マイホーム購入を検討する前に気になるのは、「いったいいくらの物件が購入できるのか」ということです。
正確な予算を把握することができなければ、マンションがいいのか、戸建てがいいのか、新築が手に入るのか、中古にしておいたほうがよいのか、いろいろな選択肢に判断がつきません。
「いくらの物件が購入できるか」、つまり「住宅ローンでいくら借入できるのか」は年収から推測することができます。
年収によってどれくらいの違いがあるのか、計算とアンケートで検証していきたいと思います。
マイホーム購入を検討する前に気になるのは、「いったいいくらの物件が購入できるのか」ということです。
正確な予算を把握することができなければ、マンションがいいのか、戸建てがいいのか、新築が手に入るのか、中古にしておいたほうがよいのか、いろいろな選択肢に判断がつきません。
「いくらの物件が購入できるか」、つまり「住宅ローンでいくら借入できるのか」は年収から推測することができます。
年収によってどれくらいの違いがあるのか、計算とアンケートで検証していきたいと思います。
年収から住宅ローンの借入額を計算する簡単な目安の1つに「年収倍率」があります。
年収の何倍の額を借りるかという計算で、次のような単純な計算式になります。
年収倍率 = 住宅ローン借入額 ÷ 年収
一般的に「住宅ローンの借入額は年収倍率は5倍以内が望ましい」と言われています。
年収500万円の場合 500万円 × 5 = 2,500万円
年収1000万円場合 1000万円 × 5 = 5000万円
この数字には金利や返済期間が全く考慮されていません。
あまりにもざっくりとしすぎて現実的でないので、他の計算方法でも考えてみましょう。
年収から借入額を計算するもう一つの目安は、「返済負担率」です。
年収に占める住宅ローン返済額の割合を指します。
返済負担率 = 住宅ローンの年間返済額 ÷ 年収 × 100
この計算式で25%以下になる金額が、住宅ローン借入額の目安とされています。
年間返済額に金利と返済期間を加味して借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
年収500万円の場合年間返済額は500万円×25÷100=125万円
金利2%、35年ローンとした場合約3140万円
年収1000万円の場合年間返済額は1000万円×25÷100=250万円
金利2%、35年ローンとした場合 約6280万円
「年収の5倍」よりもいくらか借入可能額が増えているのがわかります。
実は、「年収の5倍まで」という数字も「返済負担率25%」という数字も、法律で決められたものではありません。
また、金融機関によって審査基準として定められている数字でもありません。
一例をあげると、住宅金融支援機構が主導するフラット35では、返済負担率の上限として年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下とされています。
試しにフラット35の返済負担率の基準から借入可能額を計算してみましょう。
年収500万円の場合年間返済額は500万円×35÷100=175万円
金利2%、35年ローンとした場合 約4400万円
年収倍率:8.8倍
年収1000万円の場合年間返済額は1000万円×35÷100=350万円
金利2%、35年ローンとした場合 約8800万円
年収倍率:8.8倍
なんと年収の8.8倍まで借入可能という計算結果になります。
実際に金融機関が借入可能額として提示する金額は、年収の7~9倍になることがあります。
統計を見ると、民間の金融機関での住宅ローンでは返済負担率が35%を超える利用者も約3.3%存在しています。
世間で言われる「年収に対する借入額の目安」と、金融機関が設定している「年収に対する借入可能額」には開きがあります。
いったい「本当に借りてよい金額」はどれぐらいが適切なのでしょうか。
マイホームを購入した先輩方のアンケートをもとに、年収別に見ていきましょう。
家族構成は小学校入学前の子どもがいるファミリーが41%、シングル層は男女合わせて39%を占めています。
一人暮らしで家賃を払う代わりに、若いうちから住宅ローンを利用して住宅を購入しているようです。
頭金を1000万円前後と多めに準備しているのが特徴で、3分の1の世帯は贈与を受けています。
平均年齢は33.2歳と年収400万円未満のデータより若くなっています。
幼い子どものいるファミリー層が4割を占め、年収倍率・返済負担率はやや高めです。
若い家族が子どもを育てるために広めのマイホームを購入する様子が想像できます。
一方で頭金は抑えられており、教育資金など将来への貯蓄を優先して頭金を抑える傾向が伺えます。
ファミリー層とカップル層を合わせた割合が全体の8割以上を占めています。
カップル・ファミリーの頭金は購入価格の2割未満とやや低めで、年収の5倍以上の金額を借り入れています。
一方、返済負担率は年収の約20%前後で、月々の支払をおさえて堅実な返済計画を立てていることが分かります。
年収400~500万円台と比べて頭金の額が大きく、借入額に頭金を加えた購入価格は3000万円台半ば~後半が中心になっています。
やはり年収倍率は高く、ファミリー層の平均借入額は年収の5.7倍です。
毎月の返済額が10万円以内を目安にしている人が多く、年収負担率はおさえられています。
家族構成の14%にあたるシングル層は、頭金とボーナス時加算額が多く余裕の感じられる返済プランとなっています。
ファミリー層の借入額で年収の4.5倍と、年収倍率がぐんと低くなっています。
これほどの年収であれば審査も通りやすいかと思いますが、限度額いっぱいに借り入れる人は少ないようです。
ボーナス返済を利用して毎月の返済額を10万円以内におさえているようです。
※年収900万円で計算
頭金はシングル・ファミリー世帯で価格の2割以上、金額で1000万円以上と多めに準備しています。
年収が高い分年収倍率や返済負担率も抑えられていますが、貯蓄に余裕があり借入額がおさえられていることも一因であることが分かります。
※年収1200万円で計算
平均年齢は約40歳と購入時期はやや遅め、家族構成では共働きカップルが37%と最も多くを占めています。
頭金は1000万円台後半まで準備し、購入価格は5000万円前後となっています。
子どものためにとマイホーム購入を急ぐのではなく、じっくり貯蓄して夫婦の満足いく住まいを購入している様子が想像できます。
平均年齢が高いことから返済期間が短いことが懸念されるため、頭金を利用して限度額まで借り入れることはあまりないようです。
年収からわかる住宅ローン借入額の目安として2つの数字を紹介しました。
しかし気を付けて頂きたいのは、これはあくまでも目安であって、「本当に借りてよい金額」は人それぞれだということです。
ご自身が「本当に借りてよい金額」を知るためには、月々にいくら返せるかを家計と見比べながら計算する必要があります。
家庭で必要とされる支出は住宅ローンにもいろいろあり、それぞれの家庭の状況によって変わります。
年収から必要な支出と将来のための貯蓄にまわす金額を除いて、負担のない金額かどうか見極めなければなりません。
年間返済可能額 = 年収 - (住宅ローン以外の支出 + 教育等、将来に向けた貯蓄)
「本当に借りてよい金額」は目安に頼ってもわかりません。
マイホーム購入を検討する前に、現在の家計と将来のライフプランから適正な借入可能額を計算できるようにしておきましょう。
不動産・住宅サイト SUUMO 年収別8213人 家とお金調査 2013