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苦労した転職を無駄にしないために「通勤時間」を企業選びに加えよう

 

毎日満員電車でもみくちゃにされながら、1時間以上かけて会社と自宅を行き来している・・・。そんな方は決して少なくないと思います。通勤時間が長いと、移動するだけでつかれてしまって、仕事をする意欲が削がれてしまいますよね。転職を希望しているのであれば、こうした「通勤時間の長さ」にも気を配るべきです。通勤時間の違いが働き方にどう影響をあたえるのか、転職を機に通勤時間を縮めるとどんないいことがあるのか学んでいきましょう。

目次

「通勤時間の長さ」は仕事の辛さを感じる要因の一つ

通勤時間の長さを解消したく、転職を考える人は多い

実は、「通勤時間が長い人ほど、幸福感が低い」というデータがあります。Mail onlineが発信し、ロケットニュース24が翻訳した調査によると、通勤時間が90分を超える方の4割が「何らかの悩み事を抱えている」とのことです。

<参考:ロケットニュース24 「通勤時間が長い人ほど幸福感が低い」との調査結果

これはアメリカでの調査結果ですが、日本でもこの傾向はおおよそ当てはめるといえるでしょう。日本、特に首都圏を中心とした大都市では、電車での移動が主流です。多くの企業の出勤・退社時間が重なる朝と夕方には、多くの方が電車で通勤・帰宅することになります。通勤時間が短ければ、大きな問題にはならないかもしれませんが、「毎日長時間、満員電車で立ちっぱなし」といった方にとって、通勤は多大なストレスになります。悩み事を抱えてしまうのも無理はないでしょう。

実際にどれくらいの時間をかけて通勤している人がいるのか

では、実際世の中の人はどのくらいの時間をかけて通勤を行っているのでしょうか?アットホームが行った『「通勤」の実態調査2014』を参考に見ていきましょう。

<参考:不動産情報サイト アットホーム 「通勤」の実態調査2014

同調査によると、「5年以内に持ち家を購入した人」の平均通勤時間は58分です。内訳を見ると、戸建の場合は60分、マンションの場合は56分となっており、住まいの形にからくる差はほぼないことがわかります。

この「58分」という平均値に人々はどの程度満足しているのでしょうか?同調査の中に、参考となるデータがあります。調査対象者に対して「このくらいが望ましい」といえる理想の通勤時間と、「それ以上は耐えられない」という限界の通勤時間はそれぞれどの程度かを聞いてみたのです。その結果、「理想の通勤時間」の平均は35分、「限界の通勤時間」の平均は86分という結果が得られました。

特に注目すべきは、現在通勤に「100分以上かかっている」という方の「限界の通勤時間」の平均が、「100~109分かかっている人」なら「110分」というふうに、今実際にかかっている通勤時間と同じ値を示していることでしょう。言い換えると、通勤時間が100分を超えてしまう場合、たとえ持ち家に住めたとしても最初から限界を迎えてしまうということです。

また、もうひとつ見過ごせないのは「通勤時間が長いほど、睡眠時間が短くなる」傾向があるという点でしょう。全体の平均睡眠時間は、5時間54分です。それに対して、通勤時間19分以内の人の平均睡眠時間は6時間2分ですが、通勤時間100分以上の人の場合5時間22分になります。ざっくりといえば通勤時間が80分増えることで、睡眠時間が40分短くなっている計算になり、通勤時間が伸びた分減った余暇時間を睡眠時間を削ることでカバーしている傾向が見て取れます。

通勤時間が伸びることで苦しくなるのは、実際に通勤する人ばかりではありません。必然的に起床時間は早く、帰宅時間は遅くなるので、家で帰りを待つ家族の負担も大きくなってしまうのです。

特に、夫(あるいは妻)が長時間通勤をして働き、妻(あるいは夫)が家庭で帰りを待つような場合、夫婦揃って夕食を取ろうとすると家事を担当する妻は夫が帰るまで休めず、疲れが溜まってしまいます。もちろん、夫婦別々に食事を済ませることも可能ですが、その場合はお互いの生活リズムがずれてしまうことになるので、一緒に生活している意義が損なわれてしまうでしょう。

特に女性は家庭をもつと余計に通勤時間を意識する傾向

女性の場合、結婚・出産などのライフイベントを気にワークライフバランスを気にするようになる傾向が強いようです。マイナビ転職が行った「女性の働き方に対する調査」によると、未婚女性の4割は出産を気に退職・転職を検討しているとのデータが得られています。しかも、出産後の転職を検討している女性の10.6%が、転職を希望する理由として「通勤時間の長さ」を挙げているのです。

<参考:マイナビ転職「女性の働き方に関する調査」を実施

出産すれば、育児の時間がどうしても必要ですし、家族と過ごす時間も意識するようになります。結果として、「仕事のためよりも、家族や自分のために時間を使おう」と思うようになり、「仕事のための時間」である通勤時間は無駄な時間だと認識されるようになるのです。

通勤時間が短くなることでのメリット

家族や趣味に使える時間が長くなる

通勤時間を短縮できれば、浮いた時間を家族や自分のために使うことができます。子どもと遊ぶ時間を増やしてもいいでしょうし、夫婦で過ごす時間を増やすのもいいでしょう。

自分のために使う時間を増やすなら、新しい趣味に挑戦してみてはいかがでしょうか?余暇時間が増えれば、今までは諦めるしかなかったことにも挑戦できるようになるかもしれません。生活の充実感・幸福度が増すことは間違いありませんし、新たな出会いや経験を通じて、自分をさらに成長されることもできるでしょう。そうなれば、人生全体がより良い方向へ進んでいく可能性さえある、といえます。

睡眠時間が長くなり、しっかりと翌日を迎えられる

すでにご紹介したとおり、通勤時間が長くなれば睡眠時間を増やせるので、毎日ぐっすり眠ることができます。睡眠時間が増えれば疲労がとれ、物事に集中できるようになるので、今までよりも仕事のパフォーマンスが向上するかもしれません。

人間は睡眠時間が少ないと、ついイライラして周囲の人に当たってしまうものです。睡眠時間が増えれば、以前よりも落ち着いて家族や友人と向き合えるようになるでしょう。人間関係が改善し、プライベートもうまくいくようになる期待が持てます。

満員電車の時間が短くなり、疲弊しにくい

満員電車の肉体的・心理的負担が大きいのは長時間乗り続けていなければいけないからです。逆に言えば、短時間であれば乗っていてもさほど苦にはなりません。通勤時間が短くなれば満員電車に乗る時間も少なくなるので、日々の通勤による疲れも軽減できます。

夫の通勤時間が短い方が、共働きの割合が大きくなる傾向も!

先ほどご紹介した、アットホームの『「通勤」の実態調査2014』には、興味深いデータが記載されています。それは、「夫の通勤時間が短いと、共働きの割合が増える」という傾向があるということです。たとえば、通勤時間が100分以上の家庭では、妻が働いている割合が21.6%なのに対して、通勤時間が0~19分の家庭の場合、52.0%にも跳ね上がるのです。

「通勤時間の長さは家族にとっても負担である」という話をしましたが、この結果からは「通勤時間が短くなれば家族の負担も減り、共働きもしやすくなる」という結論が導き出せます。

このように、通勤時間を短縮すると様々なメリットが得られます。しかし、同じ会社に努め続けていると通勤時間を短縮する機会はあまりありません。せいぜい移動手段を変えるか、引っ越すくらいしか方法がないでしょう。ですから、転職というチャンスを活かして通勤時間の短縮を図ることにもメリットがあるのです。

通勤時間を理由に転職する際に気をつけておきたいこと

どれだけ好条件でも、通勤時間が長い会社だと再度転職してしまう人もいる

転職活動では、通勤時間以外にも重要なポイントがいくつもあります。「給与は増えるのか」、「今の仕事と同じような仕事ができるか」、「福利厚生はどうなっているか」・・・。通勤時間は、あくまでこうした条件の中のひとつに過ぎません。

仮に、「他の条件は完璧だが、通勤時間は長くなる」という転職先が見つかったとしましょう。果たして、そうした転職先を選ぶべきでしょうか?転職者の中には、転職先の通勤時間が自分に合わず、再度の転職を希望する人もいます。通勤時間を優先するべきか、それとも他の条件を優先するべきか、簡単に結論は出せません。しかし、「自分が許容できる通勤時間内」で転職先を探したほうがいいのは間違いないでしょう。

転職の志望理由を正直に「通勤時間が短いから」と言わないこと

「通勤時間を短くしたい」というのは、あくまでもあなたの個人的な要望です。極端な言い方をしてしまえば、勤め先はあなたが何時間かけて通勤してくるかに興味はありません。あくまで、あなたの能力と働きに関心があるのです。決して志望理由を述べるときに「通勤時間が短かったので御社を志望しました」などとは言わないでください。志望動機については、転職先の企業理念や仕事内容など、「転職先にとっても関心があること」に触れて説明するようにしましょう。

どうしても長時間の通勤を選ぶ場合は、電車の中での過ごし方を考えよう

通勤時間は短いのが理想ですが、場合によって長時間の通勤が不可欠な転職先しか見つからないこともあるでしょう。もし、そうした転職先に移る場合は、あらかじめ長い通勤時間をどのように過ごすか考えておくのがおすすめです。

あまり混まない路線なら、携帯プレイヤーで音楽を聞いたり、本を読んだりして過ごすのもいいでしょう。なかには、タブレットを開いて通勤時間中に仕事のメールチェックなどを済ませてしまう人もいます。

混む路線であっても時間帯を変えると空いていて座れる場合もあります。満員電車を避けるために始発で出勤し、電車の中で仮眠をとる、といった方法もあるでしょう。誰にでもできる方法ではありませんが、検討して見る価値はあります。もし、長い通勤時間を有効に活用したり、心身の負荷を軽減したりする方法が思いつかないようなら、別の転職先を探したほうがいいかもしれません。

まとめ

通勤時間が人々の生活に与える影響から、転職先選びにおける通勤時間の重要性を解説してきました。

人々は通勤時間が長いほど幸福感を感じにくく、本人だけでなく家族も生活しにくくなります。公表されている調査から、多くのビジネスパーソンが通勤時間の長さに不満を抱えている傾向が見て取れました。さらに女性の場合は、「通勤時間が長く、家族との時間が取れない」という点が、出産を気に仕事を辞める理由のひとつとなっています。

一方で、通勤時間が短くなると余暇時間・睡眠時間が増える、共働きがしやすくなるなどのメリットがあります。よって、転職の際、通勤時間を企業選びの基準の一つに加えるのは正しいといえるでしょう。

転職先を選ぶときは、通勤時間とその他の条件の兼ね合いに注意しなければいけません。通勤時間が許容可能な範囲かどうか見極め、場合によっては別の転職先を探す勇気が必要です。

1日は24時間、誰に対しても平等です。限られた時間をいかに有効に使うかが、人生の幸福度を決める鍵になるといっても過言ではないでしょう。転職で「働いている時間」を見つめ直すついでに「勤め先と自宅を行き来する時間」についても見つめ直してみてはいかがでしょうか?