希望とする医療機関がみつかっても面接で落ちてしまえば意味がないですよね。
看護師転職の事前準備や面接マナーですが意外と知らない方が多い傾向にあります。
看護師転職の面接は看護師不足の影響もあって比較的合格率は高い傾向にありますが皆さんが面接にあたり万全の状態で挑めるよう、面接における準備から面接マナーまで詳しくご説明します。
看護師経験1~4年目は看護の土台ともなる部分です。以前働いていた病院での経験から何を感じたのか、今後どうしていきたいのかを明確にしましょう。
柔軟性や実績も必要ですがここでのポイントは“やる気”です。
これがしたい!これを学びたいといった意志を明確にすること。転職する医療機関の特色
と照らし合わせる事で意図のある転職であることアピールしましょう。
例1)認定看護師・専門看護師を目指す上で貴院の○○といった看護方針に共感でき是非
、貴院で知識を深めたいと強く思いました。
例2)以前勤めていた病院で後輩ができたことが大きな要因です。自分が教えるといった
立場にたった際、自分に足りていない分野が明確になりました。看護師5年目をターニングポイントとし貴院の○○でスキルアップを目指したいと強く感じました。
例3)結婚や育児といったライフイベントをターニングポイントとし新たな環境で働き
たいと強く感じた為、転職に踏み切りました。
中堅看護師では結婚や育児等のライフイベントの他、仕事面でも自己展望や看護観にお
いて大きく揺れる時期でもあると言われています。
ここではキャリアアップの転職活動であることをアピールしましょう。また、中堅看護師で
は委員会活動やプリセプター等、前職での活動等もアピールポイントに加えてもいいかも
しれません。
例1)前職ではチームリーダーの役割も担っており新人教育に力をいれていました。今後は学んだ知識を後輩たちに還元していく時期だと考えておりチーム医療に特化した貴院に惹かれ転職を決意しました。
例2)自分のキャリアを活かせる病院を求め貴院の○○といった部分に魅力を感じ転職を決意しました。ベテランではありますが先輩として誇れるよう日々の看護や患者との関わりから看護を深め精進していきたいと考えています。
ベテラン看護師ではキャリアだけでなく協調性や柔軟性、リーダーシップをとる力も必要とされますので自分の実績や得意とする部分を踏まえ、どのように医療機関で発揮していくかをアピールするとより効果的でしょう。キャリアアップといった視点ではなくキャリアを活かす病院といった視点で医療機関を捉え、各医療機関の長所やポイントを探していきましょう。
例1)私は認知症疾患に興味があり認知症に纏わる資格を取得してきました。以前の病院
では業務に追われる日々で患者と密に接する機会が少なかった為、資格をいかせる病院の転職を視野に入れました。貴院では認知症の患者を数多く扱っており看護の質においても特化しているとの情報を知り貴院の看護方針に魅力を感じました。
貴院で患者と密に関わり、日々学習を重ねることで認知症疾患や個々における看護・ケアについて深く学びたいと思います。
探求心は仕事をおこなっていく上で必ず必要とされますし自分の能力を発揮するためにも重要なものです。きっかけやそれに向かって自分が取り組んだ点、今後の展望も踏まえアピールするとより現実性が得られ好感も得られます。
例1)私は日々の業務を丁寧かつ時間内に終わらせる為、優先順位付けや時間配分といった点を意識し今日まで取り組んできました。時間を意識することで物事の優先性や時間配分について業務を客観視して捌く事ができるようになり広い視野で物事を捉えることができるようになりました。
ここでは日々の業務や取り組みを行う上で努力した内容に焦点をあてアピールしましょう。
努力をした結果、どうなったのか、希望機関でどう活かせるのかといった点が重要となりますので結果を明確にしたうえで内容の肉付けをおこないましょう。
例1)私は将来、認知症認定看護師を目指し認知症に纏わる資格の取得をおこなってきました。貴院は認知症ケアに特化しており認知症認定看護師も在中している為、認知症患者におけるケアや看護について更なるスキルアップに繋がるのではないかと考え貴院を希望しました。貴院で転職が叶った際は、個々のケアを重視し日々の関わりから学びを深めていこうと考えます。
ここでは初めに自己展望や夢を明確にしておきます。その後、それに向けて今まで努力した事や今後、希望とする医療機関で学びたい事、取り組んでいきたいと思っている点を順序だててPRするとより効果的でしょう。
例1)私は以前、急性期病院のICUで所属していた事もあり、数多くの疾患・治療に携わってきました。病状初期の前駆症状に対しても知識を深め急変時の対応もできることが自分の強みでもあります。貴院は急性期から慢性期と幅広い患者の特色があり広い視点から看護をおこなっていますので自己の知識や経験を貴院で活かしていきたいと考えています。
以前働いていた経験や今まで得た知識・自分の強みをアピールし今後、希望機関でどう活かしていきたいかまで明確にしておきましょう。
例1)貴院では子育てをしながら働いている方も多く支援サポートも多い事から安心して働ける職場であると感じました。
子育てにおいては両親のサポートも整っており職場への影響は最小限にとどめたいと思っています。職場、家庭の両立を図り日々精進していきたいです。
ここでは子どもがいるものの、仕事への影響は最小限にするといった意気込みや両立をはかるといった前向きな姿勢がアピールポイントになってきます。
子どもがいても全く業務に支障はでないと言いきってしまうと嘘になりますので断言するのは禁忌です。
例1)看護を行う上で多方面の視点から看護の経験をしたかったので多々転職はしていますが経験を積んだ分、多くの視点から疾患に限らずケアや看護が行える事が私の長所です。今まで学んだ知識や技術を貴院でも活かし日々精進していこうと考えます。
多くの転職をしている事はいい印象を与えませんので、沢山経験したことで看護の視点が広がりどういった結果や強みになったというポイントをアピールすることが大切です。
多くの転職に伴う利点や有用性を予めピックアップしておくといいでしょう。
例1)私は循環器患者の看護は初めてですが以前よりすごく興味がありました。自分の興味分野として循環器科の勉強はしていましたが実際の現場で患者に携わる事で座学の学びだけでなく日々の業務でも適用できるようになりたいと強く思っています。貴院は循環器の患者を専門としている病院でありカテーテル治療や外科的治療もおこなっていることから幅広い医療・看護を貴院で学びたいです。
その科や医療機関が取り扱う診療科に対して興味があることをアピールしましょう。
実際に携わったことのない科の病院であればその科の事前学習や事前調査を行いやる気アピールをすると好感を得られます。
企業や医療機関が欲しい人材は能力がありかつ仕事への熱意がある人です。なぜ志望動機を医療機関は確認するのでしょうか。それは大きく分けて以下の二つに分かれます
まずは面接者が志望動機でどこに着目しているのかを理解しておきましょう。
『自分には将来このような野望や夢がある。その夢を叶えるためには貴院しかない』
『この医療機関でやり遂げたい』といった強い意志を伝えましょう。目的を明確にし、貴院でおこなっていきたいプランを的確に伝える事は非常に有用ですし高く評価されます。その為にも病院のリサーチは必須となります。病院の情報を知らず上記のような言動は仇となるため気をつけましょう。
自己PRでスピーチする際は5分程度に収めましょう。話が長すぎると意図する部分が面接者に伝わらない場合もありますので冒頭に自分が伝えたい事を述べその後、経緯や自分の考えを述べるといいでしょう。
注意点)志望動機の際、休みが多い事や高給料であるからといった回答は控えましょう。
給料体制の充実を売りとしている医療機関は多数ありますが基本的に給料面には触れないようにしましょう。
看護師の退職における主な理由は給料面と人間関係この二つがダントツに多いと言われています。しかし、退職する際に給料が安い、人間関係が悪いので辞めますとは言えませんよね。
嘘も方便といった言葉があるように円滑な退職を行うには多少の嘘も必要であるということです。
ここで重要になるのが退職理由ですが、一番安泰な理由はやはり結婚や出産、育児に専念したいため辞職を余儀なくするといった形ですが辞職を考えている最中、そんなタイミング良く上記のようなライフイベントが訪れる確立は低いですよね・・・。
では、どのような退職理由が印象や好感を落とさず辞職できるのでしょうか。
それはポジティブな理由で退職を伝える事がベストではないかと考えます。
例えば、今の病院で経験を積んでいくにあたり更なるスキルアップを目指したくなった。資格取得にチャレンジしてみたい。
このような前向きな理由が一番有効であると言われています。しかしこれだけでは甘いです。では、ここの医療機関で資格取得やスキルアップを目指したら?といった話になりますので取り扱っていない科や希望する医療機関でのスキルアップを目指したい!といったような一段階掘り下げた理由と多少の嘘も必要です。
自己展望や夢に向かって離職する人に対し無理に残れという医療機関は少ないですので有効性があります。
仕事の文句ばかり言うと医療機関側からも良くは思われませんし退職理由を仕事や人間関係が嫌だからといった視点で捉えられてしまいます。転職以前の問題ではありますが愚痴や文句は医療機関内では慎みましょう。
又、離職事情を友人や上司に相談する際は信用の厚い人に相談しましょう。安易に離職する
事を誰にでも話すと話が広がり後々、自分で自分の首を絞める事になります。
例1)○○を学ぶことで更なるスキルアップを目指したいと感じた為です。
例2)貴院は○○に特化しており興味分野である○○を貴院で学びたいと感じた為です。
ポジティブな回答を希望機関の特色に合わせ回答することを心がけましょう
例1)以前勤めていた医療機関で自己展望や将来ビジョンが明確になった為です
例2)更なるスキルアップ、自己研鑽に努めるため新たな地で学びたいと感じました
こちらにおいても将来や自己展望、自己研鑽といったポジティブな印象の回答を心
掛けるのがベストでしょう。
例1)貴院は○○に特化しており更なるスキルアップがはかれると感じました。
例2)貴院の○○といった部分に共感でき、貴院で学びたいと強く感じました。
事前の情報収集から自分のやりたい事が医療機関の方針や看護の理念に当てはまって
いる事を強調しましょう。ここでやり遂げたいといった強い意志を伝えることがポイン
トです。
例1)貴院は○○に特化していることから、○○に関連した知識・技術の向上とそれに
纏わる資格の取得を将来は目指しています。
例2)看護だけでなく研究や自己学習を自主的に行い自己啓発につとめていきたいです。
スキルアップや自己研鑽に励んでいくなど前向きな回答がベスト。やる気アピール
をしましょう。
例1)免許取得後、急性期病院のICUで3年間、応援看護師の制度を使い1年間、循環器
病院で勤務していました。
ここで前職の強みや経験をアピールする方がいますが悪までも経緯を把握する事を面接
官は意図していますので単純に経緯を述べるだけでいいでしょう。
例1)一方的なケアを提供するのではなく患者の今に目を向け、共に向き合える看護師を目
指しています。
ここでは率直な自分の看護観を話すといいでしょう。看護師を目指したきっかけや理
想とする看護師像、これにエピソードを加えて話すことでより説得力が増します。
例1)私は患者の残存能力を活かしたケアプログラムを作成することを得意としています。
貴院へ転職が叶った際には医療機関の特徴である○○といった視点に目を向け患者を統合的に捉える事で個別性にあった看護を提供していきます。
どこの医療機関においても自己紹介と自己PRは一緒になっているケースが多いようです。前述しましたがここは自慢するPRではありませんので自分の得意とする分野や今まで努力した点、特化した部分を今後どう活かしていくかがポイントとなります。面接機関の特徴も踏まえ自分の特徴や強みが活かせる事をアピールできるとなおいいですね。
例1)私の強みは時間をうまく有効活用できることです。優先順位付けし決められた時間
内に業務を遂行することで少しでも多く患者に関わる時間を作れるよう心がけています。
自己の長所+看護に対する長所があればなおいいです。ここでは希望機関でも活かせ
る長所を明確にしておきましょう。
例1)私は患者カンファレンスやディスカッションの際、患者に対する気持ちが強いが故
に熱くなりすぎるところが短所です。自己分析をおこなった結果、他者の意見にあまり耳を
傾けていなかったと反省点が明確になった為、周りの意見を十分に聞いた上で自分の意見
や発言を行う事を心がけています。
ここで面接官が見たいポイントは下記の三つです。
この3つを理解したうえで短所を長所に置き換えなおかつ今後、その短所をどう改善
していくかを明確化しておきましょう。
逆質問を行う場合、入社後のイメージを膨らませる質問がいいとされています。
例えば、『入社後、私は○○○の取り組みを行っていきたいと考えていますがそのようなサ
ポートは可能でしょうか』や『貴院に入職が叶った場合、事前に学習しておく疾患やポイン
トはありますか』など入職後をイメージし質問することで意欲面や向上心といった面で評
価が高くなります。
上記の事を質問された際、何もありませんと答えるのは絶対にやめましょう。ここでは医療機関に対する興味や就職意欲といった点を面接官はみていますので必ず答えるよう心掛けましょう
事前の情報収集でわからなかった点でも構いませんし、逆質問で掲載した内容でも構いません。このような看護を貴院でしていきたいといったアピールポイントをPRしてもいいです。何もないといった返答は意欲がないとみなされますので気をつけましょう。
面接官の見ているポイントは大きく分けて下記の3つになります。
身だしなみや服装など人のイメージは第一印象で決まるとも言われていますので常日ごろから気をつけておきましょう。
看護師は接客業と言われるほどコミュニケーション能力は重要視されます。
声のトーンや話し方、言葉遣い、話しの構成、伝わりやすさなどこと細かくチェックされていますので言葉一つ一つを意識し面接に挑みましょう。
希望する医療機関の事前リサーチの内容を聞くだけで面接者がどの程度、医療機関に対して興味があるのかがわかると言われています。情報収集を徹底し希望機関で働きたいといった強い志をアピールしましょう。
待合室での私語や態度もリサーチされています。又、面接会場を出た後の行動までみられている場合もありますので面接会場を出たからといって喫煙や歩きスマホなど一般常識として望ましくない行為は控えましょう。
病院や施設ではSNSを使って情報をリサーチされる事は少ないですが企業看護師の採用試験ではそのような実態もあるようです。
普段から自分の行う行動や言動には注意が必要であるということですね。
面接で一番重要視されるポイントが人間性です。面接官は何千人の面接者をみている為、その人をみただけで人間性や個々の特性がわかると言われています。ありのままを見てもらう事も必要ですがその人の信念や意欲といった面を重要視していますので自分の特性に加え上記のポイントに磨きをかけましょう。
夢や目標を追っている人間は輝いてみえるように看護おいても理想とする看護師像や夢を明確にしておく事をおすすめします。
“私は将来、認知症認定看護師を目標としています。しかし、認知症看護を学ぶにあたり認知症分野のみならず患者の原疾患や症状も幅広く理解しておかなければいけないと実習を通し強く思いました。又、幅広い知識と技術、患者が急変した際の判断力や対応力も看護師には必要であると感じます。貴院は特定医療病院であり集中治療部の医療に特化していると聞き非常に興味を持ちました。経験も浅く知識や技術は不足していますが看護の土台となる医療を貴院で学びたいと強く感じた為、貴院の入社を志願しました。又、貴院での就職が叶った際は高度医療を専門としているICUでの所属を希望します”
この志望動機で熱意が伝わり希望とするICUでの入職も叶いました。
看護部長のほうへ後程聞いた話ですがやはり採用試験の際、一番重要なことは仕事に対する意欲のようです。
このように面接は入社を目的としていますが自分の看護論や希望を伝えるいい機会でもあります。希望する医療機関や配属部署への強い想いや意志があれば面接官も理想に沿えるよう配慮してくれますのでまずは自分の理想や夢を明確にしたうえで面接に挑むことをおすすめします。
前述したように看護師の面接といった面では大手企業や大学病院を除きそれほどハードル自体は高くありません。しかし面接を甘く考え挑んだ結果、不採用になるといったケースも多い事も現状です。医療機関の情報収集は前提ですが何より自分の医療機関に対する想いが重要です。目標や挑戦したい事がない方はこれを機に自分を見つめなおす機会にしてもいいかもしれません。
自分の医療機関に対する想いが伝わればきっと実りのある面接になるはずです。
希望とする医療機関への転職が叶うよう万全の状態で挑みましょう。