歯磨き粉や目薬をニキビに塗ると治る!という驚きのニキビケアがネットで話題になっていることをご存じでしょうか。
ちょっとびっくりするような噂ですが、本当に効果があるのでしょうか。その真相を調べてみました。
歯磨き粉や目薬をニキビに塗ると治る!という驚きのニキビケアがネットで話題になっていることをご存じでしょうか。
ちょっとびっくりするような噂ですが、本当に効果があるのでしょうか。その真相を調べてみました。
歯磨き粉をつけたらニキビが治った、というのは歯磨き粉の持つ「殺菌作用」の成分がニキビに対して有効な働きをしたと考えられます。ただ、残念ながら本当に効果があるかどうかということについては、科学的根拠はありません。
一部には、それによってニキビが治る場合もあるのかもしれませんが、逆効果になる可能性も高いです。というのは、歯磨き粉には殺菌効果だけでなく、研磨剤やフッ化物、発泡剤などのさまざまな成分が配合されているからです。
こうした成分は、ニキビのできているバリア機能の弱った肌に対しては刺激が強すぎることが多いです。さらに、ニキビができているときというのは、肌のターンオーバーもうまく機能していない状態です。
だから歯磨き粉で炎症がひどくなると、ニキビの治りがさらにおそくなる可能性も考えられます。
それだけではなく肌がヒリヒリしたり、接触皮膚炎などのようにかぶれたりして、症状が悪化する恐れもあります。だからそういった恐れのある歯磨き粉をニキビに塗るのは避けたほうが無難です。
もし万が一、歯磨き粉がニキビの部分についてしまったら、塗り込んだりこすったりせず、そっと取り除きましょう。
歯磨き粉は身の回りにあるもので、とても手軽なので、ニキビに効果があるなら一石二鳥と思ってしまいそうです。それでも効果に根拠があるどころか、リスクが高いということをぜひ知っておいてください。
目薬をつけたらニキビが治るという人は、目薬に含まれる殺菌作用や抗炎症作用、それからビタミンが有効に働いたと考えられます。そして、その効果はどんな目薬でもというわけではなく、「充血用目薬」の場合に限られるようです。
充血用目薬には、点鼻薬にも含まれることがある血管収縮剤が含まれています。
具体的には塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリンなどの成分です。充血用目薬の商品には、例えば「ロートリゼ」や「バイシン」といった種類があります。
この血管収縮剤は、末梢神経を収縮させる力を持っています。これにより、肌の赤みや炎症を抑える効果が発揮され、ニキビに対して効果が生まれた可能性があります。
ちなみに、結膜炎やものもらいの治療で使われる抗菌作用のある目薬には、充血用目薬とは異なる成分が配合されています。
例えば、グリチルリチン酸ニカリウムや、スルファメトキサゾールナトリウム、クロルフェニラミンマレイン塩酸、酢酸d-aトコフェノールなどです。商品名で言うと、「ロート抗菌目薬EX」などがあります。
目薬の種類の中には抗生物質が含まれているものもあり、それによって殺菌作用が生まれる可能性もあります。そのため、ニキビが治ったという人もいると考えられます。
確かにアメリカなどではニキビができたときの応急処置として、充血用目薬が使われることもあるんだそうです。
ただし、目薬の場合も歯磨き粉と同じく、確実にニキビケアとして有効とは言い切れません。
反対に肌トラブルや、炎症の悪化を引き起こす可能性は十分にあります。また、血管収縮剤は誤って飲んだりすると吐き気を催すなど、大量に使用すると危険なものでもあります。
だからもし一度やってみて効果があったとしても、目薬をニキビケアとして使うのは避けたほうが無難です。
1回目はうまくいくかもしれませんが、2回目は悪化することだってあるからです。そもそもニキビケアとして作られているわけではないので、リスクの方が大きいのではないでしょうか。
それに、ニキビケアは正しい治療を行わないと、せっかく治ってもニキビ跡になってしまいます。実際に効果があったとしても、むやみな自己流のケアはトラブルを引き起こす可能性が高いです。
もしニキビができたときは、なるべくニキビケア用の薬を使用したり、専門の医師の診察を受けるようにしましょう。その方が早期治癒に繋がります。
歯磨き粉や目薬を使ってニキビが治るというのは、嘘とは言い切れませんが科学的根拠があるというわけではないようです。
実際に治ったという人は、それらに含まれる殺菌成分や抗炎症作用、あるいは肌に潤いを与える効果を持つ成分が、そのときはいい方向に働いたからと考えられます。
何よりも大切なことは、歯磨き粉にせよ、目薬にせよ、そもそも「ニキビケアとして使うものではない」ということです。
つまり、歯磨き粉や目薬にどれほど殺菌成分が入っていても、ニキビケア専用のものでない限り、きちんとした効果は得られないということです。
偶然治る可能性はありますが、そもそもの目的が違うので、使用することで逆にニキビが悪化する可能性も十分にあります。ニキビを治したいのに、肌荒れするなんて嫌ですし、そんなリスクは負いたくないですよね。
早くニキビを治したいのであれば、まずはニキビの原因が何かを知りましょう。
その上で、まずはスキンケアを見直してみてください。例えば、ゴシゴシ洗いをやめて優しく泡で洗う正しい洗顔方法を身に着けたり、それを洗い流す際にぬるま湯を使用するなどです。
また、洗顔後には化粧水だけではなく乳液やクリームを使って、十分に保湿をしてみてください。
さらに生活習慣の見直しも行いましょう。ニキビは睡眠不足や栄養バランスの偏り、あるいはストレスでホルモンバランスが崩れたりしてできることもあります。
だから規則正しい十分な睡眠と、脂っこいものや甘いものを摂りすぎず、1日3食を野菜中心にバランスよく摂るようにしてみてください。
ストレスは現代社会で感じないことは難しいですが、適度に運動を取り入れたり、アロマでリラックスするなど、自分の好きなことである程度解消することが可能です。
こうした生活習慣は、一度に整えることは難しく、少し時間がかかることもあります。それでも、大切なニキビケアの一つです。
だから、裏技のようなニキビケアは避けましょう。歯磨き粉は虫歯予防や歯茎の健康のために、目薬は乾燥した目や目やにの予防などに、それぞれの用途に合わせて使うのが一番です。
そしてニキビケアには、まず始めに身の回りの習慣を見直して、それから皮膚科などで専用の薬を使用するといったケアを行うようにしてみてください。