外出中、飲食店の美味しそうなにおいでお腹が減った、なんてことはありませんか?
人が生活していく中で、においを感じない時というのはあまりありません。
しかしこのにおい、どうやって感じているのでしょうか?
このにおいを感じる仕組みが分かれば、においケアに役立てる事が出来るかもしれません。
そこで、においを感じる器官である鼻や嗅覚の仕組みについてご紹介します。
鼻のしくみ
まずは、においを感じる器官である鼻の仕組みについてご紹介します。
鼻の役割やにおいそのものについての知識には、においケアに対するヒントがたくさん含まれています。
鼻の役割
鼻の役割は大きく分けて2つの役割があります。
一つは、呼吸器としての役割です。
人は鼻から息を吸い込み、吐き出すようにできています。
また、鼻の中は空中の異物や雑菌が体内に入り込まないように防ぐ効果もあります。
鼻の中に鼻毛が生えているのはその為です。
この他、取り込んだ外気を温め体に負担を与えないようにする機能等、鼻には呼吸に関する機能がたくさんあるのです。
もう一つの役割は、におい、つまり嗅覚を感じる役割です。
食べ物や自分の周辺にある匂いを感知する事で、危険な物を避ける事が出来ます。
鼻の中にはにおいを感知する器官があり、この器官が空中にあるにおいの元となる物質を察知して、脳に情報を伝えているのです。
においを感じる機能には個人差がある他、においの強弱によっても感じ方が変わってくる等、複雑な仕組みになっています。
においとは?
においそのものの正体は、空気中に浮かび上がる極小の化学物質です。
空気の中で舞い上がるほど小さな化学物質が、嗅粘膜を刺激する事で人はにおいを感じています。
このにおいの元となる化学物質は、40万以上とも、50万以上ともいわれております。
この大量のにおい物質を判別する為に、鼻の中には数千万個もの旧細胞が存在しています。
この中にある400種類以上のにおい受容体ににおい物質が当てはまると、匂いの情報が脳に伝わり、においとして認識されるのです。
においの元となるにおい物質の中には、人体に良い影響を与える物もあれば、逆に悪影響となる物もあります。
体に良い影響を与えるにおいを人はいいにおいであると感じ、逆に悪影響を与えるにおいについては、くさいと感じます。
においに良い悪いがあるのはその為です。
においの役割
私達は大昔からにおいによって食べ物や周囲の情報を得ていました。
目の前の物質が食べ物であるかどうか、食べ物であるなら腐っていないか、毒が入っていないか等を判別する時に、嗅覚でもって判断していたのです。
また、周囲に危険がないか等を調べる際にも、においを活用しました。
自分達を捕食する動物のにおいをはじめとした、危険な臭いがないかを周辺から察知する事で身を守っていたのです。
この他、自分達の仲間であるか、発情期を迎えた相手であるか等を判断する時にも、嗅覚は活用されていました。
嗅覚には様々な役割があり、私達はそれを無意識に利用して生活しているのです。
においを感じるしくみ
次に、においを感じる際の仕組みを説明していきます。
においを感じる器官や嗅覚には面白い特徴があります。
においを感じる嗅覚の特徴や、においの感じ方について知っておけば、においケアをする時に役立つでしょう。
嗅覚の特徴
嗅覚の特徴として、「順化」という特徴があります。
人の嗅覚はある程度同じにおいを嗅ぎ続けていると、においに慣れてしまい、感じなくなってしまいます。
自分の体臭や口臭は分かりにくい、同じ香水をつけ続けていると使用量がどんどん増えていく人がいる、というのはこの順化が関係しています。
自分の体臭や口臭は常に嗅覚が察知してしまっているので、順化が起きてしまい分からなくなっているのです。
香水も、常に同じものを使用していると鼻が順化してしまい、香水のにおいを感じなくなってしまいます。
においケアをする際には、この順化が起きる事も考えながら行う必要があります。
自分の体臭やケア用品のにおい、香水が他人に不快感を与えていないか、常に注意しながら匂いケアは行いましょう。
順化が起きても、ある程度の期間その匂いから離れれば嗅覚は正常に戻りますから、においが分からなくなった時はいったんケア用品や香水を別の物に変えれば問題ありません。
体臭や口臭から離れる事はできませんが、自分でチェックする方法もありますので、そうした方法でチェックしてみましょう。
においの感じ方
においの感じ方には個人差があります。
人によってはある特定のにおいを感じにくい人もいます。
これは嗅盲(きゅうもう)と呼ばれており、鼻にあるにおいを感じる器官を作る遺伝子が関係しています。
においの個人差はこの遺伝子の組み合わせによって生まれてくるのですが、組み合わせによっては、特定のにおいを感じる器官が弱い・全くないといった場合もあるのです。
また、女性と男性によっても匂いの感じ方に変化があります。
多くの場合、女性の方が男性よりも嗅覚がすぐれていると言われます。
これは女性が赤ちゃんを育てていく中で、より早く危険を察知できるように進化した結果です。
この他、喫煙の有無や年齢によっても匂いの感じ方には変化が生じます。
においケアをする時は、こうしたにおいの感じ方にも気を配るとより完璧なケアが出来るようになります。
状況やその場の人合わせたにおいケアをする習慣を身に付ければ、においで周囲の人を不快にしてしまう事も無くなるでしょう。
いいにおいと嫌なにおい
においの感じ方は肉体的な変化だけではありません。
いいにおいや嫌なにおいといった、においの嗜好は小さい頃からの生活習慣が関係しています。
普段の食生活や、生活の中で感じてきたにおいを体が学習し、その中からいいにおいと嫌なにおいを判別しているのです。
トイレのにおいを不快に思う人が多いかと思います。
実際に悪臭ではありますが、私達が子供の頃に「トイレのにおいは悪臭だ」と教えてもらい、学習したために「トイレのにおいは臭い」と感じている部分もあるのです。
また、トイレの芳香剤を使用すると嫌なにおいを感じなくなる事がありますが、これはマスキングという作用が働いています。
嫌なにおいよりも強い濃度でいいにおいを流すと、感覚的に嫌なにおいを感じなくなるという現象が起きます。
においケア用品のほとんどに香料が使用されているのは、マスキングによって嫌なにおいを感じにくくなる効果があるからです。
まとめ
においは複雑な仕組みによって感知されています。
空中のにおい分子は、鼻の中にある複雑な器官によって感知され、脳に情報が送られています。
いいにおいや嫌なにおいといった感覚は、脳が判断しているのです。
においケアをしていく上で、こうした嗅覚の習性を理解しておくと、より完璧なケアをする事が出来ます。
においケアをする際には、嗅覚の習性を理解・利用してみましょう。