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住宅ローンのミックスローンとは?メリットとデメリットを解説

 

住宅ローンの組み方として「ミックスローン」という組み方があります。ミックスローンは変動金利と固定金利(詳細は後述します)を組み合わせて組む住宅ローンの事です。

ただ、ミックスローンは世間一般でメジャーとは言えないローンの組み方です。

そこで今回は、ミックスローンについて実際の支払額も紹介しながら、メリット・デメリットを解説していきます。

目次

金利の種類について

ミックスローンのメリット・デメリットの話をする上で、そもそもどのような金利種類があるのかを説明しなければいけません。

金利の種類は、「変動金利」「固定金利」と大きく分けて2種類あります。

変動金利について

変動金利は、半年ごとに金利の見直しを行うタイプの住宅ローンです。ただし、半年ごとに金利の見直しを行いますが、その見直し結果が反映されるのは5年毎になります。

つまり、半年ごとに返済額が変わるのではなく、5年ごとに返済額が変わる可能性があるという事です。

変動金利は、金利が変動して返済額が変わるという点がデメリットですが、一番金利が低いというメリットがあります。

そのため、「今」一番安い返済額であるものの、「今後」金利が上昇すれば支払額が上がるリスクがあるという事です。

また、金利が極端に上昇してしまうと支払い不能になってしまう方が多くなってしまいます。

そのため、いくら金利が上がろうが返済額は1.25倍までしか上がらないというルールがあります。

ただし、仮に金利の見直しがあり、本来であれば1.5倍返済額上がるところを1.25倍に抑えた(ルール従い)とします。

そうなっても0.25倍分の金利は免除されるワケではなく、その分は金利未払い金として後々(長い期間に渡って基本は分割で)請求されます。

つまり、この1.25倍ルールは、金利が上昇して「一気に」支払額が上がるのを防ぐだけであって、上昇した分の金利が免除になるワケではありません。

固定金利について

一方、固定金利は変動金利と違い、金利が固定されているタイプの住宅ローンです。

固定金利にも「一部期間のみ固定」のタイプと「全期間固定」のタイプの2種類があります。

一部期間のみ固定タイプは、例えば借入期間35年で組んだ場合には、最初の10年の金利は固定で後の25年は変動というタイプの住宅ローンです。

また、全期間固定タイプは借入35年であれば、35年間ずっと金利が固定されます。

一般的には、変動金利より一部期間固定金利の方が金利は高く、全期間固定タイプの金利は更に高いです。この金利の高さが固定金利のデメリットになります。

ただし、変動金利と固定金利は金利の基になる「指標」が異なるため、マイナス金利政策を導入している現在は、稀に固定金利の方が変動金利より低くなる場合があります。但し基本的には変動金利が最も低い金利です。

ちなみに、変動金利は「短期プライムレート」と呼ばれる、銀行が優良企業に融資する金利が指標になっています。

そして、固定金利は「新発10年国債」が指標になっています。

固定金利のメリットは、何と言っても金利上昇リスクがない点です。

いくら世の中の金利が上がろうが、定められた期間金利は上がらないので、返済額が上がる事はありません。

ミックスローンのメリット

ペアローンのメリットは、「金利上昇不安を和らげることが出来る」という点です。

住宅ローンを組む時に最も不安になることは金利上昇リスクです。そのため、変動金利以外にも固定金利という種類があるのです。

例えば変動金利1本で「借入期間:35年、元利均等金利、金利:0.7%、借入額:5,000万円」という借入を起こしたとします。そうなると月々返済額や総返済額は以下の金額になります。

  1. 月々返済額:134,260円
  2. 総返済額 :56,389,154円

一方、この5,000万円の借入を2,500万円ずつに分けて、「変動金利0.7%、全期間固定金利1.1%」のミックスローンにした場合には以下のようになります。

  1. 月々返済額:合計138,873円(変動67,130円、固定71,743円)
  2. 総返済額 :58,326,109円

となります。

月々返済額は、変動1本の方が4,613円安く、変動の1本方が総返済額は1,936,955円安くなります。

但し、仮に金利が5年後に1.0%上昇したと仮定すると、変動金利1本で組んでいた場合には以下のようになります。

  1. 月々返済額:134,260円→158,038円(23,778円アップ)
  2. 総返済額 :56,389,154円→64,949,280円(8,560,126円アップ)

一方、ミックスローンで組んでいた場合には以下の通りです。

  1. 月々返済額:合計138,873円→146,148円(7,275円アップ)
  2. 総返済額 :58,326,109円→60,947,660円(2,619,551円アップ)

となります。

つまり、金利が上がった場合は、変動金利で組むよりもミックスローンの方が上昇幅は16,503円分抑えられ、総返済額は5,940,575円分抑えられるという事です。このリスクヘッジがミックスローンのメリットになります。

ミックスローンのデメリット

  1. 支払額は高くなる
  2. 金利上昇リスクがある
  3. 金融機関によって金利が異なるのでチョイスが大変
  4. 諸費用が高くなる

ミックスローンには以上4点のデメリットがあります。まず、1つめの支払額に関しては、どうしても変動だけでなく固定も組み込むので、変動1本の時よりも最初の支払額は上がってしまいます。

もしくは全期間固定1本のローンと比べると、変動金利を組み込んでいるので金利上昇リスクがあるというデメリットがあります。

金融機関によって金利が異なる

金利は、先ほど言ったように基準となる指標は決まっており、その指標は各金融機関いずれも同じ指標を利用しています。

しかし、各金融機関がその基準となる金利からマイナスする「優遇幅」が異なるので、実際の金利が異なってくるのです。

例えば、変動金利1つ見ても2016年9月現在では0.5%台の金融機関もあれば0.7%台の金融機関もあります。

また、それは固定金利にも同じことが言えます。つまり、ミックスローンを組む時には、それぞれの銀行の「変動」と「固定」の金利を確認する必要があるので、チョイスするのが非常に大変なのです。

また、固定と変動をミックスしているので、2つの異なる金利が共存しています。そのため、金利の見直しの際のシミュレーションが立てにくいです。

例えば、変動1本で組んでいれば、5年後金利が変わったとしても、残債と想定される金利を入力すればすぐに返済額が分かります。

しかし、ミックスの場合は固定と変動で組んでいるので、それぞれの金利タイプに残債があります。

更に、そのそれぞれの金利タイプで残債が減る金額が一定でない場合もある(つまり5年後の残債が算出しにくい)ので、残債に応じた月々支払い額が計算しにくいです。

そうなると、将来的に金利が〇%上がるだろうと予想しても、そのシミュレーションが立てにくいという事になります。

諸費用が高くなる

ミックスローンは2つのローン契約をすることになります。そのため、ローン契約にかかる「金銭消費貸借契約の印紙代」「抵当権設定費用」が倍額かかるという事になります。

この銀行関係の諸費用自体は5~10万円と決して少ない額ではありません。

特に、全期間固定1本ではなく、支払額を下げるために固定1本のプランに変動金利を組み込みミックスローンにするパターンは注意しましょう。

変動金利を組み込んで月々返済額を抑えたとしても、諸費用が上がる事で負担が発生するからです。

この諸費用増加分も加味してシミュレーションを立てる必要があります。

まとめ

このように、住宅ローンのミックスローンはメリット・デメリットがハッキリしています。

金利を2種類に分ける事でリスクヘッジ出来る、もしくは返済額を抑えられるというメリットがありますが、その分チョイスが難しいです。

また、あくまでローン契約は2本になるという点も理解しておきましょう。

ミックスローンにするかしないかは、とにかく金融機関が不動産会社にシミュレーションしてもらう事です。

最近はインターネットでも無料で使える高機能なローンシミュレーションもありますので、ご自身でシミュレーションをしてみても良いです。

将来的な金利上昇リスクなどを加味して、様々シミュレーションを立ててミックスローンにするかは判断しましょう。