オイルはダイエットの敵じゃない!ダイエット以外にも期待できる効果は?
油はダイエットの大敵と思っていませんか? 確かに揚げ物は太りやすいし、いため物でも油の量を減らすことはダイエッターの間では常識とされています。そのため、油自体に「悪者」のようなイメージが定着してしまっているのかもしれません。
しかし極端に油の摂取量を制限しすぎると、お肌がカサカサになったり髪の毛がパサパサになったりと、美容面で悪い影響が出始めます。せっかくダイエットをしてキレイになろうとしているのに、本末転倒ですよね。人間が健康に生きていくためには、一定量の油分は必要なもの。
今回は、ダイエット中でも欠かせない油の重要性と、太らないように、しかし健康を損なわないように、バランス良く油を摂取するための情報をご紹介いたしましょう。
目次
オイルの違いと摂取のしかた
動物油と植物油
オイルには大きく分けて「動物油」と「植物油」の2種類があります。動物油は常温で固形状態を保てることが特徴で、代表的な製品はラードやバターなど。一方、植物油は常温では液体の状態であり、代表的な製品はゴマ油やオリーブオイルなどです。
動物油と植物油の大きな違いは、含まれる脂肪酸にあります。動物性油は飽和脂肪酸を、植物油は不飽和脂肪酸を多く含むのです。そして、ダイエットに差が出るのも、この脂肪酸の違いからとなります。
ダイエットには植物油
ダイエットにオススメなオイルは、植物油です。
不飽和脂肪酸には、健康に良いさまざまな効果が期待できます。例えば、血液をサラサラにする効果。血液がドロドロだと流れが悪くなり、血管が傷ついたり破裂したりする危険があります。血行が悪いと老廃物の排出がうまくいかなくなるので、健康面だけではなく美容面からも重視したいポイントです。
他にも不飽和脂肪酸には、中性脂肪を減らしたり悪玉コレステロールを退治する働きがあります。こちらもダイエットのことだけではなく、健康にも関わってくることですよね。そう! 痩せることに興味のない人にとっても、他人事とは言えないのです。
植物油はさらに3種類に分類
オイルを大きく分けたうちのひとつが植物油ですが、これをさらに細分化すると3つの種類があります。それが「α-リノレン酸」「リノール酸」「オレイン酸」の3種類。
α-リノレン酸
α-リノレン酸は「オメガ3系」に属し、代表的な製品は亜麻仁油・菜種油などです。血液をサラサラにする効果が高く、血管の保護に役立ちます。α-リノレン酸は体内で作り出せないので、食品から摂取しなければいけません。
リノール酸
リノール酸は「オメガ6系」に属し、代表的な製品はゴマ油や大豆油などです。髪にツヤを与え、乾燥によるパサパサ感を和らげます。さらに、生活習慣病の予防にも役立つのです。このリノール酸も上記α-リノレン酸と同様に、体内で作り出すことはできません。
オレイン酸
オレイン酸は「オメガ9系」に属します。代表的な製品はパームオイルやオリーブオイルなど。コレステロールには「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」があり、健康被害をもたらすのは悪玉コレステロールであるとされています。
「コレステロールはすべて悪」と考え、善玉コレステロールまで除去しようとすると別の弊害が発生し、逆効果になりかねません。そこで役立つのが、オレイン酸なのです。オレイン酸は、コレステロールのうち悪玉コレステロールだけを選んで退治できます。
オメガ3系とオメガ6系のバランス
「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということわざがありますね。どんなに良い効果をもたらす油であっても、適量を超えて摂取してしまえば逆に健康に良くないのです。油の取り方で特に大切なのが、オメガ3系とオメガ6系のバランス。一般的には、以下の割合が最適とされています。
オメガ3系 1 : オメガ6系 5
研究者によっては1:1が適切という声もあります。重要なのは、オメガ3系がオメガ6系より多くなってはいけないということです。
動物油も合わせたオイル全体の割合
さらにオイル全体での割合を考えてみましょう。植物油が健康に良いとお話ししましたが、動物油が悪者というわけではありません。どんな油でも、適量を守れば栄養となってくれるのです。動物油も合わせたオススメの割合は以下のとおり。
動物油 30 : オメガ3系 5 : オメガ6系 25 : オメガ9系 40
なお、ここではオメガ3系とオメガ6系を1:5のバランスで計算しています。
オススメのオイルの種類
それでは、オイルの種類別に特徴をご紹介いたしましょう。
オリーブオイル
ほとんどの油は、加熱することで効能が弱まってしまいます。しかし、オリーブオイルの成分は加熱に強く、いため物や揚げ物に使っても期待する効果をそのまま得ることが可能。また、オリーブオイルなら生で飲んでもおいしく、健康にも良いとされています。特にオススメなのが、エクストラバージンオリーブオイル。加熱して良し、そのまま使って良しのスグレモノです。
ココナッツオイル
オリーブオイルと同じく、ココナッツオイルにも「エクストラバージン」のココナッツオイルが存在します。もちろん、美容と健康のためには、より上質な油を使うべきです。ココナッツオイルは、いため物や揚げ物といった加熱料理に使えますが、それよりも、そのままコーヒーに入れたりスイーツに添えたりといった使い方がオススメ。
他にも、うがいに使ったりボディクリームのように体に塗ったりといった使い方もありますが、どの用途にも「加熱をしない」という共通点があります。加熱しない食品ほど質を重視すべきなのは、油に限ったお話ではありませんよね。
アボカドオイル
通称「森のバター」として知られるアボカドからも、オイルが作られます。実際のバターは動物油ですから、ダイエット中の女子ならあまり多く摂取したくないですよね。アボカドなら植物油ですから、ダイエット中でも大丈夫! しかも、通称どおりバターに並ぶほど栄養価が高いのです。
コレステロールのうち、悪玉コレステロールがなぜ「悪玉」と呼ばれるかご存じでしょうか? 悪玉コレステロールは、体内で酸化すると健康や美容にさまざまな弊害を引き起こします。
例えば、お肌の老化。年齢を重ねると誰もが悩むことになる、シミやシワ…… これらは、酸化が原因で起こります。また、血管が酸化に巻き込まれると動脈硬化の原因にもなりかねません。悪玉コレステロールは、美容ばかりか、命に関わる危険さえあります。この悪玉コレステロールの酸化を抑制するのが、アボカドオイルなのです。
亜麻仁油
亜麻仁油には、体内でEPAやDHAに変化する性質があります。EPAもDHAも魚から摂取することが可能ですが、現代人の平均的な食生活では1日分の必要な量に届きません。そこで亜麻仁油を積極的に使うことで、不足分を補うことができるのです。
また、オメガ6系のリノール酸を摂取しすぎると、アレルギー反応が出ることがあります。これを緩和するにも、オメガ3系のα-リノレン酸である亜麻仁油が役立つのです。しかし、亜麻仁油の成分は加熱により壊れやすいというデメリットも…… そのため、いため物や揚げ物といった加熱調理には向きません。油を加熱せず生のまま使えるドレッシングをオススメします。
えごま油
えごま油とは、シソ科の植物である「えごま」から取れる油で、別名「シソ油」とも呼ばれています。亜麻仁油と同じく、体内でEPAやDHAに変化する性質を持つ油です。そしてやはり亜麻仁油と同じく加熱に弱いため、そのままでドレッシングに使うことがオススメ!
今回ご紹介している油を、ダイエットのために全種類そろえる必要はありません。例えば「魚をあまり食べないから栄養が偏ってるかな」と思うのであれば、亜麻仁油かえごま油のどちらかひとつ、手に入りやすいものを選ぶ…… そういった活用をしてみてください。
グレープシードオイル
グレープシードオイルとは、その名のとおりぶどうの種から取れる油のことです。コレステロール値が限りなく0%に近いことで、注目を集めています。しかも、含まれるビタミンEはなんと一般的なオリーブオイルの約2倍!
ただし、グレープシードオイルはオメガ6系のリノール酸です。先に触れたとおり、リノール酸の油を取りすぎるとアレルギー反応を引き起こす恐れがあります。良い成分ばかりのように見えますが、過剰摂取にならないように気を付けましょう。オメガ3系のα-リノレン酸の油とセットで、摂取量のバランスに注意しながら上手に使ってみてください。
まだまだマイナーな油なので入手しにくい点が、グレープシードオイルのデメリットと言えるでしょう。
オイルをうまく使い分けてダイエット+美容に♥
油の種類やその特徴についてご説明いたしました。大きな分類・小さな分類、そして具体的な油の種類についてお分かりいただけたと思います。今回ご紹介した多数の油を、全種類そろえる必要はありません。特徴を理解し、必要な種類の油だけを入手して、ダイエットに役立ててみてください。