最近スーパーやコンビニなどの店頭にて、キシリトールを使用したガムやタブレットといったお菓子を目にすることが多くなりました。
「キシリトールは歯に良い」とよく耳にしますし、お菓子のパッケージにも「歯を丈夫する」「虫歯予防」と記載されていることから「キシリトールは歯の健康に良さそう」というイメージがありますよね。
しかし、実際のところどうしてキシリトールが歯に良いのか、なぜキシリトールの摂取が虫歯予防に繋がるのかを知らない人も少なくはないはずです。
こちらでは、キシリトールとは何かといった基本から、その効果まで詳しくご紹介します。
キシリトールが歯に良いのは知っているけれど、どうして良いのか今さら聞けない…という方のほか、キシリトールの効果を上手に利用したい方の参考にしていただければ幸いです。
キシリトールって?
キシリトールって何?
キシリトールの効果の前に、キシリトールとは一体何なのかを簡単にご紹介します。
まず、キシリトールとは、糖アルコールの一種つまり砂糖をはじめとした甘味料の仲間なのです。
市販のガムやタブレットに使用されているイメージのあるキシリトールですが、野菜や果物の中にも存在する天然の甘味料なのです。
お菓子に含まれているキシリトールは人為的に作られているものの、自然由来のものと同じ構造ですから人体にも悪影響がありません。
効果
キシリトールの効果として挙げられるのは、虫歯の発生を予防するだけでなく虫歯の進行をも防ぐという働きです。
このような働きはキシリトール特有のもので、他の成分では得られません。
このようなキシリトールの効果の高さは、医療現場でもかねてから使用されてきたほど!
最近では厚生労働省から「食品添加物としてお菓子などに使用しても良い」という許可がおりたほどです。
なぜ虫歯を防ぐのか
そもそも虫歯が発生するのは、虫歯の原因となるミュータンス菌が口の中で歯を溶かす酸を生み出すからです。
この菌の作用だけで虫歯が生じているわけでもありません。
口の中は常にアルカリ性に保たれていますが、糖が含まれるものを口にした時には酸性の状態になります。
酸性になった口の中では、歯が溶け出す「脱灰(だっかい)」という現象が生じます。
かと言って、私たちの歯が溶けてなくなってしまいませんよね。
これは、口の中がアルカリ性に保たれているときに、「再石灰化」という現象によって溶け出した歯を元の健康な状態に戻しているからです。
口の中では、この脱灰と再石灰化のサイクルが繰り返して行われることで、歯の健康を保っているのです。
逆を言えば、酸性の時間が長く脱灰の状態が続く一方で、再石灰化の時間が少なく脱灰した分の修復が追いつかなければ虫歯となってしまうのです。
キシリトールが虫歯予防に役立つのは、「虫歯の原因となるミュータンス菌に直接アプローチする」「唾液から得られる再石灰化の作用を促す」という大きく分けて2種類の作用があるからなのです。
ミュータンス菌
虫歯の原因となる酸を作らせない!
ミュータンス菌は、通常の砂糖をはじめとした「糖」を分解する過程の中で歯を溶かす酸を生み出します。
つまり、ミュータンス菌は糖を餌として酸を生み出すのです。
しかし、通常の糖と同じように甘いキシリトールは、実はミュータンス菌では分解されないので虫歯の原因となる酸を生み出されません。
いわばキシリトールは、「ミュータンス菌に酸を作らせない」という特性から虫歯を予防しているのです。
ミュータンス菌の力を抑制し増殖をも防ぐ
キシリトールは口腔内に取り入れられると、ミュータンス菌と結びつき「虫歯の原因となる酸を生み出さない別の物質」へと変化させます。
こうしてミュータンス菌とは全く異なるものへと変化した物質は、口内ケアでそのまま口の外へと排出されます。
つまり、ミュータンス菌に酸を作らせないどころか、ミュータンス菌の力さえも抑制し口の外へと排出しやすくすることで、ミュータンス菌の増殖を防ぐのですね。
虫歯や歯周病などの口内トラブルの原因は、ミュータンス菌の増殖です。
その菌に直接アプローチし抑制できるキシリトールの働きは、歯の健康を考えるうえでは非常に嬉しいものですね。
結果的に歯垢が少なくなる
虫歯の原因となる歯垢は、ミュータンス菌によって作られています。
ミュータンス菌の力を抑制し増殖も防ぐキシリトールを摂取すれば、当然歯垢も少なくすることが可能に!
虫歯予防では歯磨きをはじめとした口内ケアでなるべく多くの歯垢を除去することが大事ですが、それと同じくらいに歯垢を生み出さないことも欠かせません。
日頃の口内ケアに加えてキシリトールを摂取し続ければ、必然的に虫歯のできない健康的な口内環境へと生まれ変わることもできますよ。
再石灰化
再石灰化を促進し歯を強くする
キシリトールを摂取すると、その甘さが味覚を刺激するため唾液の分泌が促進されます。
唾液には虫歯を抑制する成分を多く含むほか、歯の再石灰化を促す働きがあります。
そんな唾液の分泌量が促進されれば、当然それと比例して虫歯のリスクも低下させることもできます。
また、キシリトールは唾液の分泌を促す以外にも、再石灰化が生じる際に唾液の中に含まれるカルシウムと結びつくことで歯を強くする効果もあります。
つまり、再石灰化を促進するだけでなく、カルシウムと手を結び再石灰化の働きを高めて歯を丈夫にするのです。
初期段階の虫歯の治療にも!
先述の通り虫歯の原因は、「ミュータンス菌の生み出す酸」と「歯が溶ける脱灰に再石灰化による修復が追いつかないこと」との2つです。
さらに、歯の表面だけがほんの少しだけ溶けた状態にある初期段階の虫歯は、再石灰化による歯の修復によって治すことができます。
再石灰化を促進し、その働き自体の質を高められるキシリトールは、初期段階の虫歯の治療にも役立ちますよ。
歯本来が持つ修復作用である再石灰化を高められるからこそ、虫歯の予防だけでなく虫歯の進行を防ぎ初期段階には治療も可能となるのですね。
まとめ
ミュータンス菌の抑制や再石灰化など、虫歯を予防するキシリトールですが、口内トラブルを防ぐための基本はブラッシングをはじめとした口内ケアです。
いくら虫歯を予防する効果が得られるからといっても、口の中の歯垢や汚れをブラッシングで落とさなければ虫歯に繋がります。
「キシリトールはブラッシング代わりにはならず、あくまでも口内ケアの補助として摂取する」ということを肝に銘じておきましょう。
正しい口内ケアと合わせてキシリトールの摂取を習慣にすれば、まさに鬼に金棒!
虫歯や歯周病などのリスクを低くすることができますよ。
キシリトールを生活の中に上手く取り入れて、トラブル知らずの健康な歯をいつまでもキープしたいですね。