ゼロ金利政策という言葉を聞いたことがありますか?
金利ゼロという言葉だけを見るとよいイメージでとらえ打方が多いのではないでしょうか?実際に、この政策は住宅ローンと密接な関係があります。
今回は、ゼロ金利政策が住宅ローンに及ぼす影響についてくわしく解説していきます。
ゼロ金利政策という言葉を聞いたことがありますか?
金利ゼロという言葉だけを見るとよいイメージでとらえ打方が多いのではないでしょうか?実際に、この政策は住宅ローンと密接な関係があります。
今回は、ゼロ金利政策が住宅ローンに及ぼす影響についてくわしく解説していきます。
ゼロ金利政策は、日本銀行が行う金融政策の一つで、短期金利(無担保コール翌日物)を実質ゼロまで下げる政策の事です。
金利を下げることで、企業や個人は銀行などの金融機関からお金を借りやすくなり、お金の流れを活性化することができます。
ゼロ金利政策は1999年に導入された後、2000年8月に一度解除、その後景気悪化を受けて2001年に再度ゼロ金利政策が導入されています。
2001年のゼロ金利政策への復帰時には、同時に量的緩和政策も導入されています。
量的緩和政策は金融市場に大量に資金供給を行う政策で、民間金融機関が日本銀行に解説している当座預金口座の残高を増やすよう誘導します。
(具体的には、民間金融機関が保有している国債や手形を日本銀行が購入する形で資金を供給します)
当座預金残高が増えることで民間の金融機関は利子のつかない口座に預けておくより、個人や企業に貸し付けるなどしてお金の流れを活生化します。
ゼロ金利政策では効果がなかったことから、量的緩和政策が導入されましたが、2006年には導入時に設定した目標を達成したことからゼロ金利政策とともに解除されました。
一度は景気が回復したとしてゼロ金利政策が解除されましたが、2008年に起こったリーマンショックの影響で2008年には再度ゼロ金利政策が導入されることになりました。
その後、景気は低迷し上記の量的緩和政策に加えて質的緩和政策も取られていましたが、それでも金融緩和政策は充分とは言えませんでした。
そうした中2016年の2月に取られた導入されたのがマイナス金利政策です。
マイナス金利政策は民間金融機関が日本銀行の当座預金口座に預けるお金につける金利をマイナスにする政策で、マイナスになると民間金融機関は銀行に預けているお金の分利息を日本銀行に支払わなければならなくなります。
こうして、民間金融機関がさらに個人や企業にお金を貸しつけるようになり、お金の流れを活性化します。
民間金融機関はさらに安い金利でお金を貸しつけるため、個人や投資家にとっては借入しやすくなります。
2013年に日本銀行の黒田総裁が発表したのが「量的・質的金融緩和」です。
量的緩和政策では、世の中のお金の量を増やす目的で、長期国債や投資信託の買入量を2倍とし、また多様な量の金融資産を買入れる質的金融緩和も同時に行うと発表されました。
この時の質的金融緩和では、長期国債の買入れ対象を拡大することと、長期国債の平均残存期間を2倍以上とすることが発表されています。
住宅ローンには短期金利が適用される変動金利と長期金利が適用される固定金利があり、短期金利と長期金利はそれぞれ連動する指標が異なります。
変動金利は各金融機関が短期プライムレートを基準にして半年に1回金利の見直しがされています。
短期プライムレートは、銀行が優良企業に1年以内の短期間で貸し出す際に適用する最優遇の金利で、短期プライムレートはゼロ金利政策の項目でご説明した無担保コール翌日物金利に連動します。
(日本銀行は無担保コール翌日物金利を調整することで、市中金利を調節することから、無担保コール翌日物金利は政策金利としての性格を持ちます。)
現在、ゼロ金利政策で無担保コール翌日物金利を実質ゼロにしていることから変動金利はずっと低い水準のままでしたし、マイナス金利の導入で無担保コール翌日物金利もマイナスとなっており、各金融機関変動金利の金利はさらに低くなっています。
一方、住宅金融支援機構のフラット35を始めとした固定金利では短期金利とは違い、10年国債利回りを指標として金利が決められます。
住宅ローンの固定金利に影響を与える10年国債利回りは、新規に発行された償還期間10年の国債の流通利回りのことを指します。
10年国債利回りはあくまでも国債の流通利回りなので、短期金利のように政策金利に直接の影響を受けるわけではありませんが、間接的には強い影響を受けます。
過去10年の10 年国債利回りの推移を見ても、右肩下がりに下がり続けているのが分かります。
また、2016年2月のマイナス金利導入にも影響を受け、10年国債利回りはマイナスとなりました。
実際には今回の日本銀行のマイナス金利の導入は、日本銀行の当座預金の一部にマイナス金利を導入するだけのものだったのですが、その影響を強く受けていることが分かります。
日本では、リーマンショック以降ゼロ金利政策、量的・質的金融緩和政策でも景気が良くならずマイナス金利の導入が進められました。
これまでの説明で、住宅ローンにおいては短期金利においても長期金利においてもゼロ金利政策の対象となる政策金利が非常に大きな影響を与えることが分かっていただけたかと思います。
つまり、今後マイナス金利政策やゼロ金利政策が解除されるかどうかが住宅ローンの金利を予想する上で大きなポイントとなると言えます。
日本や欧州各国が金融緩和政策を進めている一方、最近になりアメリカの利上げが話題に上がることが多くなっています
アメリカでも2008年のリーマンショック以降、3回に渡って量的金融緩和政策(QE1、QE2、QE3)が行われてきました。
QE1は2008年11月〜2010年6月に、QE2は2010年11月〜2011年11月、QE3は2012年9月から2014年10月まで行われました。
QE1はサブプライムローン問題の収束を目的として行われ、QE2では主に雇用問題の回復を目指して行われました。
しかし、QE2を終了しても失業率は高止まりしたままだったため、引き続き雇用問題の解決に向けたQE3が実施されました。
QE3実施中、米国の失業率は徐々に低下し、当初8%近くあった失業率は2014年10月には5%程度まで低下しています。
こうして、米国の量的緩和政策は終了しましたが、なおゼロ金利政策は取られたままでした。
量的緩和政策終了後も景気の回復が継続していると見込まれたことから、2015年12月には政策金利利上げ(2008年12月以来、0.25%→0.50%へ)が行われました。
2007年には政策金利が5%程度あったことと比べるとまだまだゼロに近い金利だと言えますが、今後も追加の利上げが予測されており、米国の政策金利の動向が注目されています。
米国では小幅とはいえ利上げが実施されましたが、日本においても今後利上げが行われることがあるのでしょうか?
日本の量的・質的金融緩和政策ではその目標を2%のインフレとしていることから、まずはこれを達成しなければ量的・質的金融緩和政策の解除は基本的にはないでしょう。
なお、アメリカの利上げまでの流れを見てもわかるように、ゼロ金利政策が解除されるためには、マイナス金利の解除→量的・質的緩和政策の解除→ゼロ金利政策の解除となるのが通常で、その間ずっと景気が回復していることが前提です。
現在のところ、日本では利上げが行われるとしてもだいぶ先になると予想されます。
上記では、日本の景気が良くなることによる利上げ〜ゼロ金利政策解除について考えていますが、日本の利上げにはもう一つ、日本国債の暴落による利上げも考えられます。
日本国債がデフォルトしてしまうという不安が進行するなどして、どこかのタイミングで日本国債が暴落してしまうと、利回りは低下し、長期金利の上昇につながります。
こうなってしまった場合、日本の国債の保有者は金融機関などが多く、国債を保有する金融機関が巨大な含み損を抱えてしまい倒産してしまう銀行が出てくることも予想されます。
こうなると、さらなる国債暴落や国家財政の悪化につながり、最悪の事態が起こるでしょう。
日本においては今年に入りマイナス金利導入が実行され、住宅ローンの金利は市場最低をどんどん更新している状況です。
今後、マイナス金利政策や量的・質的金融緩和、ゼロ金利政策が解除されるにはまだまだ課題がありますが、今回お伝えした内容をよく理解して、少しでもお得に住宅ローンを利用できるようにすると良いでしょう。