吸引、処置等の業務もありますが比較的少ないですし手順の正当性が問われます。患者が比較的落ち着いた状態で入所するため看護業務が少ないのです。

 

幅広い看護業務や知識・経験を習得するのは難しいかもしれません。例え座学で努力してもそれだけの症例を実際に見たり関わる事が少ない為、座学と実践を関連づけて学習する事ができません。

クリニック

クリニックは診療の補助といった事が看護師の主な役割です。

こちらも上記同様に看護業務や多くの疾患を学ぶのは困難でしょう。クリニックは取り扱う疾患も決まっていますし保存的な治療や処置を目的とした医療機関ですのでスキルアップにも繋がりません。

クリニックは残業もなく業務内容も忙しくはありませんので精神的負担は軽いですが学ぶ場所ではないため新人での就職はおすすめできません。

訪問看護

訪問看護は個別性を重要視しています。決められた時間でその患者に何が求められるのかといったアセスメント力も必要になりますし患者が急変した際も一人で対応しなければなりません。

多くの知識を求められる仕事ですし高いコミュニケーション能力も必要です。

 

統合的に患者を捉え柔軟性も問われますので、座学のみの経験だけでは訪看でやっていくのは厳しいでしょう。

そういった理由から訪問看護の新卒における求人募集も非常に少ないです。

回復期リハビリ病棟

回復期リハビリ病棟では在宅復帰を目標に多職種を交えたチーム医療で看護展開をおこなっていきます。チーム医療といった視点では非常に学びが深いですが上記同様、医療行為がほとんどありませんし日常生活、自宅支援といった事が業務の中心になります。

又、急性期を脱した患者(状態が安定している患者)が中心ですので急性期看護や病態生理を業務で学ぶ事ができません。慢性期やリハビリ看護に興味をお持ちの方にはおすすめですが急性期や解剖・病態を理解できていなければ個々に応じたケアのクオリティーが下がってしまいます。

土台形成をどこの医療機関で深めるかで今後の看護観やケアにおいても大きく変わってきます。

 

個人的には急性期病院でしっかり土台を形成した後に慢性期病院で働く事がおすすめです。患者を観る視点が変わってきますしエビデンスの幅が広がります。

緩和ケア病棟

緩和ケアの看護師の大きな役割は患者がいかに安楽かつ苦痛なく死に向き合えるかです。

又、患者を始め家族も含めた全人的ケアが必要となります。

 

もちろん処置や治療は少ないですし患者の終末期に携わる業務ですので精神的な負担も大きいでしょう。患者やその家族はよりシビアになりますしあらゆる症状や今後の治療において看護師は熟知しておかなければなりません。看護師の関わり一つで患者が満足するか否かが決まるといっても過言ではありません。

新卒での入職はおすすめできないわけではありませんが学べる知識も少なく責任は重いですので新卒の離職率は非常に高いとされています。

精神科病院

病院と精神科における看護師の役割はかけ離れています。

精神科は心の治療を目的としていますので処置はほとんどありませんし内服管理や個々の患者のセルフケア管理が中心となります。

新卒で精神科勤務が長いと一般病院では適応しづらくなりますし他科における学びや看護の習得が困難ですので精神科病院への就職はおすすめできません。

上記において精通して言える事は学べる看護業務が限られていることです。

老人病院では業務が煩雑化しているところも多く理想とする看護とのギャップに悩まされることになるでしょう。

今後スキルアップを目指したいと考えても上記機関での勤務が長くなるほど転職が難しくなるといった現状もあります。

又、老人施設等の看護業務は経験スキルあまり繋がりませんので新たな病院では一から学ぶ必要があります。

何度も言いますが、新人は看護の土台が形成される時期になりますのでプリセプター制度や研修制度の充実した医療機関で学びを深めるほうがいいでしょう。

個人的な意見ですが新卒ではできる限り急性期病院や大学病院での勤務をおすすめしています。

急性期で実践を積めば自分のスキルや自信にも繋がりますし転職で困るといった問題は全くありません。

看護師1年目、2年目の転職活動のアドバイス

経験3年以上の看護師の方が有利でも、まずは自分を一番大切に!

世間では最低でも3年といった暗黙のルールが根付いていますがそこは重要視しなくてもいいと私は思います。

上記でも説明したように自分の展望ややりたい事が見つかれば無理して働く必要はありません。確かに継続は必要ですし嫌なことから逃げてばかりだと成長はできません。

仕事が辛く辞めたくなることは誰にでもあります。しかし、それを乗り越えた先に見える成長や達成感は必ず自分の強みになります。皆が乗り越えている道です。

自分の気持ちに妥協したり、『きつい』『しんどい』等の容易な理由での転職はおすすめできません。

看護師1年目、2年目でもこんなケースは転職をした方が良い

①病気や体調不良 看護師をしていると人間

看護師をしていると人間関係を始め多忙な業務、労働環境の不満等でストレスが溜まり病気になる方が多いです。皆さんの周りにもそういった方がいるのではないでしょうか。

身体的な体調不良はリフレッシュ休暇や、可能であれば有休等を使い体を休める事が最善です。体調が悪いのに働いても余計体調は悪化しますし自己調管理ができない方に患者の管理はできません。まずは自分の体を一番に考えましょう。

 

身体的な不調であれば仕事との間に距離を置くことで改善がみられることが多いですが問題なのは精神的な不調を起こす事です。

悲しい現実ですが看護師はうつ病発症率が非常に高い傾向にあります。精神的な病気は自己の人生にまで大きく影響を与えますので精神的変化を感じる前に策をうちましょう。

うつ病にまでなって仕事を継続する必要性はありません。

②いじめに合っている

この問題は新人に多くみられます。残念ながら比較的多くの医療機関で多少なりともこのような実態があります。

このような問題で上記のようなうつ病を発症してしまうケースは多いですので部署移動や転職も視野に考えたほうがいいでしょう。

③セクハラを受けている

パワハラやセクハラ等も上記のような精神的疾患発症の大きな要因となります。

このような行為を受けている際は自分一人で抱え込まず先輩や師長等に相談しましょう。

相談しても改善がみられない際は離職も視野に考えましょう。

④病院の看護観が合わない

病院の看護観と自分の看護観が合わない事は多々あります。自分の看護観に全て合致する医療機関のほうが明らかに少ないです。

だからといってすぐに離職するのではなくそこから自分の看護観を導く努力や合致点を探す作業は必要です。看護観の不一致でお悩みの方は自己考察や医療の看護観について振り返ってみるのもいいかもしれません。

明確にしたうえでそれでも医療機関での将来がみえなければ心置きなく転職していいでしょう。

転職理由を明確にすることで次の転職先が見えてくる

なぜ転職に至ったのか今後の展望が何か自己分析を交えましょう。回想といった作業から導き出せる答えは沢山あります。

前職での反省点や自分の看護観を一度振り返り今後の展望を明確にしましょう。

この作業ができれば今後の自分が求める看護方針が明らかになり自然と転職の方向性や希望機関もみえてくるでしょう。

履歴書や面接で退職理由、転職理由をどう伝えるかが重要

ポジティブな理由で退職を伝える事がベストだと考えます。

例えば、今の病院で経験を積んでいくにあたり更なるスキルアップを目指したくなった。資格取得にチャレンジしてみたい。

このような前向きな理由が一番有効であると言われています。前職で学んだ経験や自分の強みを新たな病院でどう活かしていくのか、自分のビジョンを明確にしたうえで転職理由に動機付けましょう。

当内容に関連したコラムも作成していますのでそちらも合わせて参照していただくとより詳細にわかります。

①前職の悪口を言うのはNG!

転職以前の問題ではありますが愚痴や文句、医療機関の悪口は慎みましょう。

自分が経験させてもらった病院の悪口を言うのはモラルに欠けますし新たな医療機関の職員と前職の職員が繋がっている可能性だって大いにあります。

医療機関の悪口を言って、もめたケースも私自身沢山みてきました。言っているときはすっきりするかもしれませんが自分の度量が小さい事を周囲に広めているだけではないでしょうか。

看護師に限らず言えることですが悪口や文句を言って得する事は必ずありません。

まとめ

今回は新人向けの転職アドバイスやポイントを紹介させていただきましたが皆さん参考になったでしょうか。私自身もそうですが新人の苦労は計り知れません。

しかし今だから言える事ですが若いうちの苦労は買ってでもしたほうがいいのは本当です。自分が新人の時にどれだけ努力できたかで今後の自分が大きく変わります。

 

精神的なダメージを負ってまで働き続ける必要はありませんが今ぶつかっている壁や辛さを乗り越えられたからこそ得られる結果や成長は大きいです。まずは一人で悩まず信頼できる家族や先輩、友人に相談しましょう。

 

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