私たちの健康維持に欠かせないクロム。
具体的に、どのような働きをするのでしょうか。
ここでは、クロムに期待される効果・効能とクロムを摂取できる食品などを解説しています。
健康維持にクロムを利用したいと考えている方は、参考にしてください。
私たちの健康維持に欠かせないクロム。
具体的に、どのような働きをするのでしょうか。
ここでは、クロムに期待される効果・効能とクロムを摂取できる食品などを解説しています。
健康維持にクロムを利用したいと考えている方は、参考にしてください。
最初に、クロムの概要を解説します。
クロムは、どのような成分なのでしょうか。
クロムは、1797年にフランス人の化学者によりシベリアで発見された元素です。
酸化状態により色が変わることからギリシャ語で色を意味するChromaにちなんでクロムと名づけられました。
さびにくい特徴から、鉄のメッキとして使用されています。
身近なところでは、自動車や台所のメッキなどに使用されています。
微量ながらヒトの身体にも存在します。
リンパ節、歯、肝臓、筋肉、血液中などに含まれています。
私たちの身体に存在するクロムは約2㎎と考えられています。
微量ですが、健康を維持するために欠かせないミネラルです。
これらの特徴と生体内で合成できないことから必須微量ミネラルに挙げられています。
約2㎎は必須ミネラルの中で最も微量です。
クロムが健康維持に欠かせないといわれる理由は、糖質代謝と脂質代謝、結合組織代謝、タンパク質代謝に深く関わっているからです。
いずれの代謝も生命維持に欠かせません。
クロムが欠乏すると健康維持に大きな影響が現れるため、必要量が微量でも必須のミネラルに挙げられています。
クロムには、どのような効果・効能を期待できるのでしょうか。
続いて、クロムに期待できる働きを紹介します。
クロムは、インスリンの働きを助ける必須微量ミネラルです。
クロムが不足してしまうと、インスリンが上手く働けません。また、コレステロール値も高くなります。
必須微量ミネラルのクロムは、健康維持に重要な役割を果たすと考えられています。
クロムには、褐色脂肪細胞に働きかけて脂肪の燃焼を促進する働き、筋肉の合成を助ける働きがあります。
インスリンを助ける働きもあるので、一部では、ダイエットに役立つ可能性があるといわれています。
ダイエット中の方は、クロムが不足しないように気を付けるとよいかもしれません。
クロムはインスリンや糖尿病と深い関わりがあるといわれています。
具体的に、どのような関わりがあるのでしょうか。
詳しく解説いたします。
インスリンには、
などがあります。
私たちの身体は、血液中に存在するブドウ糖を燃料に活動しています。血液中に存在するブドウ糖を血糖といいます。
ブドウ糖は、食事などからとる炭水化物などに含まれています。
インスリンが上手く働かないと、血液中のブドウ糖をうまく使えないため、血糖の高い状態が続きます。
血液中のブドウ糖は、専用のレセプターを通過して細胞へ取り込まれます。
クロムは、インスリンがレセプターと結合するのを助けてその作用を増強すると考えられています。
この働きにより、血液中のブドウ糖が臓器に取り込まれるのを助けます。
クロムが不足すると、インスリンが上手く働けないので糖代謝がスムーズに行えません。
活動に必要なエネルギーを上手く作り出せないため、身体がだるい、疲れやすいなど糖尿病によく似た症状が現れる恐れがあります。
クロムは、健康を維持するためとても重要な必須微量ミネラルです。
クロムは、ブドウ糖が脂肪として蓄えられる前にエネルギーとして使う助けをします。
また、クロムには褐色細胞に働きかけて脂肪の燃焼を助ける働き、筋肉の強化を助ける働きもあるといわれています。
筋肉量が増えると基礎代謝も増すため、太りにくく痩せやすい身体を作れます。
一部では、クロムはダイエットにも役立つ可能性があるといわれています。
クロムを利用したい方は、どのように摂ればよいのでしょうか。
クロムの摂り方を解説します。
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、クロムの目安量は次のように定められています。
この量を参考に摂取を心がけると良いでしょう。
※1~17歳の目安量は定められていませんがクロムが必要ないというわけではありません。
栄養バランスに気を付けた食事を心がけましょう。
クロムの目安量(μg/日) | ||
年齢 | 男性の目安量 | 女性の目安量 |
0~5カ月 | 0.8 | 0.8 |
6~11カ月 | 1.0 | 1.0 |
1~17歳 | ― | ― |
18~29歳 | 10 | 10 |
30~49歳 | 10 | 10 |
50~69歳 | 10 | 10 |
70歳以上 | 10 | 10 |
摂取のタイミングに特別な決まりはありません。
食事から摂りたい方は食事のタイミングで、サプリメントから摂りたい方は好きなタイミングで摂ればよいと考えられます。
クロムは小腸で吸収されますが、そのメカニズムは明らかになっていません。
吸収率は非常に低いと考えられています。
一般的に、サプリメントは食事と一緒に摂ると吸収されやすいといわれています。
妊婦さん・授乳婦さんに付加量は定められていません。
必要な情報が不足しているからです。
妊婦さん・授乳婦さんも一日の摂取目安量は10μgに設定されています。
この量を参考に摂ると良いでしょう。
クロムを利用したい方は、注意点も確認しておきましょう。
過剰摂取と欠乏の影響を解説します。
食品にも含まれる成分なので、食事から常識的な範囲で摂取する分には安全と考えられています。
副作用として、頭痛、睡眠障害、イライラなどが挙げられています。
吸収率が低いので過剰摂取が問題になることは少ないとされていますが、長期間にわたり過剰摂取を続けると嘔吐、下痢、尿細管障害、中枢神経障害などを起こす恐れがあります。
人為的に作られる6価クロムは非常に毒性が強いとされています。4価クロムは発がん性物質です。
必須微量ミネラルに挙げられているのは、自然界に存在する3価クロムです。
加齢により体内に存在するクロムの量は減りますが、健康的な食生活を送っている限り欠乏することはありません。
病気の治療で、クロムを含まない完全静脈栄養などを続けると欠乏することがあります。
欠乏により耐糖能異常を起こします。
このほか、クロムが不足すると窒素代謝異常、体重減少、角膜異常などが起こります。
クロムを活用したい方は、相性の良い成分と相性のあまり良くないものも抑えておきましょう。
クロムを効率よく利用できるはずです。
ビタミンB1は糖の代謝に欠かせません。
クロムも糖の代謝に深く関わるので、ビタミンB1とクロムは相性が良いといわれています。
糖分を多く摂る方は、クロムとビタミンB1を一緒に摂ると良いかもしれません。
クロムと同じくインスリンの働きに深く関わっているミネラルが亜鉛です。
亜鉛はインスリンを構成する成分であるとともに、膵臓のランゲルハンス島でインスリンの合成・貯蔵・分泌などに関わります。
亜鉛が不足することでも、血糖値が高くなる恐れはあるといわれています。
インスリンの働きに深く関わることから、亜鉛はクロムと相性の良い成分に挙げられます。
一部の医薬品には、体内のクロム濃度をあげて副作用のリスクを高める働きがあります。
また、血糖値を下げる薬を服用している方がクロムを大量に摂ると、血糖値が下がりすぎる恐れもあります。
相性があまり良くない医薬品があるので、医薬品を服用している方はサプリメントなどからクロムを摂る前に医師に相談しましょう。
米や小麦などの穀物にもクロムは含まれます。
ただし、精製するとその多くが失われるとされています。
健康な食生活を送っていれば欠乏することはないミネラルと考えられていますが、気になる方は未精製の穀物を利用するとよいかもしれません。
クロムは身近な食材から摂ることができます。
クロムを多く含む食品は次の通りです。
クロムを最も多く含む食品があおさ(素干し)です。
100gあたり160μgのクロムを含みます。
一度にたくさんの量を摂ることはできませんが、汁物などにすれば効率よくクロムを摂れるはずです。
健康維持に活用したい食品といえるでしょう。
青のり(素干し)もクロムを多く含みます。
含有量は100gあたり39μgです。
青のり(素干し)も量を摂ることは難しいですが、食事に振りかければ手軽にクロムを摂ることができます。
黒砂糖もクロムを含みます。
100gあたりの含有量は13μgです。
クロムを摂りたい方はおやつに黒砂糖を食べる、料理に黒砂糖を使うなどを心がけるとよいでしょう。
クロムの不足を回避できるはずです。
クロムを多く含む身近な動物性の食品が鶏モモ肉です。
100gあたり3μgのクロムを含みます。量を摂りやすい点は魅力です。
クロムを摂りたい方は主菜に鶏モモ肉を活用してみてはいかがでしょうか。
少し意外ですが、クロムはミルクチョコレートにも含まれています。
100gあたりの含有量は24μgです。
クロムの不足が気になる方は、おやつにミルクチョコレートを食べるとよいでしょう。
身体に僅かに存在するだけなのに健康維持に欠かせないクロムは、必須微量ミネラルに挙げられています。
健康な食生活を送っている方で不足することはないといわれていますが、不足すると健康に様々な影響が現れます。
気になる方は、過剰摂取に気をつけながらクロムを含む食品を摂ると良いでしょう。
さらに、積極的に摂取したい方は、クロムを配合したサプリメントを利用するとよいかもしれません。
適量のクロムを摂ることで、健康を維持しやすくなるはずです。