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フィチン酸の効果・効能は?玄米食のミネラル不足と関係があるの?

 

玄米食を摂っている方などから注目を集めているフィチン酸。

気にしている方が多いかもしれませんね。

フィチン酸には、どのような効果・効能を期待できるのでしょうか。

また、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。

フィチン酸に期待できる効果・効能と想定されるリスク、フィチン酸を含む食品などを解説します。

興味のある方は参考にしてください。

 

目次

フィチン酸とは何か?

最初に、フィチン酸の概要を解説します。

フィチン酸はどのような成分なのでしょうか。

フィチン酸とは

フィチン酸は、植物の種子に多く含まれる成分です。

例えば、トウモロコシなどに多く含まれています。

動物の細胞にも存在し、人間では心臓の筋肉や骨格筋などに含まれています。

フィチン酸は、淡い黄色から淡い褐色で酸味のある成分です。

様々な効果・効能を期待できるとして注目を集めています。

イノシトールのリン酸化合物

フィチン酸は、イノシトールと呼ばれる水溶性のビタミン様物質にリン酸が結び付いた物質です。

別名をイノシトール-6-リン酸といいます。

植物の種子に存在するフィチン酸は、次世代へリン酸を引き渡す働きがあります。

リン酸のほかでは、亜鉛や鉄を引き渡すこともできます。

キレート作用って?

フィチン酸の働きとして注目を集めているのが亜鉛や鉄などと強く結びつくことです。

ある分子が金属イオンと強く結合して分離しにくい化合物を作る作用をキレート作用といいます。

金属がカニのハサミに挟まれたような姿になることから、キレート(カニのハサミ)作用と呼ばれています。

フィチン酸のキレート作用は、栄養の吸収に一定の影響を与えると考えられています。

フィチン酸の効果・効能は?

フィチン酸には様々な効果・効能が期待されています。

どのような効果・効能を期待されているのでしょうか。

血液に関与する働き

フィチン酸に期待されている働きのひとつが、血液の凝固を抑制する働きです。

血液をスムーズな状態に保つことは健康を維持するためとても重要です。

また、フィチン酸には、総コレステロールと中性脂肪を下げる働きも期待されています。

過去に行われた高コレステロール食で飼育した動物にフィチン酸を与えた実験で、総コレステロールと中性脂肪の低下が確認されたからです。

健康値にも影響を与える可能性が注目を集めています。

強い抗酸化作用

フィチン酸には強力な抗酸化作用を期待できます。

抗酸化作用とは、酸化ストレスから身体を守る働きです。

具体的には、体内で活性酸素の発生を抑制する、体内で発生した活性酸素を消去するなどの働きを抗酸化作用と呼んでいます。

生体内の成分と反応しやすい活性酸素には、タンパク質を変性させる、酵素を失活する、過酸化脂質を生じる、遺伝子を傷つけるなどの働きがあり、老化や動脈硬化の原因になるとされています。

フィチン酸は、強力な抗酸化作用で活性酸素から身体を守る可能性があると考えられています。

解毒作用

フィチン酸には、解毒作用も期待できます。

フィチン酸が汚染物質と結びつき水に溶けにくい状態にすることで、吸収を妨げ排泄を促すからです。

この働きから、フィチン酸は有害な金属などの吸収を妨げるといわれています。

尿中のカルシウムと結合

フィチン酸には、カルシウム結晶の過剰な生成を抑制する働きがあります。

この働きにより、尿中のカルシウム濃度を正常に保つと考えられています。

玄米を食べるとミネラル不足になる?フィチン酸との関係とは

健康に良いといわれることが多い玄米。

一方で、玄米を食べるとミネラル不足に陥るといわれることもあります。

その理由として挙げられるのがフィチン酸です。

フィチン酸がどのように影響すると考えられているのでしょうか。

詳しく解説します。

玄米を食べるとミネラルが不足する?

私たちが、食事などからとった栄養を吸収するには栄養を水に溶けやすい状態にする必要があります。

フィチン酸には、アルカリ条件で亜鉛や鉄といったミネラルと強く結びつき水に溶けにくいフィチン酸塩に変換する働きがあります。

フィチン酸塩は水に溶けにくいため、吸収されることなく体外へ排泄されてしまいます。

玄米はフィチン酸を豊富に含むと考えられるため、玄米ばかり食べているとミネラル不足に陥るといわれることがあるのです。

フィチン酸とフィチンの違い

フィチン酸は、ミネラルの吸収を阻害する可能性が指摘されています。

そのため、玄米を食べるとミネラル不足に陥るといわれることがあります。

心配になる意見ですが、玄米に多く含まれるのはフィチン酸ではなくフィチン酸と金属イオンが結合したフィチンです。

玄米に含まれるフィチンは、基本的にミネラルの吸収に影響を与えません。

健康な方が常識的な量の玄米を食べたからといって、ミネラル不足に陥ることはありません。

また、少量のフィチン酸をとったからといって、摂取したミネラル全てを吸収できなくなるわけでもありません。

他の食品から十分なミネラルを摂れる方であれば、フィチン酸の影響を気にしすぎる必要はないでしょう。

ミネラル不足は良くない

以上の通り、玄米がミネラルの吸収を大きく阻害することはないと考えられています。

豊富な栄養を含む食品なので、玄米は健康維持に活用したい食品といえます。

いずれにせよ、十分な量のミネラルを摂ることは重要です。

ミネラルが不足しないように、栄養バランスの整った食事を心がけてください。

フィチン酸の摂り方

フィチン酸を摂りたい方は、どのように摂ればよいのでしょうか。

フィチン酸の摂り方を解説します。

1日の推奨量・摂取量

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」にフィチン酸の推奨量・摂取量は記載されていません。

公に定められた推奨量・摂取量はないと考えられます。

摂りすぎなどに気をつけながら摂取を心がけると良いでしょう。

摂取のタイミングは?

摂取のタイミングに関しても特別な決まりはありません。

食事などから摂りたい方は食事のタイミングでサプリメントなどから摂りたい方は好きなタイミングで摂ると良いでしょう。

ミネラルの吸収に影響を与えるので、この点に注意すると良いかもしれません。

妊婦さんには付加量が必要?

妊娠中、授乳中の付加量についても、特別な決まりは確認できませんでした。

妊娠しているから、授乳しているからといって、フィチン酸をたくさん摂らなくてはならないなどはないと考えられます。

デリケートな時期なのでフィチン酸を普段より多く摂りたい方は、念のため医師に相談しましょう。

フィチン酸の注意点や副作用

フィチン酸を摂りたい方は注意点も確認しておきましょう。

過剰摂取と欠乏の影響を解説します。

過剰摂取すると?

ミネラルの吸収を阻害する可能性が指摘されています。

ミネラルの摂取量が極端に少ない方が、大量のフィチン酸を摂取すると好ましくない影響が現れる恐れがあります。

フィチン酸を摂る方はミネラルもしっかりとりましょう。

欠乏すると?

多くの動植物に含まれているため、欠乏しにくい成分と考えられます。

欠乏が気になる方は、健康的な食事を心がけましょう。

フィチン酸と相性の良い成分とあまり良くない成分

フィチン酸を摂りたい方は、相性の良い成分と相性のあまり良くない成分も抑えておきましょう。

フィチン酸を効率よく利用できるはずです。

相性が良い成分

ミネラル

ミネラルの吸収を阻害する恐れがあります。

とはいえ、摂取したすべてのミネラルの吸収を阻害するわけではありません。

ミネラルをしっかり摂っていれば、ミネラル不足に陥る可能性は低いといえます。

フィチン酸を摂る方はミネラルもしっかりとりましょう。

相性があまり良くない成分

カルシウム・亜鉛・鉄

ミネラルの中でも、カルシウム・亜鉛・鉄の吸収を妨げる可能性が指摘されています。

これらの摂取量が少ない方や骨粗鬆症の方、貧血の方などはフィチン酸の摂り過ぎに気をつけてください。

医薬品

抗凝固薬の効き目を強くする恐れがあります。

このほかの医薬品にも影響を与える可能性はあるので、何かしらの医薬品を服用している方はサプリメントなどからフィチン酸を摂る前に医師に相談してください。

フィチン酸を多く含んでいる食品を紹介!

フィチン酸は食事から摂ることが出来ます。

どのような食品に多く含まれているのでしょうか。

ゴマ

フィチン酸を豊富に含む身近な食品がゴマです。

ゴマには、血液をスムーズにする質の良い油や良質なタンパク質など豊富な栄養も含まれています。

食事に振りかけるだけでよいので、フィチン酸が気になる方はゴマを積極的に利用すると良いでしょう。

大豆

大豆もフィチン酸を豊富に含みます。

「畑の肉」と呼ばれることからわかる通り、大豆は良質なタンパク質を含みます。

健康維持に役立つ食品なので、大豆もフィチン酸を摂りたい方にオススメのです。

インゲン豆

同じく、インゲン豆もフィチン酸を豊富に含みます。

フィチン酸のほかでは食物繊維、カルシウム、鉄、亜鉛、βカロテンなどを豊富に含みます。

豆と野菜の特徴を備える食品なので、バランスの良い食生活づくりに活用できます。

小麦ふすま

身近とは言いづらいですが、小麦ふすまもフィチン酸を豊富に含みます。

フィチン酸のほかでは食物繊維や鉄分・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルも豊富です。

栄養価の高い食品なので、小麦ふすまも健康維持に役立てたいといえるでしょう。

トウモロコシ

おやつ感覚で利用できる食品では、トウモロコシもフィチン酸を含みます。

紹介した食品に比べ食べやすい点が魅力です。

手軽にフィチン酸を摂りたいときに利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

フィチン酸は、イノシトールにリン酸が結び付いた物質です。

植物の種子に多く含まれるほか動物の骨格筋などにも含まれています。

強玄米食を危険視する方もいますが、玄米に含まれるのはフィチン酸ではなくフィチンです。

玄米を食べたからといって、ミネラル不足に陥ることはないと考えられています。

また、フィチン酸が摂取したすべてのミネラルの吸収を阻害することもありません。

フィチン酸を摂っていても、食事の栄養バランスが良ければミネラル不足に陥ることはないと考えられています。

健康維持に役立つ働きを期待できるので、上手に活用してみてはいかがでしょうか。