働き方を大きく分けたときに、フリーターと正社員という2つの形があります。一般的には「フリーターよりも正社員の方が安定している」と言われることが多く、「今はフリーターだけど、将来は正社員になりたい!」と考えている方も少なくないと思います。フリーターから正社員への転職を目指す際は、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
働き方を大きく分けたときに、フリーターと正社員という2つの形があります。一般的には「フリーターよりも正社員の方が安定している」と言われることが多く、「今はフリーターだけど、将来は正社員になりたい!」と考えている方も少なくないと思います。フリーターから正社員への転職を目指す際は、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
一般的には、正社員のほうがフリーターに比べて様々な部分が「勝っている」と言われています。具体的にどんな部分が勝っているのか順番に見ていくことにしましょう。
厚生労働省「平成23年賃金構造基本調査結果(全国)」によると、正社員の給与を100としたとき、フリーターの給与額は20~24歳の場合で「82」となっており、給与面でフリーターは正社員に及ばないことがわかります。最も差が大きくなる年代の50~54歳では、なんと「54」となっており、50代前半のフリーターは正社員に比べて半分程度の給与しかもらっていないことがわかります。
参考文献:雇用政策研究会資料
また、独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計 2015 労働統計加工指標集」によれば、2013年における正社員の生涯賃金(大学・大学院卒、フルタイムで60 歳まで働いた場合、退職金を含めない)が、男女でそれぞれ2億6140万円、2億1250万円となっています。
一方、同様の条件で調べたフリーター(非正社員)の生涯賃金は男女でそれぞれ1億4370万円、1億1670万円となっており、男女ともに正社員かフリーターかによって生涯でもらえる給与の金額に1億円もの差がつくことがわかります。
参考文献:ユースフル労働統計 2015
正社員は社会保険を始めとするさまざまな福利厚生によって、勤め先企業から手厚く保護されています。一方、フリーターは労働条件によっては社会保険の対象とならない場合もあります。
フリーターと正社員では、世間の見る目も違います。たとえば、正社員ならば多くの場合比較的簡単にローンを組めますが、フリーターは審査が厳しくなることもあります。
また、フリーターは「雇用・収入が安定してない」とみなされることが多いので、フリーターであることが結婚の妨げになるケースも少なくありません。
フリーターは正社員と比較して労働時間は長くなり、余暇時間は少なくなる傾向にあります。同じ時間働いたとしても、フリーターの給与は正社員より安くなるケースがほとんどです。そのため、十分な収入を得るためには長時間働かなくてはなりません。
正社員はある程度仕事の経験を積むと昇進し、より責任ある立場を任されることになります。当然、給与も地位の向上に比例して増えていくことになるでしょう。フリーターの場合も、経験を積んで出世することはありますが、その場合は「正社員への登用」といったステップを踏むケースが一般的です。従って、将来のキャリア形成という視点では正社員に対して不利にならざるをえません。
このように、フリーターと正社員を比較すると給与だけでなく、さまざまな待遇面で「正社員ほうが勝っている」ということが理解できるかと思います。多くのフリーターの方が、正社員への転職を目指すのはこういった待遇の格差が理由なのです。
正社員は様々な面でフリーターに対して優越しているということが理解できたと思います。では、ここからは視点を変えて「フリーターから正社員になるとどんなメリット・デメリットがあるのか」を見ていきましょう。
フリーターから正社員になれば、すでにご紹介してきたとおり給与水準が大きくあがります。収入が増えれば日々の生活は楽になり、今まではうまれなかったさまざまな余裕が生まれるようになるでしょう。
正社員になると、社会保険などの福利厚生サービスを標準的に受けられるようになります。こういった福利厚生は、たとえすぐに利用することはなくとも精神的なゆとりを生み出してくれます。今まで「生活していくだけやっとだった」というフリーターの人も、正社員になることで毎日安心して暮らしていくことができるようになるかもしれません。
正社員になることで得られる「安心」は、何も現在に限ったものではありません。社会保険のひとつである厚生年金に加入することで、将来もらえる年金の額が増えるため老後の生活が楽になります。
また、将来の収入を心配しなくてもよくなることで、結婚する・子どもを作るといった人生設計を計画できるようになるかもしれません。そうなれば、生き方の幅も広がっていくことでしょう。
正社員が給与や待遇面でフリーターよりも優越しているのは、その分、重い責任が与えられているという意味でもあります。正社員となり地位が高まれば、当然地位に伴った責任を果たすよう求められるようになるでしょう。
具体的には、「残業をしてでも自分の仕事をやり遂げる」、「部下の失敗に対して責任を持つ」、「仕事上で失態があれば、給与や地位を失う」といったことも受け入れなければいけません。
企業が正社員に手厚い福利厚生を施すのは、業務に集中し高い成果を挙げてもらうことを期待してのものです。フリーターのときよりもより熱心な働きぶりを求められるようになるので、退職・転職といった行動は取りにくくなってしまうでしょう。
フリーターのときは、「2つ、3つの仕事を掛け持ちする」といった働き方も可能だと思います。しかし、正社員になれば原則的に「一つの会社での仕事だけに専念する」ことを求められていると考えておいたほうがいいでしょう。
中には正社員の副業を認める企業もありますが、それはあくまで「自社の業務に影響を及ぼさない範囲」といった条件が前提になります。
以下に、「フリーターから正社員になりたい」と考えている方が共通してよく悩んでいるポイントをいくつかピックアップしてみました。もし、今自分が悩んでいることと共通するものがあったら、参考にしてみてください。
フリーターの場合は基本的に「時給」というわかりやすい形で給与額が提示されるケースが多いですが、正社員の求人情報では、「モデル年収」のような形で給与水準が示されることもあり「一体いくら貰えるのかわかりにくい」と頭を悩ませる方もいるでしょう。
正社員になると社会保険料が給与から天引きされるため「手取りでいくらもらえるのか?」がイメージしにくくなるケースも少なくありません。もし疑問を感じるようなら、率直に求人企業に問い合わせてみたほうがいいでしょう。
今まで自由に仕事のシフトを組んでいたり、複数の職場を掛け持ちしたりしていたフリーターの方は、「正社員になることで、働き方の自由度が狭まるのでは?」と心配になっているかもしれません。
現在は、労働環境改善のための取り組みのひとつとして、多様な働き方を認める企業が増えています。出勤時間をある程度自由にできる「フレックスタイム制」を導入する企業や、オフィスに出勤しない「リモートワーク」といった働き方が認められる企業もあるので、そういった企業を探すことをおすすめします。
一般的に、フリーターから正社員への転職は「若いほどやりやすい」と言われています。企業としては仕事の経験を積ませるのにある程度の年月が必要なので、退職までに時間的な余裕がある若い人材を求めているからです。
こうした「年齢制限」については、求人情報に記載があるケースがほとんどです。逆に言うと、「求人情報に記載がない限り、過度に心配する必要はない」ということです。年齢で萎縮して転職活動が失敗しては元も子もありません。
フリーターから正社員への登用制度がある企業に勤めている方の中には、「現職で正社員を目指すか、別の会社で正社員になるか」で頭を悩ませている方も多くいます。
そのような場合は、一旦「正社員・フリーター」といった枠を忘れて考えてみるといいでしょう。「自分が本当にやりたいのはどんな仕事か、どんな仕事人生を歩みたいか?」といった視点で考えると、最適な道が見えてくるはずです。
転職情報を探していると、「今よりも給与額は下がるが、正社員になれる」といった求人情報が見つかる場合があります。この求人に乗るかどうかは、大変難しい悩みどころでしょう。
そのような場合は、直近の給与額だけでなく、転職後の生涯賃金まである程度計算して比較してみましょう。たとえば、「今から10年間、どちらの仕事を続けたほうがトータルでもらえる給与額が多くなるか?」といった視点で比較してみれば、どちらの仕事を取るのが得なのかわかるはずです。
一般的には、「フリーターから正社員になるには、高いハードルがある」と言われています。このことから、正社員への転職を尻込みしているフリーターの方も多いと思います。
しかし、こうした言葉を字面通り受け取るのも考えものです。なぜなら、ここでいう「正社員への転職の難しさ」とは、「新卒者が正社員として就職する場合」や、「正社員が、別の会社の正社員に転職する場合」と比較したときの難しさだからです。
これらと比較するなら、たしかにフリーターから正社員への転職は難しいといえるでしょう。しかし、実際にはフリーターから正社員になっている方は世の中にたくさんいます。ですから、「ほかの転職・就職と比較すれば難しいが、決して不可能なことではない」と捉えるほうが楽な気持ちになると思います。
フリーターから正社員への転職が、一般的な転職に比べて難しい以上、なにか転職活動に対してプラスに働く手立てを考えておいたほうがいいでしょう。ひとつの方法としては、転職サイト・転職エージェントの活用が挙げられます。
転職サイトは、多数の求人が集まる情報源なので、今日の転職活動において使わない手はありません。転職エージェントとは、転職活動にアドバイスを行ってくれるプロのサービスです。フリーターから正社員を目指す、難しい転職であっても、プロのサポートがあれば安心して取り組むことができるでしょう。
安定や待遇改善を目指して、「フリーターから正社員を目指す転職」を行う際の注意点をご紹介してきました。正社員はフリーターに対して、給与・福利厚生など様々な点で勝っています。そのため、正社員への転職を目指すフリーターの数は決して少なくありません。
フリーターから正社員になれば、収入がアップし、手厚い福利厚生が受けられるなどさまざまなメリットがあります。雇用が安定し、将来の見通しも立つことから結婚・出産など人生の選択肢も増やすことができるでしょう。一方で、より重い責任を求められる、簡単に転職できなくなるといったデメリットもあります。
フリーターから正社員への転職は、大きな働き方の変化を伴うため決して簡単ではありません。新卒での就職や、一般的な正社員の転職と比較しても難易度が高いので、転職エージェントのサポートを受けるなど成功率を高める工夫が不可欠です。
転職は、あなたの人生を大きく変えるチャンスです。もし、「フリーター」という生き方に違和感を覚えているのなら、転職を生き方を変えるチャンスにしてみてはいかがでしょうか?