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看護師の本音と建前の退職理由!退職・転職活動での伝え方のコツは?

 

こんにちは、看護師のerinaです。

実際に退職や転職を経験した看護師の声、気になりますよね。病院や介護施設、さまざまな職場で働いてきた私自身の経験談も含め、その先々で実際に聞いた生の声をお届けします!

目次

看護師がやめた本音の退職理由は?

慢性的な人手不足

「休みがとれない」「残業が多い」「月の夜勤回数が多くて限界」

こうした問題の原因になっているのが人手不足であることは明らかです。人手不足が原因で過重労働になり、耐えきれなくなって辞めていく看護師がいても全く補充がされない。労働環境はますます悪化し悪循環に陥る一方。身体的もしくは精神的な健康状態の悪化を招きかねません。自分自身の健康を守るために転職する看護師も少なくないようです。すべての不満は人手不足からきていると言っても過言ではないでしょう。

超過勤務に加え、その時間外勤務手当の不払い、いわゆるサービス残業があまりにも多すぎる

超過勤務・サービス残業に不満のある看護師はとても多いと思います。残業なしの病院で働きたいと思うのは当然でしょう。

2008年に日本看護協会が“時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査”を実施しました。この調査で明らかになったことは、看護師の労働時間に多くの問題があること、過労死のハイリスクに当てはまる人が約2万人もいるということです。

さらにこの残業、なかなか手当が付きにくいというのが実態です。私が以前働いていた病棟では、毎日1時間以上の残業は当たり前で、師長さんの許可があってはじめて残業手当が付けられるというものでした。この師長さんの許可というのもその日の忙しさや看護師の人数によっても違い、その多くは実際の残業時間の半分程度しか認めてもらえなかったりと、結局のところ毎日のようにサービス残業していました。

これは一つの例であり、病棟や病院、また師長さんによって手当の付け方はさまざまであるため、一概に言えるものではありません。残業手当をしっかり付けてもらえる職場があれば魅力的ですよね。

業務時間外でやること(勉強会、委員会等)が多すぎる

大きな病院で働いていたら避けて通ることのできない勉強会への参加、委員会活動、看護研究等々…。もちろんこれらの活動は、看護師として働いていくうえで必要な知識の習得の場になります。そのため決して無駄なことではないのですが、“時間外でやらなければならない”というところにどうしても不満を感じてしまします。

私は以前働いていた職場で、褥瘡・NST委員会を2年間やっていました。各病棟の褥瘡ハイリスク患者を毎月リストアップして、新規褥瘡発生患者率や栄養状態をデータ化し、改善策を考えた上で病棟スタッフに向けた勉強会を開催していきます。聞くだけで頭が痛くなるような作業です。これを日々の多忙な業務の時間内で行うことは困難であったため、日勤終了後や夜勤明けのふらふらな状態で取り組んでいました。もちろん業務時間外です。

例として上記を挙げましたが、他にもさまざまな時間外の活動があると思います。さらに看護研究の場合は、自宅へ持ち帰って取り組む方も少なくありません。終了後にやりがいや達成感を感じますが、「できることならやりたくない」というのが本音です。

もっとプライベートを充実させたい。家族との時間を優先したい。

病棟で働くと大変なのが24時間体制であるということですよね。二交代勤務であれば休みが多く感じられ、プライベートの時間が確保しやすい一方、1回の拘束時間がとても長く体力的にもかなりしんどいです。三交代勤務であれば勤務時間こそ短くなり身体への負担も少なくなりますが、家と病院との往復回数が多くなるため仮眠室で休憩してそのまま出勤する人もいます。

プライベートの時間確保は難しいと言えるでしょう。勤務形態が不規則だと、当然家族や友人と時間を合わせることが難しくなり、理解や協力も必要になってきます。そのため、夜勤のない働き方を選択したい、土日は家族と過ごしたい等の理由で転職を希望される方もとても多いです。

福利厚生制度の充実した病院で働きたい

看護師はまだまだ女性が中心の職業と言えます。多忙な医療現場に身を置く女性看護師は結婚や出産の影響を非常に受けやすく、大学病院等である程度経験年数を積むと、自分の生活に合わせて職場を変えざるを得ない状況に置かれるのが実態です。そのため、ワークライフバランスの実現のために、できるだけ福利厚生の充実した職場で働きたいと思う看護師が多いようです。

たとえば、住まいに関していえば住宅手当や家賃補助があると住居費を少しでも抑えることが可能です。出産を控えている人や子育て中の人には、子育て支援(院内保育や保育手当)があるととても助かるでしょう。子育てに理解のある職場は、復職後も働きやすそうですよね。他にも、将来的にキャリアアップを目指しているような人は資格支援や、家族に介護が必要になった際等に休暇が認められる介護休暇、配偶者・子どもがいる場合に支給される家族手当といったものもあります。

福利厚生については最重要視する項目ではないかもしれませんが、気にかけている看護師は結構いるようですね。

職場環境の良いところで働きたい

一言で職場環境の良いところといってもさまざまですが、とくに看護師は女性社会であるため、まず人間関係が良いかどうかということが一番重要であると思われます。チーム医療でやっていくためには、チームで協力して仕事ができた方がより結束力が高まり、より良い看護にも繋がりやすいです。

職場は生活の一部であり、一日のほとんどを過ごす場所でもあります。誰だって、雰囲気の良い職場で働きたいですよね。こればかりは働いてみなければわからないところがあるので、転職したからといって人間関係に恵まれるかどうかは運次第です。そこで、離職率や実際の福利厚生の利用状況をみると、スタッフに配慮のある職場であるかどうかがわかりやすいですね。

人間関係や雰囲気があまりにも良くなかったり、スタッフ一人ひとりを大切に扱っていない職場ほど離職率は高くなり、福利厚生の利用状況が悪いと言えるのでとても参考になります。転職を考える際には注意してみておきたいところでもあります。

看護師が辞めた建前の退職理由は?

私の周りの看護師に聞いた“実際に師長さんに伝えた退職理由”として以下のものがあります。

結婚や出産

厚生労働省や日本看護協会の調査によると、看護職員として退職経験のある人の実際の退職理由のトップは「妊娠・出産・育児のため」と結果が出ています。

よく寿退社とは言いますが、やはりこの理由が最もスムーズ且つ円満に話がすすみやすいと言えます。生活の大きな変化や引っ越しが伴うことも多いため、師長さんも引き止めにくいケースと言えるでしょう。

家庭の事情

家庭をもっている人であれば、残業や時間外労働の多い病院で働くことは仕事と家庭の両立を考えるうえでとても困難になってきます。子育て中で小さなお子さんのいる人や両親等の介護に専念したいと考えている人、本人だけではなく家族が絡む理由は説得のしようがないため引き止められにくいと言えます。「夜勤のない日勤だけの仕事がしたい」「時間に融通の利く職場へ」また、「夫が仕事で転勤となるため」とさまざまな理由があるようです。

地元の病院で働きたい

資格さえもっていれば全国どこへ行っても就職先に困らないのが看護師の強みです。私の周りに限って言えば、私を含む同期や先輩・後輩のほとんどが地方出身者でした。地方出身者が「地元に戻って看護師として働きたい」と言えばさすがに師長さんもノーとは言えないようで、快く送り出してもらえました。

また、地方出身者でなくても、たとえば地域に根差した地元の中小規模病院で働きたいという方も多くいるようです。大学病院等の大規模病院では、点滴や採血を医師・研修医が行っているところが多くありあす。そのため、本来の看護業務に集中できる一方、点滴や処置等の看護技術が身に付きにくいとも言われます。

しかし中小規模病院では、ひとりの看護師に任される業務の範囲が一気に広がります。スキルアップをするにはもってこいの環境であると言えます。さらに中小規模病院の魅力的な点として、患者さんとの距離感が近くなりやすいことが挙げられます。患者さん一人ひとりに寄り添った看護、時間をかけた丁寧な看護をしたい方には最適な環境です。

退職・転職活動での退職理由の伝え方のコツは?

ここまで長々と“退職・転職時の本音と建前の理由”を挙げてきましたが、大切なのはやはり伝え方です。伝え方を間違えるとトラブルの原因にもなりかねません。以下のポイントに注意して伝えるようこころがけましょう。

はっきりと意思表示をすることが大事

退職を希望する際は、直属の上司にあたる師長さんに対して行うことが一般的です。また、事前に「大事なお話があります」と伝え、ゆっくりと向き合って話のできる場を設ける必要があります。というのも、辞めたい旨を訴えてもはぐらかされることが多く、なかには退職までに1年以上もの時間を要したという看護師が私の周りにも少なくないからです。

伝え方に関して言えば、「近いうちに辞めようと考えているのですが…」と弱気な相談とも取れる伝え方はもっての外!本当に辞めたいと考えているのであれば、その意思が硬いことが相手にちゃんと伝わるようにしましょう。そのためには、退職後に自分がどうなりたいのか、ビジョンを明確にしておく必要があります。

なぜなら、今後のことを突っ込まれた際に曖昧な返事だと、「もう少し働きながら先のことを考えた方がいい」「そんな安易な考えではどこにも行けない」「具体的な目標や目的ができてから辞めるほうがスムーズ」と取り合ってくれなかったり、はぐらかされてしまう可能性が高く、最終的には退職の意思が揺らぎ納得させられてしまうことが十分に考えられます。

理由が大事

たとえば辞める理由として、職場環境に対する不平不満を素直に伝えてしまうと、「不満なところは改善していくようにするから」と交渉の材料にされてしまう可能性があります。

例え建前の理由のような結婚や出産の事実がなくても、理由付けさえしっかりしていれば問題ありません。「キャリアアップのため」「自分に合った働き方を探したい。(○○病院であれば患者様に寄り添った看護ができる等)」「○○看護を勉強したい」等、目的を明確化し、師長さんが納得のいく前向きな理由をちゃんと伝えることが大事です。

もし強く引き止められたら

師長さんは辞めたがる看護師の説得に慣れています。私の同期看護師は、「ここの病棟が嫌なら、他の病棟や外来はどう?」「時間を調整してみる?」と部署異動や勤務時間の調節を勧められていました。また、中には「年度末は辞める人が多いから少しだけ伸ばしてもらうと助かる」「せっかくなら6月(または12月)でボーナスを受け取ってからにしたら?」と徐々に退職希望日を伸ばすように促す、やり手の師長さんもいるようです。

何度退職したいという旨を伝えてもスルーされたり受け流されたりする師長さんもいると体験談としてよく耳にしますが、そんな時は伝える相手を変えましょう。師長さんに話を聞いてもらえなかったり、退職の許可が出ない場合は、看護部長さんに話をもっていくのも一つの手です。実際に私の先輩は、なかなか首を縦に振らない師長さんを飛び越えて看護部長室に話をしに行くことで、思いの外すんなりと退職許可が下りました。

それでも退職が認められない場合は

すべての労働者には“退職する権利”というものがあります。病院側に退職を認められない場合は、退職届に退職日を記載して提出しましょう。設定した退職日以降に出勤する必要はありません。勤務先の就業規則の退職に関する項目に、退職日の○○日前に退職を伝えるよう記載があるので、事前に必ず確認をしておきましょう。

ただし、看護師が一人辞めるということは、残された同僚に一人分の仕事が回るということです。引継ぎがしっかりできるだけの時間の余裕をもつことは、最低限のマナーと言えます。辞め方によっては残る人大きな迷惑がかかり後味が悪いため、あくまで最終手段であるということを念押ししておきます。

まとめ

参考になりましたでしょうか?結婚や出産、キャリアアップに向けて等、ライフイベントに合わせた退職や転職のほかにも、自分都合で職場を退職・転職したいと思い悩むことがあると思います。

そんなときは職場環境の不平不満を並べるよりも、個人的な退職理由や先のことを明確にして自分の意思をはっきりと伝える方が、よりスムーズ且つ円満に話をすすめられること間違いなしです。ストレスなく退職の段取りを踏んで、自分に合った働きやすい職場を探しましょう!