胸のしこりや痛みを発見したら、誰でも乳がんを疑ってしまいますよね。
確かに乳がんの初期症状としてそのようなことが見られますが、実は「乳腺症」も似たような症状を起こすことがあります。
今回は、乳腺症と乳がんの違いを説明しながら、その特徴や予防策について詳しく紹介していきたいと思います。
胸のしこりや痛みを発見したら、誰でも乳がんを疑ってしまいますよね。
確かに乳がんの初期症状としてそのようなことが見られますが、実は「乳腺症」も似たような症状を起こすことがあります。
今回は、乳腺症と乳がんの違いを説明しながら、その特徴や予防策について詳しく紹介していきたいと思います。
乳がんは良くも悪くも知名度が高く、ポピュラーな病気でもありますが、「乳腺症」という病気はあまり馴染みがないという人は多いかもしれません。
まずは、乳腺症についてその症状や乳がんの違いについて説明していきましょう。
乳腺症とは、いわゆる「バストの老化現象」であり、厳密にいえば病気ではありません。
乳腺に起こるさまざまな症状を総称したもののことを「乳腺症」と呼ぶので、すべての人に同じ症状がみられるわけではありません。
簡単に言えば、乳がんや乳腺炎などの明らかな病気以外に、乳腺に何らかの異常が出ている場合は乳腺症と呼ぶのです。
乳腺は女性ホルモンの影響を強く受けます。
特に月経周期にホルモン変化が起きることで、乳腺が刺激され、乳房に何らかの変化を引き起こします。
それらの変化は完全に戻ることもあれば部分的に残ることもあり、それが毎月積み重なることで乳腺に異常をきたすのです。
乳腺症の具体的な症状としては、圧迫されるような痛みを感じることが挙げられます。
特に月経前には乳房が少し動いただけでも痛みを感じるようになり、月経が終わると痛みも和らぎます。
そのほか、乳頭から分泌液が出てくる、乳房にしこりを感じるという人も多くみられます。
乳房の痛みやしこり、異常な分泌液といわれると、「もしかしたら乳がんかも?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
確かに症状だけみると、乳がんの初期症状と似ているので、混乱されるかもしれません。
しかし乳がんの場合、初期症状では痛みを伴いません。
また、乳頭から出る分泌液も、乳腺症の場合白くてさらさらとしたものや乳汁のようなものですが、乳がんの場合は血の混じった分泌液となります。
また、乳腺症の場合は皮膚に異常は見られませんが、乳がんの場合は皮膚がへこむほか、赤くなることがほとんどです。
乳腺症は月経の周期に影響されるので、月経時に痛みが強くなったり、しこりの大きさに変化が見られます。対して乳がんは月経の時期には症状の変化は見られません。
そのほか、乳腺症と乳がんではしこりができる場所も異なります。
乳がんの場合、右胸よりも左胸に、そして
胸の内側の上側→外側の下の部分→乳輪の下の部分→内側の下の部分
の順番でしこりができやすいのに対し、
乳腺症の場合は左右関係なく、胸の上半分から外側に向かってできやすくなります。
また、しこりがトゲトゲしていて、弾力があれば乳がんの可能性が高いです。
ちなみに、ごく一部の乳腺症を除いて、乳腺症を患ったからといって乳がん化する可能性は限りなく低いです。
確かに乳がんは乳腺にがん細胞が発生することで起こりますが、乳腺症とはほぼ関係ないという意見が有力です。
乳腺症には女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」が深く関わっていると言われています。
明確にはわかっていませんが、エストロゲンの分泌がプロゲステロンを相対的に凌駕することが原因であるという説が有力です。
エストロゲンの分泌が過剰になると、乳腺が異常増殖を起こし、乳腺症にかかりやすくなります。
エストロゲンの分泌を過剰にしてしまう原因は、生活習慣の中に隠されています。
例えばストレスが多い人や肥満の場合、ホルモンバランスを崩しやすいため乳腺症にかかりやすくなります。
また、妊娠を中絶した人や生理不順の人、出産経験がない人も同じく乳腺症にかかりやすいことが分かっています。
また、女性ホルモン剤や抗アレルギー薬(オキサトミド)、抗けいれん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)、向精神薬を飲んでいる男性は、女性化乳房ができやすいため、乳腺症を引き起こしやすくなります。
このように、乳腺症は女性だけの病気ではないのです。
乳腺症がどんなものか分かったうえで、続いては予防策や治療方法を紹介していきましょう。
乳腺症はあくまで良性変化なので、乳がんと違って手術をする必要はほとんどありません。
また、毎日の生活の中で実践できる予防策もあります。
乳腺症を予防するために一番大切なのがエストロゲンの過剰を抑えることです。
具体的な方法をいくつか見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れは、不摂生な生活が原因で起こります。
そのため、しっかりと睡眠をとる、バランスよい食生活を送ることは基本中の基本です。
寝ている最中に排卵が起こるので、特に睡眠時間を確保し質の良い睡眠をとることは大切です。
また、脂肪分やカフェインなどの過剰摂取は、エストロゲン増加を引き起こすので控えるようにしましょう。
コーヒーや紅茶の代わりに、「たんぽぽコーヒー」や麦茶の摂取をおすすめします。
ちなみに海藻に含まれるヨードという成分は、エストロゲンを減少させ、乳腺への影響を抑える効果があります。
ヨードを多く含む海藻は以下の通りです。
一方で、ヨードを摂取しすぎるとエストロゲンを減少しすぎてしまうこともあるので、適度に取り入れるようにしましょう。
そのほか、女性ホルモンのバランスを整える大豆イソフラボンを多く含む大豆製品やアーモンドなどは、積極的に食生活に取り込んでいきましょう。
ストレスがたまるとホルモンバランスが乱れやすくなります。
また、エストロゲン過剰の原因にもなりますので、自分に合ったストレス解消法を見つけ、実践するようにしましょう。
適度な運動を行うことで、リンパの流れが改善され乳腺症の症状であるしこりや痛みが改善されることもあります。
日常的に無理のない程度で良いので、運動を心がけましょう。
最後に乳腺症の治療法について見ていきましょう。
乳腺症の場合、基本的に特別な治療は行いません。
多くの場合経過観察となります。
患者さんの中には乳がんではないと診断されると心配が解消されるのか、痛みを感じなくなっていく人も多いようです。
しかしどうしても痛みがひどく、どうにかしたい場合は乳腺に作用するホルモンをブロックする薬剤や漢方が処方されます。
それでも痛みが取れない場合は、再度検査する必要があります。
いかがでしたか?
乳腺症は乳がんと似た症状がみられますが、病状的には全く違うものとなります。
胸にしこりや痛みを感じても、焦らずまずは病院で検査してもらいましょう。
ぜひ参考にして下さい。
参考文献