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そうだったの?!便秘にウォシュレットを使い続けると自力で出せなくなる!?

 

今となっては家庭のほとんどのトイレにウォシュレットが付いていますよね。

ウォシュレットから出てくる温水でお尻周りを綺麗にしている人がほとんどだと思います。

ところが、便秘に悩まされている人の中にはウォシュレットの温水を便秘解消に使用している人が少なくはなく、「ウォシュレット浣腸」という言葉もあるほどです。

こうしたウォシュレット頼りの排便を繰り返していると「依存症」に陥ってしまうほか、思わぬ病気や症状のリスクを極めて高めてしまいますよ。

こちらでは、便秘の際にウォシュレットを使い続けることで生じる非常に怖い危険性についてご紹介します。

ウォシュレットを便秘解消に使用するのではなく、本来の目的に応じた正しい使用方法で思わぬリスクを回避しましょう。

 

目次

ウォシュレットについて

ウォシュレットとは温水でお尻を綺麗にする機能が付属した温水洗浄便座のことで、日本が誇るテクノロジーの1つです。

シャワーのように吹き出てきた温水が肛門付近に当たり、トイレットペーパーを使わずとも肛門付近を簡単に綺麗にできる優れた機能です。

日本発祥ということで国内での普及率は非常に高く、今となっては一般家庭のほとんどでウォシュレット機能が搭載されていて一般的なものとなっていますよね。

しかし、海外では未だにウォシュレットは珍しいもので、来日した外国人は日本のトイレの至るところに備わっているウォシュレットに魅了されるそうです。

私たちにとっては身近な存在のウォシュレットは、そもそも「お尻を綺麗にすること」を第一の目的として作られています。

健康な成人の人は何の問題もなくお尻を拭けますが、年配の人や幼い子どもはうまくお尻を拭くことができませんよね。

それに、お腹や肛門の調子が悪い人にとって、トイレットペーパーで綺麗にすると症状の悪化に繋がってしまうのです。

こうした「お尻を上手く拭けない」「トイレットペーパーが使えない」といった悩みを抱える人でも、ウォシュレットの機能を使えばお尻を清潔に保つことができるのです。

便秘の人が頼りやすい、排便時のウォシュレット

本来のウォシュレットの使用目的は「お尻を綺麗にすること」ですから、排便後に使用することが一般的ですよね。

しかし便秘に悩まされている人の中には、排便時に「お尻を刺激して排便する」ために使用する人もいるのです。

要は、人肌程度の温水が出てくるウォシュレットの水圧をあえて強くして肛門に当てて、浣腸のように排便を促す刺激を得ようとしているのです。

ウォシュレットの温水を肛門付近にある便に水分を含ませ、それによって排便を促進するという効果を狙ったものです。

こうしたウォシュレットによる排便を促す方法は「ウォシュレット浣腸」と呼ばれており、便秘になるたびに実践している人も少なくないようです。

ところが「ウォシュレット浣腸」による便秘の解消は危険性が極めて高く、思わぬ病気や症状の悪化に繋がりかねません。

使いすぎるとウォシュレット症候群に!

市販の便秘薬や浣腸を使用せずに便秘解消効果が期待できる「ウォシュレット浣腸」は、ウォシュレットさえあれば簡単にできますからコストを低く抑えられると思われるかもしれませんが、

それ以上に高いリスクが伴う危険な方法であることをしっかりと肝に銘じておきましょう。

自力で排便ができなくなるウォシュレット症候群になる

「ウォシュレット浣腸」に頼り切りの排便を何度も繰り返していると、ウォシュレットの刺激がなくては排便ができなくなる「ウォシュレット症候群」に陥ってしまうことも少なくはありません。

「ウォシュレット浣腸」という名前の通り、強制的に排便を促す浣腸と同様の刺激をウォシュレットの温水から得ています。

はじめのうちは刺激によって確かな排便効果を得られます。

しかし回数を重ねていくごとに腸は外からの刺激に慣れていき、はじめのうちに得られた刺激では効果を実感できなくなっていきます。

「排便効果を得たいから」と次第に水圧を強めていったりウォシュレット浣腸に頼る回数を増やしたりすると、最終的には腸が本来持つ排便の機能が失われるのです。

自らの力のみで排便が行えなくなれば、さらにウォシュレット浣腸への依存度が高まりさらに腸が本来持つ排便機能が失われる……という悪循環が引き起こされることこそが、ウォシュレット症候群の恐ろしい点です。

加えて、ウォシュレットによる強制的な排便を続けていくと、腸内環境を整えたり自然な排便を促したりする善玉菌さえも外に排出することに。つまり、ウォシュレット症候群では、腸内環境さえもますます便秘に陥りやすい状態へと悪化させますよ。

さらには、「腸内にあるはずの便を全て出しきらないと気がすまない」「少しでもお尻が汚れていると苦痛に感じられる」といった精神的な不調も伴う場合もありますから、安易にウォシュレットに頼った排便は決して行わないようにしましょう。

使いすぎによって思わぬ感染症や炎症が生じる

ウォシュレットを使いすぎると肛門付近の皮膚が健康な状態を保つために必要な皮脂までもが洗い流されてしまうので、外からの刺激から肌を守るための保湿力やバリア機能が失われて痔が生じやすくなります。

さらには、ウォシュレットから流れてくる温水が不衛生な場合には、バリア機能が弱まった肛門付近から雑菌が侵入して肛門周囲の湿疹・皮膚炎・直腸炎が生じる恐れが高まるのです。

女性の場合には肛門だけでなく膣の炎症や感染症のリスクが伴いますから、「たかが温水、たかがウォシュレット」と軽んじてはいけませんよ。

ウォシュレットの正しい使い方と注意点

ウォシュレットに頼り切りの排便によって生じる「ウォシュレット症候群」やそれに付随する様々な病気や症状の恐ろしさをお分かりいただけましたか?

上記でご紹介しましたリスクを回避するためにも、ウォシュレットを正しく使っていきましょう。

最後にウォシュレットの正しい使い方と注意点についてご紹介します。

弱めの水圧で使用する

まず、ウォシュレットの水圧は弱めにして使用してくださいね。

水圧が強いウォシュレットから便器内の汚れが飛び散り肛門付近に付着すれば、雑菌や大腸菌による感染症や病気が生じるからです。

また、水圧が強いウォシュレットでは、肛門を刺激したり傷付けたりして切れ痔のリスクを高めてしまいますよ。

肛門に直接当たらないようにする

肛門に直接ウォシュレットを当てずに、肛門付近に付着した汚れを取り除くイメージでその周辺を刺激するようにしましょう。

弱い水圧とは言えウォシュレット直接肛門に当ててしまうと「肛門付近の皮脂が過剰に奪われる」「善玉菌が洗い流される」というリスクが少なからずついて回ります。

さらに、直腸付近を保護する粘膜を洗い流すことで思わぬ病気を引き起こされかねませんから、直接肛門に当てるような使用はおやめください。

短時間の使用にとどめて長く当てすぎない

温水がお尻に当たる気持ちよさから、ついつい長い間ウォシュレットを付けっぱなしにしていませんか?

こうしたウォシュレットの長時間の使用は、肛門の皮脂を過剰に奪うほか善玉菌を洗い流してしまいますよ。

ウォシュレットの使用は1回あたり5~10秒以内にとどめ、早めに切り上げるようにしましょう。

これ以上の使用は肛門に大きな負担となるほか、ご紹介した様々なリスクを高めてしまいかねません。

使用後にはゴシゴシ強く拭かない

弱い水圧そして短時間のウォシュレット使用であったとしても、温水に当てられた肛門は普段よりも敏感になっています。

つまり、ウォシュレット使用後にトイレットペーパーでゴシゴシ強く拭くと、皮脂を過剰に奪ったり痔の恐れが高まったりするのです。

したがって、ウォシュレットの使用後にはトイレットペーパーで肛門をこすらないようにしてくださいね。

ウォシュレットが既に肛門付近を綺麗にしていますから、肛門付近に付着した水分を優しく当てて拭き取る程度で十分です。

最小限の使用を心掛ける

排便後のお尻を綺麗にすることを目的にしているウォシュレットですから、それ以外での使用は控えて最小限の使用を心掛けるようにしましょう。

もちろん「痔だからトイレットペーパーで拭けない」「下痢で肛門周りが痛い」「トイレットペーパーで拭く体勢が取れない」などの緊急時には、便利なウォシュレットの機能を有効に活用しましょう。

ウォシュレットに頼らず、正しい使用方法で!

お尻を簡単に綺麗にできるウォシュレットが持つその優れた機能は、お尻やお腹の調子が悪い時には大変役立つ便利なものです。

しかし、簡単に便利な機能が使えられるからと便秘解消のために「ウォシュレット浣腸」に頼り切りの排便を繰り返してはいけません。

ウォシュレットの刺激から一時的に排便を促すことができたとしても、それは根本的な便秘の解消ではありませんよ。

それどころかウォシュレットでの便秘解消法は、善玉菌を洗い流したり腸が本来持つ排便機能を弱めたりと便秘が生じやすい体質へと陥りかねません。

それに、ウォシュレット症候群や思わぬ病気や感染症のリスクを高めてしまうだけです。

したがって、ウォシュレットは本来の「お尻を綺麗にする」という目的のためだけに使用するようにして、その際にはこちらでご紹介した正しい使い方や注意点に気を付けてくださいね。

 

参考文献

新潟市医師会
芳珠記念病院