髪の毛は非常に敏感で、一本抜かれただけでも強い痛みを感じてしまいます。
しかし、この抜毛症にかかってしまうと、自ら髪の毛を抜いてしまいます。
髪を抜くのは快感、でも抜いてしまった後はショック…そんな抜毛症とどのように向き合い、どう解決していけばよいのでしょうか?
髪の毛は非常に敏感で、一本抜かれただけでも強い痛みを感じてしまいます。
しかし、この抜毛症にかかってしまうと、自ら髪の毛を抜いてしまいます。
髪を抜くのは快感、でも抜いてしまった後はショック…そんな抜毛症とどのように向き合い、どう解決していけばよいのでしょうか?
抜毛症と書くと何らかの原因によって髪が抜けてしまう病気のように見えますが、これは「自らの手で髪の毛を抜いてしまう病気」です。
場合によっては抜毛狂や抜毛癖とも呼ばれます。
健康な人でも、白髪や枝毛は抜きたくなるものですが、抜毛症になると数本というレベルを超えて髪の毛を抜いてしまいます。
痛いはずなのに、際限なく抜いてしまうのです。
抜毛症になると、気になった髪の毛を抜く程度では収まりません。
抜く本数は数十本から数百本に及び、気付けばある部分の髪の毛が全てなくなってしまうことがあります。
つまり、抜毛症は地肌が見えるまで髪を抜いてしまいます。
時間で言えば10分以上抜き続けています。
そして、髪の毛を一通り抜いたら他の部分の髪の毛も抜き始めます。
意識していなくても髪の毛を抜いているせいか、利き腕の方が多い本数を抜いています。
例えば右利きの人は右頭部の方が薄くなります。
人によっては、鏡や写真を見て気づく場合もあるようです。
また、意識していても抜毛症をやめられない点も怖いところです。
ダメだと思っていても髪を抜かずにはいられませんし、髪の毛を抜くことに快感を覚えてしまうこともあります。
そのため、抜毛をやめられないことがストレスとしてのしかかります。
抜毛症の怖いところは頭髪に収まらない点です。
体毛であれば抜いてしまうのでまゆ毛やまつ毛、ひげ、陰毛も抜毛する対象になります。
腕や足に生えている毛も熱心に抜きます。
そうなると、帽子やウイッグのほかに、化粧や衣服での工夫も必要になります。
まず、抜毛症が多いのは子どもです。
聞いたことのない人にとっては稀な病気と思われますが100人に3人は患っていると考えられます。
中でも多いのが、小学校の高学年くらいから高校生にかけての子どもたちです。
次に、女性の方が男性の9倍も症例が多いところも抜毛症の特徴です。
しかし、これはあくまで統計上の問題で、男性は抜毛症を隠す人が多いのではと言われています。
抜毛症はストレスによる自傷行為のひとつであることから、ストレスを抱えた人にも多いと考えられています。
一説には繰り返し行動のひとつとも言われています。
これは爪を噛むこと、皮膚をつねることなどが典型的です。
抜毛症の原因はストレスやセロトニンが不足していることなど考えられます。
そのため、遺伝や環境による因子が関わっている可能性は低いです。
子供に多いことから虐待との相関関係が疑われたこともあります。
抜毛はストレスに対応する手段の一つと考えられています。
それは、爪を噛むことや皮膚をつねること、リストカットのような症状の一種ということです。
抜毛症は無意識に行ってしまうので、気付いた時は心の不安やストレスと向き合ってみましょう。
他には、脳のリラックスに関わるセロトニン不足も考えられます。
セロトニンが不足するとイライラすることやうつ病になることが指摘されています。
つまり、セロトニンが不足していると、人よりもストレスを感じやすく、安らぎを感じにくいと言うことです。
髪を抜くと落ち着く、快感という人は要注意です。
髪の毛を抜くことに快感を覚えると、それに依存し始めます。
依存の携帯はいろいろあるため、抜毛として現れなくても摂食障害やアルコールへの依存。
ギャンブル依存症として現れる場合があります。
このように、抜毛症は髪の毛を抜く病気としてよりも、精神疾患のひとつとして見ることが合理的と言えます。
髪の毛を抜いた後はさらにストレスを募らせます。
そして、さらに髪の毛を抜いてしまう悪循環に陥ることも考えられます。
これも、他の依存症との共通点です。
一人で抱え込まなくても大丈夫です。
抜いてしまった髪がまた生えてくるのか気になるところですが、ご安心ください。
毛根が死滅するわけではないので、髪の毛はしっかり生えてきます。
抜毛症で抜けてしまった部分も毛穴の奥にある毛母細胞は生きていれば、一時的な脱毛症だとしても生えてくるのですから大丈夫です。
抜毛症が精神邸な問題である以上、心理療法を受けることが解決の糸口になります。
カウンセリングを受けて悩みを解決することや、ストレスを発散すること。
他には行動を意識することや抜毛以外の行動に置き換えることなども有効な治療と考えられます。
ただし、心理療法の効き目は人それぞれですぐに改善する人もいれば、長い時間をかけて改善しなければいけない可能性も十分にあり得ます。
それでも、自分を責めないことを第一に治療に臨むことが大切です。
また、あなたの身の回りの人が抜毛症で悩んでいる時も治療の経過は人それぞれです。
すぐに解決しないから病院がおかしいと言うわけではないのです。
抜毛症は本人で求められないほどの病なので、本人のつらさを理解したうえでサポートしましょう。
子どもの場合も、髪の毛を抜く姿を行儀が悪いと叱ることによる悪化が考えられます。
言葉の無いストレスのサインと受け止めてあげましょう。
セロトニンが足りないのであれば、それを補給してしまえばよいというのは極めて合理的です。
しかし、セロトニンを服用するだけでは目立った効果が見られませんでした。
抜毛症は脅迫障害のひとつと考えられていますが、これを薬で治すのは難しいと言われています。
そんな中、効果が期待できるのがセロトニン再取り込阻害薬(SSIR)と呼ばれる薬です。
これは、セロトニンを外から取り入れるのとは違い、体内での合成を促進し、再吸収による分解を止めてくれます。
しかし、不安がなくなっても快楽で抜毛する人はやめられないようです。
このように、抜毛症を改善することにはかなりの時間がかかります。
それでも、抜毛症が悪化すると髪の毛を食べてしまう食毛症を併発することもあるので体を守るためにも治療は必要です。
抜毛症(抜毛癖)(こころの病気のはなし/専門編) – ハートクリニック横浜