くさいって思われたくない!体臭のメカニズムと原因とは
気温が上がり始めて汗ばむ季節になってくると、どうしても気になるのが汗臭さですよね。
それに、中高年に差し掛かると加齢臭のニオイにも敏感になります。
たとえニオイが出ていなかったとしても、汗っかきな人や40歳を過ぎた年代の人にとっては汗臭さや加齢臭などの体臭が気になるものです。
そこでこちらでは汗臭さや加齢臭をはじめとした体臭が生じるメカニズムとともに、今日から始められる体臭対策の方法を分かりやすくご紹介します。
自身の体臭に敏感になりすぎる必要はありません。
しかし、時に何らかの疾患が体臭の原因になりうること、そして知らないうちに発生していた加齢臭が周囲の人を不快にする「スメルハラスメント」が起こりうることを知り、体臭ときちんと向き合って行きたいですね。
目次
体臭のメカニズムって?
「汗をかくと汗臭くなる」「年を取ると加齢臭が出始める」と汗臭さや加齢臭に対して漠然としたイメージを抱いている人は多いかと思います。
しかし、汗臭さや加齢臭をはじめとした体臭がどういうメカニズムによって生じているのか、厳密に知っている人は少ないのではないのでしょうか?
はじめに、体臭のメカニズムとともに汗臭さと加齢臭の違いについて見ていきましょう。
体臭の原因は?
汗臭さや加齢臭といったニオイでなくとも、人には体臭がありますよね。
ニオイの種類やその程度は人によって異なりますが、体臭には「皮膚表面で生じる体臭」と「体内の変化によって血液から生じる体臭」との2種類が存在します。
皮膚表面で生じる体臭
まず、体臭のほとんどが「皮膚表面で生じる体臭」によるもので、これは「汗」「皮脂」「雑菌」の3つの要素が関係して生じます。
私達の体には肌を乾燥から守るための皮脂を分泌する「皮脂腺」と、体温調節のために汗を分泌する「汗腺」が無数に存在します。
皮脂は皮膚の健康維持に、そして汗は生命維持に欠かせない大切な役割を担っています。
しかし、皮膚に存在する雑菌によって皮脂や汗が体臭の原因となるのです。
そもそも私達の皮膚には、常在菌としてのブドウ球菌をはじめとした様々な細菌が生息しています。
これらの雑菌は汗や皮脂を餌として繁殖するだけでなく、餌として分解する際に体臭の原因となるニオイ物質が作り出されます。
また、肌を乾燥から守るために必要な皮脂ですが、分泌されたあとに空気と触れて酸化すると「古くなった油のようなニオイ」といった不快なニオイを出すようになります。
皮脂は雑菌の餌となって嫌なニオイの原因となるだけでなく、皮脂自体が酸化することでもニオイが発生するようになるのです。
体内の変化によって血液から生じる体臭
「皮膚表面で生じる体臭」は汗や皮脂が雑菌の餌となって発生したり、皮脂自体が酸化して嫌なニオイが出たりといったメカニズムで生じることが分かりました。
一方、「体内の変化によって血液から生じる体臭」では、下記の原因によって体内で生じたニオイ物質が血液に溶け込むことで発生します。
肉類を中心とした偏った食生活
牛肉・豚肉・鶏肉といった肉類には動物性脂肪が多く含まれています。
この動物性脂肪は健康維持のためには必要不可欠な成分ではあります。
しかし、飽和脂肪酸を多く含んでいることもあり、過剰摂取すると悪玉コレステロールが増加して体内の善玉と悪玉のバランスが乱れて健康に様々な悪影響を及ぼします。
したがって、肉類の過剰摂取や肉類中心の偏った食生活を続けていると、体臭が強くなる・便秘になる・太るといった嫌な変化が生じるようになります。
腸内環境の悪化
また、肉類ばかりを食べるだけでも体臭が強くなりますが、肉類中心の食生活から生じた便秘も嫌な体臭へと繋がる要因となります。
肉類中心の食生活を続けていると、腸内環境の悪化から便秘が引き起こされます。
便秘から腸内に留まり続けた便は必要以上に発酵されてニオイの原因となるガスや毒素が発生します。
このガスをおならとして放出できれば良いのですが、放出されることなく腸内に溜まると腸壁から吸収されて血液に溶け込むようになります。
血液に溶け込んだガスは血液を介して全身を巡り、最終的には毛穴から体臭として放出されます。
便秘の時の臭いおならが、最終的には毛穴から嫌なニオイの体臭として放出されると考えると、腸内環境の悪化から体臭が強くなるのにも頷けますね。
肝機能の低下
肝臓では新陳代謝によって発生したアンモニアを無毒な尿素に解毒したり、アルコールの摂取から生じたアセトアルデヒドを無害な酢酸に分解したりといった機能が行われています。
しかし、こうした役割を担っている肝臓の機能が低下すると、当然アンモニアやアセトアルデヒドをうまく解毒できなくなります。
体にとって有害な物質で健康に様々な悪影響を及ぼすアンモニアやアセトアルデヒドですが、アンモニア臭や加齢臭に似た臭いとそれぞれ自体が嫌なニオイの原因となります。
こうしたアンモニアやアセトアルデヒドが血中に多くなれば、それぞれのニオイが体臭に混ざってしまうのです。
汗は無臭
汗をかいた時に生じる汗臭さは、汗や汗に含まれる皮脂を皮膚の常在細菌が餌として分解する段階で発生します。
それでは、常在細菌に分解される前の汗自体にはニオイがあるのかどうか?結論から言うと「汗自体には臭いがなく無臭」です。
そもそも高温の時や運動時に発生する汗の約99%が水で構成されていて、残りの約1%には塩分・アミノ酸・尿酸などが含まれているだけです。
したがって、汗をかくだけでは嫌なニオイが発生しません。
とは言え、先述のように汗が皮膚の常在細菌や、汗を吸った衣類に存在する雑菌によって分解されると独特な汗臭さが生じてしまうのです。
汗をかいた時に体から発せられる汗臭さ・汗を吸った衣類が臭くなるのは、決して汗自体によるものではなく、皮膚の常在細菌や衣類の雑菌が汗を餌として分解するからだと認識を改めましょう。
体臭と加齢臭の違いは?
加齢臭とは40歳を過ぎた頃から出始める加齢現象の1つで、皮脂腺内の脂肪酸と過酸化脂質とが結びついて生成される「ノネナール」というニオイ物質が原因となって生じます。
年を重ねるごとに免疫力の低下・ストレスの増加から脂肪を酸化させる物質「活性酸素」が増えやすく、また男性の場合には皮脂分泌量が中高年で最も活発になることからノネナールが作られやすい=加齢臭が出始める原因となります。
加齢臭の原因物質「ノネナール」は脂肪酸と過酸化脂質から生成されることもあり、「古くなった油のようなニオイ」「ブルーチーズのような青臭いニオイ」といった特徴があります。
一方、加齢臭以外の体臭では、汗臭さ・口臭・タバコ臭・頭臭・足臭といった様々な部位でのニオイが混ざった複合臭であるため、ニオイの種類や強さには個人差があります。
しかし、多くの人の体臭に共通しているのは、「菌によってニオイが作られていること」と「鼻をツンと刺激するような酸性のニオイ・アンモニア臭のようなアルカリ性のニオイの2種類があること」です。
同じ嫌なニオイとして認識される加齢臭と体臭とでは、生じるメカニズムやニオイの性質が全く異なっています。
したがって、「体臭対策」とは言ってもそれぞれの原因・メカニズムに応じた対策が必要となりますよ。
体臭対策は?
「体臭が強い」と言っても、汗臭さによるものなのか・加齢臭によるものなのか、あるいはその両方によるものなのか、とニオイの原因をきちんと見極めてそれぞれに応じた対策を行わなければなりません。
また、体臭が何らかの疾患が原因となって発生することもありますから、体臭対策だけでなく疾患の早期発見早期治療のためにもニオイときちんと向き合う姿勢を大切にしたいですね。
スメハラにならないように
最近では、パワハラやセクハラといった言葉の1つとして、体臭が周りの人を不快にさせるという意味の「スメルハラスメント」が定着しています。
体臭が強い人のニオイに周囲の人が苦痛や不快感を抱いたり、それが原因となって業務や職場での人間関係に支障をきたしたり……体臭が原因とは言っても、時には仕事に大きな悪影響を与えかねません。
それに、スメルハラスメントの原因となっている本人が自身の体臭に気付かず、さらには周りの人がその体臭を指摘できないといった状況から、スメルハラスメントは改善されにくいという深刻な問題があります。
自身の体臭に敏感になりすぎる必要はありませんが、知らず知らずのうちにスメルハラスメントの中心とならないよう、社会人としての最低限のエチケットとして体臭ケアを行っていきましょう。
病気のサインかも
先述の通り、腸内環境の悪化や肝機能の低下から体臭が強くなったり変化したりします。
しかし、時には健康を脅かす疾患が原因となり、それぞれの疾患による特有の体臭が出るようになりますから注意が必要です。
- 油っぽい皮脂臭:脂漏性皮膚炎
- 尿のような甘酸っぱいニオイ:糖尿病
- 汗からのアンモニア臭が強くなる:腎機能の低下、疲労の蓄積・全身疲労
- 魚臭い、生臭いニオイ:魚臭症(体内の酵素欠損によって代謝に異常が生じる症状)
- 皮脂が酸化したような加齢臭にも似たニオイ:甲状腺機能亢進症、パーキンソン病
- 臭いおならのようなニオイ:便秘