MENU

「第二新卒」という立場が転職市場で有利な身分として活用できる理由

 

第二新卒とは、「学校を卒業後、1~3年程度の間に最初の就職先を辞めてしまった人」のことを指します。「就職先をすぐに辞めてしまった」という点から、一見就職に不利なように思っている方もいるかもしれません。しかし、実は現在、第二新卒は転職市場において多くの企業から注目を集めています。第二新卒が転職市場において有利なポイントや転職する上での注意点などを学んでいきましょう。

目次

近年、第二新卒は売り手市場で規模が大きくなってきている!

かつてから中小企業は第二新卒を欲しがっている

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が行った「第二新卒者の採用状況調査」によると、過去3年の間に正規雇用の採用を行った企業の実に6割が、「第二新卒者を採用対象としている」とのことです。しかも、同調査によれば、実際にそのうちの9割の企業で第二新卒の採用が行われています。

<参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構

従来、人材としての第二新卒に注目してきたのは中小企業でした。中小企業は大企業ほどのネームバリューがないため、新卒採用ではどうしても不利にならざるをえません。そのため、新卒採用よりも競争が緩い第二新卒の採用に力を入れていたのです。中小企業にとって第二新卒は、優秀な人材を激しい競争を避けて獲得できる、まさに労働市場として狙い目のポイントであるといえます。

近年、大手企業も第二新卒の採用に積極的な動き

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」によると、平成25年3月卒業者の3年以内離職率は、就職先の事業規模合計で31.9%となっています。つまり、「新卒者の3割が第二新卒になっている」ということです。事業規模別に内訳を見てみると、5人未満の企業における離職率は59.0%となっており、平均よりも高い離職率を示しています。一方、従業員1000人以上の企業では15.8%と、平均よりは低いもののやはり離職率は1割を越えており、大手企業にとっても若い人材の確保は大きな課題であることを伺わせます。

<参考:厚生労働省 新規学卒者の離職状況

こうした事情から、近年では中小企業だけでなく、大手企業も第二新卒の採用に注力しています。新卒者が抜けた穴をカバーするために第二新卒者を採用し、若い世代の人材に穴があかないよう気を配っているのです。

企業から見る、第二新卒を雇用するメリット

最低限のビジネスマナーは備わっている

採用企業の目線で見たとき、第二新卒には人材としてどのようなメリットがあるのでしょうか?まずわかりやすいポイントとしては、すでに社会人として数年の経験があるため、ビジネスマナーなど初歩的なことは教えなくてもいい、という点が挙げられるでしょう。

新卒者を採用したとき、たいていの企業はまずビジネスマナー研修から社員教育を始めます。言い換えると、ほとんどの第二新卒者はビジネスマナーについてすでに学んだあとなので、採用企業は教育をある程度省略することができるのです。

また、2~3年程度前職で働いた経験がある場合、「ビジネスマンとして、最低限の仕事はできるだろう」と期待することもできます。仮に先輩の後について、仕事のやり方を学んでいただけだったとしても、何もないゼロからのスタートとは大きく違います。その点は仕事ができるかどうかまったく未知数である新卒者に比べて有利な部分だと言えるでしょう。

まだ以前の社風に染まりきる前で、教育しやすい

次は、中途採用のミドル世代と比較した場合、第二新卒にどんなメリットがあるか考えてみましょう。

たとえ業界や業種が同じであっても、会社が違えば仕事の進め方も変わる場合があります。中途採用者の場合、以前の勤務先でのやり方を引きずってしまい、なかなか新しいやり方を受け入れてくれない、といった問題が生じる場合もあるでしょう。特に、自分がその業界に関して詳しいというプライドがある人ほど、今までのやり方を変えさせるのは簡単ではありません。

第二新卒なら、前職の経験があるといっても数年程度ですから、いい意味でまだ「社風に染まっていない」うちに転職することができます。以前の勤務先とは異なるやり方であっても中途採用者と比較すれば無理なく順応できるはずです。

採用にあたってのコストが低い

先ほど、第二新卒のメリットとして「最低限の研修は不要」という点を挙げましたが、これはなにも時間に限ったメリットではありません。研修には当然、費用もかかるので、研修が不要であるという点は採用コストが低いというメリットにもつながります。

研修費用がいらないという点だけを見るなら、中途採用の場合も同じです。しかし、中途採用者は前職でのキャリアがあるため、採用にあたっては一定の給与やポストなどを用意しなければなりません。当然、企業にとっては採用コストが高くかかってしまいます。それと比べると、第二新卒者は前職の就業期間も短いため、ほぼ新卒者と同等の条件で採用することができるでしょう。

企業は第二新卒採用にデメリットも感じている

またすぐに辞めるかもしれないという不安感

採用企業から見たとき、第二新卒にメリットが多いことは事実ですが、それと同時に第二新卒の採用には不安がつきまとうということも忘れてはいけません。

最もわかりやすい点としては、「最初の就職先を辞めてしまった」というマイナスイメージがあることでしょう。こうしたイメージは「やる気がないのではないか」、「ウチでもちょっと気に入らないことがあったら、同じように辞めてしまうのでは」というふうに、採用企業によくない想像を掻き立ててしまいます。もちろん、第二新卒=前職をすぐ辞めた新卒なので、最初からわかっていることではあるのですが、それだけ「なぜ前職を辞めたのか」という理由が重要視されるポイントだと覚えておきましょう。

ミドル世代と比較して、即戦力として劣る

中途採用のミドル世代と比較したとき、先ほどまでは第二新卒のメリットばかりを見てきましたが、当然ながら中途採用の方が勝っている点もあります。

仕事のキャリアという点では、第二新卒は中途採用に完全に及びません。業界の中で確固たる実績と実務経験がある人と、数年程度の仕事経験では最初から勝負にならないからです。

もちろん、企業もその点はわかっていますから、中途採用と第二新卒の人を同じ土俵で評価するようなことはしません。しかし、限られた採用人数の中で「即戦力がほしい」というような場合、第二新卒の採用を見送って中途採用をとる、といったケースは起こりうるでしょう。そうした面から見るとデメリットといえるかもしれません。

第二新卒が転職を成功させるために考えたいこと

正当な退職の理由で「またすぐに辞める」という不安感を取る

第二新卒の転職を成功させるためには、先に挙げたデメリットをうまくカバーしつつ、「第二新卒」という立場を活かした転職活動を行う必要があります。具体的にどうしたらいいのか解説していきましょう。

「前職をすぐに辞めてしまった」というマイナスイメージを払拭するためには、採用企業に退職理由を誠実に説明しなければなりません。このとき、「そんな理由があったのなら、退職もやむを得ないな」と、相手に共感してもらえるように気をつけてください。

たとえば、「前職では自分のやりたい仕事をやらせてもらえなかった」というような説明の仕方だと、単にわがままなだけと受け取られる可能性もあります。そのような場合は「前職ではこのような仕事をしていたが、『もっとこういう仕事ができれば自分の成長につながる』と思い、転職を希望した」というふうに、転職理由をポジティブな言葉で置き換えるのがいいでしょう。

もし、「仕事がきつくて体調を崩してしまった」というように、転職理由が完全にネガティブなものだったとしても、諦める必要はありません。「前職では自分の中でうまくワークライフバランスが保てなかったので、今回は改善したい」というふうに、失敗を認めた上で、それを糧として成長できる人間であるということを示せば、採用担当者も理解してくれるでしょう。

在籍中から転職活動を行うようにする

第二新卒の場合、必ずしも退職を待ってから転職活動を始める必要はありません。むしろ、在職中から転職活動を始めるほうがいい理由もあります。在職中に転職先が見つかれば、退職と転職のタイミングを合わせることができるので、履歴書の経歴に空白期間ができません。経歴に空白期間があると、たとえそれが転職のための期間だったとしても「何もしていない」と受け取られてマイナス評価につながる可能性があります。空白期間を作らずに済むなら、それに越したことはありません。

ただし、在職中に転職活動をする場合、充分な時間をとるのは難しくなります。うまく空き時間を見つけて、少しずつでも転職活動を前に進める努力をしてください。たとえば、定時退社できる仕事であれば夕方から夜にかけて転職活動ができます。また、平日休みが取れる業種であれば、休日を利用して転職活動を行うのもいいでしょう。

忘れてはならない第二新卒のメリットとして「若さ」があります。企業からしてみれば、新卒と同じように「若い人材を育てていける」という利点につながるからです。逆に言うと、転職活動に時間をかけて年令を重ねてしまうと、世間からは第二新卒とはみなされなくなってしまいます。こうした理由からもできるだけ早い時期、つまり在職中から転職活動をスタートする方がいい、といえるのです。

時間のない在籍中の転職には転職エージェントの活用がオススメ

在職中の限られた時間の中で、転職活動を成功させたいのであれば、転職エージェントによるサポートを受けるのが一番です。転職エージェントとは、転職活動のサポートを行う専門家。あなたにあった求人情報を探してくれたり、面接対策を提案してくれたり、いろいろな面から転職活動を支援してくれる存在です。

第二新卒の転職は、通常初めての転職活動になると思います。社会人になってまだ間もないじきに初めての転職を行うというのは不安なことも多いでしょう。転職エージェントは、そんなとき隣に寄り添い、よき相談相手になってくれます。そうした「精神面での支え」になってくれるというのも、転職エージェントを利用するメリットです。

まとめ

今回は、学校を卒業後、最初の就職先を数年で辞めてしまった「第二新卒」の転職事情についてご説明してきました。近年は、新卒者が入社後間もなく離職するケースが少なくないため、若い人材を確保する方法として、大手企業も中小企業も第二新卒に注目しています。

第二新卒は、新卒者に対しては研修が済んでいるという点で、中途採用者に対しては、「教育しやすい」という点で勝っています。一方、「すぐに仕事を辞めた」というマイナスイメージがあるのも事実です。そのため、第二新卒の転職活動では採用企業にポジティブな印象を与えるよう振る舞わなければなりません。

第二新卒者がスムーズな転職を望むのなら、在職中から転職活動を始めましょう。そのときは、転職エージェントを利用するのが便利です。最初の就職先選びをひとりで行って「失敗した!」という気持ちが強い方は、転職エージェントを利用してみてください。きっと、ひとりで悩んでいるよりもいい転職先が見つかるはずです。