体臭って病院で治療できるの?もしかしたら「自臭症」の可能性も?!
体臭を悩みの1つとして抱いている人は決して少なくはありません。体臭は時には人間関係に支障をきたしたり、時には何らかの疾患や体内トラブルが原因となって生じていたりするものですから、できる限り解消したいですよね。
しかし、セルフケアだけではなかなか体臭を軽減できない場合もあります。
自分ひとりの力だけで体臭を解消・軽減できない時には、やはり病院をはじめとした専門機関への受診が1番の対策方法になります。
さらには自身の体臭は分かりにくいからこそ、「周りの人に迷惑をかけているのではないかな」と不安になってしまうものです。
スメルハラスメントという言葉が生まれるほどに体臭に敏感になっている現代社会ですから、自身の体臭に神経質になりすぎてしまって知らず知らずのうちに「自臭症」を発症していることだって考えられるのです。
こちらでは、病院で体臭を解消する際に「何科を受診すべきか」をニオイが気になる部位ごとにご紹介します。
合わせて「自臭症何か」「自臭症とはどのような症状・原因があるのか」そして「自臭症の場合には何科を受診すれば良いのか」といった自臭症に関する基礎知識を分かりやすく解説します。
目次
体臭を病院で治療できるの?
枕や衣類のニオイを嗅いで「最近、なんだか体臭が気になる」と気になり始めたり、周りの親しい間柄の人間から体臭を指摘されたりと何らかのきっかけで体臭に気付くものです。
体臭に気付いてからデオドラントスプレーや体臭用のボディソープや石鹸といった体臭対策用のアイテムを使い始める人が多いかと思います。
そうした体臭対策用のアイテムを使い始めて体臭が緩和すれば1番良いのですが、一向に変化がないとなると不安になりますよね。
セルフケアで体臭の対策・解消が難しい場合には、専門機関へ受診してプロの指導の下で対策方法を行っていくのが1番の方法になります。
とは言え、体臭の悩みから専門機関に行く際には「どの病院を受診すれば良いのか」「病院を受診する際には何科が良いのか」と分からないことだらけですよね。
はじめに、体臭から専門の医療機関を受診する際に知っておきたい「何科を受診すべきか」を体臭が出ている部位ごとに見ていきましょう。
何科にいけばいいの?
体臭とは言っても口臭・頭皮からのニオイ・脇のニオイとニオイの発生源がはっきりしている場合、そして全身のニオイが気になる場合、さらには原因がはっきりと分かっている体臭や原因が分からない体臭と人によって様々なケースが考えられます。
「原因がはっきりと分かっている体臭」を改善するには、その原因に応じた科への受診が最適な対策方法です。
加えて、ニオイの発生源がはっきりしている場合にはそれぞれの部位に応じた専門機関を、全身のニオイが気になる場合には内科を、そして原因が分からない体臭が気になる際には総合病院を受診することが大切になりますよ。
口臭
口臭が強くなる原因としては、主に虫歯や歯周病といった口内トラブルや歯垢の蓄積が挙げられます。
したがって、口内環境をするために歯科を受診しましょう。
口臭の原因となる虫歯や歯周病の治療のほか、歯垢や歯石の除去から口臭の予防や対策もできますよ。
また、口内トラブルではなく内臓の疾患から口臭が強まることもあります。
もしも歯科で異常が無いと判断されたり、歯科で口内の治療を受けても口臭が緩和されなかったりといった場合には、内科の受診から疾患の有無を確認しましょう。
頭皮からのニオイ
頭をきちんと洗えていないことで生じる「頭皮で分泌された皮脂や洗い残し」「フケや汚れそしてシャンプーなどのすすぎ残し」から頭皮のニオイが強まります。
しかし、きちんと頭を洗っているにも関わらずに頭皮からニオイが生じている場合には、頭皮環境の悪化や頭皮トラブルの発生が考えられます。
頭皮とは言っても皮膚の一部ですから、皮膚科を受診して疾患の特定や治療をしてもらいましょう。
脇のニオイ
脇から特に強いニオイが出ているのであれば、まずは皮膚科を受診してニオイの原因を特定してもらいましょう。
脇のニオイの原因がワキガと特定された際には、形成外科や美容外科での手術によるワキガ治療を受けることができます。
皮膚科では行えない手術を行う形成外科に対し、形成外科の中でも美容関連の部門に特化しているのが美容外科です。
形成外科では皮膚に生じた疾患の治療に対してのみ保険が適用できますが、ワキガ治療では適用できないことがあります。
また、美容外科でのワキガ治療もまた保険が適用できないことがほとんどで、その分治療費が高くなる傾向にあります。
全身からの体臭が気になる
以上でご紹介しましたニオイは、どれもある特定の部位からの体臭です。
しかし、体臭の中には「特定の部位からではなく全身から体臭が出ているような気がする」と感じる場合もありますよね。
こうした全身からの体臭の原因としては、内臓の機能低下や何らかの疾患そして食生活をはじめとした生活習慣による悪影響が挙げられます。
まずは、内科を受診し内臓機能に問題がないか、何らかの疾患が発症していないかを調べてもらいましょう。
もしも、何らかの異常が見つかったのであれば、治療に努める必要があります。
時には体臭が、いつの間にか体内で生じている疾患やトラブルの手がかりとして早期発見早期治療に役立つこともあります。
単なる体臭だと軽んじるのではなく、体の異変を伝えるSOSとして受け止めて内科を受診するようにしたいですね。
原因が分からない体臭
「原因は分からないものの体臭が気になる」「なぜか体臭が強くなった」と体臭の原因が分からないのなら、複数の科が病院内に集まっている総合病院を受診すれば間違いありません。
総合病院での受付で記入する問診票に細かく症状やその程度を記載すれば、病院側がどの科での診察・治療が適しているかを総合的な専門知識から正確に判断してくれますよ。
また、一度に複数の科での診察を受ける際に1つの病院内で済む点も、複数の科が集まっている総合病院ならではの嬉しいポイントです。
体臭の原因の特定では間違いのない総合病院ではありますが、待ち時間が長かったり診察が1日に渡って行われたりと時間がかかることが多いため、時間に余裕のある日の受診がおすすめです。
わたしって自臭症かも?
上記のように、体のある特定部位から・全身からの体臭が気になる場合には、原因特定や解消のために病院への受診が役立ちます。
しかし、体臭に悩み病院へ行く人の中には、「自分が臭い」と思い込んでしまっている病気である「自臭症」を発症していることも珍しくはありません。
自臭症とは
自臭症とは自己臭症や自臭恐怖症とも呼ばれる病気で、体臭が強くない・臭くないにも関わらず「人から臭いと思われているのでは」「自分はとても臭い」と思い込んでしまう心の病の1つです。
スメルハラスメントという言葉が生まれるほど、現代社会では個人のニオイや体臭に対して敏感になっていますよね。
ニオイに敏感な背景から「ニオイのエチケットに気を付けなければならない」という意識付けが浸透しているからこそ、最近では自臭症を発症する人が増加しています。
症状は?
- 1日の中で必要以上に何度も着替えたりシャワーを浴びたりする
- 消臭アイテムを過剰に使う
- 自身の体臭を嗅がれるのが怖いからと人に会うのを避ける
実際は臭くないのに自分の体が臭く感じることは幻臭と呼ばれます。上記のように、幻臭からはニオイのエチケットの度を越した様々な思考・行動を引き起こします。
さらには、幻臭が気になるあまり集中力が欠如したり、「周りに不快に思われているのでは」と大きなストレスを感じたりして気分が沈みがちになります。
このような自臭症が悪化すると、うつ病・社会不安障害(対人恐怖症)・引きこもり・醜形恐怖症といった日常生活に支障をきたしかねない病気を併発することも少なくありません。
自臭症は思わぬ病気へと繋がることから、決して「体臭の気にしすぎ」「ニオイに敏感すぎ」と甘く見てはいけない症状なのです。
自臭症の原因は?
自臭症が生じる原因としては、人によってそれぞれ異なる性格が大きく関係しています。
几帳面・完璧主義・神経質・自分に自信がない・潔癖症といった性格で、日頃からエチケットに気を付けている人に多いという傾向にあります。
つまり、身なりに無頓着である人よりも、日頃から欠かさずにエチケットを心がけている人こそが自臭症になりやすいのです。
少しの体臭も許せなかったり、清潔にしているのに臭いと思われることに大きなショックを受けたりするからこそ、異常にニオイが気になってしまうのですね。
自臭症は何科の病院?
実際に体臭が出ていない自臭症では、心療内科や精神科そして神経科を受診し治療を受ける必要があります。
「体臭から内科や皮膚科を受診しても何の異常が見られなかった。それでも自身の体臭が気になる」「自分のニオイが気になって仕方なく、ストレスを感じる」といった人は、早めに心療内科や精神科そして神経科を受診しましょう。
また、自臭症の人に心療内科や精神科そして神経科の受診を勧める場合には、本人には幻臭が実際の体臭と感じられていることもあり、受診へと踏み切らせる際には「一度相談してみるだけでも良いんじゃない?」といった配慮も必要です。
自臭症の治療としては、薬物療法と心理療法の2つが用いられます。まず薬物療法では自臭症の抑うつに「抗うつ剤」を、ニオイへ強迫観念には「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」を使用します。
また心理療法ではカウンセリングや自身の体臭を計測器で数値化してニオイがないことをきちんと認識するトレーニングから「臭くないのに臭いと思いこんでいる間違い」を少しずつ修正していきます。
治療の効果が得られるまでの期間には個人差がありますが、治療をはじめて半年~1年ほどでニオイが気にならなくなるほどに緩和されます。
まとめ
体臭や口臭を気にしてエチケットを行うことは大切です。
しかし、生きている限り無臭でいることは不可能ですし、多少なりとも何らかのニオイを身にまとっているのが自然なことです。
それに、体臭に敏感になりすぎたりケアを気にしすぎたりといった状態は、決して心身ともに健康的だとは言い切れませんよね。
また、体臭を気にしすぎることによって自臭症を発症し、思わぬ病気を併発する恐れも十分にあるのです。
体臭を気にしすぎる必要はありませんが、時として体臭がいつの間にか発症している病気や体内トラブルを知らせる「体のSOSサイン」として発せられることもあります。
大人として最低限のエチケットや体臭へのケアをきちんと行っているのにも関わらず体臭が気になる場合には、何らかの病気や体内トラブルが生じていることが考えられますから病院への受診を欠かさずに行ってくださいね。
心身の健康を維持していく意味も込めて、今日から体臭と上手く付き合っていきたいですね。