住宅ローンは変動金利と固定金利はどちらがお得?メリットとデメリット
今から10年前の2006年を思い出してみてください。そこから今日まで、世の中でどんなことが起こったでしょうか。
2006年はトリノオリンピックの年。荒川静香さんが金メダルを獲得し、「イナバウアー」が流行語になりました。
東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し、三菱東京UFJ銀行になったのもこの年です。2008年にはリーマンショックが起こりました。
2011年、そして2016年は大震災に見舞われましたね。
そうです、この10年間だけでも経済情勢は目まぐるしく変化します。これらを予測できる人はおそらく存在しないでしょう。
目次
そもそも金利とは?
景気動向や政策によって左右される金利。そもそも「金利」とは何か。単純に言えばお金を貸したり借りたりするときに発生する費用です。
その費用はどうやって決まるかというと、1つは調達コストです。
お金を貸す側(銀行などの金融機関)は自社の資金だけでなく、外部からも調達します。その時発生するコストで、それが貸し手側にとってはいわゆる営業利益です。
「モノ」と「お金」の需要も大きく影響してきます。モノの値段が上がっているインフレの時は、お金の需要が高まりますね。
たくさんの人がお金を必要とし、お金のあるところに借りようとします。
となれば当然、調達にコストがかかるので金利は上昇します。一方、モノの値段が下がっているデフレ状態ではお金を借りる人が少なくなり、金利は下がるわけです。
2つ目は信用度。借りる側が収入面で不安があった場合、貸す側はそれなりのリスクを負います。その時の備えとして金利を高くします。
また、お金を返済する期間にも金利は左右されます。返済期間が長ければ、貸す側のリスクは高くなるので、当然金利も高くなるのです。
このように「経済情勢」と「金利」は密接に関係しています。10年20年先の経済情勢を明確に見通すことがもし可能なら、低金利なのか高金利なのかも分かります。
損得の話で言えば、預金とローン。
預金は、銀行にお金を預ける=貸すということです。金利が高ければ得をしますね。反対にローンはお金を借りること。
ということは、高金利だとその分多く利息を払わなければなりません。貸すなら高金利、借りるなら低金利がお得なわけです。
変動金利と固定金利、どっちが得かという問題
さて、人生で一番大きくお金が動く買い物といえばマイホーム購入ですね。
当然多くの人が住宅ローンを利用し、金融機関からお金を借ります。そこで出てくるのが「変動金利」か「固定金利」のどちらを選ぶかという問題です。
「少しでも得をしたい」と思うのは、人として自然なことです。だからこの2択に対して、非常に悩む人が大勢いるわけです。
まず、変動金利と固定金利の解説をしていきます。
変動金利
経済情勢によって、定期的に金利が変動するものです。2016年の今は超低金利と言われている時代です。それに合わせて変動金利を選ぶ人が多いです。
ですが、これは借りる側にリスクがあります。例えば2016年にマイホームを購入し35年ローンを組んだとします。35年間、ずっとこの超低金利時代が続けば得をしたと言えますが、そうとは限りませんね。
今でこそデフレスパイラルに陥っている日本ですが、一転して物価が上がれば、それだけ金利も上がるわけですから。
固定金利
一定の金利で借り続けることを固定金利と言います。こちらは経済情勢に左右されずに、毎年決まった金利を支払えば良い。
つまり、貸し手側がリスクを背負います。今の時代は低金利ですが、2020年の東京オリンピックで消費活動が活発化し、今より高金利になったとしたら。それでも、固定金利は金利が変わらないのです。
そんな中、実はもう一つ金利を選ぶ選択肢が存在します。
ミックス金利
これは、固定期間選択型と呼ばれるもの。例えば10年固定とした場合、10年間は固定金利でローンを返済します。
その後、変動金利にするか固定金利を継続するかを選べます。
一見、リスクを考えて10年間様子を見て判断する、というような賢い選択にも見えます。しかし、それなりのデメリットもあるのです。
10年固定は、店頭金利からの引き下げ幅で表示されます。しかし、10年後にはその引き下げ幅が減ります。
従って、固定期間が終わると金利は上昇するのです。
もし、その後変動金利に移行するとしたなら「初めから同じ期間を変動金利で借りていた方が、トータルの金利は安かった」というケースも起こりうるのです。
さて、このように、各種金利はどれもメリット、デメリットが存在します。しかもそれは不透明な未来の情勢と深く関わっているわけです。
さらに言えば、変動金利の住宅ローンは総返済額を正確に計算することなど不可能ですよね。
変動金利と固定金利はどちらが得かという問題の答えは、「支払い終えてみないとわからない」し、「その人のライフスタイルによる」としか言いようがないのです。
変動金利が合っている人とは?
ともあれ、変動でも固定でも金利が発生する住宅ローン。なるべく早く返済すればお得なことには変わりありませんね。
固定金利より変動金利の方が、基本的には金利は低いです。ということはこの低金利時代に早く返済できる人、繰上げ返済が可能な人は変動金利が合っていると言えます。
また、「リスクは自分でカバーする」というマインドを持っていることです。金利の動向をしっかりとチェックし、変動に応じて的確な対処ができるような人は変動金利でも安心です。
年収が高い人や貯蓄がある程度あり、将来的にも共働きをして長期間にわたって収入の安定が見込める人も、今は変動金利でしょう。
職業で言えば、例えば公務員。公務員は景気に左右されることが少ないので、景気に左右される変動金利との相性は良さそうです。
固定金利が合っている人とは?
では固定金利を利用する方が良いと思われる人は。共通マインドとしては「リスクを負いたくない」というのがあります。どんな経済情勢であれ、固定金利なら上りも下りもしません。
将来的に収入が不安な人はおすすめです。例えばフリーランスのカメラマンやデザイナーといった職種の人たちでしょうか。
また、子どもの教育費など、家計の負担が増えていく懸念を持っている人も該当します。固定金利は返済内容が一定です。したがって家計の管理がしやすいのも特徴です。
まとめ
最後にもう一度変動金利と固定金利のメリット・デメリットをまとめておきます。
変動金利のメリット
- 固定型に比べて金利が低い
- 経済情勢などによって金利が下がれば、返済額も減る
変動金利のデメリット
- 総額いくら返済するのかが不透明
- 長期的なライフプランが立てづらい
- 経済情勢などによって金利が上がれば、返済額も増える
固定金利のメリット
- 返済額が金利動向に左右されることなく決まっている
- 長期的なライフプランが立てやすい
固定金利のデメリット
- 変動型に比べて金利が高い
- 超低金利時代がこのまま続くと、変動金利より返済額が多くなる
住宅ローンの変動金利、固定金利問題は誰もわからないし、答えのないものです。
とは言っても、人生の半分近く付きまとうものです。
しいて言うなら、安易に判断せずに、緻密に計算した上で、自分自身と家族が納得して選ぶこと。これが正解と言えるかもしれませんね。