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汗って実は無臭?!体臭の原因だと思われがちな「汗」が臭くなる理由

 

汗ばむ季節になり始めるとどうしても気になるのが汗のニオイですよね。

自分自身が汗臭くなっていないか気になりますし、汗をかいて体臭が強くなるから動きたくない・暑いところに行きたくないと感じる人も少なくはありません。

しかし、汗をかくとニオイが生じる原因やメカニズムを知り、それに応じた対策をきちんと行えば確実に汗臭を予防・抑制が可能となりますよ。

こちらでは、汗が臭くなる原因とその対策方法を分かりやすくご紹介します。

体臭に悩まず気分良くエネルギッシュに汗ばむ季節を楽しむためにも、今日から正しい汗臭の対策を行っていきたいですね。

目次

汗は無臭なんです!

「汗をかくと何だか臭う」「汗ばむ季節には体臭が悩みの種になる」「汗は体臭が強くなる原因だから嫌だ」と汗がニオイの原因だと考える人は少なくはありません。

しかし、体温の上昇や高い気温から分泌される汗は無臭で、ニオイの原因ではありません。

むしろ、汗をかいた時に生じるニオイは、汗を餌として分解する雑菌が原因となって引き起こされているのです。

また、汗と言っても異なる特徴を持つ2種類がありますから、それぞれに応じた対策をきちんと行う必要があります。

はじめに、汗臭対策に必要不可欠とも言える汗の基本知識について分かりやすくご紹介します。

汗腺は2種類ある

そもそも汗は、体温調節という生命維持には欠かせない重要な役割を担っています。

水分としての汗が蒸発する際に高くなった体温を下げ、体温を一定に保ってくれているのです。

こうした汗を分泌する機能を持つのが皮膚に存在する汗腺です。

汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、それぞれ異なる特徴があります。

汗腺の特徴は?

まず、エクリン腺は全身に存在し、体温の上昇を受けて汗を分泌します。

エクリン腺から分泌される汗の約99%は水分で構成されているので、ニオイが無くサラサラとしています。

一方、アポクリン汗腺は脇・耳の穴・デリケートゾーンといった一部分に存在し、タンパク質や皮脂が多く含まれていてニオイが強い汗が分泌されます。

アポクリン汗腺が多いか少ないかは遺伝によって決められますし、その分布数や形の大きさは人によって異なります。

アポクリン汗腺が多かったり形が大きかったりすると、ワキガ体質になるとされています。

汗が臭くなる原因は?

暑い時や運動時など汗をかく多くのシチュエーションでは、エクリン腺から分泌される汗となっています。

先述のように、エクリン腺からの汗はほとんどが水分で構成されていますから、汗自体のニオイはほとんどありません。

では、本来ならニオイがないはずの汗がどうして臭くなるのでしょうか?

基本的には「菌」が原因です

体温を一定に保つためにエクリン腺から分泌されるサラサラとした汗は、そのほとんどが水分で構成されていますから発汗直後には無臭です。

しかし、皮膚に存在する常在菌が汗を餌として分解すると、「汗臭い」と感じるニオイ物質を生み出してしまうのです。

私達の肌には常在菌として多くの細菌が存在しています。

その中でも、黄色ブドウ球菌や真菌は、汗を餌として分解して汗臭いニオイを生み出す「汗臭菌」と呼ばれています。

エクリン腺から分泌される汗は約99%の水分で構成されていますが、残り1%には塩分・尿酸・アミノ酸・垢がわずかに含まれています。

汗臭菌はこの残り1%を餌として分解しニオイ物質を生み出すだけでなく、餌を得て繁殖しその数を増やしていきます。

またアポクリン汗腺から分泌される汗には、エクリン腺からの汗よりも多くのアミノ酸や皮脂つまり汗臭菌の餌が含まれていますから、雑菌によるニオイの発生はさらに強くなります。

加えて、アポクリン汗腺からの汗は皮脂やアミノ酸の含有量が多いせいでベタつき蒸発しにくいという特徴もあるので余計に雑菌の分解・増殖が活発に行われます。

エクリン腺そしてアポクリン汗腺どちらから分泌される汗であったとしても、嫌な汗のニオイが引き起こされるのは汗臭菌による分解・汗臭菌の繁殖と考えても問題ありません。

運動不足が原因

エクリン腺から分泌される汗自体にはニオイがなく、汗が汗臭菌に分解されることでニオイが生じるとご紹介しました。

しかし、運動不足で汗をかく機会が少ないと汗腺機能が低下し、エクリン腺からの汗自体もがニオイを発するようになります。

「空調の効いた部屋に長時間いる」「運動不足の状態が長く続いている」といった汗をかかない生活が長期に渡って続いていると、汗腺の機能が低下してしまいます。

全身の汗腺の機能が一気に低下するというわけではありません。

ところどころの汗腺が機能しなくなりはじめ、しまいには汗腺の部分的にしか汗が分泌されなくなるのです。

汗を分泌しなくなった汗腺内では、本来なら汗とともに排出されるはずの老廃物や皮脂がどんどん溜まっていきます。

皮脂や老廃物が溜まった汗腺から分泌される汗は、当然皮脂や老廃物の含有量が高くベタつく性質のものへと変化してしまいます。

「皮脂や老廃物の含有量が多い汗」とは、「汗臭菌の餌がたくさんある汗」と言っても過言ではありません。

本来なら無臭でサラサラの汗が、汗腺の機能低下によってベタつきニオイが強くなれば、当然汗臭さも気になり始めるものです。

無臭であるはずのエクリン腺からの汗が臭うようになれば、ただでさえニオイが強くなりやすいアポクリン汗腺からの汗はいっそう強いニオイを発するようになります。

「汗臭が気になるから」と汗をかかないように空調の効いた場所に長時間いたり、体を動かさないようにしたりすれば、汗腺の機能が低下しニオイがさらに強い汗に……そんな悪循環が生じる恐れが十分にあるのですね。

他にも原因がある

汗が臭くなる原因には「運動不足による汗腺の機能低下」以外にも、生活習慣が原因として挙げられます。

肌が不衛生で雑菌が多い

汗が臭くなる原因は、皮膚に存在する汗臭菌による分解です。

したがって、肌が不衛生で雑菌が多くなっていたり、身につける衣服に多くの汗が付着していたりすれば、当然汗臭のリスクが高まります。

特に、汗をかいたままの状態が長時間続くと、皮膚表面が多湿高温と雑菌が繁殖しやすい環境が形成されますから、汗臭菌が余計に繁殖し汗臭がさらに生じやすくなります。

疲労やストレス

毎日の生活の中でストレスを大きく受けたり疲労が蓄積されたりすると、血行不良や内臓機能の低下といった体調不良が引き起こされます。

こうした体調不良から、本来であれば正常に体の外へと排出されるはずのアンモニアがうまく処理されなくなってしまうのです。

体内で処理されなかったアンモニアは、最終的には血液を介して毛穴や汗から放出され、体臭や汗がアンモニア臭くなります。

暑いわけでも運動をしたわけでもないのに、緊張やストレスから汗がじっとりと出てきたことのある経験はありませんか?

こうした汗は精神性多汗症から分泌されたもので、ベタつきニオイが生じやすい性質があります。

ストレスや過労によってニオイが強い汗が分泌される体内環境へと変化するだけでなく、精神性多汗症から汗自体もニオイが強くなるように、ストレスや疲労は汗のニオイと密接に関係しているのですね。

脂っこいものばかりで栄養バランスが悪い食生活

毎日の食事で私達の体が形成されているように、汗もまた食生活に大きく影響を受けています。

特に、肉類・揚げ物・ジャンクフード・ファストフードなどの高脂肪高カロリーで栄養バランスが偏った食生活は、汗に含まれる皮脂やアンモニアを増加させて臭い汗の原因となります。

また、上記のような脂っこい食生活は皮脂分泌を増加させるうえに、体脂肪の増加から皮脂内の脂肪酸が増加したり汗をかきやすくしたりと、汗臭のリスクをどんどん高めてしまいます。

腸内環境の悪化から生じる便秘

偏った食生活を続けていると、腸内環境の悪化から便秘に陥りやすくなります。

便秘で腸内に留まり続けた便は、過剰に発酵されてニオイの原因となるガスが発生します。

便秘の時にお腹が張ったりおならの回数が増えたりするのは、この腸内の便から発生したガスによるものです。

このガスがおならとして放出されること無く腸内に留まり続けると腸壁から血管へと吸収され、血液を介して全身を巡ります。

最終的にガスは汗とともに体の外へと排出されるので、アンモニア臭・便臭といった嫌なニオイのする汗になってしまうのです。

腸内環境の悪化から便秘に陥ると、本来なら便とともに排出される脂肪分をも体内に溜め込んでしまうことに。

すると、体内の脂肪分の増加から皮脂分泌が促されて汗臭のリスクのみならず、加齢臭のリスクも高まります。

食事制限による無理なダイエット

食事制限による無理なダイエットでは、必要な栄養素までも得られずに血行不良が引き起こされます。

血行不良は血液中の乳酸を増加させ、この乳酸はアンモニアと結びつくと汗が臭くなる原因となります。

つまり、食事制限による無理なダイエットもまた間接的に汗を臭くさせていたのですね。

また、炭水化物を摂取しないといったダイエット方法「糖質制限ダイエット」では、ケトン臭(果物が腐ったような甘酸っぱいニオイ)が引き起こされやすく、体臭のみならず口臭や尿も全てケトン臭を発するようになります。

食事制限による無理なダイエットは健康を阻害するのみならず、体臭にも大きな影響を与えるのですね。

汗のにおいがくさくならないための対策は?

本来なら無臭であるはずの汗がニオイを発する原因は、大きく分けて「運動不足によって汗腺の機能が低下する」「汗が皮膚や衣類に存在する汗臭菌に分解される」「体内環境の悪化からニオイのある汗に変化する」といった3つです。

汗からニオイが出ないように、あるいは汗自体のニオイが強くならないようにするには、それぞれ3つの原因を毎日の生活の中でコツコツと解消していくことが最も効果的になります。

最後に、汗を臭くしないために日常生活の中で継続して行いたい対策をご紹介します。

すぐに汗臭くなる体質を変えることはできませんがコツコツと続けることで確実に変化があります。

そして、体質を変えていく中で汗のニオイへとすぐにアプローチできる対策も並行することで、汗のニオイが昨日よりも解消されていきますよ。

運動習慣で汗をしっかりとかく

汗臭の対策として欠かせないのが、運動習慣によって日常生活の中でしっかりと汗をかくことです。

先述の通り、運動不足の状態が続くと汗腺機能が低下し、汗自体までもが臭くなってしまいます。

そこで、体をしっかりと動かして体内の老廃物やニオイ物質を汗とともに流してしまいましょう。

汗臭対策として適している運動は、たくさんの空気を吸い込みながら全身を動かすウォーキング・ジョギング・サイクリングといった有酸素運動です。

有酸素運動を取り入れる際には、20分以上継続して行うことを意識してくださいね。

これは体内の脂肪分を減らすために必要な脂肪燃焼効果が、有酸素運動を20分以上続けて初めて得られるからです。

しかしながら、運動を習慣として続けるには無理をしないことが1番です。

したがって、はじめは無理をしない範囲内で有酸素運動を取り入れ、慣れてきたら徐々に運動時間を増やしていくといった心掛けをお忘れなく。

汗のニオイのみならず、ダイエットそしてストレスの解消にも役立ちますから、毎日体を動かして行きたいですね。

また、運動不足にあった人が運動を始めると、最初のうちはニオイが強くベタつく汗が出ます。

しかし、運動を続けていく中で次第にサラサラとしてニオイが少ない汗へと変化していきますよ。

もちろん、かいた汗を放っておくと汗臭が出るようになりますから、汗をかいたら拭き取ったり着替えたりといったアフターケアもきちんと行いましょう。

正しい方法で汗を拭く

汗が皮脂や垢と混ざったり汗臭菌に分解されたりして嫌なニオイを放つのは、汗をかいてから1~2時間後になります。

したがって、汗をかいてから1~2時間以内に汗を拭くだけでも汗臭の対策に繋がります。

ただし、「汗臭を予防したいから」と汗を乾いたタオルでゴシゴシと拭いてはいけません。

というのも、乾いたタオルで汗の水分を取り除いてしまうと、汗が本来持つ「水分が蒸発する際に体温を下げる」という体温調節機能がきちんと発揮されず、汗がどんどん分泌されるからです。

したがって、汗を拭く際には「清潔なタオルを水で濡らし硬く絞ったもので拭く」と正しい方法で行ってくださいね。

また、制汗剤や制汗シートを使用する場合には、汗臭菌にアプローチできる「殺菌効果」「抗菌効果」のあるものを選ぶとニオイをグッと抑えられますよ。

体を清潔に保つ

汗臭菌が汗を分解し繁殖すると余計に汗のニオイが強くなりますから、毎日のお風呂できちんと皮脂や垢そして余計な雑菌を洗い落とすようにしましょう。

とは言っても、ゴシゴシと強く擦っての洗い方はNGですよ。

強く擦って体を洗うと「皮膚を乾燥から守るために必要な皮脂」「皮脂や垢を餌として分解してニオイを抑えてくれる善玉菌」などの肌の健康を保つために必要なものまでも取り除いてしまうからです。

ですから、体を洗う際には「石鹸・ボディーソープをしっかりと泡立てて、その泡で洗うイメージで優しく丁寧に」を心掛けてくださいね。

また、シャワーだけで済ませるのではなく湯船にしっかりと浸かって、1日の生活で溜まった老廃物やニオイそして乳酸を汗とともに洗い流しましょう。

湯船にしっかりと

浸かって体の芯から温もれば、毛穴が開いて汗をしっかりと出すこともできますよ。

みぞおちあたりまで張った38~40度のぬるめのお湯に20~30分を目安に浸かる半身浴が特にオススメで、手軽に血行促進効果やデトックス効果そしてリラックス効果が得られます。

食生活を見直す

動物性脂肪の過剰摂取に繋がる欧米化した食生活・食事制限による偏った食生活は、皮脂分泌量の増加や体内環境の悪化から汗のニオイを強めてしまいます。

そこで、動物性脂肪の摂取は適度な範囲内に留めながら、野菜や果物などをまんべんなく摂取できるバランスの良い食事を意識しましょう。

また、ネギやニンニクなどのニオイが強い食べ物、揚げ物をはじめとした脂っこい食べ物もニオイの原因へと繋がりますから食べ過ぎには気を付けたいですね。

汗のニオイを強める食べ物を避ける・汗臭のリスクを高める食事を控えると同時に、汗のニオイを抑えられる食材を摂り入れることももちろん大切です。

ビタミンや食物繊維に富む野菜や海草類、整腸効果から腸内環境を正常にできる乳酸菌が豊富な発酵食品(ヨーグルトや納豆そして漬物など)は体の中から汗のニオイを防いでくれる食材ですよ。

欧米化した食生活から和食中心の食事内容へとシフトしたり、外食を控えて出来る限り自炊をするようにしたりといった工夫で無理なく汗臭を軽減できますよ。

洗濯で衣類の雑菌を落とす

かいた汗を放置していると汗臭菌によってニオイが発生するのと同様に、汗を吸った衣類を放置していると衣類に存在する汗臭菌によってどんどんニオイが強くなります。

汗を吸収した衣類はこまめに着替えたり、毎日きちんと洗濯で雑菌や汗臭を落としたりといった衣類への汗臭対策もかかさずに行いましょう。

制服やスーツをはじめとした毎日洗えない衣類は、抗菌・消臭効果そして速乾性・通気性に優れたインナーや汗脇パッドを上手く利用し、なるべく汗を付着させないようにしたいですね。

もしも制服やスーツにニオイや汗が付着した場合には、帰宅後に風通しの良い所で陰干しをしたり、スチームアイロンを使用したりして汗やニオイを飛ばしましょう。

夏場の汗をたくさんかく季節には、洗い替えが可能なように何着かのスーツを用意するのも手ですし、ウォッシャブルのものを選べば自宅でも簡単に選択ができますよ。

また、汗がついてしまってニオイがなかなか落ちない衣類に関しては、殺菌効果に優れた洗剤を使用するだけでなく、酵素系漂白剤で衣類の殺菌を行いましょう。

まとめ

体臭の原因だと思われがちな汗ですが、「汗自体がニオイを出す」のではなく「汗を餌として分解する汗臭菌によってニオイが発生する」のが汗臭のメカニズムなのです。

とは言え、運動不足や偏った食生活などによって、本来無臭であるはずの汗自体もニオイが強くなることもあります。

低下した汗腺の機能を取り戻したり、汗腺に溜まった老廃物を出したりするには、運動習慣や食生活といった生活習慣からの見直しが欠かせません。

汗臭対策の効果をより早く実感できるようになるためにも、生活習慣の改善と共に体や衣類を清潔に保つように意識する、汗を正しい方法で拭くといったすぐに始められる方法を今日から始めていきたいですね。