アメリカの大学に留学したい!日本の大学とこんなに違う?!大学の種類や必要な費用は?
アメリカの大学留学を考えていますか?アメリカは世界トップクラスの大学がいくつもあり、質の高い教育を受けることができます。また、世界中から留学生を受け入れていて、大学付属の語学学校(ESL)など留学生が学ぶ環境も整っています。
アメリカは日本とは教育のシステムが違い、大学の制度も違いがたくさんあります。そこで、ここでは、アメリカの大学と日本の大学の違いや、大学の種類、魅力、留学の費用など詳しく解説します。
これを読めば、アメリカ大学留学の基本的なことがわかります!是非、アメリカ留学の参考にしてください。
目次
アメリカの大学と日本の大学の違い?
アメリカの大学は日本の大学の制度と違う点がたくさんあります。それぞれ、項目ごとに見てみましょう。
大学数
アメリカは世界でも圧倒的に大学の数が多い国です。2年制のコミュニティカレッジを入れると4000校以上あります。日本も大学数は多い方ですが、1,000校未満です。
入学時期と学期制度
日本の大学は2学期制で、4月に入学するのが一般的です。最近は、秋入学を認める大学もありますが、あまり一般的ではありません。
一方、アメリカは様々な学期制度があります。一番多いのは、セメスター制といわれる2学期制で、その他に3学期制や、クォーター制とう4学期制があります。アメリカの場合は、学期の初めであればいつでも入学できます。
単位と卒業
日本の大学は、修業年限が決められているのが一般的です。3年制までにほとんど単位を取り終えていても、卒業は4年間が修了した後になるのが一般的です。
一方、アメリカの大学は単位制で所定の単位を修了した時点で卒業します。卒業単位は120~130単位が一般的で、基本は4年間のプログラムですが、3年で卒業する人もいますし、5年かかる人もいます。
入学審査は?てTOEFLのスコアが必要?
日本の大学は筆記試験がとても重視されます。また、試験はセンター試験などチャンスが1回ということがほとんどです。
アメリカの大学は、書類選考でバランスよく評価されます。大学入学時に審査されるのは、高校の成績、SATやACTというアメリカ版センター試験の点数、部活やボランティアなど課外活動の経歴、推薦状、志望動機をまとめた小論文などです。
留学生の場合、SATの点数の代わりとしてTOEFLのスコアを要求されるのが一般的です。SATもTOEFLも、何度も受験することができ一番良いスコアを提出します。センター試験のように一発勝負ではないのも違いです。
アメリカの入学審査では、高校の成績や、TOEFLのスコアが少したりなくても、部活動などでよい成績を残していたり、小論文で人物的に興味深いと思ってもらえたりした場合は、入学が許可されることがよくあります。
これは、入学許可は「チャンス」にすぎないという考えからです。入学ができても成績が悪いと、退学になってしまいます。退学に関してはかなりシビアです。このことがあるため、アメリカ人は無理に高いレベルの大学を目指すということはしません。
入学後に専攻を決める?
日本では、学部や学科を決めて大学を受験します。そのため、高校生の早い段階で理系や文系など方向性を決めなければいけません。しかし、10代の早い時期に、やりたいことや得意分野を見つけられなくて困ってしまう人も多いのではないでしょうか。
アメリカは、一般的に入学後に専攻を決めます。小~中規模の学校でも理系、文系、芸術系などを含めて様々な専攻プログラムを提供しています。入学後2年は一般教養や基礎科目を学ぶので、その間に実際にクラスを取って学びながら決めることができます。
また、専攻をふたつ選ぶことや、専攻と副専攻を合わせて学ぶことも可能です。また、一度専攻を決めても、後で変えることも可能です。
授業スタイル
日本の大学は教授の一方的な授業スタイルのクラスが多いです。一部、学生が発言するクラスもありますが、限られています。また4回生になるとゼミへの参加が義務付けられている大学が多いです。
アメリカの大学は、講義型のクラスでも学生は積極的に参加されることが求められます。成績は、テストだけでなく、プレゼンテーション、レポート、他の課題の点数や、授業参加態度なども加味されます。授業は、予習が前提で行われます。基本的なことは理解している前提で、積極的に意見を述べたり、質問したりすることが求められます。
テストも日本とは違います。日本では暗記すれば点数が取れる問題が多いですが、アメリカでは暗記していることを前提に、論理的思考が必要な問題が多くあります。
また、アメリカではテストは80点平均をとって普通です。2学期連続で成績が70点(GPA2.0)平均以下を取ってしまうと退学になってしまう学校がほとんどです。このことが、「アメリカの大学は卒業が難しい」といわれる理由のひとつです。
教授との関係
日本では、教授と学生の間には距離があることがほとんどです。しかし、アメリカの教授は学生にとても協力的で、距離が近いです。オフィスアワーという時間を設けていて、その時間は教授のオフィスへ行って、質問をすることができます。それ以外でも、学内のカフェテリアで一緒に食事をしたり、学生と教授が交流したりするイベントなども大学で開かれます。
このように、積極的に交流が行われ、サポートをしっかり行ってくれるのは、教授の仕事も「サービス業のひとつ」と考えられているからです。学期末には、学生が教授を評価するシステムもあります。
編入
日本では編入や転校はすごく稀で、単位の移行はかなり制限があります。しかし、アメリカは、比較的自由に編入することができます。編入時には、前の大学で取得した単位の多くを新しい大学で認めてもらうことができます。コミュニティーカレッジ卒業後、大学の3年に編入する人も多くいます。
アメリカ大学の種類
州立大学
アメリカには州が運営する州立大学が多くあります。州立大学は州に住む人々に学部レベルの教育機会を与えるための施設です。そのため、入学の難易度が低い学校が多いです。
州立大学は、州から補助金が出ているため、州内の学生は学費が安いです。しかし留学生の場合は、州外学生費用がかかります。留学生が州立大学に通うと、州の住民の2倍の学費がかかるということも少なくありません。
また、州立大学は多くの人に教育機会を与えることが目的のため、大学の規模も大きいところがほとんどです。生徒数1万人以上の州立大学がほとんどです。学生が多い分、1クラスの生徒数も多いです。また、大学院生のアシスタントが教授の代わりに授業や、生徒のサポートをすることも多く、授業の質は私立大学に比べ低くなってしまいがちです。
コミュニティカレッジ
コミュニティカレッジ(コミカレ)は、州が地域の人に気軽に学べる機会を与えるために運営している2年制のカレッジです。職業訓練コースに通う生徒が多いですが、大学に編入するためのコースもあります。州立大学と同じで、州外から入学する留学生は別料金を払う必要があります。
ほとんどのコミカレはOpen Admissionポリシーを採用していて、必要書類を揃えて提出すれば入学許可が出ます。つまり、「誰でも入れる」のがコミカレです。そのため、ドロップアウト率がとても高く、学期の初めにいた生徒の多くが学期末にはいなくなっているということもあります。コミカレの卒業率は20%程度です。
アメリカは大学の数は世界で断トツ多く、学校を選ばなければ比較的簡単に入学できます。そのため、4年制ではなくコミカレを選ぶ生徒は、どうしても勉強ができない生徒や、経済的に恵まれていなかった人が多くなります。日本の学生が、コミカレに留学すると、学習環境が悪いと感じたり、まわりの生徒層に驚いたりすることもあります。
日本人がコミカレに留学する理由は、ほとんどが4年制大学への編入のためです。高校時代の成績がよくないが、アメリカの4年制大学にチャレンジしたい場合は、コミカレに入学して良い成績を残して卒業すれば可能です。
コミカレを修了した生徒が、その州の州立大学に優先的に入れる制度がある州もあります。特にカリフォルニア州は、コミカレを修了すれば、カリフォルニア大学かカリフォルニア州立大学の中のどこかの大学には入ることができるという制度があります。
ジュニアカレッジ
ジュニアカレッジは2年制で、日本の短大のような大学です。入学基準は、コミカレより高く、少人数で学ぶのが特徴です。学費もコミカレより高い学校がほとんどです。学生は、四年制大学進学を目指している人が多いです。
私立大学
日本では国公立大学のほうが、レベルが高い大学が多いですが、アメリカは多くの名門校が私立です。ハーバード大学やイェール大学などのアイビーリーグ(IVY League)や、難関校のマサチューセッツ工科大学なども私立大学です。
私立大学は、授業料と寄付金で運営している学校です。州立大学に比べ小さな大学が多く、少人数で質の高い教育が受けられます。宗教が関連している大学も多いですが、宗教色は薄い大学がほとんどです。
アメリカは寄付金を多くする社会で、特に優秀な卒業生が多い名門私立大学には毎年多くの寄付金が集まります。寄付金で設備を整えたり、奨学金も多く出せるのが私立の特徴です。学費は州立大学より高いですが、返済不要の奨学金をもらって比較的安く学べる場合もあります。
リベラルアーツカレッジ
リベラルアーツカレッジは、教養に重点を置いている私立の大学です。アメリカの伝統的な大学の形で、ハーバード大学など多くの名門大学がもともとはリベラルアーツカレッジでした。
リベラルアーツカレッジの多くは、田舎の自然豊かな場所に広いキャンパスがあります。全寮制か、それに近いシステムの学校が多く、学生、教授、スタッフの距離がとても近いのが特徴です。
生徒の数も少ない数に制限していて、教授1人あたりの生徒数が少なく少人数で質の高い授業を受けることができます。1クラス10~20人程度の場合も多く、高学年の専門的なクラスになれば、それ以下もあります。
リベラルアーツカレッジの教授は研究活動を行わず、教育に専念していることがほとんどです。そのため、授業以外でも教授に直接教えてもらうことができます。
リベラルアーツカレッジでは教養を中心に学び、専門分野は大学院で学ぶという人が多く、卒業後大学へ進学する学生も多いです。
専門・単科大学
音楽や演劇など芸術を学ぶ専門の単科大学もあります。それぞれの分野を、より専門的に学ぶ学校で、独自のカリキュラムがあります。
アメリカ大学留学に必要な費用
アメリカの大学では学費と寮費(食事代含む)が費用としてかかるのが一般的です。その費用は、州立大学か私立大学かなど種類によっても違います。また、アメリカでは「質の高い教育には高いコストがかかる」と言われています。そのため、レベルの高い大学は費用がさらに高いのが一般的です。
私立大学だと、年間の費用が32,000ドル(360万円)程度です。ただし、ここにはお小遣いや、旅行代金、保険料等の費用は含まれていません。さらに、アメリカの大学は夏休みが長いのですが、その間の滞在費は別途かかります。そのため、年間最低でも450万程度は予算しておいたほうが良いでしょう。
一般的に、4年制大学に進学する場合、語学学校で半年~1年学んでから進学するケースがほとんどです。4年分の大学の費用の他に、語学学校での費用も計算に入れる必要があります。
また、アメリカの大学は、毎年費用が高くなっています。この上昇率で行けば、近い将来天文学的数字に到達するのでは?とも言われるくらいです。4年間の間に、学費も上昇して行くのでその分も計算しましょう。
このように多額の費用がかかるアメリカの大学ですが、返済不要の奨学金をもらえる大学も多くあります。費用が限られている場合は、奨学金も検討してみましょう。
アメリカ大学の魅力
「アメリカン・ドリーム」という言葉がありますが、アメリカの大学もやる気がある人にチャンスを与えてくれます。英語が苦手でもESLからスタートして、大学が可能ですし、高校時代の成績が良くなくても、コミュニティカレッジから、四年制大学に進学することも可能です。
また、比較的簡単な大学へ入学しても、結果を残せば、よりレベルが高い大学へ編入したり、レベルの高い大学院へ編入したりすることも可能です。学費は高いですが、奨学金制度が充実していて、能力があるけれど費用が出せない人にも多く門戸を開いています。
選択の幅が広いのもアメリカの大学の特徴です。大学の数が多いため、小規模から大規模、大都会から田舎まで様々な大学から選ぶことができます。レベルも様々ですし、カリキュラムや、専攻も様々です。
2つの科目を専攻したり、途中で転校したりするなど、自分の人生の設計に応じて様々なプランを立てることができます。大学によっては、自分で専攻プログラムを設計し、認められれば独自のプログラムで学べるところもあります。
まとめ
アメリカの大学は専攻の選択や、編入、卒業時期など自由にできる要素が多くあります。また、やる気がある人にはどんどんチャンスを与えてくれるシステムもあります。しかし、そのチャンスや制度をうまく活用して結果をだせるかは、自分次第です。
日本の大学のように、入学した人がほとんど卒業するということもありません。授業についていけず、途中でドロップアウトする人も多いです。そのような環境で、留学生が授業についていくのは簡単なことではありません。
大変な環境だからこそ、そこで一緒に学んだ仲間は一生の仲間になります。学力も自信も付き、一生の宝となる経験ができます。