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看護師資格を活かして介護施設で働きたい方へ!転職テクニックを紹介

ある程度病院で経験を積むと、生活スタイルに合わせて自分のやりたい看護や自分に向いている看護について考えることが増えて、介護施設への転職を視野に入れる人も多いと思います。

私もそのうちの一人で、「病院以外で夜勤もせず身体に負担なく働きたい」と思ったのがきっかけで派遣看護師として介護施設で働き始めました。病棟で働いていた頃は退院後の患者さんのその後にまでなかなか考えが及ばず、苦手意識の強かった介護施設でしたが、どうせ働くならより多くの施設を経験してその違いを知りたいと思うようになりました。病棟にこだわらず、特養・老健・有料老人ホーム等の介護施設を転々として経験を重ねた結果、看護師としての視野を拡げることができたと思っています。

今回は、私の経験談も交えつつ、数ある選択肢の中でも知っているようで実はよく知らない介護施設に的を絞って考えてみましょう。

介護施設で働く看護師の仕事

介護施設の種類と特徴

ひとくちに介護施設といっても、入居目的や看護師の仕事内容は施設によってもさまざまです。以下に代表的な介護施設を挙げました。それぞれの施設の特徴を押さえて、自分に合った転職先を探しましょう。

① 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、老人福祉法では特別養護老人ホーム(特養)と呼ばれますが、どちらも同じ施設を指すものです。社会福祉法人や地方自治体が運営している公的な施設で、介護保険法に基づいて介護保険が適用される介護サービスを個々のケアプランに沿って提供しています。2015年の介護保険制度改正によって、基本的には訪問看護やデイサービス等の居宅サービスを利用しても自宅での生活を続けることが困難な65歳以上の要介護3~5の介護認定を受けている方が対象となりました。よって、要支援1・2や要介護1・2の方は入居できません。

厚生労働省の調べによると、特別養護老人ホーム等に入所される方には認知症のある方が97.2%と大半を占めており、61.7%は寝たきり状態です。さらに、入居者の平均在所日数も1405.1日(約4年)となっており、施設の中でもとても長い期間である言えます。(2013年)

入居者100人に対しての職員の配置基準が決まっており、特養では医師1人(非常勤可)と看護職員3人となっています。

施設へ入所することによって排泄介助・入浴介助・食事介助等の日常生活援助を受けることができますが、“生活の場”として過ごして頂くことが主な目的であり、医療体制は整っていません。そのため、なにか突発的なことがあった際は病院への入院や通院をすることになります。

状態が悪化して施設で対応できる範囲を超える場合は、やむを得ず退所という形になることもあります。ほとんどの方が最期を迎える場として入居されており、看取りに立ち会う件数がとても多いです。

特養では、看護師が夜勤をせずにオンコール対応としている場合がほとんどです。介護士からオンコールで急変や死亡報告があれば指示を出してすぐに駆けつけることが必要になってきます。

私が実際に働いたことのある特養では、病棟とは全く雰囲気が違っていて、季節ごとのイベントを一緒に楽しめる空間もあれば、より自然なかたちで人生の最期を迎える援助もできる場でした。延命治療を望まない方たちの看取りの多さに最初は戸惑うこともありましたが、ここでは本来の最期の迎え方を学ぶことができたと個人的には思っています。

② 介護老人保健施設

略して老健とも呼ばれます。対象者は要介護1以上の介護認定を受けている方で、主に機能回復・在宅への復帰を目的に介護やリハビリを提供する施設です。
入院して治療する必要はなくても、自宅で過ごすことが困難であると考えられる方がワンクッション置くために入居されることが多いです。そのため介護度や看護必要度は他の施設より比較的低めであり、平均在所日数は施設の中でも短いようです。
特養への入居待機の方は非常に多く、特養の空きを待つために老健に入所されている方も実際には多いです。
老健では、常勤の医師1人と利用者100人あたり看護職員9人の配置が決められています。常勤の医師がいるだけで責任やプレッシャーが半減すると思えるのが正直なところです。というのも、なにかあった際の判断を看護師で下さずにその都度医師に相談し投げかけることができるためです。また、リハビリ目的の方が大半を占めていることもあり、理学療法士や作業療法士等の他職種の方が働いていることが特徴と言えます。
老健で働く看護師の仕事内容としては、主に血圧測定などの健康管理、内服管理、排便コントロールといったことがほとんどで、採血や点滴といった医療処置はとても少ないと言えます。
夜勤の義務付けはとくにありませんが、実際は老健施設のほとんどが夜勤業務を実施しているようです。施設によっても異なるため、とくに老健への転職を考えている方は、その辺も考慮して選ぶ必要がありそうですね。

③ 介護療養型医療施設

医療と介護の両面で支援が必要となる高齢者が入院できる病院や診療所のことを指します。2018年の3月末で廃止される方針となっており施設数自体が少なくなってきているため、最近ではあまり耳にすることがないかもしれません。

入居対象者は要介護1以上と定められていますが、医療ニーズがとても高いことが特徴ということもあり、実際には要介護度の平均が4.41と非常に高いです。重症度はとても高く、配置基準としては医師が3人以上、看護師は患者100人あたり17人以上とされています。

また、介護療養型医療施設は、看護師による夜勤が介護施設の中で唯一定められています。主な医療処置として経管栄養や喀痰吸引、膀胱留置カテーテルや持続点滴等が行われています。医療処置の多さは病棟と大差ないため、医療処置のスキルを保っていたい方にはぴったりであると言えます。

④ 特定施設入居者生活保護施設

有料老人ホームや養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがこれにあたり、主に民間企業が運営しています。要介護1以上の介護認定を受けた方が入所の対象となっています。

入居者100人あたりの看護職員の配置基準は3人となっていますが、医師の配置はとくに義務付けられていないため協力医療機関を定めているところが多いです。

私が以前働いていた有料老人ホームでは、提携クリニックの医師による月に2回の往診や24時間緊急対応が可能でした。また、急変時の救急搬送や入院にも優先的な対応が可能な近隣の病院とも提携していました。そのため、常勤の医師こそいなかったものの、看護師だけでの判断に困った際は往診医への相談や提携病院への受診・入院にて対応することができました。

医療処置などの看護業務は他施設と比較するととても少なく、血圧測定等の健康管理や創傷処置、糖尿病がある方は必要であれば血糖測定とインスリン注射等を行います。中には重度医療を扱い看護師の24時間常駐を売りにしているところもあります。そういったところであれば、喀痰吸引や中心静脈栄養(IVH)管理なども行っています。また、デイサービスや透析病院に通っている方も多くいます。看護の介入はあまりなく、どちらかというと健康的な生活を送れるよう介護サービスの向上に重きを置いているイメージです。

介護施設でも看護師が不足している

昨今の問題として取り上げられている超高齢化社会に伴って介護施設数も増加してきているのが現状ですが、この介護施設にも看護師の配置基準が決められており施設での看護師の需要も高まっています。

そんな中、介護施設は給料が高くないというイメージもあり、施設で働きたいという看護師がなかなか集まらないようです。病院で働く看護師でさえ不足している状況下で、介護施設が看護師を確保することは非常に困難であると言えるでしょう。

介護施設の看護師の給料・年収ってどれくらい?

介護施設で働く看護師は病院で働く看護師と比較すると給料が低めって思っていませんか?実はそんなに大きな差はないようです。

みなさんご存知の通り、看護師の基本給って実際のところそんなに高くありませんよね。看護師の給与が高いとされている理由としては、諸手当によるものだと言えるでしょう。中でも夜勤手当が大部分を占めており、給与額に大きく関わっています。

そのため、病棟で夜勤をしている看護師と介護施設で働いている日勤常勤看護師の給料を単純に比較してしまうと大きな差があるように感じてしまうようです。

介護施設ではほとんどが夜勤なしの日勤のみです。地域や施設によっても多少の差はありますが、たとえば特別養護老人ホームの看護師の給料は月給25万円前後・年収350~400万円が相場となっているようです。しかしこれは外来やクリニック等の日勤常勤で働いた場合とほぼ変わりません。

介護施設によっては夜勤のある施設もあります。給料を重視される方は夜勤のある施設を探してみるといいでしょう。

また、介護施設でも看護師不足が問題となっていることを上でも述べましたが、看護師の確保に必死になっている施設も少なくありません。中には経験を考慮して基本給をアップするなど募集条件をよくすることで看護師の確保を図る施設もあるため、転職時にはその辺も要チェックです。

介護施設で働く看護師に必要なスキルと役割

判断力が求められる

病院で働いていると医師が24時間常駐しており、普段から医師の指示のもとで動いています。また、判断に困った場合は医師に相談する場面が多くあります。一方、施設看護師の場合、提携医師への相談も可能ではありますが、なにかあった際はまず自分で判断して行動に移す必要があります。また、施設の多くがモニター等の医療機器が置いていないところがほとんどです。そのため、普段の状態との違いにいち早く気づきアセスメントする能力が必要になります。

他職種や入居者家族との密なやりとり

他職種との連携を円滑に行えるコミュニケーション能力も欠かせません。私が働いたことのある老健は医師や看護師、介護スタッフやその他職員が情報を密に共有し合える良い関係にあり、入居者の異常にもいち早く気づき対応できた事例がよくありました。

介護施設では看護サイドと介護サイドでの認識の違いから溝ができてしまうことも少なくなく、コミュニケーション不足によって情報交換が上手くいかないところも多いとよく耳にします。しかしそれでは入居者のちょっとした体調の変化に気付いても報告・連絡・相談が上手く伝わらず、結果的に対応が遅れかねません。双方の意見を尊重した雰囲気作りやコミュニケーションは入居者へのより良い看護・介護の提供に繋がるため、なにより大切にすべきスキルであると言えるでしょう。

介護施設の看護師と病院の看護師の違いは?

入居者にとっての生活の場で日々の健康管理を行うのが介護施設の看護師であり、疾患に対する積極的な治療や看護を医師の指示のもと行うのが病院の看護師です。

病院では患者に必要な介助はすべて看護師で行うのが一般的ですが、介護施設では介護職員の占める割合が高く、食事介助や排泄介助等は介護職員で行うことがほとんどです。そのため施設看護師は看護業務に専念することができます。

また、介護施設で看護処置を行う際は病棟ほど物品が揃っていないため、あるもので工夫して処置を行うこともあります。例えば褥瘡の処置として適当なドレッシング剤がない場合、一時的な応急処置としてラップをしてガーゼ保護をすることもあります。長年病棟で働いてきた人は「それって清潔?大丈夫?」と半信半疑になると思いますが、案外治癒が早かったりもするので驚きです。

それらの処置を行う際も、よほどの感染兆候等ない限りは医師に指示を仰ぐこともなく看護師で判断して実施します。そのため、施設看護師は処置を行うための根拠や知識はしっかり持っておく必要があると言えます。

経験が少ない看護師でも介護施設で働けるの?

血圧測定等の健康管理が主な仕事内容であることが多いため、看護技術に限っていえば経験年数が少なくてもなんら問題なく働ける場ではあると思います。ただ、高齢者はいつ何が起こるかわかりません。ときには急変時の対応や大事な判断に迫られる場合もあります。そのため、求人の条件として臨床での経験年数を挙げている施設がほとんどです。臨床での経験がほとんどない方にはあまりお勧めできません。

介護施設で働く現役看護師仲間の体験談を聞いてみた

働いて良かったことは?

体力的に余裕ができたこと

オムツ交換やトイレ介助、入浴介助等のケアはほとんど介護スタッフの介入があるため、体力を使うことは病棟看護師に比べて少ないと言えます。また、突発的によほどのことがない限り残業になることはありません。そのため、日勤常勤で働いていてもそれほど苦ではないようです。

ブランク後に職場復帰がしやすい

結婚や出産を機に現場を一旦離れてブランクのある看護師にとって、職場への復帰は大きな不安がついてまわります。いきなり病棟へ戻って、子育てとの両立が果たして可能なのか悩んだ方が多かったです。介護施設であれば、夜勤が必要なところはほとんどなく日勤常勤で働いても残業になることはほとんどないと言えます。ワークライフバランスを考えると、介護施設で看護師として働く方が身体的にも精神的にもいくらか負担が軽いことは言うまでもありません。

介護施設で働く看護師のやりがいは?

病院と比較すると認知症看護やターミナルケアに特化していて、病棟とは異なる経験を積めることです。実際、認知症看護に興味のある看護師が介護施設へ転職することも多いみたいです。

在所日数が長いことで時間をかけて入居者と向き合うことができるため、個別性のある看護が実践できることです。一人ひとりの背景に合わせたケアプランに沿って入居者がその人らしく生活できるように関われたときはとてもやりがいを感じます。

悩みや大変なことは?

病院での働き方とのギャップ

介護施設では医療処置がほとんどなく、落ち着いているときは何をしようか考えるほどです。病棟で慣れてしまっていると、「なにか医療処置をしなければならない」「看護スキルが落ちてしまうのでは」と不安に思ってしまうみたいですね。

介護スタッフとの連携が難しいことがある

看護師と介護スタッフの視点が違うことは多々あります。また、施設によっても異なりますが看護業務と介護業務の境目が曖昧であるため、もめることも多くあるようです。

どんな人が向いている?

  • 入居者様一人ひとりに合った個別な看護を提供したいと考えている方
  • 知識や経験が豊富で臨機応変に判断ができる方
  • 他職種との連携がスムーズに行える方

介護施設では他職種と協力して個別のケアプランに沿った関りを行います。介護スタッフに対して看護師の人数はとても少なく、その中で的確な判断や指示をしなければなりません。病院では看護師が行うようなオムツ交換や体位交換、清拭等の清潔ケアを介護士が行っているため、排泄の異常や皮膚状態の観察等で気づいたことをスムーズに報告・連絡・相談してもらえるような関係性が大事になってきます。

どんな人が向いていない?

  • 急性期病院等でバリバリ働きたい方
  • 看護スキルの向上を目指している方
  • ケアより治療を積極的にしたい方

施設で行う医療行為は血糖測定やインスリン注射、胃ろう・腸ろう、褥瘡処置等と最低限必要なものに限られている場合がほとんどです。たとえば吸引や導尿、点滴やカテーテル管理をやりたいといった方には介護施設で働くことは少し物足りなさを感じるかもしれません。

介護施設で働く看護師に関連のある資格

日本は世界でも類をみないほどの超高齢化社会であり、高齢者の占める割合が年々その数を増していることは言うまでもありません。

高齢者の中でも認知症を患っている方は約450万人ほどであると推測されており、ここに予備軍である軽度認知障害の約400万人が加わると高齢者の実に4人に1人が認知症もしくはその予備軍であることがわかります。

そのため、以下に挙げる老人介護専門看護師や認知症看護認定看護師の需要は高まり、その活躍の場はさらに拡がっていくこと間違いなしです。

もし今後介護施設で働いていくことになれば高齢者との向き合い方や看護の視点が変わり、資格取得を考えることがあるかもしれません。どんな資格であるのか、参考程度に知っておくといいでしょう。

老人介護専門看護師

日本看護協会では老人介護専門看護師の特徴として「高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。」としています。

高齢者の老化過程には個人差があり、抱えている疾患や身体の状態はさまざまです。そのため個別性を考えた看護が必要となります。さらに老人看護ケアがスムーズにいくよう患者の家族や他職種との調整や連携を図ることが求められます。

専門看護師になるには、看護師の免許をもっており、看護系大学院修士課程修了者でなおかつ所定の単位を取得している必要があります。さらには実務研修が通算5年以上あり、そのうち3年間以上は専門看護分野の実務研修であることが条件とされています。

認知症看護認定看護師

日本看護協会では認知症看護認定看護師の知識と技術(一部)について「認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築」「行動心理症状の緩和・予防」とあります。

認知症の患者さんの状態の把握とアセスメント、発症から終末期の各期に適切な対応、また家族のサポートを行えるだけの知識と技術が求められます。

認定看護師になるには、看護師免許を取得後、実務研修が通算5年以上あること(そのうち3年以上は認定看護分野の実務研修)、認定看護師教育機関(課程)修了(6か月・615時間以上)が条件となっています。

まとめ

介護施設に関する知識が少しでも深まりましたか?今までの働き方が病棟勤務のみである方はとくに知らなかったことが多々あったと思います。

同じ看護師でも働き方はさまざまです。介護施設の種類、看護師として働くメリット・デメリットを踏まえたうえで条件を再検討して、ぜひ自分に合った施設を見つけてください。

ABOUT ME
ERINA
食べることと旅行が大好き☆看護師としての働き方を模索中…!派遣で働いて経験を積んでます。nanairoでは看護師転職について執筆しています。