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リンの効果や効能は?ミネラルの主要成分のリンを多く含む食品も紹介

 

リンは、健康維持に欠かせないといわれるミネラルです。

具体的に、どのような働きを期待できるのでしょうか。

リンに期待できる働きとリンを含む食品などを解説します。

利用を検討している方は、参考にしてください。

 

目次

ミネラルの主要成分であるリンとは何か?

リンはどのような成分なのでしょうか。

最初に、リンの概要を解説します。

リンとは

リンは錬金術の実験中に発見された成分です。

ヒトはもちろん、すべての生物に欠かすことのできないミネラルと考えられています。

ヒトの体内で作り出すことは出来ないので、食事などから摂取しなくてはならない必須ミネラルのひとつに挙げられています。

リンは、ヒトの身体でカルシウムに次いで二番目に多く存在するミネラルです。

その約80%は、カルシウムと結合したリン酸カルシウムとして骨と歯に存在します。

その他のリンは、エネルギー代謝や脂質代謝などに関わっています。

多量ミネラルって?

現在、必須ミネラルと分かっているものには、リン、カルシウム、マグネシウム、硫黄、塩素、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、セレン、ヨウ素などがあります。

必須ミネラルの種類は全部で16種類です。

これらのうち、1日の摂取量が100㎎を超えているものを多量ミネラル(あるいは主要ミネラル)、1日の摂取量が100㎎未満のものを微量ミネラルといいます。

リンは多量ミネラルに分類されます。

ATPとは

リンの重要な働きのひとつがエネルギー代謝に関わることです。

エネルギー代謝で重要になるのがATPという物質です。

ATPは、糖質や脂質、タンパク質などに含まれるエネルギーを体内で蓄えるために作られる物質です。

その働きから、体内でエネルギーの通貨として働く物質と表現されます。

リンはATPの構成成分のひとつ

ATPは、アデノシンリン3リン酸のことです。

名前からわかる通り、アデノシンに3つのリンが結び付いた物質です。

リンはATPの構成成分のひとつです。

エネルギー代謝に関わる重要なミネラルであることが分かります。

リンの効果や効能

リンには、どのような効果や効能が期待できるのでしょうか。

リンに期待できる効果や効能を解説します。

骨や歯を強くする

リンはカルシウムと結合して骨や歯を形成します。

この働きから、リンには骨を強くする働きがあるといわれています。

丈夫な骨を作りたい方は、カルシウムとともにリンの摂取も心がけると良いでしょう。

糖質の代謝をサポート

ATPを構成するリン酸は、食事などから摂った糖質の代謝に関わります。

活動に必要なエネルギーを作り出すために、欠かせないミネラルと考えられます。

神経伝達を正常に

リンは体の中でリン脂質の成分となります。

リン脂質は、やる気を生み出す、気持ちを高めるなどの働きがあるほか、記憶力をサポートする伝達物質アセチルコリンの原料になります。

この働きから、リンは神経伝達を正常に保つなどといわれています。

筋肉を正常に動かす

リンは筋肉の働きにも関わっています。

筋肉の収縮に必要なエネルギーは、ATPが分解されてアデノシン2リン酸に変わるときに放出されます。

ただし、筋肉中に存在するATPは多くありません。

激しい運動をするとすぐに尽きてしまうため、クレアチンリン酸が分解してアデノシン2リン酸にリン酸基を引き渡すことでATPのやりくりをしています。

クレアチンリン酸は、クレアチンがリン酸化された物質です。

ATP、クレアチンリン酸に関わることから、リンは筋肉の働きに深く関わっているといえます。

リンはカルシウムとマグネシウムと結合して骨を強くする!

リンには骨を強くする働きがあるといわれています。

具体的に、どのような働きで骨を強くしているのでしょうか。

この働きを詳しく見ていきましょう。

リンは体内のミネラルの中でカルシウムの次に多い栄養素

リンは、カルシウムについで身体に多く存在するミネラルです。

この側面だけをとっても、ヒトにとって重要な役割を果たすミネラルであることが分かります。

リンの重要な役割のひとつが骨を強くする働きです。

どのように骨を強くするのでしょうか。

カルシウムとマグネシウムと結合

リンは、カルシウムと結合してリン酸カルシウムになり骨や歯を形成します。

また、マグネシウムと結合してリン酸マグネシウムとなることでも骨や歯を形成します。

つまり、リンはカルシウムやマグネシウムと結合することで骨の材料になるのです。

リンの約85%は骨や歯の成分になります。

骨や歯を作る重要なミネラルなので、リンには骨を強くする働きがあると考えられています。

カルシウムとマグネシウムとのバランスが大切

強い骨や歯を保つには、リン、カルシウム、マグネシウムのバランスに気を付けることが重要と考えられています。

リンとカルシウムの理想のバランスとされているのが「1:1」です。

カルシウムとマグネシウムの理想のバランスは「2:1」と考えられています。

骨にはカルシウムの貯蔵庫という側面もあります。

カルシウムの摂取が不足して血中濃度が低下すると、骨からカルシウムは溶け出します。

体内のマグネシウムが不足すると骨に蓄えられているマグネシウムが使用されます。

この時、カルシウムも一緒に流れ出ます。

この量が骨形成を上回ると骨量は減少します。

骨量とは、骨に含まれるミネラル(カルシウム)の量です。

骨の強度を表す指標として用いられている骨密度は、単位体積当たりの骨量のことです。

骨量が減ると骨は脆くなってしまいます。

リン、カルシウム、マグネシウムのバランスを考えながら必要量を摂取することが重要です。

リンの正しい摂取方法

リンを利用したい方は、どのように摂ればよいのでしょうか。

リンの摂り方を解説します。

1日の推奨量と摂取量

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、リンの摂取量は次のように定められています。

リンの食事摂取基準
年齢 男性(mg/日) 女性(mg/日)
目安量 耐容上限量 目安量 耐容上限量
0~5カ月 120 120  ―
6~11カ月 260 260  ―
1~2歳 500 500  ―
3~5歳 800 600  ―
6~7歳 900 900  ―
8~9歳 1000 900  ―
10~11歳 1100 1000  ―
12~14歳 1200 1100  ―
15~17歳 1200 1000  ―
18~29歳 1000 3000 900 3000
30~49歳 1000 3000 800 3000
50~69歳 1000 3000 800 3000
70歳以上 1000 3000 800 3000

摂取のタイミングは?

摂取のタイミングに特別な決まりはありません。

食事から摂りたい方は食事のタイミングで、サプリメントなどから摂りたい方は好きなタイミングで摂ればよいと考えられます。

カルシウムやマグネシウムと結合するので、一度に大量に摂るよりも小まめに摂るほうが良いと考えられています。

妊婦さんには付加量が必要?

妊婦さん・授乳婦さんに対する付加量は定められていません。

妊娠中・授乳中であっても、摂取量を多くする必要はないと考えられます。

サプリメントなどから摂った場合の安全性はわかっていないので、基本的には食事から摂るように心がけてください。

リンの注意点や副作用

リンを摂りたい方は注意点も確認しておきましょう。

過剰摂取と欠乏の影響を解説します。

過剰摂取すると?

リンを大量に摂取すると、他のミネラルの吸収を阻害する恐れがあります。

長期にわたりリンの過剰摂取を続けると、カルシウム不足やマグネシウム不足などの影響が現れるかもしれません。

また、リンの過剰摂取を続けることで腎機能の低下などを招く恐れもあります。

リンの摂りすぎには注意しましょう。

欠乏すると?

幅広い食品に含まれるので、健康的な食事を続けている方で不足する恐れはほとんどないと考えられています。

万が一、欠乏すると食欲不振、倦怠感などが現れます。

胃薬に用いられる水酸化アルミニウムを長期間にわたり服用している方などで、リンは不足する可能性があります。

あてはまる方は気を付けてください。

リンと相性の良い成分とあまり良くない成分

リンを利用したい方は相性の良い成分と相性のあまり良くない成分も抑えておきましょう。

カルシウムやマグネシウムなど

カルシウムやマグネシウムと結合して強い骨を作ります。

リンだけをとっても強い骨は作れないので、カルシウムやマグネシウムも不足なく摂ることが重要です。

一方で、カルシウムやマグネシウムなどと結合するため、一度に大量に摂るとこれらの吸収を妨げる恐れがあります。

リンを摂りたい方は、他の栄養素とのバランスに気をつけてください。

相性がいい成分でもありますが、過剰摂取によっては相性が悪くなるので注意です。

リンを多く含んでいる食品を紹介!

リンは食事から摂ることが出来ます。

効率よく摂りたい方は、次の食品などを利用すると良いでしょう。

するめ

リンを豊富に含む食品のひとつがするめです。

100g当たりの含有量は1100㎎です。

焼くだけで良いので簡単にリンを摂れる点が魅力です。

あるいは、他の料理にも活用できます。

リンを摂りたい方にオススメの食品です。

プロセスチーズ

プロセスチーズもリンを豊富に含みます。

100g当たりの含有量は730㎎です。

身近なチーズなので誰でも利用しやすいはずです。

簡単にリンを摂れる点はメリットですが、油断するとリンを摂りすぎてしまいます。

プロセスチーズを利用する方は、摂取量に気をつけましょう。

大豆

豆類では大豆がおすすめです。

国産大豆100gには490㎎のリンが含まれています。

このほか、納豆や豆腐などの大豆食品にも豊富に含まれています。

利用しやすい大豆食品を見つけておくとリンを摂りやすいはずです。

インスタントコーヒー

意外なところでは、インスタントコーヒーにもリンは含まれています。

含有量は、100gあたり350㎎です。

リンの不足が気になる方は、休憩時などにインスタントコーヒーを飲むとよいかもしれません。

玄米

リンは主菜からも摂ることが出来ます。

米にも含まれているからです。

玄米の含有量は100gあたり290㎎です。

玄米を食べづらい方は白米に混ぜてみてはいかがでしょうか。

まとめ

リンは、体内で2番目に多く存在する必須ミネラルです。

その多くは、カルシウムと結びついて骨や歯に存在します。

このことからわかるように強い骨や歯を維持する働きを担います。

健康な食生活を送っていれば不足するリスクは低いと考えられますが、不足すると食欲不振や倦怠感などに悩まされる恐れがあるので気をつけましょう。

過剰摂取にも注意が必要です。

リンは、他のミネラルとのバランスに気をつけながら摂ることが重要です。

効率よく摂りたい方は、するめやプロセスチーズなどを利用してみてはいかがでしょうか。

あるいは、サプリメントを利用することもできます。

過剰摂取と欠乏に気をつけながら摂取してください。