「菌活」という言葉をしっていますか?「菌活」というのは、乳酸菌など身体によい作用をする菌類を積極的に摂取し、腸内環境を整え、ダイエットや健康維持につなげようというものです。
特に乳酸菌はサプリメントにも含まれていて、健康によいというのは知っていると思います。この乳酸菌は漬け物など発酵食品にたくさん含まれています。
そのほかにも納豆菌や麹菌など、発酵食品には人間に有用な菌がたくさん含まれています。
これから発酵食品を食べて「菌活」ダイエットをする方法を紹介していきまます。
「菌活」がダイエットに向いている理由は?
脂肪がたまりにくくなる
発酵食品に含まれる菌は、腸内環境を整えるだけでなく、脂肪細胞に脂肪をたまりにくくさせる効果のある必須アミノ酸や、エネルギーの代謝に不可欠なビタミンB群が多く含まれています。
身体の中から無駄な脂肪を燃焼し、あるいは排出しやすくしてダイエットにつながっていきます。
便秘解消
ダイエットにおいて便秘は百害あって一利なし。ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、腸内環境を整え、便秘を防ぎます。ヨーグルト以外にも「プロバイオティクス」という総称をもつ菌は、さまざまな発酵食品に含まれていて、腸で働き、人体に良い効果をもたらします。
代謝アップ
ドロドロの血液ではダイエットに効果的な成分をうまく吸収、代謝できません。 お酢に含まれる酢酸やクエン酸は血流の改善にも効果的です。摂取エネルギーを効率よく消費していくためにも内側から整えていく必要があります。発酵食品に含まれる酵素のおかげで代謝があがり、余分な内臓脂肪を落とし、お腹まわりダイエットを成功させるだけでなく、発酵食品は他にも健康増進作用があります。
おしいから続けやすい
麹菌や酢酸菌のように身体によいというだけではなく、ほかの食材をおいしくしてくれるという効果もあります。発酵食品は、おいしく食事をしながらダイエットも期待できるスーパー食材といっても過言ではありません。
菌活のポイント
毎日続けて菌を摂取する
何事も継続は力なり。菌活もまた、毎日積極的に摂取することが大事です。食事で摂取した菌は3日ほどで便と一緒に体外へ排出されてしまうので、毎日とり入れることが大切です。一度に大量に摂取するよりも少量ずつ身体に取り込むことで、次第に腸内で善玉菌が増え、腸内環境が整えられます。
いろんな食材で菌を組み合わせてとる
発酵食品に含まれる菌は、それぞれで効果が異なるため、菌活で美しくダイエットしたいのであれば、より多くの種類の菌を取り入れることと、やや発酵の進んだものを食べるようにすると菌を多く取り入れることができます。ただし、あまり期間をおきすぎたもの(賞味期限が切れたもの)は、雑菌が繁殖して腐敗している可能性もあるため、正しい保存状態で賞味期限以内に食べきるようにしましょう。
腸内の菌を育てる
腸内の菌環境は、「腸内フローラ」と呼ばれ、まさにお花畑のようにたくさんの種類が共存しており、それは1,000兆個ともいわれる数、重さにして1.5kgもあるのです。腸内での菌環境を健康にしておくというのが、いかに大事かわかっていただけるでしょう。
腸内菌には、ご存じのように、人の健康に欠かせない善玉菌と悪い影響を与える悪玉菌があります。善玉菌が多いほど健康によいと思われがちですが、実はバランスが大事で、悪玉菌は、人の身体から撲滅することはできないのです。それどころか、タンパク質の分解に欠かせない菌や、赤ちゃんの免疫を作るときに必要な菌もあります。おおよそ、善玉菌が20パーセント、悪玉菌が10パーセントというのがベストバランスだといわれています。
ここで問題があります。もともと善玉、悪玉と役割が決まっている菌はあわせて30%、残りの70%は何をしているのでしょう?これらの菌は「日和見菌」といって、悪玉菌が増えると悪玉菌とよく似た性格を示し、逆に善玉菌が増えるとよい方向に味方をしてくれるのです。これが善玉菌を増やす必要がある理由の一つです。
腸内菌は、腸内フローラで一種の生態系(マイクロバイオーム)を構成しており、それぞれの菌が複雑に絡み合っています。また、餌となる人の食べ物にも大きく影響されます。たとえば、肉を多く摂取する食事をしていれば、それを餌としてタンパク質を分解する悪玉菌が増え、オナラや便のにおいがくさくなるといった症状として表れます。逆に善玉菌の餌となる水溶性の食物繊維を多く摂取すると善玉菌が増えていきます。腸内環境を整えるというのは、善玉菌を育てる食材を積極的に摂取するということでもあります。
加えて、もっと効果的なのが発酵食品を食べて、直接善玉菌を食べることです。ヨーグルト、チーズ、漬け物など、乳酸菌を多く含む食品を摂取します。最近は生きて腸に届く乳酸菌が注目されていますが、腸内免疫作用によって、死んだ乳酸菌でも十分腸内環境を刺激し、善玉菌を増やす効果のあることがわかってきています。
主な菌の種類と働き
納豆菌 | 血栓を予防し、血液を流れやすくする |
麹菌 | 消化を助け、腸内環境を整える |
乳酸菌 | 腸内の善玉菌を増やし、便秘を予防する |
酢酸菌 | 体内でクエン酸となって疲労回復にも効果のある酢酸をつくる |
酵母菌 | 脂肪を分解しやすくする |
納豆菌
大豆のタンパク質を分解し、独特の粘りを引き出す納豆菌は、発酵過程でナットウキナーゼという酵素を作り出します。ナットウキナーゼはPAI-1 というたんぱく質を分解し、血栓を溶かす効果があります。血栓は脳梗塞などを引き起こす原因にもなりますが、それにもまして血液を流れやすし、新陳代謝も活発にすることで、冷え性などの改善にも期待が持てます。
麹菌
清酒、味噌、醤油、甘酒、塩麹などに含まれる麹菌。加熱した穀類に繁殖する菌で、麹に含まれる GABA(γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid))は、ストレス抑制効果があり、α‐エチルグルコシド(α‐GC)は保湿成分として働きます。
麹菌は、調味料などから摂ることが簡単です。消化の補助と、うまみ成分アップの効果があります。また腸内環境を整え、お通じを良くしてくれます。
醤油に含まれるアミノ酸は、脂肪の合成を抑え、脂肪細胞に脂肪をたまりにくくします。また、味噌はゆでた大豆に塩と麹を加え、発酵させたもので、良質なタンパク質が豊富で、コレステロールを抑制する作用があります。ブームになった塩麹は体の代謝を高めるビタミンB群が豊富です。
乳酸菌
乳酸菌は免疫力アップの効果があります。乳酸菌の代表的な発酵食品、ヨーグルトを食べる場合にはメーカーによって菌の種類がいくつかあり、それぞれ期待できる効果が少しずつ違っています。それほど気にする必要はないですが、中には身体に合わない場合もあるので、下痢がするなどの場合は、菌株(菌の種類)を代えてみるのも一つの方法です。
代表的な菌株には次のようなものがあります。
BB536株 | 生きたまま腸に届き免疫力の向上、腸管の免疫細胞の過剰反応によって起きる花粉症の症状緩和 |
B81乳酸菌 | ブルガリアで伝統的に使われているサーモフィラス菌1131株とブルガリア菌2038株を組み合わせたもの。便秘の改善、便秘からくる肌荒れに効果 |
シロタ株 | 整腸作用、病原性大腸菌O-157の定着を抑制、花粉症軽減 |
LGG菌 | 生きたまま腸に届き腸管に付着しやすい子どものアトピー性皮膚炎の発症率を低下させる |
乳酸菌は、多くの発酵食品に含まれています。乳酸発酵は少し酸っぱさを感じさせるため、漬け物も日を置きすぎると酸っぱくなってしまいます。しかし、少し酸っぱいくらいの方が乳酸菌を多く含んでいます。
酢酸菌
アルコールを酢酸に変える菌です。酢酸は細胞の中に入るとクエン酸に変わります。今はやりのコンブチャや、ナタデココも酢酸菌の一種が含まれています。酢酸菌から生成される酢酸の効果は、よく知られたものばかりですが、カルシウムの吸収率がよくなる、疲労回復効果、血中コレステロール値を下げる、血糖値の上昇を抑制する、などの効果があります。また、黒酢は酢酸菌が作る酢酸のほかに、必須アミノ酸を含む多種類のアミノ酸も豊富で、お肌にも良い健康飲料になります。お酢の中では黒酢が一番アミノ酸が多いとされ、健康酢としてはおすすめです。
酵母菌
お酒やパン、味噌を作るときに用いられる菌です。糖質や脂質を分解する働きがあり、高血糖を予防する効果があります。また、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてお通じを良くしてくれます。
菌+菌の食べ合わせで相乗効果
納豆+雑穀米
ついついご飯がほしくなる納豆。オリゴ糖などが含まれ、腸内細菌の餌となる食物繊維も多く含んでいます。しかし、白いご飯はカロリーが高い。そこで、雑穀を混ぜていただくことでミネラルの補給を行うとともに、胃を温める効果でさらに腸内の環境を良くします。また、よく噛んで食べないといけないので、結果的に少ない量で満腹感が得られ、カロリー減にもつながります。
味噌+ネギ
アミノ酸が多く含まれる味噌も、身体を温めるネギと合わせることで冷え性の改善や、新陳代謝を高めることができます。
納豆や味噌などの原料となる大豆にはイソフラボンが含まれていて、血液をサラサラにしたり、肌や髪のツヤやハリを保ったりする効果があり、美容のためにもネギ入りの味噌汁などは効果的です。
キムチ+チーズ
キムチには、ビタミンがたっぷり含まれているだけでなく、カルシウムも豊富です。酸っぱいもののほうが、栄養価が高いと言われています。チーズは、カゼインというたんぱく質が、カルシウムの吸収を促してくれるのです。また、イライラ防止にも繋がり、間食の量を減らしてくれます。キムチにチーズをかけて、レンジでチンするだけで簡単なおつまみができます。
バナナ+無糖のヨーグルト
ヨーグルトは、ビフィズス菌の効果で、腸内環境を整えてくれるのです。バナナは消化に良く、オリゴ糖が豊富に含まれています。オリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やす役割を果たします。
無糖ヨーグルトは、そのままでは酸味もあり、食べにくいと思いますが、ここにバナナを加えると、自然なバナナの甘味とあわさり、食べやすくなるうえに、お通じ改善に役立ちます。
まとめ
発酵食品は健康成分を多く含んでいるだけでなく、発酵過程で使われる菌が腸内細菌のバランスを整えてくれます。そのため、菌活を行う際には、それぞれに特長のある菌を多くの種類取り入れると効果が高くなります。
ただし、発酵食品は塩を多く使うものが多いので、塩分の取り過ぎには注意してください。一度に少しずつ毎日の食事に取り入れていくのがポイントです。