キャリアコンサルタントと直接話をしながら転職先を決めていくのが転職エージェントで、Webサイト上で自分で求人を探していくのが転職サイト。どちらが効率よく、かつ希望の転職先に出会えるのでしょうか。また、ハローワークには、いつもたくさんの人が集まっていますが、ここではどんな求人が出ているのでしょうか。今回は、転職の仲介をしてくれる転職エージェントと転職サイト、そしてハローワークについて、そのメリット・デメリットをみていきましょう。
キャリアコンサルタントと直接話をしながら転職先を決めていくのが転職エージェントで、Webサイト上で自分で求人を探していくのが転職サイト。どちらが効率よく、かつ希望の転職先に出会えるのでしょうか。また、ハローワークには、いつもたくさんの人が集まっていますが、ここではどんな求人が出ているのでしょうか。今回は、転職の仲介をしてくれる転職エージェントと転職サイト、そしてハローワークについて、そのメリット・デメリットをみていきましょう。
転職サイトの一番のメリットは、なんといってもこれです。多くの人が現職で働きながら転職活動をするので、夜や空き時間にできるのは本当にありがたいです。最近では多くの転職サイトが、スマホで手軽に操作できるシステムを作り上げ、電車内などでも楽に検索し、応募までできるようになりました。
転職エージェントやハローワークでは、どうしても他人と顔を合わせることになり、そこから自分の転職活動が知られてしまうことがあります。でも、転職サイトであれば、人と出会うことなく、完全秘密裏に進めることができます。これは大きなメリットですね。
大手の転職サイトや複数のサイトに登録した場合、何万件もの求人から検索していくことになります。どこか1か所くらいは、必ず自分に合った転職先があるはずという気持ちにさせてくれます。
勤務地や業種・職種、年収だけでなく、最近では「残業週10時間以内」や、「フレックスタイム制」、「服装自由」など、多くの検索項目やキーワードがあり、さまざまな角度から自分の希望を絞っていくことができます。
転職エージェントやハローワークでは、何件もの求人に同時に応募するというのは、しにくいものですが、転職サイトでは、誰に遠慮することもなくこれが可能です。レスポンスのきた会社順に、さらに取捨選択していけばいいわけです。
多くの求人サイトが、初めに登録した内容から判断して、その人の希望や条件に合った求人情報をメールで送るというサービスを提供しています。意外な業界の求人も含まれていたりして、転職先の選択範囲が広がります。
これは、登録されたキャリアや資格などをみて、求人元企業が条件に合致している転職希望者にスカウトやオファーのメールを送るというサービスです。多くの転職サイトが行っています。「気になる」くらいのものから、「書類選考はすでに通過、次は面接」というものまで各種あります。ただし、このメールが来ても、絶対内定ということではありませんので、ご注意を。
これは、メリットと表裏の関係にありますが、あまりに多くの求人があると、訳が分からなくなってくるというのが実情で、面倒くさくなってサイト利用をやめる人もいるようです。サイト登録は、2社くらいに抑えておいたほうが無難かもしれません。
希望の転職先に応募し、幸運にも面接の連絡がきた。嬉しい反面、それからの日程調整が大変です。先方の都合で、平日に面接日を指定してくることも多く、現職を続けながら転職活動している人には、頭の痛いところです。「土曜日にしてください」や「夜にしてください」とは、なかなか言えないですよね。
応募書類、特に転職の場合職務経歴書は、第1次試験通過に向けて、大きな決め手となります。さらに重要なのが、その次の面接試験。本当は、事前にプロの目で見てチェックしてもらいたいところですが、サイトでの応募の場合、これらすべてを自分ひとりで対応しなければなりません。
何とか内定が取れそう。でもここからが難関です。年収は最低いくら?ポジションは?現職もすぐに辞めるわけにはいかない、入社はいつまで待ってもらえるのか?こういう交渉って、気が重いですよね。でも転職サイトを利用した場合は、この辺を全部自分でする必要があります。
応募先の企業に関して、募集要項にある程度の企業紹介はありますが、当然のことながら悪いことは書かれていません。本当のところどうなのかは、ネットの口コミ情報や、知っている人から話を聞くなどして、自分で収集していく必要があります。でも、裏事情まで調べるのは、なかなか難しいですよね。
ほとんどの転職サイトが、登録した人の条件にマッチした求人情報をメールで送ってきてくれるサービスがあります。でも、その数は半端ではありません。ちょっとでもキーワードがヒットすると、すべて「条件にマッチした求人」というふうに判断されるようです。どう考えても違うでしょうというものも多く、メール削除だけで疲れてしまうなどという声もあがっています。
転職サイトの場合、ネット上で応募すると、即刻不合格の通知がくることが、実はよくあるんです。もちろん、理由はまったく書かれていません。一方で幸運にも書類選考は通過し、面接まで行ったけど、ここで不合格。この場合も理由は一切言ってもらえません。なぜ落ちたのかわからないと、次にいかしようがないですよね。転職サイトでの活動は孤独との戦いかもしれません。
転職エージェントの最大のメリットは、キャリアコンサルタントがつくということ。仕事の紹介だけでなく、キャリアの棚卸やキャリアプランニングまで協力してくれて、今後の人生設計をする上での大きな力になります。何よりも、自分の話をしっかり聞いてくれるというのは嬉しいですよね。しかも無料で。
転職サイトの場合、公開されている求人の中から自分が選んでいくというやり方が一般的ですが、転職エージェントの場合は、登録者のキャリアや適性をみて、公開されていない「手持ち」の求人の中からマッチする企業を紹介するという方法をとります。意外な企業からのオファーもあり、自分の人材市場での価値を計ることもできます。
転職成功を勝ち取るはじめの一歩が、履歴書・職務経歴書といった応募書類です。中には自己PR書などが必要だったりすることも。ネット上でも記入例は山のようにありますが、紋切型では、相手のハートに響きません。そこで強い味方になってくれるのがキャリアコンサルタントです。求人元企業の求める人材像が分かっているので、それに合わせて添削をしてくれます。書類が苦手な人には千人力です。
合格の可否を決めるのは、何といっても面接試験です。これも応募書類同様、その会社に合った回答をしないと、そこでアウトということになりかねません。転職エージェントでは、応募先の企業に精通したキャリアコンサルタントが、面接での想定問答のみならず、本番での所作や服装、細かい言い回しまで指導してくれます。
転職エージェントというのは、マッチングを成立させていくらのビジネスです。求職側が、ぜひ入社したいといっても、求人元のクライアントに「ノー」と言われればそれまでです。そこで力を発揮するのが、キャリアコンサルタントの営業力。転職希望者の良いところを最大限引き出して、求人元に売り込んでくれます。自己PRが苦手な人には、ありがたいサービスですね。
希望の会社の書類選考に無事通過し、次は面接という時に、相当応募者が多い場合でない限り、企業側は大方面接日を平日の日中に指定してきます。でも、転職活動をしている人のほとんどが働いている人。平日の休みは取りにくいのが実情です。そんなとき転職エージェントであれば、土曜日や平日の夜など、転職希望者の都合を加味したスケジュール調整をしてくれます。
自分が入社する会社がどんな会社なのか、詳細を知りたいのは当たり前です。でもネット上の企業紹介や口コミでは限界があります。その点転職エージェントの場合、キャリアコンサルタントが何度もその企業に足を運び、人事担当者と話をしているので、内部事情までよく把握しています。ネガティブな情報についても、入社後に知らなかったという事態になっても困るので、それなりに話してもらえます。
転職エージェントと求人元クライアントとの契約には期限があり、延長の条項を設けているケースもあるようですが、期限内に決まらなければそこまでです。そのため、転職エージェントとしては、何とかしてその期限までに決めたいのは事実。したがって、適材の転職希望者が現れた場合、そこからのスピードは速いです。入社日をいつにするかは、後の問題として、早めに内定をもらえるのはありがたいですね。
どうやら内定はもらえそうだけど、年収やポストはどうなるのか。今より下がるなら、正直転職したくない。そういう気持ちは本音でしょう。でも、このナーバスな部分を自分で交渉するって憂鬱ですよね。転職エージェントは、こうした部分もすべて代行して進めてくれます。入社日は、3か月先にしたいなんていう場合でも、うまく理由を説明してくれるようです。
転職エージェントを使って面接までいったとしても、必ずしもみんなが合格するわけではありません。ここまできて不合格になるのは、とても不本意ですが、頭を切り替えて次に進むしかありません。でも、なぜ落ちたのか。性別や年齢など、基本的な部分はクリアしているはずなので、面接時に何か決定的なことがあったのでしょう。それがわからないと、次もまた同じ失敗を繰り返す可能性があります。転職エージェントでは、そうした理由を率直に教えてくれるので、次につなげることができます。
転職エージェントに対するネット上の口コミで、ネガティブコメントが一番多いのが、このキャリアコンサルタントとの相性です。どの転職エージェントを選んだか以上に、どんなコンサルタントが担当になったかで、成功の可否が大きく変わってくるようです。自分には合わないと感じたら、勇気をもって担当を替えてもらうか、エージェント自体を変えましょう。
転職サイトであれば、空き時間にマイペースで転職先探しをすることができますが、転職エージェントの場合は、直接エージェントに出向いて面談をしたり、担当のキャリアコンサルタントと電話で話したりしなければなりません。先方の都合で、仕事中、携帯に電話がかかってくることもよくあります。時間を取られるうえ、周囲にばれたらどうしようと、余計な気を使わなければなりません。
転職エージェントは、マッチングが成立しなければビジネスになりません。また、求人元企業、すなわちクライアントとの信頼関係で成り立っているため、どちらかというと転職希望者よりもクライアントの立場に立ちがちです。そのため、多少の不満はがまんしてとばかり、強引に押しつけてくる(ように感じる)ことがあります。自分自身の人生ですから、気丈に断る勇気を持ちましょう。
転職エージェントを訪問した際、自分のことを知っている人とかち合ってしまった、キャリアコンサルタントとの電話を、同僚に聞かれてしまったなど、転職活動をしていることが、周囲に漏れてしまうことがなくはありません。中には、キャリアコンサルタントが「おたくの会社の誰々さんも、うちにきてますよ」なんて言ってしまったりすることも。これはレアケースですが、一応デメリットとしてあげておきます。
転職エージェントの特性にもよりますが、フリーターやニート、ブランクの長い人や高齢者などは、登録しても何の声もかからないことがあります。ネット上で登録して、3日以内に連絡しますという自動返信メールがきただけで終わったなどという悲しい例も。転職活動を本気で続けたいのであれば、こうした場合、躊躇せずに自分からエージェントに電話をしてみましょう。もしかしたら、手違いということもあるかもしれませんので。
内定はもらったものの、何か引っかかるものがあったり、別のルートで、希望していた会社から面接の通知がきたりなど、内定を断りたい事態が発生することもあるでしょう。でも、さんざん尽力してもらったキャリアコンサルタントの手前、言い出しにくいですよね。断りにくいというのは、転職エージェントを使う際のデメリットのひとつといえるようです。
ハローワークは、公共職業安定所(略称:職安)の愛称で、厚生労働省管轄の要はお役所です。「国民に安定した雇用機会を確保すること」が目的で、失業した人に対して、失業手当の給付や、求人の紹介、職業訓練などを行っています。以前は「職安」というと、解雇された気の毒なお父さんたちが行くイメージがありましたが、今は若い人たちも大勢足を運んでいます。「ハローワーク」という名前が功を奏したのか、かなり明るいイメージになりましたね。
転職エージェントや転職サイトとの大きな違いは、ビジネスではないので、求人を出す企業側にお金がかからないということです。これが吉と出るか凶と出るかは、読者の方の判断次第でしょう。
なお、最近では、インターネットでハローワークの求人情報を閲覧できるシステムもありますが、全部が公開されているわけではありません。また、応募したい会社が見つかった場合、結局はハローワークに足を運ばなければなりません。
ではここで、ハローワークを利用するメリットとデメリットについてみてみましょう。
ハローワークは、出張所もなども含めて、住所のある市区町村に1か所は必ずあります。さすがお役所。ここが、主要都市にしかない転職エージェントとの大きな違いです。徒歩や自転車などで気軽に行けるので助かります。
ハローワークに載せられている求人のほとんどが、地元にある中小企業です。したがって、知っている会社も多いのではないでしょうか。家庭の事情などで、引っ越しをしたくない人や近場で就職をしたい人には、ハローワークはおすすめです。ただし、インターネット検索であれば、他都道府県の求人を閲覧することは可能です。
求人検索をして、応募したい会社が見つかったとき、ハローワークの窓口に行くと、その場でその会社に電話をして、現時点での応募状況を聞いてもらえます。まだ締め切っていない場合は、どこどこの誰々という人が応募を希望していますと伝えてくれるので、少なくとも自分が応募するまで締め切りは待ってもらえます。採用一枠に対して、すでに応募者50人などということもあり、応募するだけ時間の無駄だった、などという事態を避けることもできます。
ハローワークでは、応募書類の書き方や面接指導などほか、転職する際に持っていると有利になる技術や技能の職業訓練を無料で受けることができます。科目は、パソコン、医療事務、介護、エステティシャン、ネイリスト、プログラミング、Webデザインなどなど。職業訓練期間は、行政側から企業側に「ブランク」や「ニート」とはみなさないよう通達されています。
退職してから、ハローワークを通じて早期に再就職が決まった人に対する再就職手当や、再就職後、収入が下がってしまった人への就業促進定着手当など、各種の手当があります。申請手続きが非常に面倒ではありますが、家族を持つお父さんなどには、ありがたいサポートです。
ハローワークには、地元工場などのブルーカラー系の求人が多く、また、60歳以上の高齢者や心身に障害のある人、母子家庭の母親などを採用した場合、行政から企業に対して補助金が出るなどの支援があり、再就職するにあたってハンデがある人たちが応募しやすい求人がそろっています。
ハローワークへの求人は、掲載料がかからないこともあり、求人を出しているのは、地元の中小企業からが圧倒的多数を占めています。全国に名の知れた大手からの求人というのは、ほとんど見かけません。大手の有名企業やホワイトカラーでのキャリアアップを目指したい人は、転職サイトか転職エージェントを活用したほうがいいでしょう。
「さすがお役所」という無料サービスがある一方で、「これだからお役所は」というデメリットがなくはありません。その筆頭にあげられるのは、ブラック企業の混入。特に、しょっちゅう求人広告を載せている企業は、社員の定着率が低い現れで、要注意です。この「ブラック企業混入」が問題となり、現在国では、労働基準監督署から是正勧告を受けた企業の求人は載せないなどの対策を検討しています。
ハローワークを通しての転職活動は、ここに足を運んで求人検索をするやり方が基本なので、現在仕事をしている人には、時間的に両立が難しいです。平日の夕方はだいたいどこも17:30までには閉まってしまいます。土曜日に開けているところも多くなりましたが、失業者ってこんなにいるのかとびっくりするほど人が多く、待たされること必至です。
ハローワークでパソコンに向かって求人検索できるのは、一人30分までです(ただし、空いているときは、延長可)。30分という時間だけからすると、決して長くないのですが、ハローワークまで行く時間、検索パソコンが空くのを待つ時間、希望の求人元が見つかった際、窓口での対応を待つ時間など、無意味な時間がけっこうかかります。車で行ったら、駐車場に入れず帰ってきたなどということもありますので、事前に確認しましょう。
ハローワークを通して応募をする場合、必ずハローワークの紹介状を同封する必要があります。また、転職サイトのように、第1回目の応募書類をネットで送れるというケースはまずゼロのため、その都度履歴書や職務経歴書、自己PRなどを作成して郵送しなければなりません。けっこう手間がかかるのは事実です。
求人検索をして応募したい会社が見つかったとき、ハローワークの窓口で、担当者からその会社に電話して応募状況を聞いてもらえることは、メリットのほうで紹介しました。でも、求職者が嫌がっていることのひとつが、電話口で、「応募希望者誰々さん、○歳、男性/女性の方」と、大きな声で言われること。電話を通しても、先方の反応がわかってしまい、特にシニア層の人は、いたたまれない気持ちになるようです。
ハローワークの求人票には、会社の所在地、事業内容、仕事の内容、労働条件など、必要最小限の情報しか載せられていません。転職サイトにあるような社屋や社内の写真、会社のキャッチフレーズなどもありません。したがって、どのような会社なのか、ネットなどを利用して自分で調べることが必要になります。
それぞれの特徴をひと言で表すと、転職サイトは「求人情報の提供」、転職エージェントは「転職先の紹介」、ハローワークは「再就職の中継ぎ役」という感じでしょうか。どれを選ぶかは、その人のタイプや生活状況によるでしょう。もし、面倒でなく時間もあるならば、この3つすべてを利用するという手もあります。それぞれのメリットだけうまく活用していけば、よい結果につながるかもしれません。