サプリメントなどで見かけることのあるアスパラギン酸。
具体的にどのような成分なのでしょうか。
アスパラギン酸の特徴と摂取できる食品などについて解説しています。
利用を検討している方などは参考にしてください。
サプリメントなどで見かけることのあるアスパラギン酸。
具体的にどのような成分なのでしょうか。
アスパラギン酸の特徴と摂取できる食品などについて解説しています。
利用を検討している方などは参考にしてください。
日常生活で目にする機会の少ないアスパラギン酸ですが、実は身近な成分といわれています。
まずは、アスパラギン酸の概要についてみていきましょう。
アスパラギン酸は、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつです。
アミノ酸は、ヒトが体内で合成できる「非必須アミノ酸」とヒトが体内で合成できない「必須アミノ酸」に分かれます。
アスパラギン酸は、食事などで摂った栄養から体内で合成できる「非必須アミノ酸」です。
名前からわかる通り、アスパラギン酸はアスパラガスから発見された成分です。
様々な働きを期待できることが分かったので、現在では幅広い製品に利用されています。
身近な利用方法のひとつが甘味料です。
アスパラギン酸は、砂糖の200倍もの甘味を持ちながら砂糖よりカロリーが低いアスパルテームの材料として利用されています。
アスパルテームは、清涼飲料水やガムなどの甘味料です。
アスパラギン酸は、多くの食品にも含まれています。
食品の代表として挙げられるのが昆布です。
アスパラギン酸は、昆布のうまみ成分でもあるのです。
具体的には酸味を含むうまみ成分と考えられています。
アスパラギン酸は、日本人にとって身近な成分のひとつということができるかもしれません。
アスパラギン酸を含むアミノ酸にはL型とD型があります。
もともと、ヒトの身体はL型のアミノ酸から構成されると考えられてきましたが、近年の研究によりD型のアミノ酸も存在することが分かりました。
D型のアミノ酸は、L型のアミノ酸が加齢(主に紫外線やストレスなど)の影響を受けることで変化して生まれます。
発生するとタンパク質がうまく機能しなくなると考えられています。
つまり、D型のアミノ酸は老化の原因のひとつと考えられているのです。
昆布などに含まれるアスパラギン酸には、どのような効果・効能があるのでしょうか。
アスパラギン酸には、マグネシウムなどのミネラルを細胞に取り込みやすくしてクエン酸回路を円滑に回す働きがあります。
この働きにより、運動などで増加した乳酸をエネルギーに変えるサポートをすると考えられています。
また、アスパラギン酸には、エネルギー源になるグリコーゲンの生成を促す働きもあります。
これらの働きが期待できるので、アスパラギン酸は疲労回復に有効と考えられているのです。
現在では、一部のスポーツドリンクや栄養ドリンクなどに配合されています。
アスパラギン酸には、古い肌を新しい肌に入れ替える新陳代謝を促進する働きがあるとされています。
さらに、角質層の潤いを保つ働きもあるとされています。
肌にうれしい働きが期待できるので、一部のスキンケア用品にも利用されています。
アスパラギン酸には、尿の合成を促進してアンモニアを体外に排出する働きがあるとされています。
アンモニアが体内に蓄積すると、神経伝達物質が上手く働かなくなってしまいエネルギーをうまく作り出せなくなり疲労を感じるなど様々なトラブルが生じます。
尿を合成してアンモニアを体外に排出することはとても重要な機能です。
アスパラギン酸には、カリウムなどのミネラルを細胞に運び、体液のバランスを整える働きがあるとされています。
これにより、崩れた体調を整える働きが期待できると考えられているのです。
以上のほか、アスパラギン酸には筋肉を増やす働きもあるといわれています。
なぜ、このように言われるのでしょうか。
また、本当に筋肉を増やすことはできるのでしょうか。
男性らしい体つきの象徴といえるのが発達した筋肉です。
発達した筋肉は、テストステロンにより作られます。
テストステロンは、男性らしい体つきや精子の生成などに関わる男性ホルモンです。
アスパラギン酸には、テストステロンの生産を増やす働きがあるといわれています。
そのため、アスパラギン酸には筋肉を増やす働きがあると考えられているのです。
ただし、実際にアスパラギン酸を意識的に摂取して筋肉が効率よくついたと感じている方は少ないようです。
意識的にアスパラギン酸を摂ったからといって、体つきが劇的に変わるほどテストステロンは分泌されないと考えられているからです。
普段筋トレをしない方や食生活が乱れている方などでは、実感できることがあるかもしれません。
アスパラギン酸には、クエン酸回路に働きかけて乳酸をエネルギーに変えるサポートをする働きがあるとされています。
この働きにより、効率よく筋トレを行える可能性はあります。
筋肉増強剤のような効果は期待できませんが、筋トレのサポート役としては優れた成分といえるかもしれません。
アスパラギン酸には、美しい肌を維持する効果もあるとされています。
どのような働きで、美しい肌を維持するのでしょうか。
美しい肌の条件として挙げられるのが「肌のうるおい」です。
肌のうるおいは、皮脂・天然保湿因子・角質細胞間脂質により守られています。
加齢などが原因でこれらが減少すると、肌の水分量が減ってガサガサになってしまいます。
肌の潤いを守る天然保湿因子は、アスパラギン酸を含むアミノ酸、尿素、乳酸などから構成されます。
材料となるアスパラギン酸には、保湿効果を期待できるとされています。
細胞賦活作用があるとされているアスパラギン酸は、肌の表面にある角質層内の細胞分裂を促し、肌のターンオーバーを促進するといわれています。
肌のターンオーバーとは、古い肌が剥がれ落ちて新しい肌と入れ替わるサイクルのことです。
健康な肌を維持するため欠かせないサイクルです。
最近の研究により、真皮Ⅰ型コラーゲンにアスパラギン酸を添加すると繊維束が太くなることが分かっています。
つまり、アスパラギン酸には、真皮Ⅰ型コラーゲン繊維束の形成を促進する効果があることが分かったのです。
真皮Ⅰ型コラーゲンは、肌のハリや弾力に重要な役割を果たすコラーゲンです。
美しい肌を維持するために欠かせませんが、加齢とともに減少してしまいます。
真皮Ⅰコラーゲン繊維束の形成を促進するアスパラギン酸は、スキンケアが気になる方にとって注目の成分といえるでしょう。
様々な効果・効能が期待できるので、アスパラギン酸を積極的に摂りたいと考えている方が多いはずです。
アスパラギン酸はどのように摂ればよいのでしょうか。
オススメの摂り方を紹介します。
アスパラギン酸の摂取量は特に定められていません。
目安に、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」よりタンパク質の推奨量を紹介します。
タンパク質の推奨量 | ||
男性の推奨量(g/日) | 女性の推奨量(g/日) | |
1~2歳 | 20 | 20 |
3~5歳 | 25 | 25 |
6~7歳 | 35 | 30 |
8~9歳 | 40 | 40 |
10~11歳 | 50 | 50 |
12~14歳 | 60 | 55 |
15~17歳 | 65 | 55 |
18歳~ | 60 | 50 |
食事などからアスパラギン酸(アミノ酸)を摂る場合は、特にタイミングを気にする必要はないとされています。1日3回の食事で摂ると良いでしょう。
サプリメントなどからアスパラギン酸(アミノ酸)を摂る場合は、食事の30分前まで、空腹時に摂ることが勧められています。
食後に摂ると、食事に含まれるタンパク質から影響を受ける恐れがあるからです。
もちろん、食事前でないとダメということはありませんが、サプリメントなどを利用する方は参考にすると良いでしょう。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、妊婦さん・授乳婦さんはタンパク質を普段より多く摂った方が良いとされています。
付加量は妊娠中期の妊婦さんで+10g、妊娠末期の妊婦さんでで+25g、授乳婦さんで+20gです。
妊娠中期は16週目から28週目未満、妊娠末期は28週目以降を現します。
あくまでタンパク質についてなので、アスパラギン酸に偏っての摂取は控えてください。
アスパラギンを積極的に摂りたい方は、注意点や副作用も確認しておきましょう。
アスパラギン酸を過剰摂取した場合の注意点、欠乏した場合のリスクを紹介します。
アスパラギン酸は、体内でタンパク質の合成に使われるアミノ酸のひとつです。
摂取してもすぐに使われるため、過剰摂取になることはほとんどないとされています。
ただし、好きなだけアスパラギン酸を摂っても良いというわけではありません。
あまりに摂りすぎると身体に負担がかかるかもしれません。
サプリメントなどを利用していると、気づかない間にアスパラギン酸を大量に摂ってしまうことがあります。
利用する方は、念のため摂取量に注意しましょう。
加齢により体内で合成できるアスパラギン酸の量は減少します。
アスパラギン酸が欠乏すると、エネルギーを生み出しにくくなるので疲れを感じやすくなるといわれています。
また、アンモニアの排出が滞る恐れもあります。
非必須アミノ酸であり様々な食品に含まれているため、アスパラギン酸が欠乏することは少ないと考えられますが、食生活が乱れがちな方や年齢が気になる方などは積極的に摂った方が良いかもしれません。
アスパラギン酸を生活に取り入れたい方は、相性の良い成分と良くない成分を覚えておくとよいかもしれません。
どのような成分と相性が良く、どのような成分とあまり相性が良くないのでしょうか。
アスパラギン酸には、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルを細胞に取り込みやすくする働きがあるとされています。
そのため、アスパラギン酸とミネラルを一緒に摂ると効率よく働くと考えられています。
カルシウムは干しエビや炒りゴマなど、マグネシウムは青のりやワカメなど、カリウムはほうれん草、枝豆などに多く含まれています。
タンパク質の合成には、アミノ酸に加えビタミンB6、ビタミンC、マグネシウムなどが必要です。
そのため、アルギニン酸とこれらを一緒に含む食品を摂ると効率よくタンパク質を合成できるといわれています。
ビタミンB6はニンニク、ビタミンCはピーマンなどに多く含まれています。
成分ではありませんが、アスパラギン酸は熱に弱いとされています。
加熱しすぎると構造が壊れてしまうからです。
アスパラギン酸を含む食品を調理するときは、熱を加えすぎないように気をつけたほうが良いかもしれません。
毎日の食事からアスパラギン酸を摂りたい方は、次の食品を食卓に加えてみてはいかがでしょうか。
アスパラギン酸を豊富に含む食品を紹介します。
カタクチイワシの稚魚(シラス)を干し固めたタタミイワシには豊富なアスパラギン酸が含まれています。
具体的には、100gあたり7200㎎ものアスパラギン酸が含まれています。
ご飯のお供やお酒の肴、おやつなどになるので、気軽にアスパラギン酸を摂りたい方にオススメです。
もちろん、カタクチイワシもアスパラギン酸を豊富に含みます。
色々な料理に使われる鰹節にもアスパラギン酸が豊富に含まれます。
100gあたりの含有量は7200㎎です。
唯一の問題は、まとまった量を摂ることが難しい点です。
アスパラギン酸を食事から摂り硬い方は、鰹節をおひたしに振りかけるなど、こまめに使うように心がけるとよいでしょう。
いり大豆100gには4700㎎のアスパラギン酸が含まれています。
このほかの大豆食品にもアスパラギンは豊富に含まれています。
例えば、生の湯葉100gには2900㎎、ひきわり納豆100gには1900㎎、糸引き納豆100gには1800㎎のアスパラギン酸が含まれています。
大豆食品もアスパラギン酸を摂りやすい食品といえます。
肉類もアスパラギン酸を多く含みます。
例えば、鶏のむね肉(皮なし・焼き)100gには3700㎎のアスパラギン酸が含まれています。
豚のヒレ肉(赤肉・焼き)にも同量のアスパラギン酸が含まれています。
主食として利用しやすいので、鶏のむね肉や豚ヒレ肉はアスパラギン酸を効率よく摂れる食品です。
鶏卵もアスパラギン酸を摂りやすい食品です。
茹で卵100gには1300㎎、生の全卵には1200㎎のアスパラギン酸が含まれています。
手軽なので、鶏のむね肉などより使い勝手は良いかもしれません。
パスタやサラダなどに利用されることが多いパルメザンチーズにも豊富なアスパラギン酸が含まれています。
具体的には、パルメザンチーズ100gには3100㎎のアスパラギン酸が含まれています。
スライスしてそのまま食べると、効率よくアスパラギン酸を摂ることができます。
もちろん、アスパラギン酸を発見したアスパラガスにもアスパラギン酸は含まれています。
ただし、他の食品に比べ飛び抜けて多いアスパラギン酸を含むわけではありません。
生のアスパラガス(若茎)100gには430㎎のアスパラギン酸が含まれています。
アスパラギン酸は、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつです。
不足すると疲れを感じやすくなる、アンモンニアを排出できなくなる恐れなどがあります。
体内でも合成できますが、年を重ねると合成量は減ります。
積極的に補いたい方は、タタミイワシや鶏むね肉、大豆食品などを食卓に取り入れると良いでしょう。
食生活が乱れがちな方は、サプリメントを利用することもおすすめです。
食生活が乱れがちな方は、サプリメントからアスパラギン酸を補うこともできます。
どのようなサプリメントにアスパラギン酸が含まれているのでしょうか。
オススメのサプリメントを紹介します。
アミノ酸が不足している方にオススメされているサプリメントです。
体内で合成できない必須アミノ酸9種類を含む20種類のアミノ酸を摂ることができます。
具体的には、1日10粒で2200㎎のアミノ酸を摂ることができます。
10粒に含まれるアミノ酸は、バリン216㎎、ロイシン317㎎、イソロイシン187㎎、トレオニン77㎎、トリプトファン28㎎、グルタミン7㎎、アスパラギン酸200㎎などです。
不足するアミノ酸をバランスよく摂りたい方によいかもしれません。
筋肉の減少が気になる方にオススメされているサプリメントです。
分岐鎖アミノ酸(BCAA=バリン・ロイシン・イソロイシン)を含む10種類のアミノ酸をバランスよく配合しています。
具体的には、1袋4.5gの中に、バリン250㎎、ロイシン450㎎、イソロイシン250㎎、グルタミン450㎎、アルギニン200㎎、アスパラギン酸ナトリウム390㎎などが含まれています。
顆粒タイプなので、そのまま摂る、あるいは水に溶かして飲むことができます。
参考サイト厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」