看護師の退職交渉の進め方は?スムーズに転職するためのコツはある?
今の職場を退職しようと考えている方必見!
どこへ行っても人手不足で引く手あまたの看護師です。逆に言えば、どこの病院でも働いている看護師が離れていかないように必死です。そのため、退職することに引け目を感じてしまう看護師も少なくないのではないでしょうか?
どんな理由で退職するのがスムーズな方法なのか、円満退職に向けて何かできることはあるのか、ほんの少しの知っておくだけでも全然違ってくると思います。
私の経験談を含め、退職していった周りの先輩看護師たちのことを思い返してまとめたいと思います。
ぜひ退職時の参考にしてみてください。
目次
退職交渉でよく使われる退職理由
結婚や出産
人生の一大イベントとも言える結婚や出産は看護師の退職する理由として非常に多いようです。生活も大きく変わることになり、夜勤もできなくなります。仕事を続けるにしても、負担が少なく家庭と仕事の両立が可能である職場への転職を考える場合が多いみたいですね。
引っ越し
引っ越しを機に転職を考える方はとても多いのではないでしょうか。結婚や家庭の事情等で病院とは離れたところへの引っ越しをするとなると、どうしても継続して通勤することが困難になってきますよね。
「遠方への引っ越しが決まったので退職したいです。」さすがに通勤が困難となると、これを理由にして退職できないということはまずないと思います。
スキルアップ
現在働いている職場では経験できないことも多くあると思います。たとえば、現在大学病院で働いているのであれば、「看護手技を身につけたい」「地域密着型の病院に行きたい」という理由で中小病院へ転職したいと思う人もいるでしょう。
逆に「看護技術はすでに身に付いたから、勉強や研究に力をいれたい」という方もいるかもしれません。ほかにも「○○病院の内分泌科は先生たちが有名でとても力を入れていると聞いている。ぜひ専門的な知識を深めに行きたい!」「学生のころから興味のあったターミナルケアの勉強をしたい!」等理由はさまざまだと思います。
自分の目指すものが明確である場合は具体的な思いをまっすぐに伝えると良いでしょう。
看護師以外にやりたいことができた
「資金集めのために看護師をしている」「看護とは別の分野の専門学校に行きたい」等話していた同期の看護師が何人かいました。ずっと先のことを見据えてそういう風に考えている方もいるようです。
ほかにも、子育てもひと通り落ち着いてきただいぶベテランの看護師になるのですが「昔からやりたいと思っていたカレー屋をしている」という話も聞いたことがあります。
看護師をしていると、その気になれば資金集めはそう難しくないと思います。やりたいことがあって、資金集めの後その道にすすむという人も少なくないようです。
家庭の事情(子育て、介護等)
家庭のある方は、自分だけの都合で仕事を続けられない場合もあります。
小さなお子さんがいて仕事よりも子育ての方に専念したい人は、時間にある程度融通の利きやすい職場への転職を考えるようです。
また、両親等家族の介護が必要な方も、病院より少し身体的負担の軽く働ける介護施設や中小病院でのパート勤務を選択する方が多いようです。
さらに「夫の転勤でついていかなければならない」といったやむを得ない事情もあります。こういった家庭の事情を退職理由として挙げられると引き止める側も説得のしようがないと思われます。
退職の申し出をしたら引き留められるもの?
引き留められることがほとんどだと思います。引き留められないと「私ってそんなに頼りなくてここには必要のない人材だったかな」と逆に少し不安になるかもしれません(笑)
引き留められる理由は?
やはり看護師の人手不足が一番だと言えます。現場に慣れている看護師の退職は痛手となります。中堅であり後輩への指導やリーダー等をしている人であればなおさらです。
私は以前、糖尿病内科と腎臓内科の混合病棟で働いていたことがありますが、人手の足りない日は透析室や糖尿病外来に応援として派遣されることも少なくありませんでした。臨床経験が3年目以上であることが応援に回される条件であったため、3年目以上の看護師の退職時は師長さんもとくに強く引き留めの交渉をしている印象があります。
上手な退職交渉でスムーズに転職するコツ
退職の申し出はいつのタイミングがベスト?
貴重な人材が一人いなくなるということは、だれか別の人材が必要になるということです。仮に即戦力のある人が新しく入ってきたとしても、新しい職場に慣れるためにはある程度の時間を要します。辞められる病院側にも、それなりの準備期間というものが必要というわけです。そのため、遅くても3か月前には退職したい旨を伝えておくと良いと思われます。
例外もあると思いますが「今日辞めたい」と言ってすぐに辞めることは一般的には不可能です。基本的には“退職日の○○日前までに”等勤務先の就業規則に記載してある条件に沿って前もって申し出をしましょう。
辞めさせてもらいやすいタイミングは?
4~6月は大きな病院では新人看護師が入社してきて指導に人手がとられてしまい、猫の手も借りたいほどの繁忙期であるのは言うまでもありません。そのため、私が以前働いていた病棟の師長さんは、6月末での退職をすすめていることが多かったように思います。
実際にこの時期に退職をしたという看護師が私の知っている中でも多くいます。忙しい時期にはなりますが、師長さんや病棟スタッフに喜ばれますし、退職金に加えてちゃっかり上半期のボーナスも貰うことができるので経済的にも助かります。なにより夏に向けてモチベーションが上がりますよね。
ただし、ひとつ注意しておきたいことがあります。6月末までの勤務だと次の職場への転職時期も中途半端になります。すでに配属が決まっているのであれば問題ありませんが、いくら人手不足とはいえ、人気の病院等では「春に新人看護師の入社があったため人数は充足しています」と断られることもあり得ます。そこら辺もよく考えたうえで決断することをお勧めします。
誰に対して退職申し出をするべきなの?
最初に、直属の上司である師長さんに声をかけるのが一般的です。
ただし、なかには話をしてもなかなか聞き入れてもらえないこともあるみたいです。私の知っている先輩の一人に、退職したいと思ってから実際に退職するまで1年以上もの時間を要した例があります。
師長という立場上、ひとりでも辞めて欲しくないという思いはわからなくもないのですが…。そんなときは、申し出る対象を変えて看護部長に話をしてみると案外すんなり退職の話がすすむこともあるようです。
退職理由の伝え方は?
前もって師長さんと向き合ってゆっくり話をできる場を設けておくといいでしょう。というのは、「また今度ゆっくり話聞くから」等話を流されてしまったというケースをよく耳にするからです。
また、退職したいという自分の意志を師長さんが納得のできる理由を付けてはっきり伝えることが大事です。明確な理由があり、さらにその意志の強さが伝われば、ちゃんと聞いてもらえます。
「以前から辞めようかなと迷っていて…」など相談ともとれる曖昧で弱気な発言はすぐにはぐらかされたり流されてしまいますので、伝え方にはとくに気をつけましょう。「もう少し働きながら考えてみたら?」「具体的に先の目標がはっきりしてから決めたら?」と最終的には納得させられることが考えられます。
就業規則や労働基準法を勉強して交渉を有利に
職場の規則と法律を知っておくだけで、とても有利に交渉が進むこと間違いなしです。
すべての労働者には退職する権利というものがあり、病院側がその意向を拒否する権限はないのです。トラブルなくスムーズに退職するのが一番ではありますが、なかなか病院側が受け入れる姿勢をみせてくれない場合は、退職届に退職日を記載して提出しましょう。
提出さえしてしまえば、設定した退職日以降は出勤する必要はありません。前述しましたが、就業規則に退職の○○日までに申し出るようにと記載があるはずですので、そこは事前にしっかり確認しておきましょう。
また、「退職までに有休休暇を取得したいのにできない」という方が多くいます。私は労働基準法の勉強不足と周りの病棟スタッフへの配慮で最終的には有休をすべて消化することができませんでした。「人手不足なんだからできるだけ最後まで働いてもらわないと困る」という師長さんの圧力に最後まで勝てませんでした。
看護協会のサイトでも有給休暇取得の取得制限は違法行為になる場合もあると述べられています。「上司が部下の有休取得を認めない」「取得日数の上限を示す」などの行為は労働基準法違反の疑いがありますので知っておきましょう。
また、原則有給休暇を労働者の希望する期日に取得させることが決まっています。ただし、時季変更権といって、事業の正常な運営を妨げる場合には労働者からの指定のあった有給休暇を別の日にするよう命じることができるようです。
退職理由は職場のせいにしないほうがスムーズに退職できる
たとえば人間関係が上手くいかない、サービス残業が多い、夜勤をしたくない等、退職したい理由を職場のせいにしてしまうと、「外来で働いてみる?」と部署変更を提案されたり、「残業を減らすように業務改善にしっかり取り組むから」と話を持っていかれてしまう場合があります。
師長さんも辞められないように必死です。今まで多くの看護師の辞めたい話を聞いてきており、引き留めることにも慣れています。退職する際は職場のせいにするより自己都合で退職したいという旨を伝えるとスムーズに話がすすむと思われます。
退職する前の有給消化はもらえるの?
もちろんもらえます。前述したように、原則として有給休暇は取得できるものです。
私の場合、事前の下調べ等は全くせず退職時に押さえるべきポイントを把握していませんでした。そのため、「年度末で私一人が抜けるだけでも他の看護師に迷惑をかけてしまう」等考えてしまい、結局流されるまま3月31日ギリギリまで働いていました。
今考えれば、「周りになんと言われようとあの時ちゃんと有休消化していればよかった」と大きく後悔をする結果となりました。
そうならないためにも、知識をしっかりとつけて自分が損をしないよう行動することが大切です。
後任者へのしっかりした引き継ぎで円満退職を
長年働いていると、なんらかの係や委員会の役割があると思います。
立つ鳥跡を濁さず。自分が去ったあとも委員会等がスムーズに行われるよう引継ぎが必要です。また、担当の患者さんの情報共有もしておいた方がいいです。中には引き継ぐ内容が多く時間を要する場合も考えられます。
しっかり引継ぎができていないと、後々残る人に迷惑をかけることに成りかねません。辞める際には余裕をもって退職日の1~2週間前には済ませておくが最低限のマナーであると言えるでしょう。
退職交渉のリアルな体験談
私の後輩(といっても年齢は一回り上)の退職時の体験談です。長年OLをやっていたため社会人としては大先輩であり、退職時のポイントは心得ているようでした。
「年度末ギリギリまで出勤してほしい」という師長さんからの願いを跳ね除けて、有休もすべて消化し、3月の勤務は前半のみで、あとは休みを取っていました。3月末も忙しいため「少しでも多く出勤してほしい」という周りのスタッフの意見も理解はできますが「有休を消化する権利がある」というまっすぐな主張には、ごもっともだと思いました。
私も次に同じ立場になれば、必ずや有休をすべて消化してみせようと決心しました。
まとめ
なにか少しでも役立ちそうな項目はありましたか?
とくにはじめて退職を経験するという方は、以前の私のように退職時の流れがわからず師長さんに言われるがまま有給休暇を取得し損ねたということにも成りかねません。
できるだけ多くの知識あるいは多くの経験談を聞いておくといざ自分が退職するとなったときに必ず役に立つと思います。
まず退職時のポイントをきちんと押さえてから師長さんに話をもっていくようにしましょう。
みなさんの退職がトラブルなくスムーズにいくように応援しています!