健康に対する効果・効能が大きな注目を集めているDHA。興味を抱いている方が多いかもしれませんね。DHAとはどのような成分なのでしょうか。また、どのような効果・効能を期待されているのでしょうか。DHAを多く含む食品とあわせて、これらの点を解説します。最初に、DHAの概要を解説します。DHAはどのような成分なのでしょうか。
健康に対する効果・効能が大きな注目を集めているDHA。興味を抱いている方が多いかもしれませんね。DHAとはどのような成分なのでしょうか。また、どのような効果・効能を期待されているのでしょうか。DHAを多く含む食品とあわせて、これらの点を解説します。最初に、DHAの概要を解説します。DHAはどのような成分なのでしょうか。
健康に対する効果・効能が大きな注目を集めているDHA。
興味を抱いている方が多いかもしれませんね。
DHAとはどのような成分なのでしょうか。
また、どのような効果・効能を期待されているのでしょうか。
DHAを多く含む食品とあわせて、これらの点を解説します。
最初に、DHAの概要を解説します。
DHAはどのような成分なのでしょうか。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は魚の油に多く含まれる脂肪酸です。
脂肪酸は、炭素の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸に分けられます。
DHAは多価不飽和脂肪酸に分類されます。
二重結合が一つの不飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸、二重結合が2つ以上の不飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸といいます。
同じ炭素数の飽和脂肪酸と比べた場合、不飽和脂肪酸は融点が低いとされています。
このことは、低温の海水に生息する魚に多く含まれている脂肪酸であることを考えると理解できます。
DHAには、動物性の脂肪に比べると低温でも固まりにくい特徴があります。
多価不飽和脂肪酸はオメガ3系とオメガ6系に分かれます。
3個目の炭素に二重結合がある多価不飽和脂肪酸をオメガ3系、6個目の炭素に二重結合がある多価不飽和脂肪酸をオメガ6系といいます。
オメガ3系はn-3系脂肪酸、オメガ6系はn-6系脂肪酸と呼ばれることもあります。
オメガ3系にはDHAのほかEPA(エイコサペンタエン酸)、αリノレン酸などが、
オメガ6系脂肪酸にはリノール酸、アラキドン酸などがあります。
オメガ3系、オメガ6系とも、生命維持に欠かせないにもかかわらず体内でほとんど作り出すことが出来ない必須脂肪酸です。
DHAは、食事などから摂る必要のある必須脂肪酸です。
体内でほとんど作り出すことが出来ないので、体内のDHAの量は食事から摂った量を反映します。
日本人は、魚をよく食べる食文化を有するのでDHAが不足するとは考えられていませんでした。
しかし、最近になって食生活が欧米化して魚を食べる機会が減っています。
現在では、日本人の多くが目標量の半分程度しかDHAを摂取できていないと考えられています。
DHAは、日本人に不足しがちな栄養素として挙げられるようになったのです。
食事やサプリメントなどで積極的に補うことが勧められています。
DHAには、様々な効果・効能が期待されています。
DHAは、血液脳関門を通過できるため脳に存在します。
特に、記憶や学習をつかさどる海馬と呼ばれる場所に多く存在します。
過去に行われた研究で、海馬に存在するDHAの量が学習能力などに影響を与える可能性が示唆されています。
また、DHAには赤血球や細胞膜を柔軟にする働きがあります。
これにより脳へ酸素などを届けやすくすると考えられています。
これらのことから、DHAには記憶力などを向上する働きが期待されています。
健康な赤血球は柔軟に形を変えることができます。
赤血球の大きさよりも狭い毛細血管を通過できるのはこの特徴があるからです。
DHAが不足すると赤血球が硬くなるため血液の流れが悪くなります。
DHAには、血液をサラサラにする働きも期待できます。
血液の流れが悪くなると、血液を隅々まで届けるため心臓の血液を送り出す力が強くなります。
血管に高い圧力がかかるので血圧が高くなるおそれがあります。
血液をサラサラに保つことは、健康を維持するうえでとても重要です。
DHAは目の網膜にも多く含まれています。
未熟児に与えることで、視力・視覚機能の発達を促進する可能性があると考えられています。
また、DHAを含んだパンを小学生に与えることで視力が改善したという報告もあります。
視力や視覚機能に対する効果も期待されています。
DHAには中性脂肪を低下させる働きがあります。
この働きは、国がDHAを含む食品の一部を中性脂肪が気になる方に適している特定保健用食品として認めていることからもわかります。
一般的に、中性脂肪が多いと善玉コレステロールは低下するといわれています。
このことから、中性脂肪が低下すると善玉コレステロールは増えやすくなると考えられています。
善玉コレステロールには不要なコレステロールを回収する働きがあります。
DHAには、コレステロール値の上昇を抑制する働きも期待できるといわれています。
DHAには、アレルギーを促進する成分を抑制する働きがあります。
このことから、抗アレルギー作用も期待できると考えられています。
ヒトは、ストレス環境に置かれると攻撃性や敵意が高くなります。
過去に行われた研究で、DHAを摂取することで攻撃性を抑えられるとするデータがあります。
このことから、DHAには、キレやすい方などの精神を安定させる働きが期待されています。
DHAとセットで扱われることが多い成分にEPAがあります。
EPAはどのような成分なのでしょうか。
DHAとの違いを解説します。
EPAも魚の油に多く含まれる脂肪酸のひとつです。
DHAと同じ、多価不飽和脂肪酸のオメガ3系に分類されます。
EPAとDHAは分子構造がとてもよく似ています。
また、期待されている働きも似ています。
さらに、EPAは体内でDHAに変換され、DHAからEPAに変化することもあります。
このような特徴がある成分なのでDHA一緒に扱われることが多いようです。
DHAとEPAはよく似ていますが、違う面もあります。
例えば、どちらも血液をサラサラに保つといわれていますが、DHAは血管や赤血球を柔軟にすることで血液をサラサラに、EPAは血栓を防ぐことで血液をサラサラにします。
それぞれ、異なる働きで血液をサラサラに保つのです。
血液を健康に保つ効果はEPAの方が高いとされています。
脳に対する働きはDHAだけに期待できる効果です。
EPAは、脳に必要な物質かどうかを判別する血液脳関門を通過できないからです。
同じく、目に対する効果もDHAにしか期待できません。
EPAは血液網膜関門も通過できないからです。
神経系への働きを期待できるのはDHAだけです。
よく似た成分ですが、働きを詳しく見ると異なる点があります。
働きが異なるので、2つの成分を一緒に摂ることが勧められています。
DHAもEPAも多価不飽和脂肪酸のオメガ3系に分類されます。
オメガ3系とは、構成する3個目の炭素に二重結合がある脂肪酸です。
同じ、オメガ3系脂肪酸としてαリノレン酸が挙げられます。
EPA・DHAはαリノレン酸を原料として生合成することができます。
ただし、その量はごくわずか(10~15%程度)です。
EPA・DHAを生合成することはできますが、十分な量を合成できるわけではない点に注意が必要です。
一部では、DHAを摂ると頭が良くなるといわれています。
本当に、頭が良くなるのでしょうか。
DHAは、「食べると頭が良くなる成分!?」として一躍有名になりました。
この説のキッカケとなったのが、イギリスの栄養学者マイケル・クロフォード博士が「日本の子どもの知能指数が高いのはDHAを豊富に含む魚を食べているから」と評したことです。
確かに、DHAには記憶力や学習能力を向上させる働きが期待されています。
実際に、いくつかの動物実験などで、DHAを与えた動物のほうがDHAを与えていない動物より記憶力や学習能力に優れていたとする結果が示されています。
記憶や学習に関する作業は、脳のニューロンという神経細胞の情報伝達により行われます。
具体的には、神経細胞内でアセチルコリンという物質が次のシナプスに移動することで行われます。
DHAはシナプスに多く存在し、アセチルコリンの働きを活発にします。
また、DHAは記憶や学習をつかさどる脳の海馬に多く存在します。
これらのことから、脳にDHAが多く存在すると、記憶力や学習能力、集中力などが高まるといわれています。
とはいえ、DHAを大量に摂るだけでテストの点数が良くなるなどといったことはありません。
実際に、頭が良くなるには勉強をする必要があります。
残念ながら、DHAを摂るだけで頭が良くなることはありません。
しかし、DHAが不足すると学習能力が低下する可能性は指摘されています。
この点が気になる方は、DHAを積極的に摂取するとよいかもしれません。
DHAを利用したい方は、どのように摂ればよいのでしょうか。
DHAの摂り方を解説します。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、n-3系脂肪酸の目安量は次のように定められています。
また、18歳以上はDHA・EPAを1日1g以上摂取することが望ましいとされています。
n-3系脂肪酸の目安量 | ||
男性の目安量(g/日) | 女性の目安量(g/日) | |
1~2歳 | 0.7 | 0.8 |
3~5歳 | 1.3 | 1.1 |
6~7歳 | 1.4 | 1.3 |
8~9歳 | 1.7 | 1.4 |
10~11歳 | 1.7 | 1.5 |
12~14歳 | 2.1 | 1.8 |
15~17歳 | 2.3 | 1.7 |
18~29歳 | 2.0 | 1.6 |
30~49歳 | 2.1 | 1.6 |
50~69歳 | 2.4 | 2.0 |
70歳以上 | 2.2 | 1.9 |
摂取のタイミングに特別な決まりはありません。
食事から摂る方は食事のタイミング、サプリメントから摂る方は好きなタイミングで摂ると良いでしょう。
こだわりたい方は、食事と一緒に摂るとよいかもしれません。
吸収率がアップするといわれています。
DHAは神経組織の重要な構成脂質なので、妊婦さん・授乳婦さんは積極的にとったほうが良いと考えられています。
具体的には、1日当たり1.8gのn-3系脂肪酸を摂ることが勧められています。
DHAをとりたい方は注意点も確認しておきましょう。
過剰摂取と欠乏の影響を解説します。
身近な食品に含まれる成分なので、基本的には安全に利用できると考えられています。
ただし、EPA・DHAを含む魚の油では吐き気・ゲップ・鼻血・軟便などの副作用が報告されています。
また、DHAを過剰摂取(1日3g以上)すると、血液が固まりにくくなり出血しやすくなる恐れがあるとされています。
DHAを摂る方は目安量を守りましょう。
DHAを含むn-3系脂肪酸が欠乏すると、皮膚のトラブルを起こす可能性があります。
皮膚のトラブルはn-3系脂肪酸を摂ることで緩和することが多いようです。
欠乏には十分注意しましょう。
DHAをとりたい方は、相性の良い成分と相性のあまり良くないものも抑えておきましょう。
DHAと同じく血液をサラサラにする効果などが期待されている成分です。
よく似た成分ですが、DHAと働きは微妙に異なります。
一緒に摂るとそれぞれの働きを補完できるなど言われることがあります。
脂肪酸であるDHAは酸化に弱いとされています。
酸化を防ぐ抗酸化成分はDHAと相性が良いと考えられます。
抗酸化成分としてビタミンE・ビタミンCなどが挙げられます。
ビタミンEはアーモンドやピスタチオなどのナッツ類に、ビタミンCはパプリカやレモンなどに含まれています。
大量に摂ると血液が固まりにくくなるので、血液を固まりにくくする作用のある医薬品と相性が悪いといわれています。
また、血圧を下げることがあるので血圧を下げる医薬品とも相性が悪いといわれています。
以上のほかにも、相性の悪い薬があるかもしれません。
何かしらの医薬品を服用している方でDHAを含むサプリメントなどを利用したい方は、医師に相談してから利用しましょう。
DHAは食事から摂ることができます。
食事から摂りたい方は、次の食品を利用すると良いでしょう。
クロマグロの脂身(生)には、100gあたり3200㎎ものDHAが含まれています。
DHAを効率よく摂れる食品ですが、高級食材なので頻繁には利用できないかもしれません。
身近な食品では、大西洋サバ(焼き)が挙げられます。
100gあたり2700㎎のDHAを含みます。
効率よくDHAをとりたい方は大西洋サバ(焼き)を利用すると良いでしょう。
ブリもDHAを多く含む食品です。
具体的には、100gあたり1900㎎のDHAを含みます。
サバに飽きた方はぶりを選んでみてはいかがでしょうか。
お手軽にDHAをとりたい方にオススメなのがサンマの缶詰(味付け)です。
100gあたり1700㎎のDHAを含みます。
調理の必要がないので忙しいときなどに最適です。
以上のほかでは、めざしもDHAが豊富です。
100gあたりの含有量は1400㎎です。
朝食からDHAをとりたい方はめざしを利用するとよいかもしれません。
DHAは、オメガ3系脂肪酸に分類される必須脂肪酸です。
魚の摂取量が減っているので、日本人でも不足しがちになっているといわれています。
摂取の目安量とされているのが1日当たり1g以上です。
毎日、これだけのDHAを食事だけからとることは大変です。
魚が苦手な方などは、サプリメントを利用すると良いでしょう。
サプリメントであれば、手軽にDHAを摂ることができます。
様々なサプリメントが登場しているので、利用しやすいものを選んでみてはいかがでしょうか。
参考サイトEPA・DHAとは| 一般社団法人 日本サプリメント協会
参考サイト魚油の有効性に関する最新情報 – 医療法人社団 満岡内科・循環器クリニック