ボーナスをもらってから転職するには、職場の「就業規則」と「ボーナスの算定期間」を理解して立ち回る必要があります。ただ、できればもらい逃げだと思われたくないのが人情です。
今回は、ボーナスをもらって円満退職をするための知識と、多くの人が見落としがちな、「転職さきのボーナス」を含めた賞与の総額を増やす転職時期の決め方について、まとめました。
ボーナスをもらってから転職するには、職場の「就業規則」と「ボーナスの算定期間」を理解して立ち回る必要があります。ただ、できればもらい逃げだと思われたくないのが人情です。
今回は、ボーナスをもらって円満退職をするための知識と、多くの人が見落としがちな、「転職さきのボーナス」を含めた賞与の総額を増やす転職時期の決め方について、まとめました。
夏や冬のボーナス前後に転職をする場合、「ボーナスをもらってから辞めるのは、もらい逃げのように思われてしまうのではないか」と不安に感じる人は、多いです。
しかし、ボーナスを満額もらってから転職したいと考えるのはなんら悪いことではありません。なぜなら、ボーナスは仕事をがんばった結果として支払われるものだからです。
ボーナスがあるかどうか、算定期間はいつからいつまでかといったことは、すべて会社の就業規則で決められています。
ボーナスは、社員のがんばりに対する評価であり、今後も仕事をがんばってほしいという思いから支払われるものです。転職するまで懸命に働いてきたという自信があるなら、ボーナスはもらって当然だと考えましょう。
ボーナスは、会社から社員に対する一種の好意なのです。くれるというものを、わざわざ突き返す必要はありません。
IT関係など、転職が多い業界ではボーナスをもらってから転職するのは当たりまえだという考えもあるほどです。なにより、「ボーナスをもらってから転職するのは悪いのではないか」と考えて、転職をためらったり、失敗してしまったりしては意味がありません。
ただ、ボーナスをもらって転職するなら、できれば立つ鳥跡を濁さずの精神を発揮するのがおすすめです。
ボーナスをもらって転職するなら、会社とはもめないように気をつけましょう。とくに、同業他社に転職する場合、まえの職場に悪感情をもたれてしまうと、働きづらくなってしまいます。辞めた会社の人と、取引相手として会う場合もあるのです。
転職によるキャリアアップや、将来的な独立を考えているなら、できるだけ円満退職を目指しましょう。ボーナスをもらうことにこだわるというより、いかにうまくボーナスをもらって転職するかを考えるのがポイントです。
トラブルなくボーナスをもらってから転職するためには、ボーナスの仕組みについて知る必要があります。
ボーナスは、一般的に夏と冬の年2回にわけて支払われる特別給です。基本給とはべつに支払われるお金なので、たとえ支給額が基本給の1ヶ月ぶんであったとしても、ボーナスがあるだけで年収は大きくあがります。労働者にとって、とてもありがたい制度です。
ただ、ボーナスは毎年必ずもらうことができるものではありません。なぜなら、ボーナスは基本給とは違い、支払うかどうかを会社がそれぞれの判断で決めることができるからです。
勤めている会社における、ボーナスのルールを知らずに転職を決めると、「もらえると思っていたボーナスが、1円ももらえなかった」という事態が起こります。
ボーナスをもらって転職するため、最初にしたほうがよいのは、ボーナスの正確な支給日を確かめることです。
自社のボーナスが毎年の何月何日に支払われるのか、すぐに答えられる人はおそらく少ないでしょう。しかし、ボーナスの支給日を知らないと、転職さきへいつ入社するのか、会社にいつ退職すると伝えるのかを決めることができません。多くの会社では、ボーナスの支給日よりまえに退職した社員に、ボーナスが支払われないからです。
ボーナスをもらうなら、支給日を確認するのは必須の作業となります。
ボーナスの支給日をはっきりさせたら、職場の就業規則を読み込みましょう。会社と労働者が結ぶ契約は、朝何時から出社するのか、どういう仕事をするのか、基本給はいくらで、ボーナスはいつ、いくら、どういう計算方法で支払うのか、すべてを就業規則で定めています。
つまり、就業規則を見ればボーナスの金額計算、退職する人のボーナスはどういう扱いになるのか、といったことがすべてわかるのです。
とくに、
①ボーナス支給日に在籍しておく必要があるか
②退職予定者にも支給されるか
は念入りに確認しましょう。
ボーナスを支払う条件に、「ボーナスの算定期間に働いており、ボーナスの支給日に在籍していること」をあげている会社は多いです。
ただ、年俸制で給料をもらっている場合、「ボーナスの支給日まえに退職しても、ボーナスをもらうことができる」可能性があります。
年俸制は、会社と相談して決めた年俸を12分割して毎月少しずつ支払う契約です。しかし、ボーナスをもらっているように感じることができるよう、あえて年俸を14分割、または16分割して、夏と冬に多めに支払っている場合もあります。
年俸制で給料を12分割以上で支払っている場合、通常のボーナスと違って働きぶりや会社の業績から査定して金額を決めているわけではありません。あくまでも給料なので、堂々とボーナスをもらって転職することができるのです。
会社によっては、ボーナスの支給日まえに退職の意思を伝えた社員にはボーナスを支払わない、と決めている場合もあります。いつ退職すると会社に伝えるかによって、ボーナスがもらえるかどうかが変わってしまうのです。
ボーナスをもらってから会社に退職したいと伝えるのが、一番安全な方法となります。ボーナスをもらってから辞めることができるからです。実際に、不要なトラブルを避けるため、ボーナスをもらって一息ついてから退職するケースは少なくありません。
ボーナスの支給については就業規則で決めていますが、金額は会社の利益や本人の働きぶりに対する評価、査定を組み合わせて決めています。
支給日よりまえに退職すると伝えた場合、会社は「今後もがんばってもらうことができないなら、ボーナスを満額支払う必要はない」と判断する可能性が高いです。基本給や何ヶ月ぶんのボーナスを支払うか、といった基準が同じでも、査定が悪くなってしまうと、満額から割引されたボーナスしかもらうことができません。
ボーナスの査定基準は公開されていないため、退職したいと伝えてからボーナスの金額が少なくなっても、会社と争うのは難しいです。
また、ボーナスが出ていたものの、就業規則にボーナスについての規定がない場合、これまでもらっていたボーナスは会社側の純粋な好意ということになります。就業規則に支払いのルールがない以上、退職予定者にボーナスを支払うかは会社の考え次第です。支給日まえに退職希望を伝えた場合、ボーナスはもらえないと考えておいたほうがよいでしょう。
ボーナスをもらって気持ちよく会社を辞めるためには、退職の意思を伝えてから実際に退職するまでの猶予、引き継ぎ期間を最低1ヶ月は見ておくことが大切です。
辞めたあと、つぎの担当を決めたり違う人間を採用したりするまで、どうしても会社の仕事には穴があきます。人が一人辞めたぶんの業務を負担するのは、会社に残る上司や同僚です。引き継ぎをせず、ボーナスをもらったあといきなり辞めると、残った人たちは後足で砂をかけられたように感じてしまいます。
トラブルやもらい逃げといった印象を避けるためには、上司や同僚の気持ちに配慮して立ち回ることが大切です。ボーナスをもらったあとに退職する場合、自分がいなくなっても問題が起こらないようにしっかりと引き継ぎを行うことで、悪印象をもたれにくくなります。
できれば、繁盛期に辞めるのは避けましょう。もちろん、ブラック企業に勤めていて、すぐに辞めないと体調を崩してしまう場合は別です。しかし、多くの場合、繁盛期は人が十分にいても忙しいシーズンなので、上司や同僚も忙しさやストレスから気が立っています。
ひまな時期であれば笑顔で送り出してくれる同僚も、繁盛期であれば迷惑そうな顔をするのです。わざわざトラブルの起こりやすいタイミングを選んで、辞める必要はありません。
転職の内定が決まったら、「いつから入社するか」を決めることになります。すぐに入社してほしいという会社もありますが、たいていの場合、「引き継ぎをする必要がある」と伝えれば、内定を取ってから2、3ヶ月ほど猶予をもたせてくれるのです。
引き継ぎをする余裕がない、という事態はほとんどありません。
内定日と退職する日、入社日をコントロールすれば、より多くのボーナスをもらうこともできます。
ボーナスをもらって転職したいと考えている人は、「どうやって満額のボーナスをもらってから辞めるか」だけを考えていることが多く、「転職先のボーナス」のことを忘れています。大切なのは、一年間に入ってくる収入の総額を考えることです。
たとえば、勤めている会社のボーナスが「基本給20万円の2ヶ月ぶんと査定で、満額なら50万円」だとしましょう。一見すると、いまの職場で50万円のボーナスをもらってから辞めたほうよいように感じます。
しかし、転職さきのボーナス規定が「基本給25万円の3ヶ月ぶんと査定で、満額なら85万円」であり、なおかつ前職のボーナス支給日と転職さきの賞与算定期間がかぶっていたらどうでしょうか。
前職のボーナスを満額もらうために、入社日を遅らせれば遅らせるほど、転職さきの賞与算定期間は短くなります。賞与算定期間が短すぎる場合、ボーナスそのものがもらえなかったり、ボーナスではなく寸志で終わったりすることもあるのです。
前職で満額のボーナスをもらうことにこだわるより、査定がさがることを覚悟して早めに退職の意思を伝えて入社日を早めたほうが、結果としてもらうボーナスの総額は大きくなる場合もあります。
転職するときは、転職さきの就業規則もすみずみまで確認しておいたほうがよいのです。
ボーナスを確実にもらって転職するなら、就業規則の確認と職場への配慮が欠かせません。就業規則を確認しなかったばかりに、もらうことのできたはずのボーナスをもらえなかったり、引き継ぎせずに転職したために、上司や同僚から恨まれたりすることもあるからです。
また、転職さきでもらえるボーナスや賞与の算定期間によって、理想的な退職日と入社日は違います。自分にとって一番よい転職ができるように、就業規則をよく見て日程を調整しましょう。